2019/07/15

番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場歌舞伎鑑賞教室 車引/棒しばり

日記:2019年7月某日
国立劇場歌舞伎鑑賞教室「菅原伝授手習鑑 車引」「棒しばり」を見る.20197kabukiomote2-1
竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作.「菅原伝授手習鑑 (すがわらでんじゅてならいかがみ) 一幕」.出演:舎人松王丸(尾上松緑),舎人梅王丸(坂東亀蔵),舎人桜丸(坂東新悟),舎人杉王丸(尾上左近),藤原時平(中村松江).岡村柿紅=作.「棒しばり(ぼうしばり) 長唄囃子連中)」.出演:次郎冠者(尾上松緑),太郎冠者(坂東亀蔵),曽根松兵衛(中村松江).
車引は,この様式的荒事が若い出演者では舞台が支配できないのか,いささか退屈,何度か爆睡した.一方棒しばりは松緑・亀蔵の踊りが達者で伸びやか,間断することなく最後まで踊りきって,まことに見応えあり.
公演後のアフタートークもなかなか良い雰囲気で実に楽しかった.終演17時半頃.Img_20190715_172723 Img_20190715_170213

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2019/07/14

番外:独断的歌舞伎感想文 七月大歌舞伎 昼の部 高時/西郷と豚姫/素襖落/外郎売り

日記:2019年7月某日
歌舞伎座で「七月大歌舞伎 昼の部」を見る.Kabukiza201907h_517d6d1345c796d525d57e36
河竹黙阿弥 作.「一、新歌舞伎十八番の内 高時(たかとき)」.出演:北条高時(右團次),愛妾衣笠(児太郎),安達三郎(九團次),渚(梅花),秋田入道(寿猿),大佛陸奥守(市蔵).池田大伍 作,久保田万太郎 演出,今井豊茂 演出.「二、西郷と豚姫(さいごうとぶたひめ)」.出演:お玉(獅童),大久保市助(権十郎),芸妓岸野(児太郎),舞妓雛勇(梅丸),同心新蔵(國矢),同心兵馬(左升),仲居頭おふく(歌女之丞),廻しの男留吉(橘三郎),中村半次郎(歌昇),西郷吉之助(錦之助).福地桜痴 作.「三、新歌舞伎十八番の内 素襖落(すおうおとし)」.出演:太郎冠者(海老蔵),次郎冠者(友右衛門),姫御寮(児太郎),鈍太郎(市蔵),三郎吾(権十郎),大名某(獅童).野口達二 改訂.「四、歌舞伎十八番の内 外郎売(ういろううり) 堀越勸玄早口言立て相勤め申し候」.出演:外郎売実は曽我五郎(海老蔵),貴甘坊(堀越勸玄),小林朝比奈(獅童),小林妹舞鶴(児太郎),遊君亀菊(梅丸),遊君喜瀬川(廣松),梶原平次景高(九團次),茶道珍斎(市蔵),梶原平三景時(家橘),化粧坂少将(雀右衛門),大磯の虎(魁春),工藤祐経(梅玉).
高時は鎌倉幕府最後の執権・高時の物語.高時が,右團次の特有の台詞回しでなかなか似合っているのと,天狗の群舞が舞台を圧するスペクタクルで,面白く見た.
「西郷と豚姫」は,獅童の豚姫が好演.西郷が共に死のうと言ってくれる場面では涙を禁じ得ない.久光公の勘気がとけ西郷が勇躍立っていく別れのシーンも良い.この2編は初見だが印象に残った.
素襖落は海老蔵の踊りで判り易い.
外郎売りは堀越勸玄の独壇場で,この年で本格的な台詞回しで早口言い立てをやってのけるのだから大手柄.1907kabukiza_tokubetsu_uirou_abz 1907kabukiza_tokubetsu_uirou_kag
出ずっぱりの児太郎(愛妾,芸者,姫御寮,舞鶴)もそれぞれに美しく素敵.演目の組み合わせも面白く,楽しい昼の部だった.

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2019/07/10

独断的映画感想文:カメラを止めるな

日記:2019年7月某日
映画「カメラを止めるな」を見る.
2017年.監督・脚本:上田慎一郎.1_20190710220501
出演:濱津隆之(日暮隆之),真魚(日暮真央),しゅはまはるみ(日暮晴美),長屋和彰(神谷和明),秋山ゆずき(松本逢花).
映画の冒頭から始まる37分間のノンストップノーカットの映像.山奥の廃墟でゾンビ映画を撮っている撮影隊,撮影中本物のゾンビが現れてスタッフは次々にゾンビ化,現場は大混乱に陥るが,監督は本当の映像が撮れるとばかりに撮影を続行する.やがて殆どのスタッフが死に絶え,呪いの五芒星の中央で立ちすくむヒロインの姿で映像は終わる….3_20190710220501
この後から始まる1ヶ月前の出来事,日暮は「早い,安い,そこそこ」を売りとする映像作家.新しく立ち上がったゾンビ専門チャンネルから,開局記念にノーカット生放送のゾンビドラマの作成を依頼される.この無茶苦茶な依頼を引き受けた日暮だが,集まってきたのは癖のあるキャスト・スタッフばかり,元女優の妻・監督志望の娘が心配するなか,遂に撮影当日が来る….2_20190710220501
この映画はゾンビ映画の形態を取っているが,実際はミステリーである.
3部構成となっていて,第1部最初の37分間はミステリで言えば「犯罪」の提示である.第2部は展開部で,登場人物それぞれの紹介がここで行われる.第3部は放映当日の現場の状況を描く映像で,第1部で提示された「犯罪」の解決編にあたる.
即ち,第1部で示されたいささか変な構成や違和感ある展開と,全体としてはB級映画のチープ感あふれる映像が,第3部ではどのようなスタッフの離れ業で提供されたかが明らかにされる.
この様に観客の期待を裏切る映画も希有であろう.5_20190710220501
つまりチープなB級作品と思えた映像は,最終的には提示された伏線を全て解決し,しかも映画というものの本来の魅力を観客の心にしっかり焼き付けるからだ.大笑いしながら解決編を見ていた観客は,ラストシーンで折り重なったキャスト・スタッフの一群のシーンを見たとき,大きな感動を覚えるであろう.4_20190710220501
映画への熱い想いを共有できるという点でも希有な映画,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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2019/07/05

