2017/08/11

独断的映画感想文:ジェイソン・ボーン

日記:2017年8月某日
映画「ジェイソン・ボーン」を見る.1_2
2016年.監督:ポール・グリーングラス.
出演:マット・デイモン(ジェイソン・ボーン),トミー・リー・ジョーンズ(ロバード・デューイ),アリシア・ヴィカンダー(ヘザー・リー),ヴァンサン・カッセル(アセット),ジュリア・スタイルズ(ニッキー・パーソンズ),リズ・アーメッド(アーロン・カルーア).4_2
5年ぶりに製作されたシリーズ第5作(この監督・この主演では10年ぶり第4作).
かってCIAでジェイソンの後方支援を担当していたニッキー,彼女はCIAをハッキングして掴んだ情報をもとに呼び出したジェイソンに協力を求めるが,ハッキングを察知したCIAに抹殺される.2_2
ニッキーが残したファイルから,ジェイソンは父親が暗殺された作戦の全貌と,今後展開されるCIAの情報支配プログラムについての手掛かりを得る.
ジェイソン抹殺を目指すデューイ長官とその直属の殺し屋・アセット,長官の行動に不信感を持ちつつジェイソンを追うリーとジェイソンの,激しい闘いが始まる….5
冒頭からラストまで,息つく暇も無くノンストップで続く緊張度高いアクションシーンは,相変わらずのこのシリーズの魅力だ.
さすがに第1作当時の正に「目にも留まらぬ」アクションには及ばないが,それでもアクションの中で次の段階へのヒントが提示されていく畳みかける展開は健在.
今回は超人的なアクションと並行して,コンピュータシステムによる標的の補足や先回りが多用され,追いつ追われつの様相がますます複雑になっていく.
登場人物では,ジェイソンへの復讐心をデューイ長官に利用される殺し屋・アセットと,システムを駆使してジェイソンを追い詰める野心に満ちた情報課員・リーが印象的.3_2
もっともヴァンサン・カッセルは存在感がありすぎて,密かに殺しを行うアセットにはちょっと無理がないかと思える.一目見たら誰だってこいつは殺し屋だって思っちゃうのではなかろうか.
今回でジェイソン・ボーンの側のミステリは一段落という感じだが,今後の続編を暗示する終わり方につい期待してしまう.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:海辺の生と死

日記:2017年8月某日
映画「海辺の生と死」を見る.0
2017年.監督:越川道夫.
出演:満島ひかり(大平トエ),永山絢斗(朔中尉),井之脇海(隼人少尉),川瀬陽太(大坪),津嘉山正種(トエの父).1
太平洋戦争末期,奄美のカゲロウ島に海軍特攻艇の新隊長朔中尉が赴任してくる.国民学校の教師・大平トエは,隊員教育の為に本を借りに来た朔中尉と出会う.
軍歌より島唄に興味を示し,子供達とも親しむ朔中尉にトエは心を惹かれる.
やがて朔中尉は従卒の大坪を介して,トエに手紙を送ってくる様になり,二人は夜,塩焼き小屋で会うことになるが….3
「死の棘」の作者・島尾敏雄と妻ミホが,戦時下奄美で出会った経緯をそれぞれが綴った小説を原作とする映画.戦時下の特攻隊,死を前提とした状況でのトエと朔中尉の恋が印象的だ.
4
沖縄出身だが,満島という名前は奄美にルーツを持つという満島ひかりが,圧倒的な存在感で画面を支配する.
映画は極めてゆっくりした画面展開で長回しを多用するが,俳優の充実した演技に違和感はない.トエと子供達が歌い踊る島唄の数々も耳に馴染む.
戦時下の離島で特攻隊基地がある環境,さまざまな問題が現実にはあったと思われるが,この映画はそれを飲み込んでひたすらトエと朔中尉を描く,言わばファンタジーだ.6
映像も心に滲みて美しい.そういう映画として見応え充分.
★★★★(★5個が満点)
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2017/08/09

