2017/01/15

独断的映画感想文:レヴェナント 蘇えりし者

日記:2017年1月某日
映画「レヴェナント 蘇えりし者」を見る.1_2
2015年.監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ.
出演:レオナルド・ディカプリオ(Hugh Glass),トム・ハーディ(John Fitzgerald),ドーナル・グリーソン(Captain Andrew Henry),ウィル・ポールター(Bridger),フォレスト・グッドラック(Hawk).
1823年,米国北西部の山中で毛皮狩猟に従事していたグループは,ネイティブアメリカンのアリカラ族の急襲を受ける.アリカラ族は拉致された族長の娘ポワカの奪還を目指していた.2_2
生き残った10名ほどは,ヘンリー大佐の指揮の下毛皮を隠し,グラスの案内で山越えで基地への帰還を目指す.
グラスはネイティブのポーリー族の娘と暮らしていたが,居住地が白人に襲われ妻は殺され息子ホークは火傷を負った.今はホークと共にグループに属するグラスだが,かってネイティブアメリカンに頭の皮を剥がされかけたフィッツジェラルドは,ことある毎にホークをいたぶりグラスを挑発する.
山中で斥候に出ていたグラスは灰色熊と遭遇し,何とか倒すが瀕死の重傷を負う.3_2
グループはグラスを搬送しようと試みるが急峻な山道に阻まれ,ヘンリー大佐はホーク,フィッツジェラルド他1名にグラスを最後まで看取り埋葬する様命じて先行する.
フィッツジェラルドはこれに対しグラスを殺害しようとするが,ホークに見咎められ彼を殺害,グラスを放置して逃亡する.グラスは驚異的な生命力で復活,ホークの死を悼みフィッツジェラルドを追跡する….
3時間近い大作であるが,時間の長さを全く感じさせない緊張感に満ちた作劇である.4
極寒の北西部を背景に追い追われるグラスとフィッツジェラルド.デカプリオの怪演とトム・ハーディの好演が見応えあり.極寒の山中に身一つで放置されたグラスの,凄まじい生命力と生き残る為の死闘にとにかく圧倒される.
今は亡い美しい妻の幻影が各所に現れて心に滲みる.復讐を遂げても,妻子とこの世で過ごすことはもうかなわない.ラストシーンの哀切さは印象的だった.
★★★★(★5個が満点).
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独断的映画感想文:劇場版MOZU

日記:2017年1月某日
映画「劇場版MOZU」を見る.1
015年.監督:羽住英一郎.
出演:西島秀俊(倉木尚武),香川照之(大杉良太),真木よう子(明星美希),池松壮亮(新谷和彦),伊藤淳史(鳴宮啓介),杉咲花(大杉めぐみ),阿部力(村西悟),伊勢谷友介(高柳隆市),松坂桃李(権藤剛),長谷川博己(東和夫),小日向文世(津城俊輔),ビートたけし(ダルマ).2
2シーズンにわたるTVドラマの解決編として作られた映画.
TVドラマファンからは圧倒的支持がある様だが,これを初見で見るには映画一般で与えられる情報が殆ど略されているので混乱する.その意味では映画の必要条件を満たしていない.
アクションシーンにはそれなりのものが見られるが(特に松阪桃李と池松壮亮の死闘は迫力がある),善玉は刺されても撃たれてもぴんぴんしているし御都合主義が激しい.3
西島秀俊が突然「ペナム共和国」に現れ,しかもその時点で守るべき少女が既に奪われているというシーンは,説明すべきレベルが2段階飛ばされた感じで,なんぼ何でも酷いと感じた.5
という訳で見るべきものに乏しい,好きな俳優がアクションで頑張っているという以上のものは無い映画.
★(★5個が満点)
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2017/01/05

番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場平成29年初春歌舞伎公演 通し狂言 しらぬい譚

日記:2017年1月某日
平成29年初春歌舞伎公演「通し狂言 しらぬい譚」を見る.H29hatsuharukabukiomote1
出演:上菊五郎,中村時蔵,尾上松緑,尾上菊之助,坂東亀三郎,坂東亀寿,中村梅枝,中村萬太郎,市村竹松,尾上右近,尾上左近,市村橘太郎,片岡亀蔵,河原崎権十郎,坂東秀調,市村萬次郎,市川團蔵,坂東彦三郎.
大友宗麟の娘・若菜が妖術使いとなり,讒言により大友家を滅ぼした菊池家に復讐するのを,菊池の忠臣・鳥山親子が迎え撃つというまあどっちもどっちの物語.
宙乗り・屋台崩し・化け猫等の見せ場が豊富で,4幕目以降は快調なテンポに乗り面白く見た.
しかし初日ということもあり,皆台詞は噛むは,立ち回りは噛み合わないは,大道具はひっかかるはで大変な騒ぎ.ちょっと締め直さなきゃいけないんじゃないかしら.
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番外:独断的歌舞伎感想文 十二月大歌舞伎 第三部 二人椀久/京鹿子娘五人道成寺

