2018/05/23

独断的映画感想文:セインツ -約束の果て-

日記:2018年5月某日
映画「セインツ -約束の果て-」を見る.1
2013年.監督:デヴィッド・ロウリー.
出演:ケイシー・アフレック(ボブ・マルドゥーン),ルーニー・マーラ(ルース・ガスリー),ベン・フォスター(パトリック),ネイト・パーカー(スウィーティー),ラミ・マレック(ウィル),キース・キャラダイン(スケリット).2
ボブとルースは強盗が稼業.共にスケリットに育てられ,その息子フレディと犯行を繰り返しているが,二人は夫婦同然でルースは妊娠している.
ところが最後の犯行と臨んだ仕事で3人は保安官に追い詰められ,フレディは射殺され,ルースの銃弾は包囲陣のパトリックの肩を打ち抜く.3
ボブはルースの銃撃を自分の犯行として投降,ルースは無罪となりボブは刑務所へ.ルースはシルヴィアを産み,今は正業に就いているスケリットの援助でシルヴィアを育てている.
ボブはルースとシルヴィアを恋い慕い,遂に脱獄しルースの街に向かうが,一方パトリックはルースに思いを寄せていた….4
テキサスの自然を舞台とした純愛映画と言って良い.俳優も好演し,特に主役3人とキース・キャラダインの出来が良い.
終盤,ボブがルースのもとに迫り,一方ボブに稼いだ金を独り占めにされた仲間が派遣した殺し屋達もボブを追い,パトリックもルースの家を訪れるシルヴィア4歳の誕生日の夜がスリリング.5
但し,ボブとルースがどれほどの犯罪者なのかは殆ど説明がなく,強盗常習者で脱獄犯のボブがとても良い人に(どちらかと言えば被害者に)見えてしまう点は,若干問題あり.
カメラは美しく,バックに流れるカントリー&ウエスタンを中心とする音楽も心地よい.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:新宿スワンII

日記:2018年5月某日
映画「新宿スワンII」を見る.Ii1
2017年.監督:園子温.
出演:綾野剛(白鳥龍彦),浅野忠信(滝マサキ),伊勢谷友介(真虎),深水元基(関玄介),金子ノブアキ(葉山豊),村上淳(時正),久保田悠来(洋介),上地雄輔(森長千里),広瀬アリス(小沢マユミ),高橋メアリージュン(アリサ),桐山漣(鼠賀信之助),中野裕太(ハネマン),中野英雄(田坂晃),笹野高史(砂子),要潤(梶田),山田優(涼子),豊原功補(山城神),吉田鋼太郎(天野修善),椎名桔平(住友宏樹).Ii3
新宿歌舞伎町のスカウトグループ,バーストに所属する白鳥龍彦.前作で渋谷のグループ・ハーレムと統合したバーストは横浜進出を目指し,関と白鳥に横浜殴り込みを命じる.
関は横浜を仕切るウィザードを率いる滝との因縁の決着のために,白鳥は第1作で親友だった洋介の消息を求めて,横浜に向かう.折りしも横浜に大規模キャバレー開設を目指す全日本酒販連合会がキャバ嬢の大量スカウトを要望,ウィザードとバーストの熾烈な争いは,それぞれの上部団体のやくざを巻き込んで始まる….Ii2
人気コミックの実写化第2弾.
この映画の魅力はコミックキャラの白鳥龍彦をきっちりと演じる綾野剛の魅力と,園子温監督のカメラワーク・テンポの良さにある.また脇を固める俳優陣も,コミックらしい濃いキャラクターを過不足無く演じて見応えあり.Ii5
ヒロインは広瀬アリスだが,こちらは前回の沢尻エリカに比べると今一歩.特にダンスで審査員を魅了するシーンでは,体がふっくらしすぎて説得力に欠ける.そんなこんなで★★★(★5個が満点)
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2018/05/17

独断的映画感想文:モアナと伝説の海

日記:2018年5月某日
映画「モアナと伝説の海」を見る.0
2016年.監督:ジョン・マスカー/ロン・クレメンツ.
音楽:マーク・マンシーナ.声の出演:アウリイ・クラヴァーリョ(モアナ),ドウェイン・ジョンソン(マウイ),レイチェル・ハウス(タラおばあちゃん).2
南海の楽園,モツゥヌイ島.16歳の少女モアナは島長の娘,いつか島を治めることになる.
あるとき島では魚が捕れず,農作物が枯れ死する現象が起き始める.おばあちゃんに依れば,これは昔半神・半人のマウイが,女神テ・フィティの“心”を盗んだために生まれたという暗黒の襲来によるものだった.
島では珊瑚礁の外に出ることは固く禁じられていたが,海と特別の繋がりを持つモアナは,かって大海を押し渡った先祖の船に乗り,マウイを見つけ出して女神に“心”を返させるための,冒険の旅に出る….4
ディズニーのアニメーションミュージカル.ポリネシアの伝説に基づく物語らしいが,登場人物や楽曲は如何にもアメリカ風,この辺は好みに依るところだろう.5
一方映像の美しさやキャラクターの動き等は,ディズニーアニメならではの力があり,魅了された.特に,海や波の水の描き方は誠に素晴らしく,今まで見たことのない魅力がある.この点だけでも見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
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2018/05/14

