2018/01/31

独断的映画感想文:ブレードランナー ファイナル・カット

日記:2018年1月某日
映画「ブレードランナー ファイナル・カット」を見る.7
2007年.監督:リドリー・スコット.
出演:ハリソン・フォード(リック・デッカード),ルトガー・ハウアー(ロイ・バティー),ショーン・ヤング(レーチェル),エドワード・ジェームズ・オルモス(ガフ),ダリル・ハンナ(プリス),ブライオン・ジェームズ(リオン・コワルスキー),ジョアンナ・キャシディ(ゾーラ),M・エメット・ウォルシュ(ブライアント),ウィリアム・サンダーソン(J・F・セバスチャン),ジョー・ターケル(エルドン・タイレル),ジェームズ・ホン(ハンニバル・チュウ(眼球製作者)),モーガン・ポール(ホールデン).5
2019年.タイレル社の開発した人造人間レプリカントは,身体能力に優れ知能も開発者のそれに匹敵する.惑星開発等過酷な労働環境に投入されていたが,製造後数年すると感情を持ち始め反抗心を持つため,タイレル社は寿命を4年に設定した.
しかし最新型レプリカント・ネクサス6型の4名(リオン,ゾーラ,ロイ,プリス)が任地で殺人を犯し地球に帰還する事件が起こる.当局は専任捜査官ブレードランナーであるリック・デッカードを招集し,4名の追跡にあたらせる.4
デッカードはタイレル社の社長と面会,その秘書レイチェルもレプリカントと見抜くが,レイチェル自身は自分がレプリカントであることを知らなかった.デッカードは脱走グループの遺留品から踊り子に扮していたゾーラを追跡射殺,その直後リオンに襲われるが,レイチェルに窮地を救われる.
レイチェルは自身をレプリカントと知ることになるが,デッカードは彼女を自宅に招く….3
1982年公開のオリジナルを,25年後に監督自身が再編集したもの.デジタル・リマスタリングの他色調の調整,一部のシーンの再撮影やCGによる変更を実施した.
映像的な完成度は高く,1982年のオリジナル制作にも関わらず,現在公開されているSF映画との違和感は全くない(現代SF映画の基調をそもそも作ったのが,本作であるからとも言えるが).
登場人物が携帯端末を全く使用しないことが唯一現在との違いだろうか.1
寿命が尽き従容として死に至るレプリカント・ロイの姿や,レイチェルとデッカードの交情は哀切に満ちている.
滅びの予感に満ちたロサンゼルスを舞台に,展開される人間とレプリカントの争闘を巡るサスペンスは,誠に見応えあり.ヴァンゲリスの音楽も素晴らしい.
★★★★☆(★5個が満点).
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2018/01/30

独断的映画感想文:ダンシング・ベートーヴェン

日記:2018年1月某日
映画「ダンシング・ベートーヴェン」を見る.1_2
2016年.監督:アランチャ・アギーレ.
出演:モーリス・ベジャール・バレエ団,東京バレエ団,イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団,マリヤ・ロマン,ジル・ロマン,ズービン・メータ.
東京バレエ団創立50周年記念に際し,東京バレエ団とスイス・ローザンヌのモーリス・ベジャール・バレエ団の共同制作により,ズービン・メータ指揮:イスラエル交響楽団が参加,モーリス・ベジャールの振り付けを再現して2014年東京で行われた舞台:「ベートーヴェン『第九交響曲』」製作のドキュメント.
モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督:ジル・ロマンの娘で若手俳優のマリア・ロマンがインタビューと案内を行う.2_2
国際色豊かな関係者のインタビューも誠に興味深いが,ローザンヌと東京でそれぞれ練習に励むダンサー達の日常を含めた動きや肉声,限界に挑む肉体の美しさが印象的.クライマックスの東京公演の模様に今少し時間を割いて欲しかったが(全体の尺は80分),充分感銘を受けた.4_2
監督:アランチャ・アギーレはスペインの女流監督である.彼女はペドロ・アルモドバルやカルロス・サウラのもとで助監督を務めた経験を持ち,その映像はさすがに素晴らしい.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ワイルド・スピード ICE BREAK