独断的映画感想文:生きうつしのプリマ

日記:2017年7月某日
映画「生きうつしのプリマ」を見る.1_2
2016年.監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ.
出演:カッチャ・リーマン(ゾフィ),バルバラ・スコヴァ(カタリーナ/エヴェリン),マティアス・ハービッヒ(パウル),グンナール・モーラー(ラルフ),ロバート・ジーリンガー(フィリップ).2
ゾフィはデュッセルドルフの売れない歌手,クラブで歌っている歌が暗いとクビになる.
ある日頑固一徹で気難しい父に呼び出されて行って見ると,昨年亡くなった母エヴェリンとうりふたつの女性をWEBで見つけたと言う.それはN.Y.のメトロポリタン歌劇場のプリマ,カタリーナという女性だった.
今もエヴェリンを熱愛する父は,ゾフィに直ちにN.Y.に飛びカタリーナと会ってくる様命令する.ゾフィは渋々N.Y.に出かけ,カタリーナと面会するが,カタリーナはゾフィの話を全く受け付けない.
カタリーナのエージェント・フィリップと知りあったゾフィは,カタリーナの母親・ローザに会いに老人ホームに行ってみるが….3_2
前半はカタリーナの出自を巡るミステリー,後半は家族の再生の物語という感じの映画.
カタリーナを演じるバルバラ・スコヴァがかなり老け顔で,その点でカタリーナとエヴェリンの関係が分かり難いと感じたが,全体としてはなかなか面白い映画.4_2
ゾフィが表情豊かで魅力的な女性なのも楽しい.
恋仲となったフィリップにN.Y.で一緒に暮らさないかと言われ,ゾフィが「父にどう言うか」と考え込む.フィリップが「あなたも大人なのだから」と言うとゾフィが「父が子供なのよ」と答える.こういう会話のテンポが良い.
原題は「Die abhandene Welt」で,この世に自分の居場所がないというニュアンスらしいが,邦題はこれとはかなりかけ離れている.
まんまと言えばまんまだが,あまり適切な邦題とは思えないなあ.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:殿、利息でござる!

日記:2017年7月某日
映画「殿、利息でござる!」を見る.1
2016年.監督:中村義洋.
出演:阿部サダヲ(穀田屋十三郎),瑛太(菅原屋篤平治),寺脇康文(遠藤幾右衛門),きたろう(穀田屋十兵衛),千葉雄大(千坂仲内),橋本一郎(早坂屋新四郎),中本賢(穀田屋善八),西村雅彦(遠藤寿内),堀部圭亮(橋本権右衛門),斎藤歩(八島伝之助),芦川誠(大工の忠兵衛),中村ゆうじ(三浦屋惣右衛門),山本舞香(なつ),岩田華怜(加代),妻夫木聡(浅野屋甚内),竹内結子(とき),上田耕一(瑞芝和尚),重岡大毅(穀田屋音右衛門),羽生結弦(伊達重村(友情出演)),松田龍平(萱場杢),草笛光子(きよ),山崎努(先代・浅野屋甚内).3
江戸時代の仙台藩奥州街道吉岡宿.米も多くは取れず名産もない吉岡は,伝馬の労役負担に苦しみ,夜逃げが相次いで宿場の行く末は暗い.
それを憂えた穀田屋十三郎は,知恵者の菅原屋篤平治から思わぬアイディアを授かる.それはお上に資金を上納し,これに対する利息で伝馬の費用をまかなおうという奇策だった.
上納額は千両,十三郎は10名の商人から一人500貫の銭を集めてこの奇策を実現しようと動き始める….4
原作は磯田道史の「無私の日本人」.原作からすれば真面目な話と思えるのだが,映画自体はコメディ仕立てで,そのスタンスが良く判らない.
出てくる人物が一様に,500貫の銭(約3000万円だという)を宿場の為に出しましょうと言われると,目に涙を浮かべて喜んで出すというのも胡散臭い.
5
場面毎にまた1年また1年と凄い勢いで時間ばかり流れていくのに,登場人物がちっとも老けないのもおかしい.
何より主演が阿部サダオだっていうのがもう真面目とは思えず(この映画のポスターで丁髷の代わりに通し銭を頭に乗っけている阿部サダオを見よ),なんちゃって時代劇だとしか思えない.
そう思って見ていると,結構話の進み方はまともでハッピーエンドに終わったりする.面白いと言えば面白いが,何だかなあという映画.0
現代の「今だけ・金だけ・自分だけ」という鉄の掟に対する,ファンタジー映画のつもりかしら?
★★★(★5個が満点).
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2017/08/07

番外:独断的歌舞伎感想文:国立劇場 一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)

日記:2017年7月某日
歌舞伎「一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり) 二幕 檜垣茶屋の場 大蔵館奥殿の場」を見る.H2907kabukikannshoukyoushituomote
国立劇場美術係=美術.
主な配役:一條大蔵卿長成(尾上菊之助),常盤御前(中村梅枝),鬼次郎女房お京(尾上右近),吉岡鬼次郎(坂東彦三郎).
吉右衛門の大蔵卿を見慣れた自分には,斬新な菊之助の大蔵卿だった.
檜垣茶屋の場でのこぼれんばかりの笑顔は,軽妙さ洒脱さでは吉右衛門に一歩及ばないが,大蔵館奥殿の場での凛々しい大蔵卿は誠に魅力的,打倒清盛の力強い台詞が良かった.
結果的には,大蔵卿の作り阿呆の哀愁よりは,平家追討の闘志に溢れた舞台となり,これはこれで魅力的.この芝居の別な一面を見た思いがした.
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独断的映画感想文:帰ってきたヒトラー