日記:2016年12月某日
歌舞伎座幕見で「十二月大歌舞伎 第三部」を見る.Kabukiza_201712ffl_748ca14fba3ef98c
「一、二人椀久(ににんわんきゅう)」.出演:松山太夫(玉三郎),椀屋久兵衛(勘九郎).
「二、京鹿子娘五人道成寺(きょうかのこむすめごにんどうじょうじ) 道行より鐘入りまで」.出演:白拍子花子(玉三郎),白拍子花子(勘九郎),白拍子花子(七之助),白拍子花子(梅枝),白拍子花子(児太郎),所化(亀三郎),同(萬太郎),同(橘太郎),同(吉之丞).
二人椀久は高い緊張感が維持され,誠に美しい舞台.青ざめた色調の舞台が後半一瞬明るく彩られるが,それがうたかたの夢だったことが判る終幕は,哀切極まりない.
花子が5人登場する娘五人道成寺は,バランス良く統制された5人の踊り手の組み合わせが,それぞれに魅力的で楽しい舞台となった.
途中の引き抜きも見事,ぱっと花が広がったようだ.鈴太鼓の所は5人の娘達が顔つき合わせて楽しいおしゃべりの様.
花笠踊りが短くて物足りないが,フィナーレの5人揃った鐘入りは絵になった.
若手4人はいずれも将来娘道成寺を単独で演じることを期待される逸材揃い,渡辺保劇評での「この「五人道成寺」は歴史の一瞬を切り取る面白さ」とは至言である.
ところで児太郎は国立劇場での九段目・小浪との掛け持ち,頑張っています.
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2017/01/03

独断的映画感想文:エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)

日記:2016年12月某日
映画「エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)」を見る.
1
2016年.監督:平山秀幸,山岳監修:八木原圀明.
出演:岡田准一(深町誠),阿部寛(羽生丈二),尾野真千子(岸涼子),ピエール瀧(宮川),甲本雅裕(井上真紀夫),風間俊介(岸文太郎),テインレィ・ロンドゥップ(アン・ツェリン).
食い詰めネタを探していた山岳カメラマンの深町は取材先のネパールで,エベレストの幻の初登頂者の可能性があるマロリー卿のものと見られるカメラを発見するが,そのカメラは盗品として現地のシェルパ・ティンレイに返還される.2
ティンレイに同行していた日本人・羽生に興味を持った深町.羽生は天才的なクラマーだったが性格は自分本位で,ザイルパートナー・岸文太郎が滑落で死んだ後は彼を死なせたとの噂が立ち,日本から姿を消していた.
羽生が冬期無酸素単独のエベレスト登頂を目指すと見た深町は,羽生のかっての恋人で岸の妹である涼子と共に羽生を追う….
4
深町誠と岸涼子の人格がややあやふやなところが,この映画の欠点と思われる.
この映画はある意味で深町誠の死と再生の物語でもあるのだから,彼の行動の軸がいい加減では物語が見えない.
深町が無謀にも単独無酸素で羽生の跡を追い滑落した顛末,その為羽生の生涯をかけた山行に重大な影響を与えた事実,一方の目的であるマロリー卿の登頂の謎解明のチャンスを自ら放棄してしまう経過等は,全く納得し難い.岸涼子の行動にも今ひとつ必然性が感じられない.3
一方,羽生丈二役の阿部寛の演技には,その寡黙さにもかかわらず圧倒される.これはネタバレになるが,羽生の死後の独白における阿部寛の台詞術も印象的.
山岳シーンの美しさも良かった.全体としては見て損のない映画.
★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場12月歌舞伎公演 通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)第三部

日記:2016年12月某日
歌舞伎「通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」第三部を見る.H2812kanadehonhonomote
八段目 道行旅路の嫁入,九段目 山科閑居の場,十段目 天川屋義平内の場,十一段目 高家表門討入りの場,同 広間の場,同 奥庭泉水の場,同 柴部屋本懐焼香の場,花水橋引揚げの場.
出演:【八段目】本蔵妻戸無瀬(中村魁春),娘小浪(中村児太郎).【九段目】加古川本蔵(松本幸四郎),妻戸無瀬(中村魁春),娘小浪(中村児太郎),一力女房お品(中村歌女之丞),由良之助妻お石(市川笑也),大星力弥(中村錦之助),大星由良之助(中村梅玉).【十段目】天川屋義平(中村歌六),女房お園(市川高麗蔵),大鷲文吾(中村松江),竹森喜多八(坂東亀寿),千崎弥五郎(中村種之助),矢間重太郎(中村隼人),丁稚伊吾(澤村宗之助),医者太田了竹(松本錦吾),大星由良之助(中村梅玉).【十一段目】大星由良之助(中村梅玉),大星力弥(中村米吉),寺岡平右衛門(中村錦之助),大鷲文吾(中村松江),竹森喜多八(坂東亀寿),千崎弥五郎(中村種之助),矢間重太郎(中村隼人),赤垣源蔵(市川男寅),茶道春斎(中村玉太郎),矢間喜兵衛(中村寿治郎),織部弥次兵衛(嵐橘三郎),織部安兵衛(澤村宗之助),高師泰(市川男女蔵),和久半太夫(片岡亀蔵),原郷右衛門(市川團蔵),小林平八郎(尾上松緑),桃井若狭之助(市川左團次)ほか.
壮大な物語のフィナーレ,丁寧に造り込まれた通し狂言に素直に感動した.
梅玉,歌六,團蔵,魁春といったベテランが好演,九段目では児太郎・笑也の両女形が良かった.
山科閑居がこれほど長いとは思わなかったが,どの段も面白く見られた.天川義平の10段目は初めて見る.
幸四郎は相変わらず何を言っているのか判らない.松緑は熱演だがやはり切られて死んでしまった.
梅丸が佐藤輿茂七,中村柴のぶも出ている.
花水橋の場は,太鼓橋の天辺から46士が端座して銘々名乗るがそのセットが立派.46人の体重と衣装合わせて4トンは超えると思うが,重さにもよく耐えていると感心した.
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2016/12/31