独断的映画感想文:マルクス・エンゲルス

日記:2018年5月某日
映画「マルクス・エンゲルス」を見る.1_2
2017年.監督:ラウル・ペック.
出演:アウグスト・ディール(カール・マルクス),シュテファン・コナルスケ(フリードリヒ・エンゲルス),ヴィッキー・クリープス(イェニー),オリヴィエ・グルメ(ジョセフ・プルードン).5
カール・マルクスは「ライン新聞」に寄稿する若き思想家,プロシア官憲によりライン新聞編集部が検挙された時に捕まるが,マルクスはむしろライン新聞の手ぬるい表現に辟易としていた.パリに拠点を移したマルクスは,妻イェニーと娘ジェニーとの生活を守りつつ,新聞に寄稿し論文を執筆する.
一方,イギリスの紡績会社社長の息子:フリードリッヒ・エンゲルスはブルジョワジーの搾取に批判的で,父の従業員だった恋人メアリー・バーンズの協力で,英国労働者階級の実態を論文化し発表する.
二人はパリの編集者ルーゲの書斎で出会い,意気投合する.やがて二人は英国で組織された「正義者同盟」に介入しそのメンバーとなるべく活動を進める….4
19世紀半ば産業革命の進むヨーロッパ,未だ20代の若きマルクスとエンゲルスの活動を,1848年の「共産党宣言」の発表まで描く.映画は若い彼等の生活や恋愛を交えて描き,エンタテインメントとして十分に魅力的.
物語のクライマックスは,マルクスとエンゲルスが正義者同盟の主流派となって「共産主義者同盟」と名称を変更していく1847年の大会のシーンだが,容赦ない批判の応酬・より過激な主張の勝利という過程には共感できず,苦いものを感じざるを得なかった.共産主義運動が内包したこの様な分派闘争の作風が,次の世紀=「戦争と革命」の世紀に如何に大きな影響を与えたか,と考えるためだ.3_2
偶然だが,鑑賞した岩波ホールでは「ゲッベルスと私」の予告編を上映した.そこに登場したナチスのゲッベルスのアジテーションは,この映画で正義者同盟からマルクスに除名されたヴァイトリングが行ったアジテーションとうりふたつだった.このことも映画の感想にほろ苦いものをつけ加えている.2_2
こんな感想は,自身が青年の時代であれば持たなかったに違いない.
エンドテーマは唐突にボブ・ディランのライク・ア・ローリング・ストーン,でも何となく合っている感じ.複雑な感情で映画館を後にした,いろいろと考えさせる映画.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ニシノユキヒコの恋と冒険

日記:2018年5月某日
映画「ニシノユキヒコの恋と冒険」を見る.1
2014年.監督:井口奈己.出演:竹野内豊(ニシノユキヒコ),尾野真千子(マナミ),成海璃子(昴),木村文乃(タマ),本田翼(カノコ),中村ゆりか(みなみ),田中要次(みなみの父),麻生久美子(夏美),阿川佐和子(ササキサユリ).3
映画の冒頭は,ニシノと夏美・みなみ親子が別れる喫茶店のテラスのシーン.その直後ニシノは交通事故で車に撥ねられる.
10年後,みなみのもとを訪れるニシノ(の幽霊),死んだので夏美の様子を見に来たのだと言うが,夏美は出奔してみなみも長年会っていない.7
夏美が来る筈だからとニシノ(の幽霊)に連れられニシノの葬儀に行くみなみは,そこでササキサユリというおばさんに会い,ニシノの女性遍歴を詳しく聞くことになる….
イケメンで仕事も出来,女性に優しくセックスも上上というニシノユキヒコ,もててもてて困る程なのに,結果的には相手に振られ続けている.それは何故なのか?2
現実味のないパステル調の映像と,長回しの多用(長回しでないシーンの方が珍しい程)にはいささか食傷するが,それはそれで映画のリズムになっている.
ニシノという人は女性の心理を,掌を指す様に読み取る力があるらしい.その為にひたすら女性に優しく出来る訳だが,しかし一方で,自分はその女性とどう生きていこうという姿勢は全くない.ニシノ自身は女性に自分を愛して欲しいのだが女性をきちんと愛している訳ではなく,女性の側は恋の対象以上にはニシノを見ない様だ.6
そういう構造が見えてくる映画.尾野真智子が好演,他の俳優達もそれぞれ好キャスティング.阿川佐和子の話術は見応えあり.
★★★(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 5月團菊祭夜の部 弁天娘女男白浪/菊畑/喜撰

日記:2018年5月某日
歌舞伎座で「5月團菊祭夜の部」を見る.Kabukiza_201805poster_benten
河竹黙阿弥作「一、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)序幕,雪の下浜松屋の場 稲瀬川勢揃の場 二幕目:極楽寺屋根立腹の場 同  山門の場 滑川土橋の場」.出演:弁天小僧菊之助(菊五郎),忠信利平(松緑),赤星十三郎(菊之助),日本駄右衛門(海老蔵),鳶頭清次(松也),浜松屋宗之助(種之助),丁稚長松(寺嶋眞秀),番頭与九郎(橘太郎),木下川八郎(権十郎),伊皿子七郎(秀調),浜松屋幸兵衛(團蔵),南郷力丸(左團次),青砥左衛門藤綱(梅玉).「二、鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき) 菊畑)」.出演:智恵内実は吉岡鬼三太)(松緑),吉岡鬼一法眼(團蔵),皆鶴姫(児太郎),笠原湛海(坂東亀蔵),虎蔵実は源牛若丸(時蔵).六歌仙容彩「三、喜撰(きせん)」.出演:喜撰法師(菊之助),所化(権十郎),同(歌昇),同(竹松),同(種之助),同(男寅),同(玉太郎),祗園のお梶(時蔵).Img_20180506_203532_2
弁天娘女男白浪は,特に序幕の菊五郎の自在さが素晴らしい.左團次,團蔵,橘太郎等の一同が,菊五郎に腹を合わせた見事な芝居で,浜松屋の店先が眼前にあるかの様だ.寺嶋眞秀の丁稚が演じる履き物ネタもいちいちおかしく,可愛らしい.
菊畑は贔屓の松緑が智恵内,久しぶりに柴のぶちゃんも見れて満足.
喜撰は菊之助が真面目すぎて,ふわふわしたところが感じられず消化不良.次回に期待.
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2018/05/09