独断的映画感想文:ミッション:インポッシブル/フォールアウト

日記:2019年7月某日
映画「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」を見る.1_20190709164401
2018年.監督:クリストファー・マッカリー.
出演:トム・クルーズ(イーサン・ハント),ヘンリー・カヴィル(オーガスト・ウォーカー),ヴィング・レイムス(ルーサー・スティッケル),サイモン・ペッグ(ベンジー・ダン),レベッカ・ファーガソン(イルサ・ファウスト),ショーン・ハリス(ソロモン・レーン),アンジェラ・バセット(エリカ・スローン),ヴァネッサ・カービー(ホワイト・ウィドウ),ミシェル・モナハン(ジュリア),アレック・ボールドウィン(アラン・ハンリー),ウェス・ベントリー(パトリック),フレデリック・シュミット(ゾラ).2_20190709164401
人気シリーズの第6作.
愛妻ジュリアとの結婚式に犯罪組織「シンジケート」のボス:レーンが現れる悪夢から目覚めたIMFエージェントのイーサン・ハント,盗まれた3個のプルトニウム爆弾奪回のためベルリンに飛ぶ.マフィアからこの爆弾を買い取る受け渡し現場で,「シンジケート」の残党アポストルに襲われたハントは,同僚ルーサーを救っている間に爆弾を奪われてしまう.
IMFに不信感を持ったCIA長官は介入し,部下のウォーカーにハントと共同行動を取るように命じる.2人はパリのパーティー会場で謎の男ラークがホワイト・ウィドウと名乗るブローカーから爆弾を買い取るとの情報を得,その会場に潜入,ラークを補足するが逆襲される.間一髪MI6のルイサがハントを救うが,ラークは射殺される.5_20190709164401
止むなくラークになりすましたハントはウィドウと接触し契約に成功,手付けに爆弾1個を回収するが,あと2個の引き渡しは捕縛されているレーンを脱獄させることが条件となる.ハントは奇策を使って誰も殺さずにレーンの奪取に成功するが,合流してきたIMF長官ハンリーから,CIAはハントこそがジョン・ラークであると疑い証拠も掴んでいるという話を聞く….3_20190709164401
アクションに次ぐアクション,謀略に次ぐ謀略,どんでん返しの連続と,147分の長尺終わる頃には最初のエピソードはもう飛んでいる.
後から考えるとこのエピソードは伏線として生きていないんじゃないかとか,何故このアクションをする必然があったのかとかいう話だらけだが,映画見ている間はもう夢中,そんなことに気付くどころじゃありません.最後までトム・クルーズに持って行かれます.とにかく映画とアクションに賭けるトム・クルーズの執念にはひれ伏すしかない.
でも脚本はもうちょっと整理できなかったかな.最後には誰が敵か味方かすら分からなくなった.エピローグでのジュリアとルイサのエピソードが良かったけど.7_20190709164401 6_20190709164401
★★★☆(★5個が満点).
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2019/07/02

番外:独断的歌舞伎感想文 巡業東コース松竹大歌舞伎 引き窓/かさね

日記:2019年7月某日
北とぴあで巡業東コース松竹大歌舞伎を見る.Jungyo_h_f537663a062c478a4711ec18e708c00
「一、二代目松本白鸚,十代目松本幸四郎 襲名披露 口上(こうじょう)」.幸四郎改め松本白鸚,染五郎改め松本四郎,幹部俳優出演.「二、双蝶々曲輪日記 引窓(ひきまど)」.出演:南与兵衛後に南方十次兵衛(染五郎改め松本幸四郎),女房お早(市川高麗蔵),三原伝造(大谷廣太郎),母お幸(松本幸雀),平岡丹平(松本錦吾),濡髪長五郎(幸四郎改め松本白鸚).「三、色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)かさね」.出演:かさね(市川猿之助),与右衛門(染五郎改め松本幸四郎).
白鸚・幸四郎の襲名興行もこれが最終か.口上もすっかりくつろいだ調子で,「ご当地王子の皆様」を持ち上げ楽しい雰囲気.引き窓は親子共演,かさねは同世代共演で,どちらも見応えあり.特に猿之助・幸四郎のかさねは,美しい男女の色模様から凄惨な殺しのシーンまで,息のあった踊りで素敵だった.
ところで両狂言とも,花道からむしろにくるまって主人公が出てくるという出だしで始まる.片方は白鸚(濡髪)で,片方は幸四郎(与右衛門).これもなんだか可笑しい.
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2019/06/25