独断的映画感想文:この世界の片隅に

日記:2016年12月6日
テアトル東京で映画「この世界の片隅に」を見る.0
2016年.監督:片渕須直.原作:こうの史代,企画:丸山正雄,プロデューサー:真木太郎.
出演(声):のん(北條すず(旧姓:浦野)),尾身美詞(黒村径子),細谷佳正(北條周作),稲葉菜月(黒村晴美),牛山茂(北條円太郎),新谷真弓(北條サン).3_2
昭和10年,北条すず10歳の時から始まる物語.
広島市江波で海苔梳きを営む北条家の長女すずは,自らぼーっとしたところがあると言う心優しい絵の上手な子供.両親,祖母,兄妹と共にすくすくと育つ.
19歳の時,幼い頃出会って以来彼女を想っていた北条周作に結婚を申し込まれ,呉市郊外の北条家に嫁ぐ.戦時下で青年男子が招集され,物資がどんどん無くなっていく中,嫁として懸命の働きを続ける.
聯合艦隊の拠点である呉には空襲が集中し,周囲の人々は次々に戦傷に倒れ,やがてすず自身も義姉の娘・晴美と共に,義父を見舞いに行った広島で空爆に会う….2_2
素晴らしい映画である.
戦時下の市民の生活を総体としてここまでリアルに描くことができたのは,アニメーションならではというのは,逆説的だが真実である.
戦時下の市井の暮らしは,人々の働き方は,こうだったのかと様々な場面で納得がいく.戦時下の市民をどういう悲劇がどのように襲うのかという描写も身に迫るものだ.
のん始め声優陣もしっかりした仕事ぶり.
リアルな描写の一方,アニメらしいユーモアも随所にある.何も考えずに呉軍港の軍艦を写生していたすずが,憲兵に「間諜」と疑われ散々叱責される場面,同席していた義母・義姉が真っ赤な顔をして震えていたのは,余りに間抜けで居丈高な憲兵の説教に笑うのを必死に堪えていたからだというシーンが可笑しい.
日経ビジネスオンラインの記事(映画「この世界の片隅に」に勝算はあった?)によると,この映画は2010年に構想が生まれ,2012年に製作発表.2015年にパイロットフィルムを作成する資金を得る為クラウドファンディングを行い,同年パイロットフィルム完成.5
このパイロットフィルムの内容とクラウドファンディングの成功から資金が集まり,今回の完成に至ったと言う.そういう経緯も素晴らしい.
この原作者のコミックの映画化は,「夕凪の街 桜の国」以来2作目.原作者の力も大いに感じる映画の出来であった.
★★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:蜜のあわれ

日記:2016年12月某日
映画「蜜のあわれ」を見る.
2016年.監督:石井岳龍.1
出演:二階堂ふみ(赤子),大杉漣(老作家),真木よう子(ゆり子),高良健吾(芥川龍之介),永瀬正敏(金魚売りの男),韓英恵(老作家の愛人).
赤子は金魚である.老作家の妄想の中で美しい少女になっている.
老作家はなお執筆活動や講演活動を続けているが,年を重ねても性欲は相変わらず.3
そういう老作家の生活には,赤子を始め12年前に死んだかっての文学上の教え子・ゆり子の幽霊や現実の愛人が出入りしてなかなか忙しい….
老人のエロい妄想というテーマは,自身が高齢者となった今もどうもぴんと来ない.
老作家を演じる大杉漣という俳優は,映画にさえ出なければ好きな俳優なのだが,主演となると持て余す僕にとっては苦手な俳優.2
という訳で映画自体は退屈なまま終わってしまった.
二階堂ふみのコケティッシュな魅力は確かにあるが,こういう映画で老人の妄想の対象として鑑賞用のヌードを披露するのは,どうも気の毒である.
韓英恵の扱いも酷いもので,女優受難の映画と言わざるを得ない.見るんじゃなかった.4
★★(★5個が満点)
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2016/12/18