日記:2017年7月某日
映画「帰ってきたヒトラー」を見る.1
2015年.監督:ダーヴィト・ヴネント.
出演:オリヴァー・マスッチ(アドルフ・ヒトラー),ファビアン・ブッシュ(ファビアン・ザヴァツキ),クリストフ・マリア・ヘルプスト(クリストフ・ゼンゼンブリンク),カッチャ・リーマン(カッチャ・ベリーニ),フランツィスカ・ヴルフ(フランツィスカ・クレマイヤー),ラース・ルドルフ(キオスクの主人).2
1945年の総統官邸防空壕から2014年にタイムスリップしたアドルフ・ヒトラー.放送局をクビになりかけていたザヴァッキは,街頭で見かけたこの男をヒトラーそっくり芸人と考え放送局に売り込む.
新聞記録を通読して即座に状況を理解したヒトラーが,TV出演を利用してその影響力を次第に拡げていく時,ザヴァッキは彼の正体にようやく気付くのだが….3
最初は訳が分からず,軍服を洗濯して貰うのにも,受けてくれたトルコ系の女性にへりくだって接していたヒトラーだが,次第に人気者になるにつれて露わになるその本性.
今どきのネオナチや極右の連中とは違う凄みと天才的演説が印象的.「私に忠誠を誓うか」と詰め寄られ腰が引けているネオナチ.4
一方で視聴率さえ取れればと何も考えず,ヒトラーを出演させ続けるTV局幹部.直接的・感情的反感をむき出しにするユダヤ人老女.「本当のヒトラー」に対するそれぞれの対応が興味深い.
現代の社会にいとも簡単に溶け込んでいくヒトラーの天才ぶりが怖い.作りはコメディだが最終的にブラック.
★★★☆(★5個が満点)
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2017/08/03

独断的映画感想文:湯を沸かすほどの熱い愛

日記:2017年7月某日
映画「湯を沸かすほどの熱い愛」を見る.1_3
監督:中野量太.出演:宮沢りえ(幸野双葉),杉咲花(幸野安澄),篠原ゆき子(酒巻君江),駿河太郎(滝本),伊東蒼(片瀬鮎子),松坂桃李(向井拓海),オダギリジョー(幸野一浩).3_3
幸いの湯を経営する幸野家は,夫一浩が1年前に出奔して以来休業中.妻双葉はパートで稼ぎつつ娘・安澄を育てている.
安澄は女子3人のグループに執拗にいじめられているが反抗出来ない.
ある日職場で倒れた双葉は,既に癌末期,余命2ヶ月と宣告される.双葉は死ぬまでに必ずやり遂げることを決め,実行していく.4_3
まず探偵を使い夫を探し出し連れ戻した.夫は昔つき合った女と暮らしていたが,女は既に娘を置いて出奔,夫とその娘・鮎子が戻って来る.
安澄へのいじめはエスカレートするが,双葉はその解決に立ち向かう….2_4
宮沢りえ,杉花咲,オダギリジョーの3名の演技が秀逸.
宮沢りえのテンポ良いしかし印象的な演技,杉花咲の寡黙な熱演が素晴らしい.
オダギリジョーの力の抜けた演技は,この程よく好い加減で程よく純情な風呂屋の親父にぴったり.5
全体の構成も伏線の張り方/展開の仕方等納得出来るもので見応えがある.題名に繋がるラストだけはいささか共感し難いものがあったが,全体としては丸.
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独断的映画感想文:バイオハザード:ザ・ファイナル

日記:2017年7月某日
映画「バイオハザード:ザ・ファイナル」を見る.1_2
2016年.監督:ポール・W・S・アンダーソン.
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ(アリス),アリ・ラーター(クレア・レッドフィールド),ショーン・ロバーツ(アルバート・ウェスカー),ルビー・ローズ(アビゲイル),オーエン・マッケン(ドック),フレイザー・ジェームズ(マイケル),ローラ(コバルト),イ・ジュンギ(チュウ司令官),ウィリアム・レヴィ(クリスチャン),イアン・グレン(アイザックス博士).4_2
2002年の第1作から14年,27歳だったミラ・ジョヴォヴィッチも41歳となった訳で,堂々の貫禄はさすが.
世界がTウィルスによるゾンビ・アンデッドで覆い尽くされ,人類滅亡まで48時間と期限が切られる中,アンブレラ社の地下深く保存される抗Tウィルス剤の奪取を目指すアリスの闘いが描かれる.3_2
併せてこの世界を招来したアンブレラ社の企図と,アリスの正体も解明される….
原作のゲームファンとそうでない観客では評価は大いに異なるのだろうが,重ねられてきたアリスの闘いを思い起こさせる最終編としてやはり心を動かされる.2_3
後に残るものはないが,この虚構世界の決着をつける一作として見応えあり.
★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文:7月大歌舞伎 夜の部 秋葉権現廻船語