日記:2018年1月某日
映画「ワイルド・スピード ICE BREAK」を見る.1
2017年.監督:F・ゲイリー・グレイ.
出演:ヴィン・ディーゼル(ドミニク・トレット(ドム)),ドウェイン・ジョンソン(ルーク・ホブス),ジェイソン・ステイサム(デッカード・ショウ),ミシェル・ロドリゲス(レティ),タイリース・ギブソン(ローマン・ピアース),クリス・“リュダクリス”・ブリッジス(テズ),ナタリー・エマニュエル(ラムジー),エルサ・パタキ(エレナ),カート・ラッセル(ミスター・ノーバディ),シャーリーズ・セロン(サイファー),スコット・イーストウッド(リトル・ノーバディ),ヘレン・ミレン(マグダレーン・ショウ).4
キューバでハネムーンを楽しむドムとレティ,ところが街で出会った女性サイファーにドムは脅迫される.
一方ホブスは盗まれたEMPと呼ばれる大量破壊兵器を奪還するという指示を受け,ドム達ファミリーを集め作戦を敢行,見事成功するが,撤収の途中何とドムが裏切り,EMPはサイファーの手に落ちる.
ドムを失ったファミリー,ミスター・ノーバディはサイファーに恨みを持つがファミリーとは敵対していたデッカードを招集し,ファミリーと協力してサイファーと戦うことにする.3
一方,ニューヨークを訪れたロシア外相は核ボタンを持っており,サイファーはドムを使って核ボタンの奪取を計った為,ニューヨーク市街でドムとファミリーの壮烈なファイトが展開される….
シリーズ8作目のワイルド・スピード,今やきら星の様な豪華俳優が出演する超大作となった.荒唐無稽さもここまで極まると度肝を抜かれる,快調なテンポと巧妙なプロットが楽しめる快作.2
特にニューヨークを舞台に,ドムのスーパーカーとサイファーのハッキング作戦で警備陣を手玉に取る展開は実に面白い.ドムを敵にまわし絶体絶命のファミリーが,何処でどうやって起死回生の逆転を成し遂げるのか,ラスト20分の痛快さはお楽しみ.
★★★★(★5個が満点)
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2018/01/27

独断的映画感想文 LOGAN/ローガン

日記:2018年1月某日
映画「LOGAN/ローガン」を見る.Logan1
2017年.監督:ジェームズ・マンゴールド.
出演:ヒュー・ジャックマン(ローガン/ウルヴァリン/X-24/ジェームズ・ハウレット),パトリック・スチュワート(チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX),リチャード・E・グラント(ザンダー・ライス),ボイド・ホルブルック(ドナルド・ピアース),スティーヴン・マーチャント(キャリバン),ダフネ・キーン(ローラ),エリザベス・ロドリゲス(ガブリエラ・ロペス),エリック・ラ・サール(ウィル・マンソン),エリゼ・ニール(キャスリン・マンソン),クインシー・ファウス(ネイト・マンソン).Logan2
2029年,「X-men」として知られたミュータントの生き残り・ローガンは肉体的な老いに直面,治癒能力も衰えて,今はミュータント仲間のキャリバンと,プロフェッサーXとして知られたチャールズの介護をしてメキシコで暮らしている.
リムジンの運転手として働いているローガンのもとに迎車の依頼があり,ガブリエラという女性がローラという娘とノースダコタまで送って欲しいと言う.
しかし翌日迎えに行くとガブリエラは殺され,ローラは行方不明となっていた.ガブリエラは,ピアースという男がこの女に会ったら連絡するようにと言っていた女性だったのだ.Logan3
メキシコのホームに戻ったローガンは,ピアースの軍団に襲われ,リムジンに潜んでいたローラとともにチャールスを連れ辛くも脱出するが,キャリバンは捕虜となる.
ガブリエラの残したムービーにより,ローガンはローラが「トランシジェン研究所」で,ミュータントの精子をメキシコ人女性に受精して産ませた,人間兵器だったことを知る.ローラはローガンの娘だったのだが,チャールスはこのことを予知していた….
哀しみに彩られた映画.ローガンの世代が滅び,希望を託された第2世代が,トランシジェン研究所の魔の手から逃れられるかどうかが,描かれる.Logan4
第2世代は,当初から「残虐性」を植え込まれた新型「X-24」の開発成功に伴い不要となり,処分されるところをガブリエラ等の手で逃亡してきたのだった.
X-24とローガンの死闘も,この映画の迫力あるシーンの一つ.ローラとローガンの親子の情愛の交流が,極限的な状況で描かれる終盤のシーンは印象的である.見応えあり.
★★★★(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 新橋演舞場初春歌舞伎公演「天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)/口上(こうじょう) 市川海老蔵/新歌舞伎十八番の内 鎌倉八幡宮静の法楽舞