独断的映画感想文:怒り

日記:2016年12月某日
映画「怒り」を見る.
1_2
2016年.監督:李相日.
出演:渡辺謙(槙洋平),森山未來(田中信吾),松山ケンイチ(田代哲也),綾野剛(大西直人),広瀬すず(小宮山泉),佐久本宝(知念辰哉),ピエール瀧(南條邦久),三浦貴大(北見壮介),高畑充希(薫),原日出子(藤田貴子),池脇千鶴(明日香),宮﨑あおい(槙愛子),妻夫木聡(藤田優馬).
2_2
八王子の住宅街で夫婦が惨殺されて1年,指名手配された犯人は未だ捕まらない.
千葉の漁港で働く槙洋平の娘愛子は家出先から連れ戻されたが,彼女の不在中に父が雇ったバイトの田代と愛し合うようになる.その田代は八王子事件の逃走犯に酷似していた.
3_2
ホスピス入院中の母を持つ藤田優馬は心優しいゲイ,たまたま出会った大西直人と愛し合い,家に連れ帰って共に暮らすようになる.
しかし直人の前歴は不詳,直人は八王子事件逃走犯の整形後の顔と酷似していた.
本土から沖縄に母とやって来た小宮山泉は,友人の知念辰哉と訪れた無人島の廃墟で暮らす田中信吾と出会う.本音で話せる田中に心を許す泉だったが,辰哉と出かけた那覇で事件に巻き込まれる….
4_2
田代,大西,田中の3名が八王子事件の逃走犯を疑われるというミステリーだが,3つの物語には何の関連性もない.その点はいささか残念だが,俳優陣は誠に見応えあり.
若手がおしなべて良いが,特に短い出番ながら強烈な存在感だったのは高畑允希.彼女が優馬と語り合うシーンには胸を打たれた.5_2
宮崎あおいの純情,綾野剛のはかなさ,広瀬すずの怒りは,いずれも期待通りの出来.3つの物語にはそれぞれ愛があり裏切りがある.その中から生まれる怒り.
映画はヘビーだが,圧倒的な演技陣の迫力はかけがえのないものだ.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:君の名は。

日記:2016年11月某日
映画「君の名は。」を見る.
2016年.監督・原作・脚本:新海誠.1
出演(声):神木隆之介(立花瀧),上白石萌音(宮水三葉),成田凌(勅使河原克彦),悠木碧(名取早耶香),島崎信長(藤井司),石川界人(高木真太),谷花音(宮水四葉),長澤まさみ(奥寺ミキ),市原悦子(宮水一葉).
宮水三葉は飛騨の山村の高校生.宮司の娘だが母は死去,父は家を出て町長をしており,祖母の一葉と妹の四葉との3人暮らし.2
立花瀧は東京都心の高校生,父との二人暮らしでバイトに精出す日々.
ところがこの二人が互いの体と心が入れ替わる現象が突如発生する.最初は途惑った二人だが,週に数回起こる現象に次第に慣れ,互いの身に起こったことを相手のスマホに記入して情報交換しつつ,次第に相手への理解を深めていくが,ある事件が彼等の身に迫っていた….3
大変美しいアニメーションである.音楽も素晴らしい.時空の捻れを軸としたプロットも良く考えられており,ファンタジーとして素晴らしい出来上がりである.
但し,両名が入れ替わった時に当然気がつくべきところが無視されている点は,ちょっと無理をし過ぎであると感じたし,ラストシーンは別のやり方もあったろうと思わせる.4
一方,組紐の受け渡しのエピソードはこのプロットをうまく生かしていた.見応えある作品.
★★★☆(★5こが満点)
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2016/12/13

独断的映画感想文:リップヴァンウィンクルの花嫁

日記:2016年11月某日
映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」を見る.
2016年.監督:岩井俊二.
出演:黒木華(皆川七海),綾野剛(安室行舛),Cocco(里中真白),原日出子(鶴岡カヤ子),地曵豪(鶴岡鉄也),毬谷友子(皆川晴海),和田聰宏(高嶋優人),佐生有語(滑),夏目ナナ(恒吉冴子),金田明夫(皆川博徳),りりィ(里中珠代).1
世間知らずで少し天然の皆川七海は,SNSで交際が始まった鶴岡哲也と結婚することになる.
しっかりとしているらしい鶴岡家に比べ,自身の両親は離婚,母親は若い男と駆け落ちしているという七海は,友人に紹介された安室という便利屋に依頼し,代理親族の手配を依頼する.6
ぎごちない新婚生活を始める七海,ところが夫の浮気疑惑が発生,浮気相手の彼氏と名乗る人物にホテルに呼び出され,七海は窮地を安室に救われる.しかし義母には逆に七海が浮気をしていると非難され,七海は離婚を強いられ家から追い出される.
七海は安室の紹介で,空き家の大邸宅のメイドとして里中真白という女性と共に働き始めるが….5
岩井監督らしい長尺の映画.黒木華,綾野剛,Cocco,りりぃ(これが遺作かしら)等の演技がじっくり楽しめる.
ことに真白が登場してから徐々に盛り上がっていく面白さは素晴らしい.真白の写真を前に黒木華,綾野剛,りりぃが顔を揃える終盤のシーンは心に残る.3
★★★★☆(★5個が満点)
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2016/12/12