日記:2017年7月某日
歌舞伎座で「7月大歌舞伎 夜の部」を見る.Kabukiza_201707_fff_339eb863121b1ad
「秋葉権現廻船語 通し狂言 駄右衛門花御所異聞(だえもんはなのごしょいぶん) 市川海老蔵・堀越勸玄 宙乗り相勤め申し候. 発端:遠州月本城下浜辺松原の場.序幕:遠州月本館の場.二幕目:大井川土手の場,遠州無間山お才茶屋の場,同 秋葉大権現の場.大 詰:都東山御殿の場,同 奥庭の場,元の御殿の場」.竹田治蔵 作,織田紘二・石川耕士・川崎哲男・藤間勘十郎 補綴・演出.出演:日本駄右衛門/玉島幸兵衛/秋葉大権現(海老蔵),月本円秋(右團次),月本祐明(男女蔵),奴浪平(亀鶴),月本始之助(巳之助),傾城花月(新悟),寺小姓采女(廣松),奴のお才/三津姫(児太郎),白狐(堀越勸玄),駄右衛門子分早飛(弘太郎),長六(九團次),逸当妻松ヶ枝(笑三郎),馬淵十太夫(市蔵),東山義政(右之助改め齊入),玉島逸当/細川勝元(中車).
木挽町広場は開演前から凄い熱気,お客の入りも上々である.
芝居の方も海老蔵始め,一座のこの芝居にかける熱気がうかがわれて感銘的.
海老蔵の早変わり始め,忠臣蔵や勧進帳のパロディ,テンポ良く繋げていく見せ場の数々等,見応えあり.
俳優では児太郎が口跡・所作とも良い出来で,今後に更なる期待を抱かせる出来.巳之助の着実な成長も嬉しい.
海老蔵の一番良い所が発揮され,見て損はなし.
見せ所は何といっても親子宙乗りで,空中から客席を指さしてにっこりし,両手を振ってみせる堀越勸玄ちゃんの舞台度胸には感心した.
他にも久しぶりの柴のぶが見られ満足.最後まで楽しめた通し狂言だった.
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独断的映画感想文:ラオス 竜の奇跡

日記:2017年7月某日
映画「ラオス 竜の奇跡」を見る.1
2016年.監督:熊澤誓人.
出演:井上雄太,ティダー・シティサイ.日本・ラオス初の合作映画.
2015年にビエンチャンで暮らすノイ,田舎の生活が嫌で父と決別,都会に出てきたものの張り合いのない日々を暮らしている.2
或る日友人とのドライブでナムグム・ダム湖を訪れたノイは,道に迷い,いつか1960年にタイムスリップする.
1960年,日本からラオスにダム建設の為やって来た川井は,内戦に巻き込まれある村に辿り着く.ここでノイと巡り会った川井は,川に橋が架かるまでという約束で,数ヶ月ノイと共に村に逗留することになったが….3
この逗留の中で川井はラオスでのダム建設の意義を村人の視点で見直し,村人は川井とダムの評価を考え直し,ノイは田舎での生活と家族や村人との絆を考え直す,という構成の映画.
主人公2人を演じる俳優の演技はかなりぎごちなく,むしろ村人達や子役の方が達者である.
プロットもこうでなければならないという必然性があまり感じられず,ダム建設を巡る物語のオーソドックスな展開でも良かった気がする.4
この映画はむしろラオスの美しい自然と,川と共に暮らすのどかな村人達の生活風景を楽しむ映画であろう.美しい満月の夜,龍神の炎の舞う中,川を渡っていくノイのシーンは感銘的だった.
★★★(★5個が満点)
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2017/07/20