独断的映画感想文:ブルーに生まれついて

日記:2018年4月某日
映画「ブルーに生まれついて」を見る.1_3
2015年.監督:ロバート・バドロー.
出演:イーサン・ホーク(チェット・ベイカー),カーメン・イジョゴ(ジェーン/エレイン),カラム・キース・レニー(ディック・ボック),ケダー・ブラウン(マイルス・デイヴィス),ケヴィン・ハンチャード(ディジー・ガレスピー).5_2
映画は刑務所の独房で禁断症状に震えるチェット・ベイカーのシーンからスタート.
チェットはヘロイン常用の罪でイタリアで収監されていたのだ.この後チェットはプロデューサー:ディック・ボックの尽力で,自らの売り出し時代の映画を自演するべく,帰国がかなう.
ところがその撮影中,チェットは代金未払いに激昂したヤクの売人に襲われ,顎の骨折,前歯全壊の重傷を負う.トランペッターとして致命的な結果に映画はご破算,ディックも手を引くと宣する.チェットは映画で前妻エレイン役を演じた女優ジェーンの愛にすがって生きていくが….8
白人トランペッター・シンガーとして1950年代に一世を風靡したチェット・ベイカーの物語.この後チェットは,ジェーンの献身的な愛と自身の超人的な努力によって,トランペッターとして再起する.
映画の最後30分のドラマがなんとも素晴らしい.
チェットは業界関係者の見守るスタジオ録音(この時のマイ・ファニー・ヴァレンタインの演奏がまた素晴らしい)で高評価を得,念願のバードランドに出演,マイルス・デイビス,ディジー・ガレスピー等の前で演奏することになる.
その直前の楽屋で,ヤクを目の前にして物思いにふけるチェット.人生の取り返しをかけた演奏を前に葛藤するこの長いシーンに,胸が痛む.7
それに続く「Born To Be Blue」の演奏シーンの素晴らしさ.イーサン・ホークの熱演と歌・演奏は実に見応えあり.ジャズも素敵だけど,それを映画にするとこんなにスリリングで哀しいものになるなんて.おすすめの映画.
★★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 四月大歌舞伎昼の部:西郷と勝/裏表先代萩

日記:2018年4月某日
歌舞伎座「四月大歌舞伎」昼の部を見る.Kabukiza_201804_f2_3042193de748b51c
「一、西郷と勝(さいごうとかつ)」.真山青果作「江戸城総攻」より.松竹芸文室 改訂,大場正昭 演出.出演:西郷隆盛(松緑),山岡鉄太郎(彦三郎),中村半次郎(坂東亀蔵),村田新八(松江),勝海舟(錦之助).通し狂言 梅照葉錦伊達織 
「二、裏表先代萩(うらおもてせんだいはぎ)」.大場道益宅 足利家御殿 同  床下 小助対決 仁木刃傷」.出演:下男小助/仁木弾正(菊五郎),乳人政岡(時蔵),細川勝元(錦之助),下女お竹/沖の井(孝太郎),倉橋弥十郎(松緑),荒獅子男之助(彦三郎),渡辺民部(坂東亀蔵),鶴千代(亀三郎),松島(吉弥),大場宗益(権十郎),横井角左衛門(齊入),栄御前(萬次郎),八汐(彌十郎),大場道益(團蔵),渡辺外記左衛門(東蔵).
「西郷と勝」は真山史劇.過剰なほどの台詞劇だが,西郷の松禄が見事に演じきったのに感動した.豊かな声量とよどみない台詞の奔流で,舞台を完全に支配した.松緑の何かが変わった様な気がする熱演.
「裏表先代萩」は,通常の先代萩の裏で進行する毒物調達を巡るドラマを平行して演じる.この裏のドラマで毒物調達が証明されたことで,表の先代萩で仁木弾正の有罪が確定するというお話し.先代萩を承知している人でないと,ちょっと理解するのは難しいかも知れない.
元気な菊五郎の芝居は見て楽しく,時蔵,萬次郎等が達者な共演.錦之助は相変わらずのユーティリティープレイヤーぶりを発揮.
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番外:独断的歌舞伎感想文 四月大歌舞伎・夜の部:通し狂言「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ) 立場の太平次

日記:2018年4月某日
歌舞伎座「四月大歌舞伎」夜の部を見る.Kabukiza_gappou_poster
通し狂言「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ) 立場の太平次」.片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候.
四世鶴屋南北 作.奈河彰輔 補綴・演出.片岡仁左衛門 監修.
序幕:第一場 多賀家水門口の場,第二場 多賀領鷹野の場,第三場 多賀家陣屋の場.二幕目:第一場 四条河原の場,第二場 今出川道具屋の場,第三場 妙覚寺裏手の場.三幕目:第一場 和州倉狩峠の場,第二場 倉狩峠一つ家の場,第三場 倉狩峠古宮の場,第四場 元の一つ家の場.大詰:第一場 合法庵室の場,第二場 閻魔堂の場.出演:左枝大学之助/立場の太平次(仁左衛門),田代屋与兵衛(錦之助),田代屋娘お亀(孝太郎),孫七(坂東亀蔵),太平次女房お道(吉弥),お米(梅丸),番頭伝三(松之助),升法印(由次郎),関口多九郎(権十郎),田代屋後家おりよ(萬次郎),高橋瀬左衛門/高橋弥十郎(彌十郎),佐五右衛門(團蔵),うんざりお松/弥十郎妻皐月(時蔵).
仁左衛門が大名と町人の2人の悪人を演じ分けるこの作品,仁左衛門の美しさと凄みが堪能できまことに見応えあり.自己のためには子供,女性といえど容赦なく殺す悪役の魅力,非業の死を遂げる人々の悲惨,ためらうことなく描いた鶴屋南北と演じた仁左衛門に乾杯.
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独断的映画感想文:ラッキー