独断的映画感想文:ブリッジ・オブ・スパイ

日記:2016年11月某日
映画「ブリッジ・オブ・スパイ」を見る.1
2015年.監督:スティーヴン・スピルバーグ.
出演:トム・ハンクス(James Donovan),ピーター・マクロビー(Allen Dulles),アラン・アルダ(Thomas Watters),イヴ・ヒューソン(Jan Donovan),エイミー・ライアン(Mary Donovan),オースティン・ストウェル(Francis Gary Powers),マーク・ライランス(Rudolf Abel),ゼバスチャン・コッホ(Wolfgang Vogel),スコット・シェパード(Hoffman),ウィル・ロジャース(Frederic Pryor).
逮捕されたソ連のスパイ:アベルを弁護する為,かってニュルンベルグ裁判の検事補を勤めたドノヴァンが指名される.
不本意ながら弁護人となったドノヴァンだが,誠実な人柄からアベルの捜査過程の不備を批判,反共・反ソの嵐の中にあった米国世論の非難を一身に浴びることになる.
陪審の有罪は動かせなかったが,判事はドノヴァンの勧めを入れ,将来のスパイ交換に供え死刑判決を避けた.2
一方CIAはU-2機によるスパイ撮影をソ連領内で行うが,同期は撃墜され操縦士パワーズは捕虜となる.更にベルリンの壁が構築され,東側に取り残された米国学生プライヤーズが逮捕される.
CIAはドノヴァンに,パワーズとアベルの交換交渉を依頼する….
1960年代前後の冷戦時のスパイ合戦における実話に基づく映画.3
ドノヴァンのタフな交渉力と原則的な考え方,そして相手の出方を読み切って勝負を賭ける決断力が印象的.
この人は後のキューバとの交渉でも功績を挙げたというから,交渉者としての能力は傑出していたのだろう.東ベルリンの路上で不良に取り囲まれ,ドイツ語が分からないのにコートを取られただけで道案内して貰って何とか脱出したシーンも,その片鱗というべきか.
ソ連とその衛星国東ドイツの政治体制の理解もさることながら,実際の交渉に出てくる人物とその周辺にいるスタッフの内面を読みとり利用する力も,交渉力の内だということが良く判った.
ソ連スパイ・アベルを演じたマーク・ライランスの存在感も素晴らしい.4
いざ交換という時,アベルはドノヴァンに感謝の言葉を述べる.ドノヴァンがアベルに,ソ連に帰った後どのように処遇されると思うか聞くと,アベルは淡々と「抱擁で迎えるか只車に乗せるかで,処遇は判る」と答える.国境を越えたアベルの様子をじっと見送るドノヴァンの表情が,印象的だ.
★★★★☆(★5個が満点)
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2016/12/11

番外:独断的歌舞伎感想文 吉例顔見せ大歌舞伎 昼の部 四季三葉草/毛抜/祝勢揃壽連獅子/加賀鳶

日記:2016年11月某日
歌舞伎座で「吉例顔見せ大歌舞伎 昼の部」を見る.Img_32472
「一、四季三葉草(しきさんばそう)」.出演:翁(梅玉),千歳(扇雀),三番叟(鴈治郎).「二、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)」.出演:粂寺弾正(染五郎),秦秀太郎(松也),腰元巻絹(梅枝),小野春風(萬太郎),八剣数馬(廣太郎),錦の前(児太郎),小原万兵衛(亀鶴),小野左衛門春道(門之助),秦民部(高麗蔵),八剣玄蕃(彌十郎).河竹黙阿弥 原作より 今井豊茂 脚本「三、祝勢揃壽連獅子(せいぞろいことぶきれんじし)」.出演:狂言師後に親獅子の精(橋之助改め芝翫),狂言師後に仔獅子の精(国生改め橋之助),狂言師後に仔獅子の精(宗生改め福之助),狂言師後に仔獅子の精(宜生改め歌之助),長楽坊(萬太郎),萬年坊(尾上右近),昌光上人(梅玉),慶雲阿闍梨(仁左衛門),文殊菩薩(藤十郎). 河竹黙阿弥 作「四、盲長屋梅加賀鳶(加賀鳶(かがとび)) 本郷木戸前勢揃いより 赤門捕物まで」.出演:天神町梅吉/竹垣道玄(幸四郎),女按摩お兼(秀太郎),春木町巳之助(染五郎),魁勇次(松也),虎屋竹五郎(巳之助),磐石石松(尾上右近),お朝(児太郎),数珠玉房吉(国生改め橋之助),御守殿門次(宗生改め福之助),昼ッ子尾之吉(宜生改め歌之助),道玄女房おせつ(芝喜松改め梅花),おつめ婆(歌女之丞),伊勢屋与兵衛(錦吾),金助町兼五郎(男女蔵),妻恋音吉(松江),天狗杉松(亀蔵),御神輿弥太郎(友右衛門),雷五郎次(左團次),日蔭町松蔵(梅玉).
三葉草はベテランによる格調高い舞踊,中でも鴈次郎の三番叟がダイナミックな踊りで印象的だった.
毛抜きは染五郎,正月に見た巳之助の方が荒々しく清新であった.
連獅子はさすがに4名の成駒屋の踊りが群舞の様相となり大迫力,またその間をつなぐ右近・萬太郎の踊りが達者で素晴らしい.この部で一番の出来.
加賀鳶は勢揃いでの染五郎始め鳶たちの名乗りが,巳之助以外は声が小さくかつ江戸っ子らしからぬもごもごしたもので全く良くない.劇の殆どを爆睡して過ごす.
という訳で今回は芝居より踊りが素敵だった,僕にとっては珍しい歌舞伎.
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2016/12/07