独断的映画感想文:友罪

日記:2019年6月25日
映画「友罪」を見る.
2018年.監督・脚本:瀬々敬久.0_20190626215401
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出演:益田純一(生田斗真),鈴木秀人 / 青柳健太郎(瑛太),藤沢美代子(夏帆),杉本清美(山本美月),白石弥生(富田靖子),清水(奥野瑛太),内海(飯田芳),川島社長(小市慢太郎),村上院長(矢島健一),バーテン・小杉(青木崇高),唐木達也(忍成修吾),山内智子(西田尚美),飯島武士(村上淳),飯島麻奈美(片岡礼子),山内正人(石田法嗣),千尋(北浦愛),桜井さちこ(坂井真紀),須藤編集長(古舘寛治),白石唯(蒔田彩珠),篠塚朝子(渡辺真起子),篠塚(光石研(特別出演)),山内修司(佐藤浩市).2_20190626215401
埼玉県のとある町工場,鈴木と益田が見習採用される.二人とも先輩の清水と内海の住む独身寮に住むことになる.
益田は工場勤務は初めて,元は週刊誌の記者だった.鈴木は資格も持ち工場勤めには馴れている風だったが,殆ど誰とも話さず心も開かない.折りしも近くの街で小学生が殺される事件が起こる.ネットには,犯人はかって小学生連続殺人事件を起こした青柳ではないかとの噂が載り,益田は元妻で週刊誌記者の清美からその情報を得る.3_20190626215401
益田はかって自身が担当した青柳の事件の資料から,青柳は鈴木ではないかとの疑いを抱く.一方鈴木は,男に絡まれていた美代子を助け,付き合うようになる.同じ街のタクシー運転手・山内は,息子がかって無免許運転で3人を死亡させる事故を起こした事件の重荷を背負って生きている.かって少年院で青柳を担当していた白石弥生は,退院以来行方が分からなかった青柳から,会いたいとの連絡を受ける….
益田,鈴木(青柳),美代子,山内,白石がそれぞれ抱える問題を交錯させながら,贖罪・更正・家族というキーワードに沿って展開する群像劇.シリアスなテーマを扱っている力作,緊張感高く間断することのない展開は見応え充分.
但し群像劇としてはバランスが偏っていて,白石弥生と娘のエピソードは全体のテーマに沿ってはいるが蛇足の感を免れ得ない.またエピローグで各エピソードがそれなりの落着となる予兆が示されるが,それまでの悲惨で救いのない物語は,なかなか辛いものがある.4_20190626215401
俳優では瑛太がこの人にしかできない怪演,生田斗真も熱演している.脇を固める俳優達もベテラン揃いで,安心してドラマを追うことができる.
★★★☆(★5個が満点)
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2019/06/23

番外:独断的歌舞伎感想文:6月大歌舞伎 昼の部 壽式三番叟/女車引/石切梶原/封印切り

日記:2019年6月某日
歌舞伎座で「6月大歌舞伎 昼の部」を見る.Kabukiza_1906_h_078892e47b8b1d9b7fb605e2
「一、寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう) 松本幸四郎・尾上松也 三番叟相勤め申し候」.出演:三番叟(幸四郎),三番叟(松也),千歳(松江),翁(東蔵).「二、女車引(おんなくるまびき)」.出演:千代(魁春),八重(児太郎),春(雀右衛門).「三、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり) 鶴ヶ岡八幡社頭の場」.出演:梶原平三景時(吉右衛門),大庭三郎(又五郎),俣野五郎(歌昇),梢(米吉),大名山口十郎(桂三),同 川島八平(松江),同 岡崎将監(種之助),同 森村兵衛(鷹之資),囚人剣菱呑助(吉之丞),奴萬平(錦之助),青貝師六郎太夫(歌六).「四、恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい) 封印切」.出演:亀屋忠兵衛(仁左衛門),傾城梅川(孝太郎),丹波屋八右衛門(愛之助),阿波の大尽(由次郎),槌屋治右衛門(彌十郎),井筒屋おえん(秀太郎).
式三番叟は男性の,女車引は女性のそれぞれ短い踊り.松也・幸四郎の三番叟が豪快で素晴らしい.
石切梶原は吉右衛門の定番を堪能,俣野五郎をピシッと決めつける貫禄や,六郎太夫・梢親子に対する情愛など,いちいち決まるべきところが決まって気持ちが良い.
仁左衛門の封印義理は東京では30年ぶりの出演だそうで,無論見るのは初めて.忠兵衛のおかしみに満ちた登場シーンから,八右衛門の執拗な挑発に耐えかねて封印切りに至る場面まで,目が離せない.静まりかえった場内に忠兵衛の懐から落ちる小判の音が響く,緊張感に溢れたシーンが素敵.見応えある昼の部だった.

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2019/06/18

独断的映画感想文:ちはやふる 結び

日記:2019年6月某日
映画「ちはやふる 結び」を見る.1_20190625115901
2018年.監督:小泉徳宏.
出演:広瀬すず(綾瀬千早),野村周平(真島太一),真剣佑(綿谷新),上白石萌音(大江奏),矢本悠馬(西田優征),森永悠希(駒野勉),清水尋也(須藤暁人),優希美青(花野菫),佐野勇斗(筑波秋博),清原果耶(我妻伊織),松岡茉優(若宮詩暢),賀来賢人(周防久志),松田美由紀(宮内妙子),國村隼(原田秀雄).4_20190625115901
瑞澤高校カルタ部は強豪校ながら部員は高3のみ,千早,太一等は新入生獲得に奔走する.しかし入部した筑波は実力ありながら人と折り合えない性格,菫は周平に憧れただけの経験ゼロ.
新入生指導に悪戦苦闘しながら辛くも都大会を突破した瑞澤高校.しかし太一は進学のため部を辞める.一方太一,千早の幼馴染み新は,千早達と戦うべくカルタ部を立ち上げ,全国大会に乗り込んできた.太一を魅了する名人・周防と最年少クィーン・詩暢も絡みながら始まる全国大会….5_20190625115901
カルタという分野の部活青春映画.部活青春映画は侮れない.3_20190625115901
しかも汗臭い男子だらけの野球なんぞと違って,カルタ部は男女混合.幼馴染み,高校,カルタ部,闘い,恋心というキーワードが映画を飛び交って,目が眩むようだ.原作が良く出来ているのだろうが,百人一首に関する知識の注入や,カルタ競技の紹介,カルタ部の練習風景等がバランス良く描かれ,その中で進行する千早達のドラマが程よい緊張感で進行する.
最終局面,全国大会での戦いの結末には感動した.エンタテインメントとして上質な映画,俳優では広瀬すず,松岡茉優が素晴らしい.2_20190625115901
★★★☆(★5個が満点)
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2019/06/16