日記:2018年4月某日
映画「ラッキー」を見る.1_2
2017年.監督:ジョン・キャロル・リンチ.
出演:ハリー・ディーン・スタントン(ラッキー),デヴィッド・リンチ(ハワード),ロン・リヴィングストン(弁護士ボビー・ローレンス),エド・ベグリー・Jr(Dr.クリスチャン),トム・スケリット(フレッド)),ジェームズ・ダーレン(ポーリー),バリー・シャバカ・ヘンリー(ジョー).2_2
サボテンだらけの田舎町に住むラッキーは90歳の一人暮らし,毎朝起きてヨガをした後ジョーの店に行き,珈琲を飲みながらクロスワードを解く.
裏通りのとある一角で「クソ女め」と呟いて(これがどういう意味かは映画の終わりに解明される),夜は行きつけのバーでブラッディーマリアを飲む.煙草を吸うが体に悪いところは何処もない.
ところが或る日突然倒れたラッキー,近づく死への意識と怖れを感じずにはいられない.ラッキーは不機嫌になり攻撃的になる.しかし友人達との絆で,ある境地に近づいていく….4_2
昨年他界した名優:ハリー・ディーン・スタントンの最後の主演作である.
飄々と生きるラッキーの日々を描く穏やかな映画,しかし登場人物達の会話は暗示的で時に哲学的.人生をここまで乗り切ってきた者達の畏敬すべき考えに感銘を受けないではいられない.
特に,行方不明になったペットの高齢の亀に財産を残そうとする親友ハワードの話,同年配の海兵隊員(ラッキーも海軍で日本軍と戦ったのだ)の,タラワで出会った日本人少女の物語等のエピソードは,印象的だ.
ここには我々がニュースで見るアメリカとは異なった,人を越えるものへ畏れを抱き,ある悟りに向かう真摯で優しいアメリカ人達がいる.5
ハリー・ディーン・スタントンの個人技を見るのも楽しい.
食料品店のヒスパニック系主人が息子の誕生日に招いてくれた席で,ラッキーが披露するマリアッチの歌は,年齢とは思えない渋い声で魅惑的だ.また,全編に流れるハリー自身が吹くブルースハープの「レッド・リバー・バレー」も,素晴らしい.
最後のシーン,カメラ目線でにっこり笑った後,サボテンの道を去って行くラッキーの姿に涙を禁じ得ない.ユーモアとペーソスに満ちた映画らしい映画,お勧めです.
★★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ある戦争

日記:2018年4月某日
映画「ある戦争」を見る.1
2015年.監督:トビアス・リンホルム.
出演:ピルー・アスベック(クラウス),ツヴァ・ノヴォトニー(マリア),ソーレン・マリン(弁護士マーティン),ダール・サリム(ナジブ),シャーロッテ・ムンク(カイサ).
アフガニスタンで平和維持軍に参加しているデンマーク部隊,地域を巡回し市民をタリバンの襲撃から守るのが任務だ.部隊長のクラウスは,戦闘での兵士の死に直面し,部隊を鼓舞しその先頭に立って任務の全うに腐心する.
デンマークでは彼の妻マリアが,3人の子供を育てるのに懸命な日々を過ごしている.
ある日部隊がタリバンに襲撃され瀕死の重傷者が出る中,クラウスは自ら敵の位置を確認できぬまま砲撃支援を要請する.重傷者は助かったが,砲撃に巻き込まれ民間人11名が死亡,クラウスは軍法会議にかけられることになった….2
戦争は不条理だ.
クラウスは任務を果たし部下を守るために献身的に働いている.留守を守るマリアも3人の子供を守るため必死で働く.
不意打ちを喰らい部下は重傷,しかし何とか守りきって部下の命は助かった.ところが自分の指示で行われた砲撃で,民間人11人の死者が出たという.裁判で法務官は,クラウスが前線に出ていたこと自体が彼の判断能力の低下を示すものだと非難し,クラウスの心は押しつぶされる.4
11人の命は重い.しかしその責任は一人クラウスにあるのだろうか.タリバンは民間人のいる場所から攻撃をかけてきたとも考えられる.3
デンマークという国からアフガニスタンにPKO部隊が出ていたことも知らなかったが,その結果がこういう厳しい現実となっていることも衝撃だった.映画はこの物語に相応しく,黄土色のアフガンと灰色のデンマークを交互に映像化し,緊張感も高い.見応えある映画.
★★★★(★5個が満点)
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2018/04/08

番外:独断的歌舞伎感想文 3月国立劇場:増補忠臣蔵/髪結新三

日記:2018年3月某日
国立劇場で歌舞伎を見る.H303shinza_2
「増補忠臣蔵 (ぞうほちゅうしんぐら)一幕二場 ―本蔵下屋敷―(ほんぞうしもやしき)」.第一場 加古川家下屋敷茶の間の場 第二場 同 奥書院の場.国立劇場美術係=美術.「梅雨小袖昔八丈 (つゆこそでむかしはちじょう) 三幕六場 ―髪結新三― (かみゆいしんざ)」.河竹黙阿弥=作 尾上菊五郎=監修 国立劇場美術係=美術.序幕 白子屋見世先の場,永代橋川端の場,二幕目 富吉町新三内の場,家主長兵衛内の場,元の新三内の場,大詰 深川閻魔堂橋の場.主な配役:『増補忠臣蔵』 桃井若狭之助(中村鴈治郎),三千歳姫(中村梅枝),井浪伴左衛門(市村橘太郎),加古川本蔵(片岡亀蔵).『梅雨小袖昔八丈』 髪結新三(尾上菊之助),白子屋手代忠七(中村梅枝),下剃勝奴(中村萬太郎),家主女房おかく(市村橘太郎),家主長兵衛(片岡亀蔵),加賀屋藤兵衛(河原崎権十郎),白子屋後家お常(市村萬次郎),弥太五郎源七(市川團蔵).
増補忠臣蔵は忠臣蔵外伝風の芝居.主従の確執から本蔵お手討ちの土壇場で,思わぬどんでん返しがあって主従の愛が確認されるという筋だが,個人的にはこういう芝居は受け容れ難い.
好き嫌いの話なので仕方がないが,鴈治郎の濃厚な芝居も好きではない.梅枝と橘太郎が好演で印象的.
髪結新三は元来好きな芝居なので楽しく見た.
新三の基準は2013年8月歌舞伎座公演の板東三津五郎にあるので,今回の菊之助はちょっと優しすぎるいい人に見えてしまうが,若く颯爽として魅力的.
梅丸のお熊が可憐で素敵.萬太郎の勝奴が期待以上の好演で良かった.
大家夫妻(橘太郎・亀蔵)は期待通りの好演,こういう役の俳優が面白いと,芝居は楽しい.
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番外:独断的歌舞伎感想文 三月大歌舞伎昼の部 国性爺合戦/男女道成寺/芝浜革財布