独断的映画感想文:ブラック・スキャンダル

日記:2016年11月某日
映画「ブラック・スキャンダル」を見る.1_2
20125年.監督:スコット・クーパー.
出演:ジョニー・デップ(James 'Whitey' Bulger),ジョエル・エドガートン(John Connolly),ベネディクト・カンバーバッチ(Billy Bulger),ロリー・コクレイン(Steve Flemmi),ジェシー・プレモンス(Kevin Weeks),デビッド・ハーバー(John Morris),ダコタ・ジョンソン(Lindsey Cyr),ジュリアンヌ・ニコルソン(Marianne Connolly),ケビン・ベーコン(Charles McGuire),コリー・ストール(Fred Wyshak),ピーター・サースガード(Brian Halloran),アダム・スコット(Robert Fitzpatrick),ジュノー・テンプル(Deborah Hussey).4
南ボストンにシマを持つアイルランド系のギャング,ジミー・バルジャー.弟のビリーが上院議員に当選,その親友でジミーを畏敬するジョンがFBI捜査官となって地元に戻ってくる.
ジョンは,北ボストンのイタリアマフィア撲滅の為にジミーを情報屋として利用するとし,ジミーの悪行に目をつぶる一方,ジミーの情報でマフィアを壊滅させる.3_2
一気に勢力を拡大したジミーは,対立するものを容赦なく排除していく.物語はジミーの犯罪を立件する為に,司法取引に応じたジミーの腹心達の証言というかたちで経年的に綴られていく….
ジミーの情け容赦のない殺人が際立つ映画である.
腹心達が司法取引に応じるのも無理はないと思わせる,惨い殺人シーンの連続に胸が悪くなる.その点で一般のギャング映画に見られるようなギャングへの感情移入が,全くあり得ない映画だ.2_3
そのジミーを演じるジョニー・デップが,逆説的だが冷たい魅力充分.実際のジミーは65才で犯罪が露見したあと16年間逃亡し,81才で逮捕された.たいした活力である.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:マイ・インターン

日記:2016年11月某日
映画「マイ・インターン」を見る.1
2015年.監督:ナンシー・マイヤーズ.
出演:ロバート・デ・ニーロ(Ben),アン・ハサウェイ(Jules),レネ・ルッソ(Fiona),アダム・ディバイン(Jason),ザック・パールマン(Davis),シリア・ウェストン(Doris).
ベンは3年半前に妻を亡くした70才の男性.40年の印刷会社勤務後定年退職した彼は,悠々自適の生活に飽き足らず,アパレルサイトのシニアインターンに応募し採用される.2
社長のジュールズは,1年半で会社を立ち上げ今や220名の従業員を率いるキャリアウーマン.
ジュールズ直属に配属されたベンは,何事にも経験豊富な力量を見せ,ジュールズの公私にわたる相談役になる.
折りしも会社は,ジュールズ一人に頼った企業の在り方に不安を覚えた投資家から,外部からのCEOの採用を勧告されるが….3
魅力的な企業家ジュールズとシニアインターン・ベンとの心の交流を描くコメディ.
両名を演じる俳優の力量は確か,脚本もよく練られ,身の丈サイズの物語ながら実にスムースに映画に引き込まれる.
アパレルサイトの若手社員たちも,もっと尖った人々かと思いきやリラックスした素敵な若者たちで,映画に余計な緊張感を持ち込まない.観客は安心してアン・ハサウェイとデ・ニーロの魅力を愉しむことが出来る.良い映画である.
★★★☆(★5個が満点)
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2016/12/06