独断的映画感想文:裸足の季節

日記:2017年7月某日
映画「裸足の季節」を見る.1
2015年.監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン.
出演:ギュネシ・シェンソイ(ラーレ(末っ子の五女)),ドア・ドゥウシル(ヌル(四女)),トゥーバ・スングルオウル(セルマ(次女)),エリット・イシジャン(エジェ(三女)),イライダ・アクドアン(ソナイ(長女)),ニハール・G・コルダシュ(祖母),アイベルク・ペキジャン(エロル).2_2
トルコの田舎町に住む13歳から20歳の5人姉妹,両親を事故で失い,今は祖母の家から学校に通っている.
或る日学校の帰りに男子学生と共に海辺で遊んで帰ると祖母が怒っており,姉妹は折檻を受ける.肩車をしていたことを,近所の未亡人から男の首に性器をこすりつけて遊んでいたと通報された為だった.
伯父のエロルが更に激昂,姉妹は学校を止めさせられ,処女検査を受けたうえ家に監禁される.家の塀や窓は鉄格子で覆われ,姉妹は化粧品もPCも電話機もおしゃれな服も全て取り上げられる.3_2
代わりに伝統的な服を着せられ,料理や縫い物等の伝統的家事を教え込まれる.
家を抜け出してサッカー見物に行ったことがバレ,姉妹は上から順に見合い・結婚を強制されるが….
学校は西欧的なのに家は因習的,都会は開放的なのに田舎は閉鎖的,トルコ社会の一面を描いたこの映画は衝撃的である.
長女はボーイフレンドの親から自分に求婚させることに成功するが,次女はその日会った男性とその場で婚約する羽目になり,3女には更に悲劇的な運命が待つ.
4女の結婚に至って残された2人は必死の闘いを繰り広げる….4_2
美しく魅力的な姉妹や青春期特有の明るい挙動の描写と,彼女たちへの因習的な取扱の対比が著しく,映画の問いかけを重く受け止めざるを得ない.
オーディションで採用された5人の少女達が素晴らしく,またカメラ・音楽が美しく映画としての魅力に満ちている.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:悪童日記

日記:2017年7月某日
映画「悪童日記」を見る.
0
2013年.監督:ヤーノシュ・サース.
出演:アンドラーシュ・ギーマント(双子),ラースロー・ギーマント(双子),ピロシュカ・モルナール(祖母),ウルリク・トムセン(将校),ウルリッヒ・マテス(父),ジョンジュヴェール・ボグナール(母).3
一部ネタバレあります.
ハンガリー国境沿いの村に疎開してきた双子の兄弟,母親は彼等を不仲の実母(おばあちゃん)に預けて首都に去る.おばあちゃんはかって夫を殺したと疑われ,人々が「魔女」と密かに呼ぶ女,双子はその日からこき使われる.
双子はおばあちゃんの手伝いを確実にしてのけると共に,自学自習し,困難に耐える訓練を自分たちに課し,戦争で荒みきった社会をしたたかに生き抜いていく….4
アゴタ・クリストフの1986年のベストセラーを映画化した作品,原作で今ひとつ実感の湧かなかった双子が見事に具現化された.
大人の様で子供,一人の様でふたりの双子の主人公が,誠に効果的に描かれている.
全体の雰囲気が,寓意性のあるスラブ民話の様になっているのも印象的.音楽が素晴らしいと思ったら,最近「メッセージ」や「ボーダーライン」でお馴染みとなったヨハン・ヨハンソンだった.2
また双子の父親で惨めな兵士を演じているウルリッヒ・マテスは,「ヒトラー 〜最期の12日間〜」でゲッベルスを演じていた人である(何となく皮肉な感じを受ける).
映画全体としては,原作の衝撃的内容を良く表現し得ている.只,原作でもその理由が良く判らなかった,最終場面での双子の別離の理由は,映画でも観客の想像に任されている様だ.
★★★☆(★5個が満点)
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2017/07/10