日記:2018年1月某日Shinbashi_201801f3_7a44ba5f1bf2295d
新橋演舞場の初春歌舞伎公演Aプロを見る.
「一、天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし) 中村獅童宙乗り相勤め申し候 宗観館より梅津邸奥庭まで」.四世鶴屋南北 作.今井豊茂 補綴・演出.出演:天竺徳兵衛・斯波左衛門・座頭徳市(獅童),細川政元・吉岡宗観(右團次),梅津奥方葛城(笑也),宗観妻夕浪(吉弥),銀杏の前(児太郎),山名時五郎(弘太郎),梅津掃部(九團次),奴鹿蔵(松江),佐々木桂之介(友右衛門),足利義政(海老蔵).「二、寿初春 口上(こうじょう) 市川海老蔵「にらみ」相勤め申し候」.出演:海老蔵.「三、新歌舞伎十八番の内 鎌倉八幡宮静の法楽舞(かまくらはちまんぐうしずかのほうらくまい)」.九世市川團十郎生誕百八十年.松岡亮 作.出演:静御前・源義経・老女・白蔵主・油坊主・三途川の船頭・化生(海老蔵),蛇骨婆(吉弥),従僧方便坊(九團次),従僧普聞坊(廣松),姑獲鳥(笑三郎),忍性上人(右團次).
天竺徳兵衛は贔屓の獅童が主演,大病後の獅童が声も良く出て宙乗りもやり,嬉しかった.
静の法楽舞は舞台構成音曲ともよく練られていて素晴らしく,海老蔵の早変わりも見事.
正月恒例の海老蔵の口上,よーく睨んで貰ったので今年は安泰(の筈).
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番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場平成30年初春歌舞伎公演「世界花小栗判官(せかいのはなおぐりはんがん)」

日記:2018年1月3日H3001kabukiomote
国立劇場平成30年初春歌舞伎公演「通し狂言 世界花小栗判官(せかいのはなおぐりはんがん) 四幕十場」を見る.
発端 (京)  室町御所塀外の場.序幕<春> (相模)鎌倉扇ヶ谷横山館奥庭の場,同 奥御殿の場,江の島沖の場.二幕目<夏> (近江)堅田浦浪七内の場,同 湖水檀風の場.三幕目<秋> (美濃)青墓宿宝光院境内の場,同 万屋湯殿の場,同 奥座敷の場.大詰<冬> (紀伊)熊野那智山の場.
近松徳三・奈河篤助=作『姫競双葉絵草紙』より,尾上菊五郎=監修,国立劇場文芸研究会=補綴,国立劇場美術係=美術.
出演:尾上菊五郎,中村時蔵,尾上松緑,尾上菊之助,坂東彦三郎,坂東亀蔵,中村梅枝,中村萬太郎,市村竹松,尾上右近,市村橘太郎,片岡亀蔵,河原崎権十郎,坂東秀調,市村萬次郎,市川團蔵,坂東楽善.
お正月らしい華やかな舞台が印象的,梅枝・右近の若手女形も美しい.一方,浪七内の場での片岡・板東の両亀蔵と市村橘太郎のやり取りが抱腹絶倒である.
菊五郎,松緑,菊之助が流石に見応えのある芝居で,大詰めまで楽しめた.
冨司純子様はじめとする寺島一家,山川静夫さんの顔も拝めて,今年も良いスタートなり.