独断的映画感想文:画家と庭師とカンパーニュ

日記:2016年11月某日
映画「画家と庭師とカンパーニュ」を見る.1
2007年.監督:ジャン・ベッケル.
出演:ダニエル・オートゥイユ(Le peintre),ジャン=ピエール・ダルッサン(Le jardiniere),ファニー・コットンソン(Helene),アレクシア・バルリエ(Magda),ヒアム・アッバス(La femme),エロディ・ナヴァール(Carole).
バイクでとある田舎屋を訪れる男,フランスの国鉄を勤め上げ,リタイアした今は庭師をしている.
今日は庭師募集の広告を見てやって来たのだ.3
田舎屋にいた男はパリで活躍する画家,絵は売れているがそれは芸術には程遠いと思っている.浮気性でモデルと寝てしまう為妻からは離婚を迫られ,別居して故郷に引っ越してきた.
ところが画家と庭師は幼友達(悪友と言った方が良い)と判り,久闊を叙して友情が復活する.
友人のお陰ですっかり田舎暮らしに溶け込む画家,菜園も作って貰って,庭師とはすっかり仲良くなっていくが….
自分本位で妻や娘を相手の立場で見ることのなかった画家が,かっては労働運動の闘士で今は庶民として足ることを知る生活をしている旧友とのつき合いで,人生を取り戻す物語.
2
この二人の,全く違う人生を送ってきたのに仲良しになる仕掛けが面白い(幼馴染みってそういうもんですね).
画家と庭師を演じる俳優がいずれも素晴らしく,リラックスした美しい風景の中,物語に飽きることがない.
如何にも映画らしい映画で,満足度高し.ラストシーンからエンドロールに書けて流れる,モーツァルトのクラリネット協奏曲が胸に残った.
★★★★(★5個が満点)
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2016/12/05

独断的映画感想文:龍三と七人の子分たち

日記:2016年11月某日
映画「龍三と七人の子分たち」を見る.2
2015年.監督:北野武.
出演:藤竜也(龍三親分),近藤正臣(若頭のマサ),中尾彬(はばかりのモキチ),品川徹(早撃ちのマック),樋浦勉(ステッキのイチゾウ),伊藤幸純(五寸釘のヒデさん),吉澤健(カミソリのタカ),小野寺昭(神風のヤス),安田顕(京浜連合ボス・西),矢島健一(京浜連合・北条),下條アトム(京浜連合・徳永),勝村政信(龍三の息子・龍平),萬田久子(キャバクラのママ),ビートたけし(マル暴の刑事・村上).
引退したヤクザ龍三は,息子の家に同居しているが居心地の悪い日々.4
夏休みに息子一家が出かけた折に昔の仲間を呼び集め飲み会を開催するが,会社のトラブルで急遽帰宅した息子に追い出される.
マサのアパートに転がり込んだ一同は,そのメンバーで組を結成することにし,昔のシマで荒っぽいしのぎを拡大している京浜連合と対決することになるが….3
殺しの実績では実力者揃いのロートルヤクザが,現代の暴力団と抗争するヤクザコメディ.北野監督の悪い癖が出た一人遊びのくだらない映画.
そうそうたる俳優を使いながら,下品で荒っぽいギャグを重ねただけのクソ映画で,最後まで見るのが苦痛である.見るべきものは何もない.
ベテラン俳優の奮闘に敬意を表し★★★.本当はなし.(★5個が満点)
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2016/11/27

番外:独断的歌舞伎感想文 吉例顔見世大歌舞伎 夜の部:御浜御殿綱豊卿/口上/盛綱陣屋/芝翫奴

日記:2016年11月某日
「吉例顔見世大歌舞伎」を見る.Kabukiza_201611_moritsuna_big
夜の部 真山青果 作・真山美保 演出「一、元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら) 御浜御殿綱豊卿」.出演:徳川綱豊卿(仁左衛門),富森助右衛門(染五郎),中臈お喜世(梅枝),中臈お古宇(宗之助),津久井九太夫(橘太郎),小谷甚内(松之助),上臈浦尾(竹三郎),御祐筆江島(時蔵),新井勘解由(左團次).「八代目中村芝翫 四代目中村橋之助 三代目中村福之助 四代目中村歌之助 襲名披露 口上(こうじょう)」.橋之助改め芝翫,国生改め橋之助,宗生改め福之助,宜生改め歌之助.藤十郎,幹部俳優出演.「三、近江源氏先陣館 盛綱陣屋(もりつなじんや)」.出演:佐々木盛綱(橋之助改め芝翫),篝火(時蔵),伊吹藤太(鴈治郎),早瀬(扇雀),信楽太郎(染五郎),四天王(萬太郎),同(竹松),同(尾上右近),同(廣太郎),小四郎(左近),古郡新左衛門(秀調),竹下孫八(彌十郎),北條時政(彦三郎),微妙(秀太郎),和田兵衛秀盛(幸四郎).「四、芝翫奴(しかんやっこ)」.出演:奴駒平(国生改め橋之助).
4時過ぎに歌舞伎座に着いた時にはどっと昼の部の客がはき出されているところ.4時半には夜の部開始である.
この夜の部は役者は素晴らしいが芝居は気にくわない.
まず真山青果の元禄忠臣蔵・御浜御殿は,武士はこうあるべし・大石と赤穂浪士はこうあるべしとの説教が鬱陶しい.
しかしその説教をするのが片岡仁左衛門となると話は別,最後まで魅了されたが,真山の説教は到底受け入れられない.
口上(彌十郎,左團次等が味を出している)をはさんで盛綱陣屋.こちらは二時間の上演はいささか冗長,もう少しテンポを上げられないものか.終盤の盛綱が小四郎,微妙,篝火,早瀬に対し心情を吐露する場面が,さすがに新芝翫の迫力がうかがわれ素晴らしかった.
両方とも役者は良いが芝居はいまいちという印象.
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番外:独断的歌舞伎感想文 八代目中村芝翫襲名披露 十月大歌舞伎:初帆上成駒宝船/女暫/浮塒鷗/幡随長兵衛