番外:独断的歌舞伎感想文 歌舞伎鑑賞教室「神霊矢口渡」

日記:2019年6月某日
歌舞伎鑑賞教室「神霊矢口渡」を見る.201906kabukikanshoukyoushituomote
福内鬼外(平賀源内)作.「神霊矢口渡 (しんれいやぐちのわたし)  一幕 国立劇場美術係=美術 頓兵衛住家の場」.主な配役:渡し守頓兵衛(中村鴈治郎),娘お舟(中村壱太郎),船頭八助(中村寿治郎),傾城うてな(上村吉太朗),新田義峰(中村虎之介),下男六蔵(中村亀鶴).
神霊矢口渡の頓兵衛・お舟は,以前歌六・芝雀,橋吾・柴のぶで見た.今回は鴈治郎・壱太郎.
今回の趣向である人形振りは,無表情にきっと正面を向いた壱太郎の顔が情念を湛え,まことに魅力的.ここからクライマックスまで魅了された.
解説・歌舞伎のみかたは中村虎之助担当.Img_20190616_145429_burst001_cover

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2019/06/11

独断的映画感想文:誰もがそれを知っている

日記:2019年6月某日
ヒューマントラストシネマ有楽町で映画「誰もがそれを知っている」を見る.1_20
2018年.監督:アスガー・ファルハディ.
出演:ハビエル・バルデム(パコ),ペネロペ・クルス(ラウラ),リカルド・ダリン(アレハンドロ),エドゥアルド・フェルナンデス(フェルナンド),バルバラ・レニー(ベア),インマ・クエスタ(アナ),エルビラ・ミンゲス(マリアナ),ラモン・バレア(アントニオ),カルラ・カンプラ(イレーネ),サラ・サラモ(ロシオ).4_17
妹アナの結婚式に,アルゼンチンに住んでいる姉ラウラが娘・イレーネ,その弟・ディアゴと共にスペインの実家に帰ってくる.かっての恋人パコと再会するが,パコはラウラから買い取った土地を立派なワイン農場に育て上げ,美しい妻と共に暮らしている.
結婚式の晩,16歳のイレーネは奔放にはしゃぎ廻っていたが,急に眠くなったと言って寝室で休むことに.その後雨の中停電が起こるが,パコが自家発電装置を担ぎ込んで披露宴は無事終わる.ところがそのさなかにイレーネは寝室から忽然と姿を消す.更にラウラの携帯に犯人からの脅迫が届き,ベッドには近年の少女誘拐殺人事件の切り抜きが置かれていた.6_8
ラウラは警察に通報する決断がつかず,アルゼンチンから急遽夫・アレハンドロがやって来る.犯人からは続いて巨額の身代金の要求が届く.パコは時間稼ぎのため,自身の農場を売る商談を共同経営者に持ちかけるが,ラウラは現実にパコ以外に金を出せる者はいない状況に,ある決意をする….5_13  
思いがけない誘拐事件に直面した家族の状況.
父アントニオは博打で失敗し,土地をかっての使用人に売る羽目になったらしい.パコも元来はアントニオの使用人の息子だった.兄フェルナンドは店を開いているが,ローンを抱えて苦しい家計.アレハンドロは実業家と称しているが,この2年間失業している.何故同じ部屋にいた幼児ディアゴではなく,イレーネが誘拐されたのか.映画はこの様な事情を次々に明らかにし,物語は重苦しい緊張感の中進行する.3_17  
俳優はいずれも良いが,ハビエル・バルデム,ペネロペ・クルス,リカルド・ダリンの3名が圧倒的な存在感.ハビエル・バルデムは思わぬ運命に直面した男の苦悩を淡々と演じる.映画の題名は,登場人物の最大の秘密を,当事者以外のみんなが知っているという皮肉な状況を指している.ラストシーンで,かすかに微笑んで横たわるパコのシーンが印象的だ.
映像も美しい重厚なドラマ,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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2019/06/07

独断的映画感想文:ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男

日記:2019年6月某日
映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」を見る.1_19
2017年.監督:ジョー・ライト.
出演:ゲイリー・オールドマン(ウィンストン・チャーチル),クリスティン・スコット・トーマス(クレメンティーン・チャーチル),リリー・ジェームズ(エリザベス・レイトン),スティーヴン・ディレイン(ハリファックス子爵),ロナルド・ピックアップ(ネヴィル・チェンバレン),ベン・メンデルソーン(国王ジョージ6世).3_16
多少ネタバレがあります,注意.
1940年5月10日,ナチスドイツに対する北欧での闘いで劣勢となり支持を失った英首相・チェンバレンは,後任の首相にチャーチルを指名する.チャーチルは労働党も参加する5名からなる戦時内閣を組織,しかし保守党から参加のチェンバレン,ハリファクスはいずれも,対独徹底抗戦を主張するチャーチルに反対していた.
この日ドイツはオランダ・ベルギーに侵攻,ついでフランス国境を突破する.チャーチルは国会とラジオ演説で,対仏支援を行い勝利を目指すことを強調するが,日を追って戦況は悪化,フランス派遣の英国部隊40万はダンケルクに追い詰められる.チャーチルはダンケルクを支援するため,カレーの守備隊4000人に徹底抗戦を命令すると同時に,ダンケルクの将兵の撤退を模索するが,ドイツ制空権下の救出作戦の目途は立たない.2_18
ここに至ってドイツの英国侵攻の怖れが強まり,国王のカナダ亡命が計画される事態となる.ハリファクスは対独和平交渉の採用をチャーチルに迫り,遂にチャーチルはハリファクスに交渉仲介国イタリアとの接触を認めるが….4_16  
1940年5月9日から5月27日に至る,チャーチルの活動を追った伝記ドラマ.英国とチャーチルがぎりぎりまで追い詰められたこの時(原題はDARKEST HOUR),チャーチルが如何に勇気を奮い起こし自信を回復することができたか,を記述する.
チャーチルを演じたゲイリー・オールドマンが素晴らしい.辻一弘がアカデミー賞を獲得した特殊メイクで全く相貌の変わったオールドマンが,チャーチルの変転する心理を演じて見応えあり.またチャーチルを叱咤激励する夫人・クレメンティンを演じたクリスティン・スコット・トーマスも存在感があって素敵.5_12
チャーチルの矛盾に満ちた人物像は面白いが,彼が地下鉄で人々と意見を交わすという筋書は,いささか嘘くさかった.但し,戦時内閣で孤立したチャーチルが,閣外閣僚と議会を相手に熱弁をふるい圧倒的支持を獲得するラストシーンは迫力あり.見て損はない.
★★★★(★5個が満点)
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2019/06/04