日記:2018年3月某日
歌舞伎座を見る.Img_20180324_103816_burst001_cover_
「近松門左衛門 作 一、国性爺合戦(こくせんやかっせん) 獅子ヶ城楼門 獅子ヶ城内甘輝館 同 紅流し 同 元の甘輝館」.出演:和藤内(愛之助),錦祥女(扇雀),甘輝(芝翫),老一官(東蔵),渚(秀太郎).「四世中村雀右衛門七回忌追善狂言 二、男女道成寺(めおとどうじょうじ)」.出演:白拍子花子(雀右衛門),白拍子桜子実は狂言師左近(松緑),明石坊(友右衛門).「三、芝浜革財布(しばはまのかわざいふ)」.出演:魚屋政五郎(芝翫),政五郎女房おたつ(孝太郎),友達大工勘太郎(彌十郎).
国性爺合戦は,明代の将軍で台湾のオランダ人勢力を一掃した,鄭成功をモデルとした物語.愛之助の和唐内だが,今回は見せ場が少なくてちょっと気の毒.
男女道成寺は四世雀右衛追善で,冒頭,明石坊の友右衛門が口上を述べる.踊りは実力者2人で見応えあり.所化は歌昇,壱太郎,米吉等若手が総出で楽しい.
芝浜は落語でお馴染み,芝翫が魚屋だが,甘輝将軍よりこういう役の方が僕は好き.孝太郎が好演で嬉しい.前にも書いたことがあるが,国性爺合戦は,1967年の第1回国立劇場歌舞伎鑑賞教室で,高校生の時見た.配役は和唐内が市川男女蔵(現左團次),甘輝将軍は片岡孝夫(現仁左衛門),錦祥女は片岡秀太郎だった.50年越しで見る歌舞伎も印象的.
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番外:独断的歌舞伎感想文 三月大歌舞伎 夜の部 於染久松色読販/神田祭/滝の白糸

日記:2018年3月某日
歌舞伎座で「三月大歌舞伎 夜の部」を見る.Kabukiza_201803ffl_64c84a8c27b7d5e9
「一、於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり) 小梅莨屋の場 瓦町油屋の場」.四世鶴屋南北 作,渥美清太郎 改訂.出演:土手のお六(玉三郎),山家屋清兵衛(錦之助),鬼門の喜兵衛(仁左衛門).「二、神田祭(かんだまつり)」.出演:鳶頭(仁左衛門),芸者(玉三郎).「三、滝の白糸(たきのしらいと)」.泉鏡花 作・坂東玉三郎 演出.出演:滝の白糸(壱太郎),村越欣弥(松也),春平(歌六).
於染久松は於染の七役の内の一部,お六・喜兵衛のゆすりが間抜けな失敗に終わるエピソード.仁左衛門が死体の前髪を剃る場面の見栄などはいかにもの雰囲気があるが,前後の筋が良く判らないので物足りない.
神田祭は,仁左衛門・玉三郎のいちゃいちゃぶりがうまく,踊りも素晴らしい.花道を引っ込みながら,こんなにもてて済みませんと言わんばかりに,仁左衛門が頭をかきかき玉三郎といそいそと引っ込む辺りも素敵.
滝の白糸は,玉三郎演出で壱太郎・松也の主演.壱太郎は台詞は今ひとつだが,立ち居振る舞いは良く演出に従って魅力的.松也,歌六等の奮闘の力作で,見応えあり.
新派の芝居を歌舞伎の舞台で今の世代に見せるのは,なかなかに難しそうである.
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独断的映画感想文:ウイスキーと2人の花嫁

日記:2018年3月某日
映画「ウイスキーと2人の花嫁」を見る.1_4
2016年.監督:ギリーズ・マッキノン.
出演:グレゴール・フィッシャー(ジョセフ・マクルーン),エディ・イザード(ワゲット大尉),ショーン・ビガースタッフ(オッド軍曹),ナオミ・バトリック(ペギー・マクルーン),ケヴィン・ガスリー(ジョージ・キャンベル),エリー・ケンドリック(カトリーナ・マクルーン),ブライアン・ペティファー(アンガス),ジェームズ・コスモ(マカリスター牧師).2_4
第2次大戦中のスコットランド・トディー島.配給のウィスキーが戦況の悪化で届かなくなってしまい,島の人々は生きる気力もない.
郵便局長ジョセフは2人の娘がいるが,ペギーは北アフリカから復員して島の民兵教育に着任したオッド軍曹と,カトリーナは小学校教員ジョージと恋仲だ.しかしウィスキーがなければ婚約も出来ない.
ところがある土曜日の夜,島の沖の岩礁に貨物船が座礁する.積荷は何と5万箱の輸出用ウィスキーと聞いた島民は,早速乗組員を救出,とって返してウィスキーの救出に取りかかるが….3_5
このウィスキーを巡り,島民と民兵指揮官のワゲット大佐が渡り合う騒動を描くコメディ映画.
ウィスキー救出は,時刻が夜中の0時を過ぎ安息日に入ったため,牧師の命令で中止となる.ウィスキーは欲しいが安息日の禁を破る島民は一人もおらず,じりじりしながら待つ島民の様子がおかしい.4_3
日曜の夜中に再開された作戦で,無事ウィスキーは救出され洞窟に隠される.これを厳格に取り締まろうとするワゲット大佐を出し抜く,牧師を含んだ島民の一致団結が見事.エンディングでそれぞれの確執も解決の方向に向かうハッピーエンドも良い.
何より,美しいスコットランドの島の情景や,流されるケルト風の映画音楽が素晴らしい.心がほのぼのし,ウィスキーが飲みたくなる映画.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ブルゴーニュで会いましょう