番外:独断的歌舞伎感想文 歌舞伎6月大歌舞伎 夜の部 鎌倉三代記/御所五郎蔵/一本刀土俵入

日記:2017年6月某日
「歌舞伎6月大歌舞伎 夜の部」を見る.Img_20170625_1555172
「一、鎌倉三代記(かまくらさんだいき) 絹川村閑居の場」.出演:佐々木高綱(幸四郎),時姫(雀右衛門),三浦之助義村(松也),阿波の局(吉弥),讃岐の局(宗之助),富田六郎(桂三),おくる(門之助),長門(秀太郎).「河竹黙阿弥 作 二、曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ) 御所五郎蔵」.出演:御所五郎蔵(仁左衛門),傾城皐月(雀右衛門),子分 梶原平平(男女蔵),同  新貝荒蔵(歌昇),同  秩父重助(巳之助),同 二宮太郎次(種之助),同 畠山次郎三(吉之丞),花形屋吾助(松之助),傾城逢州(米吉),甲屋与五郎(歌六),星影土右衛門(左團次).「長谷川 伸 作 村上元三 演出 三、一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)」.出演:駒形茂兵衛(幸四郎),お蔦(猿之助),堀下根吉(松也),若船頭(巳之助),船戸の弥八(猿弥),酌婦お松(笑三郎),お君(市川右近),庄屋(寿猿),老船頭(錦吾),河岸山鬼一郎(桂三),清大工(由次郎),船印彫師辰三郎(松緑),波一里儀十(歌六).
なかなか充実した番組で,時代物,世話物,新作それぞれの楽しさを堪能した.
鎌倉三代記は元来筋が良く飲み込めず,時姫と三浦之助のやり取りが終いに苛々してくるのだが,雀右衛門の時姫は流石の貫禄,短い出だったが秀太郎の長門が印象的な演技だった.
幸四郎は相変わらず何を言っているのか判らない.
御所五郎蔵は仁左衛門の五郎蔵が秀逸.
五郎蔵は素寒貧のパッパラパーとしか思えないこの物語だが,仁左衛門が演じると,左團次の土右衛門の対応とも良く合って,美しい男伊達の破滅の物語に見えてくるから不思議.
米吉の逢州が健闘.
一本刀土俵入りは,今更に良く出来た芝居だと感心する.
最初の場,お蔦の猿之助は殆ど正面を向かない横顔と背中の芝居で,ほろりとさせる.茂平の朴訥な応答もしんみりする.
後半は10年後の物語だが,10年間のお蔦と茂平の変貌が説得力があって面白い.
やくざ茂平の貫禄と実力が圧倒的なら,お蔦もしっかり子供を守る女房になっている.これを演ずる幸四郎・猿之助がいずれも素敵.
船戸の弥八を演じる猿弥も良かった.中間の川べりの場がのどかな雰囲気で好きだが,ここでの錦吾,由次郎等も良かった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 歌舞伎6月大歌舞伎昼の部 名月八幡祭/浮世風呂/弁慶上使

日記:2017年6月某日
「歌舞伎6月大歌舞伎昼の部」を見る.Kabukiza_201706ff_dad53efc912c9a257
「池田大伍作・池田弥三郎演出・大場正昭演出一、名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)」.出演:縮屋新助(松緑),芸者美代吉(笑也),藤岡慶十郎(坂東亀蔵),魚惣(猿弥),魚惣女房お竹(竹三郎),船頭三次(猿之助).「木村富子 作 二、澤瀉十種の内 浮世風呂(うきよぶろ)」.出演:三助政吉(猿之助),なめくじ(種之助).「三、御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち) 弁慶上使」.出演:武蔵坊弁慶(吉右衛門),侍従太郎(又五郎),卿の君/腰元しのぶ(米吉),花の井(高麗蔵),おわさ(雀右衛門).
名月八幡祭は,田舎者新助の悲劇,芸者美代吉も遊び人三次もさほどの悪ではないし,新助が騙されたと言っても金をだまし取られた訳ではない.魚惣の言ったとおり『呆れてものも言えねえ』というのが正解.
松緑の新助は,あまりにぺこぺこしすぎではなかろうか?しかし魚惣の窓から美代吉を見るシーン,最後の本水を使った斬殺シーンは良かった.猿弥の魚惣も素敵.
浮世風呂は猿之助の軽妙自在な踊りが好ましい上,種之助のナメクジが純情可憐で可愛らしい.
この踊りの発想そのものが実にしゃれていてこころ楽しいものがある.最後ナメクジがスッポンに落とされて上から塩をまかれちゃうのも,傑作.
弁慶上使は子殺しもの,嫌いなタイプである.吉右衛門はアフロのカツラで熱演,雀右衛門・米吉も良かったが,物語の後味は悪い.
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2017/07/04