独断的映画感想文:主戦場

日記:2019年6月某日
渋谷のシアター・イメージフォーラムで映画「主戦場」を見る.1_18

2018年.監督・製作・脚本・撮影・編集・ナレーション:ミキ・デザキ.製作:モモコ・ハタ.音楽:マサタカ・オダカ.
ユーチューバー出身の監督が,日韓のみならずアメリカをも巻き込んで進む慰安婦問題の論争を描く,長編ドキュメンタリー.登場人物は日本の右派・左派(こういう言い方は好きではないが,この映画の扱いに沿って便宜的にこう呼ぶ)の各論客・運動家・元日本軍兵士,韓国の元慰安婦の娘・支援者・学者,アメリカの元慰安婦支援者・その反対派等々.
こういう人々へのインタビューと街頭インタビューやニュース映像,新聞や公文書のコピーが軽快なテンポで次々に画面に映し出される.映画は監督が当初抱いた疑問に沿って,元在特会の山本優美子氏のインタビューからスタート,その主張の展開や反対派側からの反論という具合に,次はそこが知りたいというポイントが小気味良く映像として現れる.
監督は最終的にはこの問題が,安倍政権とその背後にある日本会議に関わることを示唆して映画を終え,自身の懸念するところを明らかにする.そういう意味ではこの映画は「公平な立場」という立ち位置にないことはあきらかだ.3_15

この映画については,5月30日に右派論客7名(櫻井よしこ氏,ケント・ギルバート氏,トニー・マラーノ氏,加瀬英明氏,山本優美子氏,藤岡信勝氏,藤木俊一氏)が抗議声明を出すといった「場外乱闘」の状況が発生しているが,右派論客の主張のみが揶揄されたり切り取りされたりといった印象は基本的にない.4_15
慰安婦問題は重大な問題であると同時に,極めて政治的であり,感情を伴うものであり,倫理と差別とに関わる問題である.そのことはこの映画のインタビューを通じ自ずから明らかになる.この映画の魅力は,そういう力を持ったドキュメントであることに尽きるであろう.単調だが力強い音楽も素晴らしい.ドキュメント映画として充分な見応えあり. 
★★★★(★5個が満点).
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2019/05/25

独断的映画感想文:のみとり侍

日記:2019年5月某日
映画「のみとり侍」を見る.1_17
2018年.監督:鶴橋康夫.
出演:阿部寛(小林寛之進),寺島しのぶ(おみね/千鶴),豊川悦司(清兵衛),斎藤工(佐伯友之介),前田敦子(おちえ),風間杜夫(甚兵衛),大竹しのぶ(お鈴),松重豊(牧野備前守忠精),桂文枝(田沼意次).2_16
徳川家治の治世,田沼意次が老中を務めた時代.長岡藩の勘定方吟味役・寛之進は,和歌の会で藩主・牧野備前守忠精の作が良寛の和歌とそっくりと指摘したため逆鱗に触れ,禄を失いのみとり侍に左遷されてしまう.
止むなく猫の蚤とりの親方・甚兵衛のもとに転げ込むが,曰くありげな寛之進を仇討ちのため身をやつす浪人と勝手に勘違いした甚兵衛夫妻は,のみとりの初歩から手ほどきし長屋の世話もしてくれる.3_14
のみとりの実態は女性に買われる“添寝業”だった.初日に声をかけてきた女性おみねは,亡妻・千鶴に瓜二つの囲われもの,しかしおみねに「下手くそ」と罵倒された寛之進はすっかり自信を失ってしまう.4_14
一方街で寛之進に助けられた清兵衛は,恐妻家の浮気者.清兵衛が浮気の手助けを頼んできたのに対し,寛之進は愛の手管を教えてもらおうとするが….
何とも奇妙な設定の時代劇コメディ.実力派の俳優達が真面目に取り組んでいる前半は見応えあり.清兵衛と愛人や寛之進とおみねの濡れ場も,おおらかで美しい.まあ寛之進がこの稼業に真面目に取り組んで,成果を出してしまう辺りがおかしいし,寛之進を買う山村紅葉のシーン等面白い場面もあった.5_11
ただ,終盤に向けて大団円に雪崩れ込んでいく筋書は,何とも御都合主義の平凡な展開で,いささかがっかり.後半はやや腰砕けの感がありました.
★★★(★5個が満点)
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2019/05/21

独断的映画感想文:パターソン

日記:2019年5月某日
映画「パターソン」を見る.1_16
2016年.監督:ジム・ジャームッシュ.
出演:アダム・ドライヴァー(パターソン),ゴルシフテ・ファラハニ(ローラ),バリー・シャバカ・ヘンリー (ドク),クリフ・スミス(メソッド・マン),チェイセン・ハーモン(マリー),ウィリアム・ジャクソン・ハーパー(エヴェレット),永瀬正敏(日本の詩人),ネリ(マーヴィン).2_15
ニュージャージー州パターソン市に住む市と同名のパターソンは,市バスの運転手.小さな家に恋人ローラと愛犬マーヴィンと暮らしている.
目覚ましが無くても6時過ぎには起きるパターソン,ローラはその朝見た夢を呟いてまた寝てしまう.パターソンは一人でシリアルの朝食を食べ,ローラの作っておいた弁当を持って出勤し,一日中バスを運転する.今朝はローラが双子を授かった夢を見たと言ったので,街は双子だらけの様に見える.仕事が終わって帰宅後は,マーヴィンを連れて散歩に出るが,途中でマーヴィンを待たせ,バーでビールを飲むのが日課.3_13
一方ローラは白と黒を基調としたアートで家中を飾る.ローラの夢は白と黒に塗ったギターを持って歌手デビューすることだ.一方パターソンは秘密のノートに毎日できた詩を書き付けている.ローラは詩のコピーを取り,詩人としてデビューする様説得するのだが….5_10
映画は特にドラマチックなことが起きる訳でもなく,控えめなユーモアと日常的な事件の積み重ねで進行する.主人公ら3人に加え,バーの常連の双子サムとデイブや,バーを仕切っているが奥さんには全く頭の上がらないドク,バーでしょっちゅう別れ話で喧嘩しているマリーとエヴェレット等,登場人物が面白い.
詩人パターソンが書き付ける詩もなかなかに素敵.
特筆すべきはブルドッグのマーヴィンを演じたネリで,達者な演技で2016年のカンヌ映画祭パルムドッグ賞を受賞した.惜しくも彼女は同年癌で死去し,映画は彼女に捧げられている.4_13
映画はパターソンの日常を描写していくが,パターソンの詩の朗読によって,描かれる街が様々な断面を示していく点が,この映画の面白さ.映画らしい映画である.
★★★☆(★5個が満点).
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2019/05/18