日記:2018年3月某日
映画「ブルゴーニュで会いましょう」を見る.1_3
2015年.監督:ジェローム・ル・メール.
出演:ジェラール・ランヴァン(フランソワ・マレシャル),ジャリル・レスペール(シャルリ・マレシャル),アリス・タグリオーニ(ブランシュ),ローラ・スメット(マリー・マレシャル).3_4
ブルゴーニュの古いワイナリーを営むフランソワ,息子シャルリは20歳の時に実家を出て,ワイン評論家としてワインガイドブックを出版し成功している.フランソワは妻とも離婚,息子の出奔を受け入れられない.
今では娘婿マルコにワイナリーを任せきりにし,隣家のエディット・ブランシェ母娘が成功しているのを他所に,ワイナリーは破産寸前となる.2_3
実家が売却の危機にあると知ったシャルリは,実家を継ぐ決意をするが,銀行の課した条件は1年後には収益を上げるという厳しいものだった.葡萄作りには素人のシャルリは,新しい管理方法と古くからの葡萄生産法を採用して,ワイナリー運営に挑戦するが….4_2
ブルゴーニュの何処までも続く葡萄畑が美しい映画.登場人物はいずれも頑固で,長年の確執を感じさせるが,結果的にはハッピーエンドに終わる.
97分とやや短く,その為かドラマとしてはあまり掘り下げられていない.5_2
登場人物が,ワインは失敗と辛苦の中で生まれると言いながら,主人公は1年目にして成功を手にするし,未解決のまま終わる伏線もある(例えば,ブランシェの祖父がマレシャルの倉庫は大きくて10年分の在庫が溜められる筈と言っていた話は謎のまま残る).
そういう不満は残るが,映像・音楽は美しく,見て楽しい映画.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:本能寺ホテル

日記:2018年3月某日
映画「本能寺ホテル」を見る.1_2
2017年.監督:鈴木雅之.
出演:綾瀬はるか(倉本繭子),堤真一(織田信長),濱田岳(森蘭丸),平山浩行(吉岡恭一),田口浩正(大塚),高嶋政宏(明智光秀),近藤正臣(吉岡征次郎),風間杜夫(本能寺ホテル支配人).2_2
会社の倒産で再就活中の繭子,婚約者の実家京都に来て,「本能寺ホテル」に宿泊する.ロビーには「信長公も見たかも知れない」古い西洋時計が置いてある.
その時計のネジを何気なく巻いた繭子が,同じく信長の時代からあったという金平糖をかじりながらエレベーターで7階に上がると,降りたところは天正10年6月1日の本能寺であった….3_3
というタイムスリップもの.全体はコメディでタイムスリップに関わるどんでん返しや謎解きも一切無く,いつタイムスリップが起きるかというドタバタで物語は進んでいく.
フジテレビ・ホリプロ製作でそこそこのキャストながら,B級3流感に満ちあふれたその場限りのエンタメ映画.キャッチコピーに反してたいしたアクションも無く笑いも無く,何だかなあという感じで終わる.
見て損した.出た俳優が気の毒である.
☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:グレイテスト・ショーマン

日記:2018年3月某日
映画「グレイテスト・ショーマン」を見る.1
2017年.監督:マイケル・グレイシー.
出演:ヒュー・ジャックマン(P・T・バーナム),ザック・エフロン(フィリップ・カーライル),ミシェル・ウィリアムズ(チャリティ・バーナム),レベッカ・ファーガソン(唄の吹き替えはローレン・オールレッド)(ジェニー・リンド),ゼンデイヤ(アン・ウィーラー),キアラ・セトル(レティ・ルッツ),ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世(W・D・ウィーラー).
映画「地上最大のショー(セシル・B・デミル監督,1952年アカデミー作品賞)」の舞台となったサーカスの創始者の一人,P・T・バーナムを主人公とするミュージカル.2
バーナムは貧しい仕立屋の息子,幼馴染みの富豪の娘チャリティと夢叶って結婚するが,勤め先は倒産という憂き目に.
バーナムはこの際かねてからの夢を実現しようと,人が見たことも無い不思議なものを展示するバーナム博物館を開業するが,客足はさっぱり.しかし娘達の提案でユニークな人達のショーを見せようと,ひげ女,こびと,のっぽ,デブ,全身刺青男を始め空中ブランコ等の芸人を集め,型破りなショーを開いて成功する.
しかし裕福になっても社会的には認められない上,ショーに反対する住民から嫌がらせを受け続ける.そこで上流階級出身のフィリップの協力を得たバーナムは,そのコネで英国のビクトリア女王と謁見,その席で知遇を得た美貌のオペラ歌手ジェニー・リンドのアメリカ招聘に成功する….3_2
偏見と差別に抗してショービジネスの世界で自由に生きる人々を描く.
と言っても,バーナムが自由の戦士という映画ではない.バーナム自身もリンドの公演で上流階級に近づこうと画策し,そのパーティーの席から一座の芸人を閉め出すというシーンもある.しかし紆余曲折を経て結局バーナムはショーに戻って来るのだ.4
何と言っても歌と踊りのパフォーマンスが超一流で,完成度の高さに圧倒される.
中でも空中ブランコのスター・アンとフィリップが境遇を越えて愛を求める「Rewrite The Stars」,ひげ女レティが仲間を率いて暴徒と対決するシーンの「This Is Me」は素晴らしい.5
また,ジェニー・リンドの歌う「Never Enough」は心を奪われる熱唱だ.ヒュー・ジャックマンもX-menをやりながらレ・ミゼラブルに続くミュージカル主演は天晴れと言う他無い.
文句なしのエンタテインメント作品.
★★★★☆(★5個が満点)
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2018/03/26