独断的映画感想文:ボーダーライン

日記:2017年6月21日
映画「ボーダーライン」を見る.1
2015年.監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ.
出演:エミリー・ブラント(ケイト・メイサー),ベニチオ・デル・トロ(アレハンドロ),ジョシュ・ブローリン(マット・グレイヴァー),ヴィクター・ガーバー(デイヴ・ジェニングス),ジョン・バーンサル(テッド),ダニエル・カルーヤ(レジー・ウェイン).
FBIの女性捜査官ケイトは,チームと共に麻薬関連の誘拐組織の拠点を急襲するが,仕掛けられた爆弾で犠牲者を出す.2
その後,ケイトはメキシコの麻薬組織「ソノラ・カルテル」撲滅の為の特殊チームに選抜され,志願する.チームのリーダー・マットはCIAで,同行する案内人アレハンドロの所属は不明.
チームは国境を越えメキシコのファレス市で組織の幹部ディアスの弟のギレルモを引き取るが,帰路の渋滞で車列は組織の襲撃を受け,マットのチームは一般車のいる車道での銃撃戦で襲撃者を壊滅させる.ケイトも襲ってきたメキシコ警官に応射する.3
アレハンドロはギレルモを拷問してディアスの居所を聞き出し,更にマットのチームは不法移民者の尋問から密輸トンネルの場所を特定,トンネルへの攻撃を準備する.
ケイトの選抜は,CIA単独では禁止されている捜査を,FBIとの連携を大義名分に行う為だったと判明,ケイトは上司にマットの違法捜査を報告するが….
法と秩序ではどうしようもない麻薬戦争の凄惨な現場を,ケイト,マット,アレハンドロという3者の視点から描く.プロットは複雑で,誰が誰の味方なのか敵なのか,判断しきれないまま物語は進行する.
4
しかし画面の緊張感は高く,壮烈な争闘のシーンがテンポ良く展開されていくのが印象的.3者の演技がそれぞれに良いが,何と言っても謎の殺し屋アレハンドロを演じるベニチオ・デル・トロの存在感が凄い.
また,監督と「メッセージ」でもコンビを組んでいるヨハン・ヨハンソンの,第88回アカデミー賞音響編集賞及び作曲賞にノミネートされた音楽が素晴らしい.見応えのある映画.
★★★★(★5個が満点)
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2017/06/28

独断的映画感想文:ヒメアノ~ル

日記:2017年6月某日.
映画「ヒメアノ~ル」を見る.0
2016年.監督:吉田恵輔.
出演:森田剛(森田正一),濱田岳(岡田進),佐津川愛美(阿部ユカ),ムロツヨシ(安藤勇次).
何という満足もなく日々を暮らしている清掃会社のバイト・岡田は,先輩の安藤から喫茶店のバイト・ユカへの恋のキューピッド役を強制される.1_2
一緒に行った喫茶店で高校の同級生・森田と再会した岡田は,ユカから森田がストーカーらしいと相談を受ける.安藤先輩は自分らがユカを守ると色めき立つが,安藤先輩の告白を伝えた岡田に,ユカは岡田が好きだと打ち明ける.
安藤先輩との関係に悩みつつ,岡田はユカと深い仲になってしまうが,それを知った森田は岡田を殺そうと動き始める.森田は高校生の時,自分をいじめ抜いた同級生を襲って殺した過去があった….
コミックを原作とした映画.2
前半はちょっと気味の悪いラブコメかと思いきや,後半は猟期連続殺人事件となる.原作がコミックのせいか,登場人物のキャラクターがいちいち極端すぎて,穏やかな気分で画面を見ていられない.
一方でそのキャラクターを演じる俳優はいずれも好演,特に画面に登場した瞬間から強烈な違和感を発散する森田剛,こういう先輩とだけはつき合いたくないと思わせるムロツヨシは,見応えあり.安藤先輩はむしろ,更に尖って活躍した方が良かったと思うが,意外な結末となったのは残念.
面白かったが生理的には見辛い映画.
★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:クリミナルズ

日記:2017年6月某日.
映画「クリミナルズ」を見る.1
2011年.監督:ガブリエル・ペルティエ.
出演:ピエール=フランソワ・ルジャンドル(アンドレ・シュプレナン巡査部長),ブリジット・ポゴナ(サボワ巡査),ノルマン・ダムール(ジングラ巡査部長),ミシェル・ラピリエール(アセリン),ステファニー・ラポワント(ロザリー).
フランス語圏カナダの映画.一部ネタバレあり.
海に囲まれた孤島で,地元市長の娘が殺害・暴行される事件が発生,地元警察のアンドレ巡査部長と派遣されてきた殺人課の刑事が,互いを意識しながら捜査を進める.
捜査の常道を進める刑事と地元ネットワークを駆使して容疑者をリストアップしていくアンドレ達地元勢.アンドレは別居中の妻と同居している娘がおり,娘は被害者とも夜遊び仲間だったらしい.
相棒のサボワ巡査はアンドレに心酔しているが,アンドレは水を見るとパニック障害になる持病もあって,悩みは絶えない状況.
映画の方は本格的ミステリーで,謎解きの面白さを追求する展開だが,登場人物は多く話は込み入っていて,殺人事件に並行して麻薬の密輸という事件も絡んでおり,事件背景もいまいち掴みにくい.
結果はアンドレの推理が的中してめでたしめでたしとなるかと思いきや,犯人逮捕という結果にはならず,やはりアンドレは詰めが甘い.あまりすっきりとはしない結末だった.という訳で★★☆(★5個が満点).
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2017/06/23