独断的映画感想文:女神の見えざる手

日記:2019年5月某日
映画「女神の見えざる手」を見る.1_15
2016年.監督:ジョン・マッデン.
出演:ジェシカ・チャステイン(エリザベス・スローン),マーク・ストロング(ロドルフォ・シュミット),ググ・ンバータ=ロー(エズメ・マヌチャリアン),アリソン・ピル(ジェーン・モロイ),マイケル・スタールバーグ(パット・コナーズ),ジェイク・レイシー(フォード),サム・ウォーターストン(ジョージ・デュポン),ジョン・リスゴー(スパーリング上院議員),デヴィッド・ウィルソン・バーンズ(ダニエル・ポスナー).5_9
大手ロビー会社「コール=クラヴィッツ&W」に働くスローンは,数々の実績を挙げてきた凄腕のロビイスト.ある日銃擁護団体から,新しい銃規制法案成立阻止の依頼を受ける.
ところがスローンはこれを拒否,自分の部下を率いて新興ロビー会社のシュミットのもとに移籍する.しかし彼女の右腕ジェーンだけは移籍に加わらなかった.
スローンは戦略的な活動を実施,劣勢だった銃規制派は急速に盛り返す.更にスローンはこれまで議論の圏外に居た女性票を狙い,女性ボランティア団体を組織して膨大な献金を確保すると共に,スタッフのエズメが銃による殺人の遺児であることを公にしてキャンペーンを張る.3_12
ところがエズメが暴漢の襲撃を受け,銃を正規に所持していた市民に暴漢が射殺されると,銃擁護団体は一気に反撃に出る.更に彼等はスローン個人を焦点に,スローンの過去のロビー活動の違法性を公聴会で審問する準備を整えた….4_12
法案成立か阻止かを巡るロビイスト達の,合法非合法織り交ぜた熾烈な闘いを描くポリティカルサスペンス.終盤,スローンの個人攻撃に焦点を絞った銃擁護派は,スローンの過去の活動の違法行為の証拠をジェーンの協力で押さえ,いよいよ公聴会の最終日となる.2_14
スローンの公聴会に衆目が集まり,銃規制法案の行方には既に誰も関心を持たない.この状況からスローンは如何に脱出し,更に巻き返しを図ることが可能か?このあとのスローンの捨て身の反撃がこの映画の醍醐味.
ポリティカルサスペンスとは言え,殆ど正統派ミステリーに近いどんでん返しである.映像も青に偏った色調で緊張感ある画面を維持し,まことに魅力的.出演者の早口の情報のやり取りについていくのは大変だが,見応えある映画.
★★★★(★5個が満点)
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2019/05/17

独断的映画感想文:ガルヴェストン

日記:2019年5月某日
新宿のシネマカリテで映画「ガルヴェストン」を見る.1_14
2018年.監督:メラニー・ロラン.
出演:ベン・フォスター(ロイ),エル・ファニング(ロッキー),ロバート・アラマヨ(トレイ),マリア・バルベルデ(カルメン),CK・マクファーランド(ナンシー),ボー・ブリッジス(スタン).5_8
故郷を捨て裏社会で生きてきたロイがその日,ボスの勧めで行った病院で見せられたのは,まるで雪が舞うように白くモヤがかかった自分の肺のレントゲン写真だった.命の終りが近いことを悟った彼は「どうせクソみたいな人生だ.死ぬならそれも仕方ない」そう自分に言い聞かせる.だが死への恐怖は彼を追い込み,苛立たせてゆく.
その夜いつものようにボスに命じられるまま向かった“仕事先”で,ロイは突然何者かに襲われる.組織に切り捨てられたことを知った彼は,とっさに相手を撃ち殺し,その場に囚われていた若い女を連れて逃亡する.彼女の名前はロッキー.家をとびだし,行くあてもなく身体を売って生活していたという.組織は確実に2人を追ってくるだろう.全てを失い孤独な平穏を願いながらも女を見捨てることのできないロイと,他に頼る者もなく孤独な未来を恐れるロッキー.傷だらけの2人の,果てなき逃避行が幕を開ける(公式サイトのストーリー).4_11
映画の冒頭は1988年ハリケーン下のニューオーリンズ.逃亡先に選んだのはそこから西へ600キロ程離れたガルヴェストン,ヒューストンの沖に浮かぶ島の街だ.
ところがロッキーはその手前のオレンジ郡で自宅に立ち寄る様ロイに依頼,継父を撃って幼い妹を連れ飛び出してくる.いずれも追われる身となった2人は,ガルヴェストンのモーテルでようやく落ち着いた日々を迎えるが….
希望と絶望,諦念に彩られた2人の僅かなやすらぎの日々.観客はしかしこの物語の結末がどうなるか,息を呑んで見守っている.
悲劇的な展開は予想通り,しかし2つのどんでん返しが映画の最後に控えていた.20年後再びハリケーンに見舞われるニューオーリンズ,哀切だが癒されるエピローグが印象に残る.6_5
主演二人が素晴らしい.ベン・フォスターはいかにもやくざな暮らしをしてきた男らしく,しかし死を前に悪ぶらないロイを好演.エル・ファニングは希望と絶望に翻弄される若いロッキーを,透明感ある美貌で演じる.モーテルの女主人のCK・マクファーランドも素敵.
監督は「イングロリアス・バスターズ」,「オーケストラ!」のヒロインを演じたメラニー・ロラン.才女ですな.
★★★★(★5個が満点)