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2018/01/03

番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場12月歌舞伎公演 今様三番三/通し狂言 隅田春妓女容性(すだのはるげいしゃかたぎ)

日記:2017年12月某日
国立劇場で12月歌舞伎公演を見る.H2912kabukihon2omote
「今様三番三(いまようさんばそう)」.大薩摩連中,長唄囃子連中.「通し狂言 隅田春妓女容性(すだのはるげいしゃかたぎ) 三幕九場 ―御存梅の由兵衛― (ごぞんじうめのよしべえ)」.並木五瓶=作 国立劇場文芸研究会=補綴.国立劇場美術係=美術.序幕 柳島妙見堂の場,同  橋本座敷の場,同 入口塀外の場.二幕目 蔵前米屋店先の場,同 塀外の場,同 奥座敷の場,本所大川端の場.大詰 梅堀由兵衛内の場,同 仕返しの場.出演:中村吉右衛門,中村歌六,中村又五郎,尾上菊之助,中村歌昇,中村種之助,中村米吉,中村吉之丞,嵐橘三郎,大谷桂三,中村錦之助,中村雀右衛門,中村東蔵.
今様三番三は雀右衛門の踊りが美しい.引き抜きやぶっ返しも見事に決まり,見応えあり.
隅田春妓女容性は並木五瓶作の狂言で,侠客・梅の由兵衛がかっての主家から盗まれた重宝を探索すると共に,主家縁の男女,金五郎・小三を助けるため奔走する姿を描く.
筋は錯綜して分かり難いし,梅の由兵衛の実体がいまいち分かり難い(侠客なのに子分はいないし家業も不明)のだが,由兵衛の直面する悲劇の場が胸に迫る.
この場面の吉右衛門,菊之助,米吉がそれぞれ熱演で,感銘的.役者の力と歌舞伎の積み上げた様々な物語の上に,この狂言があるということが良く判る作品.
菊之助が早変わりで奮闘,これも見どころ.
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番外:独断的歌舞伎感想文 12月大歌舞伎3部 瞼の母/楊貴妃

日記:2017年12月某日
歌舞伎座で12月大歌舞伎3部を見る.Img_05862
「一、瞼の母(まぶたのはは)」.長谷川伸 作,石川耕士 演出.出演:番場の忠太郎(中車),金町の半次郎(彦三郎),板前善三郎(坂東亀蔵),娘お登世(梅枝),半次郎妹おぬい(児太郎),夜鷹おとら(歌女之丞),鳥羽田要助(市蔵),素盲の金五郎(権十郎),半次郎母おむら(萬次郎),水熊のおはま(玉三郎).「二、楊貴妃(ようきひ)」.夢枕獏 作.出演:楊貴妃(玉三郎),方士(中車).
瞼の母は,冒頭の朋輩半次郎宅の場面からきっちりとした緊張感ある舞台が続き,大詰めの水熊屋帳場の場面では中車・玉三郎の台詞の応酬に予断を許さない展開となる.
幕切れで,一人佇む忠太郎の姿に,舞台を圧倒する存在感を感じた.と同時に忠太郎の肩から力が抜けた様な印象もあり,瞼の母との巡り会いと別れが,遅まきながらこの青年の自立をもたらしたのかも知れないと感じた次第.
老夜鷹を演じる歌女之丞が絶品,ぼろ傘を手にしゃがみ込む様子が良い.
楊貴妃は,嫋々とした琴・尺八・胡弓の音楽と長唄に乗り,踊る玉三郎が息を呑む美しさ.こちらも28分の舞台に一分の隙も無い.誠に見応えあり.
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番外:独断的歌舞伎感想文 12月大歌舞伎1部・2部 実盛物語/土蜘/らくだ/蘭平物狂