独断的映画感想文:クー嶺街少年殺人事件

日記:2017年6月某日
映画「クー嶺街少年殺人事件」を見る.
1991年.監督:エドワード・ヤン.1_2
出演:チャン・チェン(小四(シャオスー)/張震),リサ・ヤン(小明(シャオミン)),ワン・チーザン(王茂/小猫王(ワンマオ/リトル・プレスリー)),クー・ユールン(飛機(フェイジー)),タン・チーガン(小馬(シャオマー)),ジョウ・ホェイクオ小虎((シャオフー)),リン・ホンミン(ハニー),チャン・ホンユー(滑頭(ホアトウ)),ワン・ゾンチェン(二條(アーティアオ)),タン・シャオツイ(小翠(シャオツイ)),ヤン・シュンチン(山東(シャンドン)).2_2
国民政府が大陸から台湾に撤退して10年たった1960年,台湾国内はまだ安定せず社会は不安に覆われていた.
上海から移住した張家の次男・小四は夜間中学に通っている.小四の同級生・王茂(ワンマオ),飛機(フェイジー),滑頭(ホアトウ)らは「小公園」という不良グループに属していたが,リーダーのハニーは対立グループ「217」のボスを殺して台南に逃げたらしい.
小四が学校で知り合った少女小明は,ハニーの女だという.小明と親しくなった小四は,ある日対立グループ217に見つかり因縁をつけられるが,転校生で軍の指令官の息子小馬に助けられる.
217グループとの抗争,学校の隣の映画スタジオへの潜入,小明や小馬を中心とした級友達とのつき合いに,小四の生活は過ぎて行くが,或る日ハニーが台南から戻ってくる.一方,小四の父はある晩突然,秘密警察に連行される….3_3
国民政府がまだ大陸反攻を呼号していた1960年代の台湾を舞台に,中学生による殺人事件とその社会的背景を描く映画.
中学とは言え,夜間部だけにかなり年かさの生徒や様々な境遇の生徒がいるうえ,国家の締め付けも厳しく学生生活は緊張感に満ちている.
そのなかで比較的真面目に過ごしていた小四が,ハニーと出会ったことで受けた影響が,思わぬ悲劇に繋がっていく展開が印象的だ.4_2
小四を演じたチャン・チェンはこの映画の後「レッドクリフ」の孫権役等で活躍している.小明は母子家庭の貧しい娘で,大人と子供の両面を持つ複雑なキャラクターだが,演ずるリサ・ヤンはやや魅力不足だったか.いずれにしろ登場人物が大勢で,その人間関係を掴むのも一苦労だった.
本編は4時間に及ぶ長尺で,映画そのものに退屈はしないが,3時間を越すあたりでは中座する客が出始め集中を削がれた.
映画の中でラジオから「潮来笠」の台湾語バージョンが流れていたり,この時代の台湾の風景も興味深い.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ハドソン川の奇跡

日記:2017年6月某日
映画「ハドソン川の奇跡」を見る.1
2016年.監督:クリント・イーストウッド.
出演:トム・ハンクス(Chesley 'Sully' Sullenberger),アーロン・エッカート(Jeff Skiles),ローラ・リニー(Lorraine Sullenberger),アンナ・ガン(Elizabeth Davis).2
2009年1月15日に発生した,USエアウェイズ1549便ハドソン川着水航空事故の顛末.
840mの低空で鳥の群れと遭遇,両エンジン停止という事態に直面したサレンバーガー機長は,冷静で敏速な判断でハドソン川への着水を敢行,乗員乗客155名は全員無事だった.
機長は一躍国民的英雄ともてはやされたが,国家運輸安全委員会の事故調査には左エンジンには推力があったというデータと,コンピュータシミュレーションではラガーディア空港に帰還可能だったという資料が提出され,機長は厳しい追及を受ける….3
95分間の作品.
この物語の経過と結末は誰もが知っているので,国家運輸安全委員会の結論や各委員の発言等に,大きな脚色は加え得ないと思われる.その為,委員会の結論がどうなるかというドキドキはらはらは感じない.
一方,困難な状況とPTSDとも思える事故後の不安の中で,機長が事故に対処しその後の委員会への対応もきっちりしていたことが示され,感銘的だ.
4
サレンバーグ機長という,アメリカ人が安心して賞賛できるヒーロー像を過不足なく描いて,映画として成功している.
★★★☆(★5個が満点)
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