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2019/05/11

番外:独断的歌舞伎感想文 團菊祭5月大歌舞伎 夜の部 鶴寿千歳/絵本牛若丸/京鹿子娘道成寺/御所五郎蔵

日記:2019年5月某日
歌舞伎座で「團菊祭5月大歌舞伎 夜の部」を見る.Img_2895
岡鬼太郎 作.「一、鶴寿千歳(かくじゅせんざい)」.出演:雌鶴(時蔵),雄鶴(松緑).
村上元三 脚本,今井豊茂 補綴.「二、絵本牛若丸(えほんうしわかまる) 七代目尾上丑之助初舞台」.出演:牛若丸(初舞台丑之助),御厩鬼三太(菊之助),鬼一法眼(吉右衛門),吉岡鬼次郎(菊五郎),左團次,片岡亀蔵,時蔵,雀右衛門,松緑,海老蔵,菊五郎劇団出演.
「三、京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ) 道行より鐘入りまで」.出演:白拍子花子(菊之助).
河竹黙阿弥作.「四、曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ) 御所五郎蔵」.出演:御所五郎蔵(松也),傾城皐月(梅枝),傾城逢州(尾上右近),星影土右衛門(彦三郎).
鶴寿千歳は昭和天皇即位を祝った舞踊の再演.
絵本牛若丸は,菊五郎劇団の御曹司の襲名初舞台とあって,父親はもとより祖父2名もにこやかに出張って,微笑ましい舞台.丑之助は5歳ながら殺陣や六方をこなして将来が楽しみ.といってもこの子が成人したときはこちらは83,4だもんな.Img_2894
娘道成寺は菊之助が大曲を艶やかに美しく踊り,満喫した.所化が若手御曹司達で,こちらの品定めも面白い.
御所五郎蔵は,若手中心.五郎蔵の松也が役に合って共感できる.仁左衛門で以前見たときはそのあまりの格好良さに引き込まれたが,松也は悲愴美が前面に出て印象的だった.梅枝の皐月,右近の逢州も素敵.見応えある狂言であった.

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2019/05/05

番外:独断的歌舞伎感想文 團菊祭5月大歌舞伎 昼の部 寿曽我対面/勧進帳/め組の喧嘩

日記:2019年5月5日
「團菊祭5月大歌舞伎 昼の部」を見る.Kabukiza1905h_3eef5efbd78ed4c7e2b90f585b
「一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」.出演:工藤祐経(松緑),曽我十郎(梅枝),曽我五郎(萬太郎),大磯の虎(尾上右近),化粧坂少将(米吉),小林朝比奈(歌昇),鬼王新左衛門(坂東亀蔵).
「二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)」.出演:武蔵坊弁慶(海老蔵),源義経(菊之助),亀井六郎(右團次),片岡八郎(九團次),駿河次郎(廣松),常陸坊海尊(市蔵),富樫左衛門(松緑).竹柴其水 作.
「三、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ) め組の喧嘩:品川島崎楼より 神明末社裏まで」.出演:め組辰五郎(菊五郎),女房お仲(時蔵),尾花屋女房おくら(雀右衛門),柴井町藤松(菊之助),おもちゃの文次(彦三郎),御輿岳芳五郎(片岡亀蔵),宇田川町長次郎(権十郎),島崎楼女将おなみ(萬次郎),露月町亀右衛門(團蔵),九竜山浪右衛門(又五郎),焚出し喜三郎(歌六),江戸座喜太郎(楽善),四ツ車大八(左團次).
寿曽我対面は若々しい配役で,梅枝・萬太郎の萬屋兄弟が十郎・五郎.右近・米吉の女形も美しい.
勧進帳は海老蔵・菊之助の弁慶・義経で幕見は立ち見が出る人気,松緑の富樫も良かった.
め組の喧嘩は自分の苦手な演目である.そもそも当の喧嘩が,仕返しをしなけりゃ男が廃るという程の事情は全く見当たらない.それを組中でいきり立って女房・息子までが煽り立て,私事の喧嘩に鳶口や果ては纏まで持ち出し,挙げ句に半鐘まで鳴らす.沙汰の限りである.要するに作者も観客も喧嘩が死ぬ程好きだったというだけのこと.しかしいざ喧嘩ということになって,皆で水杯を交わし押し出すとなると,つい舞台に引き込まれてしまう.右近・左近が生きの良い演技を見せて印象的.亀三郎の子役が達者で感心した.