番外:独断的歌舞伎感想文 二月大歌舞伎 夜の部:熊谷陣屋/壽三代歌舞伎賑/祇園一力茶屋

日記:2018年2月某日
歌舞伎座で「二月大歌舞伎 夜の部」を見る.Kabukiza_201802f3_25d7d9db66a21dd9f
「一、一谷嫩軍記 熊谷陣屋(くまがいじんや)」.出演:熊谷次郎直実(染五郎改め幸四郎),熊谷妻相模(魁春),藤の方(雀右衛門),梶原平次景高(芝翫),亀井六郎(歌昇),片岡八郎(萬太郎),伊勢三郎(巳之助),駿河次郎(隼人),堤軍次(鴈治郎),白毫弥陀六(左團次),源義経(菊五郎).「二、壽三代歌舞伎賑(ことほぐさんだいかぶきのにぎわい) 木挽町芝居前 二代目松本白鸚 十代目松本幸四郎 八代目市川染五郎」.幸四郎改め白鸚,染五郎改め幸四郎,金太郎改め染五郎.出演:菊五郎,仁左衛門,玉三郎,左團次,又五郎,鴈治郎,錦之助,松緑,海老蔵,彌十郎,芝翫,歌六,魁春,時蔵,雀右衛門,孝太郎,梅枝,高麗蔵,友右衛門,東蔵,秀太郎,廣太郎,錦吾,猿之助,楽善,我當,梅玉,吉右衛門,藤十郎.「三、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら) 祇園一力茶屋の場」.出演:大星由良之助(幸四郎改め白鸚),大星力弥(金太郎改め染五郎),赤垣源蔵(友右衛門),富森助右衛門(彌十郎),矢間重太郎(松江),斧九太夫(錦吾),遊女お軽(玉三郎),寺岡平右衛門(仁左衛門).
熊谷陣屋は幸四郎で2度見ていずれもいまいちだった.今回の新幸四郎は何を言っているかは明瞭で親父よりは見易いし,型がきっちり出来ているのは立派.
しかし吉右衛門の直実がビデオのワンシーンだけで落涙させる力があるのには比べようもない.これから伝統を作る若さに期待したい.左團次の弥陀六が元気で好感.
木挽町芝居前は寸劇仕立ての襲名口上,きら星の様な出演者の中で腰掛けたままながら元気そうな我當と台詞もないがにこやかに一座していた猿之助が印象的.
一力茶屋は何と言っても玉三郎・仁左衛門のお軽・平右衛門の場面に圧倒的な感銘を受ける.
お軽の由良之助を相手にする時の如何にも遊女といった風情から,兄・平右衛門に勘平の消息を聞く時の少女めいた明るさ,父も勘平も死んだと知った時の悲哀,覚悟を決めて兄の手にかかろうという時の決意,これを演じる玉三郎の美しさはどうだろう.
仁左衛門の平右衛門もぴったり息があって且つ若々しく,まことに年齢を感じさせない名演である.これほど見応えのある歌舞伎も久しぶり.楽しかった.
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2018/03/25

独断的映画感想文:皇帝のいない八月

日記:2018年2月某日
映画「皇帝のいない八月」を見る.1_4
1978年.監督:山本薩夫.
出演:渡瀬恒彦(藤崎顕正),山本圭(石森宏明),吉永小百合(藤崎杏子),滝沢修(佐林首相),佐分利信(大畑剛造),小沢栄太郎(小山内建設大臣),永井智雄(山村防衛大臣),渥美國泰(黒須官房長官),高橋悦史(利倉保人),三國連太郎(江見為一郎),丹波哲郎(三神陸将),鈴木瑞穂(真野陸将),岡田英次(徳永陸将補),山崎努(東上正),永島敏行(矢島一曹),橋本功(島三曹),神山繁(正垣慎吾),森田健作(有賀弘一),岡田嘉子(金田),渥美清(久保),香野百合子(石森千秋),大滝秀治(野口),中島ゆたか(紀子),デニス・ファーレル(トーマス准将),太地喜和子(中上彩子).2_4
東北地方で怪しいトラックを追尾したパトカーは機銃掃射を浴び大破する.使われた銃弾から自衛隊の動きを予感した内閣調査室の利倉は,自衛隊の江見と連絡を取る.
江見は娘婿で退役自衛官の藤崎の所在を確かめるため,博多の藤崎宅を訪ねる.一方,九州に出張した業界紙記者・石森はかっての婚約者・藤崎杏子に遭遇,同じ特急桜に乗車するが,車内には自衛官が藤崎に率いられて乗車していた….3_4
国規模の自衛隊のクーデターの物語だが,各地の叛乱軍は事前に補足され,結局特急ジャックを行った藤崎隊のみが東京に向かうことになる.
出演俳優は錚々たるメンバーだが,銃撃シーン・爆破シーンや軍事車輌・ヘリコプター等の映像はちゃちなもので,リアルさが全く感じられない.4_4
藤崎の主張も三島由紀夫の亡霊の様なもので,政府要人の描き方も類型的.これでは真のエンタテインメントとは言えない.時間潰しならどうぞというレベル.残念です.
★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:スリー・ビルボード