日記:2017年12月某日
歌舞伎座で12月大歌舞伎1部・2部を見る.Kabukiza_201712fffl_0382af5e8a5e7da
第一部:源平布引滝・「一、実盛物語(さねもりものがたり)」.斎藤別当実盛(愛之助),女房小よし(吉弥),葵御前(笑三郎),郎党(宗之助),同(竹松),同(廣太郎),同(廣松),百姓九郎助(松之助),瀬尾十郎(片岡亀蔵),小万(門之助).河竹黙阿弥 作・「二、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)」.出演:叡山の僧智籌実は土蜘の精(松緑),源頼光(彦三郎),侍女胡蝶(梅枝),坂田公時(萬太郎),巫子榊(新悟),太刀持音若(左近),石神実は小姓四郎吾(亀三郎),碓井貞光(橘太郎),渡辺綱(松江),番卒藤内(坂東亀蔵),番卒次郎(片岡亀蔵),番卒太郎(権十郎),平井保昌(團蔵).
第二部:初代桂文枝 口述,堀川哲 脚本,奈河彰輔 改訂・演出,今井豊茂 演出・「一、らくだ」.出演:紙屑屋久六(中車),やたけたの熊五郎(愛之助),家主幸兵衛(橘太郎),家主女房おさい(松之助),らくだの宇之助(片岡亀蔵).浅田一鳥 作,水沼一郎 補綴,竹柴諒二 補綴.倭仮名在原系図・「二、蘭平物狂(らんぺいものぐるい)」.出演:奴蘭平実は伴義雄 松緑),壬生与茂作実は大江音人(坂東亀蔵),水無瀬御前(児太郎),一子繁蔵(左近),女房おりく実は音人妻明石(新悟),在原行平(愛之助).
実盛物語は愛之助の実盛にあまり感心しない.型通りの実盛で,個性に欠ける嫌いあり.未だ発展途上か.亀蔵は自ら首を落とす場面でのトンボが見事,身体能力は相変わらず.
土蜘蛛は後半松緑の踊りが堪能できたが,前半が思ったより長くて不覚の爆睡.
らくだは上方弁の芝居がテンポ良く,とにかく中車がうまくて笑わせる.大家の家の前での死体とのもつれは,陰になって見えなかったのが残念なほど場内爆笑.亀蔵の死体も傑作,愛之助はかなり食われたか.
蘭平物狂は前半が思ったより複雑な展開で不覚の入眠,しかし後半の大立ち回りは,幕の不調があって出だしがつまずいたにも関わらず,誠に入魂の大奮闘,最後に息子の名を呼び探し求める姿には胸が熱くなる.これが今回限りとは残念だ.
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2018/01/02

独断的映画感想文:永遠のジャンゴ

日記:2017年12月某日
映画「永遠のジャンゴ」を見る.1_3
2017年.監督:エチエンヌ・コマール.
出演:レダ・カテブ(ジャンゴ・ラインハルト),セシル・ドゥ・フランス(ルイーズ・ドゥ・クラーク),ベアタ・パーリャ(ナギーヌ・ラインハルト),ビンバム・メルシュタイン(ネゴロス・ラインハルト),ガブリエル・ミレテ(ラ・プリュム),ジョニー・モントレイユ(ジョセフ・ラインハルト),ヴァンサン・フラド(タムタム),グザヴィエ・ボーヴォワ(STOドクター),パトリック・ミル(シャルル・ドロネー).3_3
ジャズ・ギターのソロ演奏を確立したロマ出身の名ギタリスト:ジャンゴ・ラインハルトの1943年から1945年の日々を描く.
1943年,既に国際的名声を確立していたジャンゴは,パリに留まり演奏活動を続けていた.一方,ナチス・ドイツはロマを人種的に劣るものとして殺害・強制収容の対象とした.2_3
ジャンゴの知り合いのロマも次々と殺され収容されていく中,ジャンゴの楽団はナチスドイツのジャズ好きな担当官「ジャズ博士」のお陰で演奏活動を続けギャラを稼いでいた.ジャンゴの楽団にドイツでのツアーを行うという話が持ち上がるが,ジャンゴに好意を持つルイーズは,行ったら帰って来れないと主張しスイスへの亡命を勧める.
ジャンゴはスイスへの亡命を決意し,楽団を解散,レマン湖のフランス側にあるロマのキャンプに滞在してチャンスを待つ….
ジャンゴ・ラインハルトの名前は知っていたがその音楽は聴いたことがなかった.彼がこの様に素晴らしいミュージッシャンで,本作にある様にレクイエムや交響曲も作曲する音楽家であったこと,かつロマの出身としてこの様な辛酸を舐めたということは,初めて知った.4_2
ドイツ占領下のフランスでのエンターテインメントの状況も興味深い.ジャンゴ達ロマ族の絆の強さ,それに対するナチスの非道さも印象的.
ジャンゴ達がレマン湖畔でナチスの会合のために演奏を強制されるシーン,担当将校から「規則」が言い渡される.マイナー曲・ブルースは禁止,シンコペーションはなし,アドリブソロは5秒まで等々.これをかいくぐって観客をスイングさせていく本シーンは,誠にサスペンスフル.
5_2
戦争が終わって生き残った人々が集う「レクイエム」のシーンも素晴らしかった.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:コーマ

日記:2017年12月某日
映画「コーマ」を見る.1_2
1978年.監督:マイケル・クライトン.
出演:ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド(スーザン),マイケル・ダグラス(マーク),リチャード・ウィドマーク(ハリス博士).