日記:2016年10月某日
歌舞伎座で「八代目中村芝翫襲名披露 芸術祭十月大歌舞伎」を見る.Banzuichobei_poster1
「一、初帆上成駒宝船(ほあげていおうたからぶね)」.出演:橋彦(国生改め橋之助),福彦(宗生改め福之助),歌彦(宜生改め歌之助).「二、女暫(おんなしばらく)」.出演:巴御前(七之助),舞台番(松緑),轟坊震斎(松也),手塚太郎(歌昇),紅梅姫(尾上右近),女鯰若菜(児太郎),局唐糸(芝喜松改め梅花),東条八郎(吉之丞),江田源三(亀寿),猪俣平六(亀三郎),成田五郎(男女蔵),清水冠者義高(権十郎),蒲冠者範頼(又五郎).「三、お染 久松 浮塒鷗(うきねのともどり)」.出演:女猿曳(菊之助),お染(児太郎).久松(松也).河竹黙阿弥 作「四、極付 幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)「公平法問諍」」.出演:幡随院長兵衛(橋之助改め芝翫),女房お時(雀右衛門),唐犬権兵衛(又五郎),伊予守源頼義(七之助),極楽十三(国生改め橋之助),雷重五郎(宗生改め福之助),神田弥吉(宜生改め歌之助),下女およし(芝喜松改め梅花),坂田公平(亀三郎),出尻清兵衛(松緑),近藤登之助(東蔵),水野十郎左衛門(菊五郎).
最初の踊りは清新な若者3名の溌剌とした踊り,見て爽やかな達者な踊りだった.
女暫は七之助の思いがけない大音声にまずは吃驚,松也の轟坊は意外な配役,舞台番の松緑が,これは難しい役なのだそうだがうまくこなして儲け役.
浮塒鷗は熟睡して何も判らず.舞台の緊張感が伝わりませんでした.
芝翫の幡随長兵衛はさすがに迫力ある舞台,この人のべらんめえは何言っているか判らないのだが,気迫でカバー.
いつも思うのだが,この芝居終盤は,水野の屋敷を十重二十重に取り囲む無言の町衆(全員松明持っていたらなお良いね)というシーンでは如何であろうか?
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2016/11/20

独断的映画感想文:女の子ものがたり

日記:2016年10月某日
映画「女の子ものがたり」を見る.0
2009年.監督:森岡利行.
出演:深津絵里(高原菜津美),大後寿々花(なつみ(高校生時代)),福士誠治(財前静生),波瑠(きみこ(高校生時代)),高山侑子(みさ(高校生時代)),森迫永依(なつみ(小学生時代)),三吉彩花(きみこ(小学生時代)),佐藤初(みさ(小学生時代)),大東俊介(たか),佐野和真(しん),賀来賢人(片桐俊夫),落合恭子(あき),板尾創路(高原房蔵(なつみの父)),奥貫薫(高原光代(なつみの母)),風吹ジュン(藤井里美(きみこの母)).
スランプ中の漫画家・高原菜津美.1
昼間からビールを飲みソファでごろ寝する菜津美に,編集者の財前は「先生,友達いないでしょう」と言う.
子供の頃を回想する菜津美,引っ越して新しい町に住んだ菜津美は,きいちゃんとみさちゃんという友達が出来た.3人とも家が貧乏だったが,高校生になってもそのつき合いは続いていた.
しかし,地元のヤンキーに憧れDVで青あざが絶えない彼女たちに,菜津美はいつか違和感を持つ様になる.ある時,菜津美ときいちゃんは最悪の衝突をし,その後菜津美は東京に出て漫画家となったのだが….
西原理恵子の自伝的小説の映画化.2
思春期に自分の視点からのみ見ていた結果生じた友人との葛藤が,大人になって故郷を再訪した菜津美の前に,別なかたちで見えてくる.
どうしようもなく衝突し,別れ別れになっていく思春期の女の子たちの姿には,涙を禁じ得なかった.3
7年前の作品だが,菜津美役の大後寿々花,きみこ役(小学生)で4年後に「旅立ちの島唄〜十五の春〜」の主演をする三吉彩花,同じくきみこ役(高校生)の波瑠が,流石に存在感がある.
愛媛県大洲市肱川沿いのロケーションが美しい.見て損はなし.
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