日記:2018年2月某日
映画「スリー・ビルボード」を見る.1_3
2017年.監督:マーティン・マクドナー.
出演:フランシス・マクドーマンド(ミルドレッド・ヘイズ),ウディ・ハレルソン(ウィロビー),サム・ロックウェル(ディクソン),アビー・コーニッシュ(アン),ジョン・ホークス(チャーリー),ピーター・ディンクレイジ(ジェームズ),ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(レッド),ルーカス・ヘッジズ(ロビー・ヘイズ),ケリー・コンドン(パメラ),サンディ・マーティン(ディクソンの母).2_3
ミズーリ州の田舎町エビングの郊外の道路脇に,或る日3枚の意見広告が掲出される.
娘をレイプされ殺されたミルドレッドが進展しない捜査に業を煮やし,警察を批判し署長:ウィロビーを名指して責任を問うたものだった.
ウィロビーは温厚公正な人物である上,膵臓ガンで余命は数ヶ月であることを知る町民は,ミルドレッドを非難するが,彼女は一歩も引かない.部下のディクソン巡査は暴力的人種差別者で,ミルドレッドへの怒りを露わにする.3_3
その中でウィロビーの病状は悪化,ウィロビーはある決断をして妻,ミルドレッド,ディクソン等に手紙を書くが….
ミルドレッドも含めて,暴力に訴えることをためらわない人々の確執がどう展開するか,全く先を読めない物語だ.
映画を通して警察の捜査が進展することもなく,レイプ犯が明らかになる訳でもない.一方その中でも微かなユーモアが示されたり,激しく反発する者同士がある部分で哀しみを共有できる瞬間があったりして,映画の基調は決して暗鬱ではない.4_3
ラストシーンは,この憤激の袋小路から抜け出る可能性を暗示している様にも見える.
フランシス・マクドーマンド,ウディ・ハレルソン,サム・ロックウェルがいずれも良い味で見応えあり.「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で好演したルーカス・ヘッジズが今回も好感の持てる演技.
バックに織り込まれている楽曲も素敵だ.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ゴースト・イン・ザ・シェル

日記:2018年2月某日
映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」を見る.1_2
2017年.監督:ルパート・サンダーズ.
出演:スカーレット・ヨハンソン(少佐),ビートたけし(荒巻大輔),マイケル・カルメン・ピット(クゼ),ピルー・アスベック(バトー),チン・ハン(トグサ),ジュリエット・ビノシュ(オウレイ博士).2_2
人間の体の一部を機械に入れ替える(義体化と言う)技術が実用化した世界,そのテクノロジーを推し進めるハンカ社が誕生させた,脳以外の全てが義体である「少佐」は公安9課の優秀なエージェントである.
9課は,ハンカ社のサイバーテクノロジーへのハッキングを狙う,クゼと名乗るハッカーを追及していた.少佐は自身の過去について断片的な記憶しか持たないが,クゼの情報が自身の失われた記憶と何らかの繋がりを持つのではないかと疑う.3_2
一方ハンカ社は,少佐の生みの親・オウレイ博士に少佐の記憶を消去する様命じる….
それなりのキャストを配して作成された実写版攻殻機動隊だが,2つの点に問題あり.
1つは過去のSF作品と同工異曲の(しかもオリジナルの映像よりださい)映像世界である.ここには新しい感覚を触発する何もない.デフォルトスタンダードに則ったのだと言われればそれまでだが,「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」(アニメ版)をパクった「マトリックス」をパクリ返し,「ブレードランナー」で包装した様な映像世界は,受け容れ難い.4_2
2つは少佐のキャスティングである.30代半ばのアメリカ人であるスカーレット・ヨハンソンが着ぐるみを着た「少佐」像は,違和感がありすぎる.5
9課全体もあまり詳しく描写されておらず各課員のキャラクターは不鮮明だが,SWATかNavy SEALsの様に描かれており,サイバーテロ対応より武力による突撃が本来業務の様でこれも受け容れ難い.
上記を別にしても,B級映画感が強く,感銘を受けなかったのは残念.
★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:手紙は憶えている

日記:2018年1月某日
映画「手紙は憶えている」を見る.1
2015年.監督:アトム・エゴヤン.
出演:クリストファー・プラマー(ゼヴ・グットマン),ブルーノ・ガンツ(ルディ・コランダー),ユルゲン・プロフノウ(ルディ・コランダー),ハインツ・リーフェン(ルディ・コランダー),ヘンリー・ツェーニー(チャールズ・グットマン),ディーン・ノリス(ジョン・コランダー),マーティン・ランドー(マックス・ザッカー).2
90歳で養老院に暮らすゼヴは目覚めるたびに記憶を失ってしまい,妻ルースの死さえ憶えられない.
同じ養老院の親友マックスは彼に手紙を託し,生前のルースと共に約束した行為を実行する様促す.
その手紙には,かってアウシュビッツで彼とマックスの家族を殺したナチのブロック責任者:オットーが現在ルディ・コランダーと名乗っており,4名の同姓同名の容疑者の中からオットーを見つけて射殺するための,詳細な手順が明記してあった.3
ゼヴは指示に従って養老院を抜け出し,4人のルディを訪ねていくが,最初のルディは北アフリカ戦線に従事した兵士,2番目のルディはドイツ人だが同性愛者で同じ囚人の立場だった….
認知症のゼヴが如何にオットーのもとにたどり着けるかというサスペンスであると同時に,誰がオットーなのかというミステリでもある映画.4
1929年生まれのクリストファー・プラマーが好演,特に見事にピアノを弾くシーンは,少年時代ピアニスト志望だっただけのことはある.
この映画のラスト5分間のどんでん返しは殆どSF的と言っても良いくらいで吃驚した.よくよく考えるとちょっとあり得ない設定ではあるが,まあ映画ですからこういうこともありですね.
★★★☆(★5個が満点)
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