2_2
スーザンは外科研修医,理想家肌で,恋人で現実主義的なマークとは喧嘩したり仲直りしたり.
ところが学生時代からの親友が虫垂炎の手術で,思いがけなく植物状態に陥る.親友は結局死亡し,病理解剖の結果も原因が見当たらない.3_2
しかしスーザンは調査の結果,過去10例以上の手術中の原因不明の植物状態への転帰があり,しかも全てが第8手術室で発生していることを知る….
謎のネタは割に早い段階で明らかになり,映画の焦点はスーザンに迫る危険のサスペンスとなる.
この映画の最大の見どころは,植物状態に陥った患者が収容される,ジェファーソン研究所のシーンであろう.視覚的に強烈な印象を与えるこのシーンは,他の映画にもコピーされている様だ.このシーンが宣伝ポスターでネタばらしされているのは,ちょっとどうなのかしらと思ってしまう.5
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:プロヴァンスの休日

日記:2017年12月某日
映画「プロヴァンスの休日」を見る.1
2015年.監督:ローズ・ボッシュ.
出演:ジャン・レノ(ポール),アンナ・ガリエナ(イレーネ),クロエ・ジュアネ(レア),ユゴー・デシュー(アドリアン),ルーカス・ペリシエ(テオ).
2
冒頭,「サウンド・オブ・サイレンス」をバックに列車の窓辺で風景を楽しむ少年テオの映像.
テオとアドリアン,レアの兄妹は,離婚した母親の仕事の都合で祖母イレーネに連れられて,パリからプロヴァンスの祖父ポールの家で夏休みを過ごすために行く途中(しかし映画でこういう事情が判るのは大分後のことだ).
テオは聾唖者.彼等がイレーネと共に行くことはポールは知らされておらず,出会いは極めて気まずいものになる.3
彼等の母は17年前に妊娠して両親の元を出奔,それ以来ポールとは連絡も取ったことがない.プロヴァンスでオリーブを栽培する頑固一徹のポールは,もとより孫達と友好的につきあえる筈もなく,イレーネは間に立ってやきもきする.
しかしテオはポールの心をつかみ,仲良くオリーブの世話をし始めるのだが….
パリとプロヴァンスの違い,世代間の違いが際立つポールと孫達の一夏のバカンスが描かれる.反発し合いながらも血縁の力で絆を繋げ,互いに持つ欠点を助け合って補い合う家族の結びつきが,プロヴァンスの風景をバックに淡々と見事に描かれる.4
特に両者を取り持つ天使の様なテオが素晴らしい.
アドリアンがポールに無断でフェイスブックにアップしたポールのアカウントが,思いがけずポールの昔馴染みを呼び寄せて開かれる心地よいパーティーの情景も素敵.使用される70年代ロックの数々も懐かしく,見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
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2017/12/19

独断的映画感想文:戦場のメロディー

日記:2017年11月某日
映画「戦場のメロディー」を見る.1_2
2015年.監督:イ・ハン.
出演:イム・シワン(ハン・サンヨル),コ・アソン(パク・ジュミ),イ・ヒジュン(カルゴリ),チョン・ジュノン(オ・ドング).2_2
1952年朝鮮戦争での出来事.
前線での白兵戦で部下の殆どを失ったハン少尉.少尉は音楽大学出身だったが,朝鮮内戦で家族を全て失っていた.
前線で決死で救ったチョ上士の推薦で釜山の孤児院の管理を命ぜられた少尉は,女性院長ジュミと共に手探りで子供達と接していく.市内には“カギ爪の男”カルゴリが,戦災孤児を集め強制労働をさせるキャンプを運営していた.
孤児達の辛い経験を知ったハン少尉は,カルゴリのキャンプの孤児達も含めた児童合唱団を組織するが….3_2
朝鮮内戦の悲劇と当時の具体的状況を,子供達の目を通し描いていくシーンは心に残る.
内戦で引き裂かれた市民,その象徴として,お互いの肉親を相手の肉親に殺された,ドングとチュンシクの確執が描かれる.4_2
ハン少尉が二人に勝負を命じ,「ダニー・ボーイ」と「アンニー・ローリー」を同時に歌わせ,最後まで歌えた方が勝ちという裁断を示す.これをそれぞれ歌うドングとチュンシクの美しい声,二つのメロディーが期せずしてハーモニーになるシーンは秀逸だ.
設定とプロットが良く出来ていて,最後まで間断することなく見た.
★★★★(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 スーパー歌舞伎II(セカンド) ワンピース

日記:2017年11月某日
歌舞伎「スーパー歌舞伎II(セカンド) ワンピース」を見る.Shinbashi_201710ffl_ecfc4935781aae7
出演:ルフィ/ハンコック(尾上右近),白ひげ(市川右團次),ゾロ/ボン・クレー/スクアード(坂東巳之助),サンジ/イナズマ/マルコ(中村隼人),ナミ/サンダーソニア/サディちゃん(坂東新悟),アバロ・ピサロ(市川寿猿),チョッパー(市川右近),はっちゃん/戦桃丸(市川弘太郎),ベラドンナ(坂東竹三郎),ニョン婆(市川笑三郎),ジンベエ/黒ひげ(市川猿弥),ニコ・ロビン/マリーゴールド(市川笑也),マゼラン(市川男女蔵),つる(市川門之助),エース/シャンクス(平岳大),ブルック/赤犬サカズキ(嘉島典俊),イワンコフ/センゴク(浅野和之).
市川猿之助休演の影を微塵も感じさせない,爆発的エネルギーを感じさせる舞台.
前回同様相変わらず誰がどの役をやっているか判らないが,3時間を超える舞台に一分の隙も無い構成は見事.尾上右近が完璧にルフィを演じて,ハンコックとの早変わりも観客の想像を超える出来で素晴らしい.
巳之助が前回に続きおかま役で演技賞ものの好演.宙乗り時のタンバリンの応援といい,観客の圧倒的な支持を得て実に楽しい舞台.
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独断的映画感想文:ガール・オン・ザ・トレイン

日記:2017年11月某日
映画「ガール・オン・ザ・トレイン」を見る.1
2016年.監督:テイト・テイラー.
出演:エミリー・ブラント(レイチェル),レベッカ・ファーガソン(アナ),ヘイリー・ベネット(メガン),ジャスティン・セロー(トム),ルーク・エヴァンス(スコット).2
映画の冒頭,通勤列車の窓越しにある住宅を見る女性レイチェル.その家には若いカップルが住んでいて,毎朝見るのは幸せそうな彼等の姿.
実はレイチェルはその家の近所にかっては夫と住んでいた.人工授精がうまくいかず,レイチェルはアルコール依存に陥ってしまい,泥酔のためたびたび記憶を無くした.3
上司の家でのパーティーでも泥酔してトラブルを起こし,夫はその為に失職したと言う.夫はレイチェルと離婚し浮気相手のアナと結婚,レイチェルが手作りで整えたその家に,今アナは娘と住む.
ところがある朝,レイチェルは何時も見る家の若妻が別の男とテラスで抱擁する姿を目撃する.理想像が壊されたとの思いで,レイチェルはその日泥酔してその若妻メガンの後を追うが,翌朝傷だらけの状態で自室で目を覚ます.メガンは前の晩以来行方不明となっていた….4
結局メガンはその後死体で発見される.それぞれに事情や過去を抱えたレイチェル,メガン,アナの巻き込まれたミステリ.
飲み過ぎて記憶を無くした自分が殺人犯かもい知れないというプロットは,酒飲みにとってはスリリングな展開である.5
観客から見て必ずしも共感できない主人公レイチェルを,エミリー・ブラントが好演.謎の底は浅いが,ミステリとしてはまずまずの出来.
★★★☆(★5個が満点)
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