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2019/05/04

独断的映画感想文:ふきげんな過去

日記:2019年5月某日
映画「ふきげんな過去」を見る.2_12
2016年.監督:前田司郎.
出演:小泉今日子(未来子),二階堂ふみ(果子),高良健吾(康則),山田望叶(カナ),兵藤公美(サトエ),梅沢昌代(サチ),板尾創路(タイチ).
果子は不機嫌な日常を過ごす高校生.今日も「海苔の本田屋の嫁」が子供をワニに喰われたと主張する運河を眺め暮らす.母サトエは年の離れた新生児の妹を育てているが,未だ名前すらつけていない.父は右手の指2本が欠損していて,無為な生活を過ごしている.1_13
一家は「エジプト風マメ料理」の飲み屋を営んでいる.ところがそこへ18年前に死んだ筈の伯母・未来子が突然姿を現す.爆弾作りに精を出し,爆破事件を起こして姿をくらました伯母は既に死んだ筈で戸籍もない.父の指も爆弾で失ったものらしい.
未来子はその日から果子の部屋に同居して暮らし始め,果子の苛々は頂点に達するが,未来子はある晩,爆弾に必要な硝石を取りに行こうと果子を誘う….3_10
退屈な現在に苛立つ果子に訪れた,突然の新しい未来が巻き起こす一夏の出来事.この一家のマメの皮を剥きながらの会話がとにかく違和感だらけで,そこに苛々で弾けそうな果子が加わる画面が基本的に面白い.
死んだ筈でしかもなお爆弾作りを続ける(殆ど楽しんでいると言って良い)未来子の登場で,映画は更に突き抜ける(こういうシチュエーションの小泉今日子ははまり役である).未来子,果子,カナ(果子の従姉妹)が,硝石取りに夜の運河を漕ぎ下っていくシーンはなかなか美しい.
映画の最後,「海苔の本田屋の嫁」が子供をワニに喰われた件の思いがけない展開が秀逸,そのシーンの果子の表情が印象的だ.未来の上から目線と過去の不機嫌が映画のテーマらしいが,面白い映画.
★★★☆(★5個が満点)4_10

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2019/05/02

独断的映画感想文:しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス

日記:2019年5月某日
映画「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」を見る.1_11 2016年.監督:アシュリング・ウォルシュ.
出演:サリー・ホーキンス(モード・ルイス),イーサン・ホーク(エベレット・ルイス),カリ・マチェット(サンドラ),ガブリエル・ローズ(アイダ).3_8 実在のカナダ東部ノバスコシア州の画家:モード・ルイスの生涯を描く.
モードは若年性リューマチを患い若くして両親を亡くす.叔母のもとに身を寄せていたが,束縛が厳しく厄介者扱いするアイダ叔母さんからの独立を願っていた. たまたま或る日住み込み家政婦募集の掲示を見たモードは,雇い主エベレットのもとで働くことを決意する.
エベレットは孤児院育ちで学問もなく,町外れの小さな家に住む乱暴者.まるでタイプの違う二人はことある毎に衝突するが,やがて落ち着いてくると,モードは僅かな給金で絵の具を買い家に絵を書き始める.また,魚の卸をするエベレットの為に伝票を記録し始めるが,その伝票カードの裏にも絵を書く.2_10 やがてその絵は近隣の評判を呼び,その絵を金を出して買いたいというお客が現れ始めた….
身体が弱くリュウマチのため手足の動きが不自由なモードは,しかし自由を愛する聡明な女性.女性に支配的であろうとするが,実は善良で絵を好みモードを心から愛する様になるエベレット.両者を演じるサリー・ホーキンスとイーサン・ホークが素晴らしい.6_3 遂に二人が結婚式を挙げたとき,恥ずかしそうに微笑むモードと,居心地悪そうにしているが二人きりになるとモードを抱きしめるエベレットのこのシーンは忘れがたい.特にサリー・ホーキンスの極めて丁寧なモードの演じ方は感銘的.8 身体が不自由なモードと口下手なエベレット,しかし彼等の魂の深さは誰よりも優っていただろうと思われる.そのことを表現し得た映画,ギターを主としたマイケル・ティミンズの音楽も素晴らしい.一見の価値あり.

★★★★(★5個が満点).

7

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2019/04/18

番外・独断的歌舞伎感想文:4月大歌舞伎夜の部 黒塚

日記:2019年4月某日57503272_3481878361932809_18918386003125

歌舞伎座で「4月大歌舞伎夜の部 黒塚」を幕見で見る.

猿翁十種の内.「黒塚(くろづか)」.出演:老女岩手実は安達原の鬼女(猿之助),山伏大和坊(種之助),山伏讃岐坊(鷹之資),強力太郎吾(猿弥),阿闍梨祐慶(錦之助).

安達ヶ原の鬼女伝説による能の「黒塚」が原曲,昭和14年初代市川猿翁初演の新舞踊劇.安達ヶ原に住む老女岩手は実は鬼女.一夜の宿を貸した阿闍梨に仏に帰依すれば救われると聞き,心の闇が晴れたとススキの原で踊る岩手.しかし禁を犯して奥の部屋を覗いた強力は死骸の山を見つけ,正体を悟られた岩手は鬼女の正体を現す.

猿之助始め出演者充実の舞台.猿之助の踊りはまことに美しい.ぎごちない老女の踊りがいつしか童女の様なやわらかな踊りとなる.月の影を踏みながら踊る場面は,月下の薄の原の舞台装置も美しく,魅了された.そして強力と出会って鬼女の正体を覗かせる瞬間の恐ろしさ・哀しさ,息をつくのも忘れて舞台に引き込まれる.

音楽も琴を交えた長唄連中が素晴らしく,終盤の大薩摩の連れ弾きも魅力的.1時間15分の踊りだが,一気に見た感じだ.

 

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2019/04/17

独断的映画感想文:ブラック・クランズマン

日記:2019年4月某日

映画「ブラック・クランズマン」を見る.1_12

2018年.監督:スパイク・リー.

出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン(ロン・ストールワース),アダム・ドライヴァー(フリップ・ジマーマン),ローラ・ハリアー(パトリス・デュマス),トファー・グレイス(デビッド・デューク),コーリー・ホーキンズ(クワメ・トゥーレ),ライアン・エッゴールド(ウォルター・ブリーチウェイ),ヤスペル・ペーコネン(フェリックス),アシュリー・アトキンソン(コニー),ポール・ウォルター・ハウザー(アイヴァンホー).2_11

1970年代前半,コロラド州コロラドスプリングス警察署初の黒人警官となったロンは,潜入捜査担当を命じられる.黒人大学生組織が開催したブラックパンサー党の演説会に潜入したロンは,主催者のローラと知り合う.

他方,ロンは新聞広告に掲載されていた過激な白人至上主義団体KKK<クー・クラックス・クラン>のメンバー募集に電話をかけ黒人差別をアピール,幹部から採用面接に来る様誘われる.ロンは同僚のユダヤ人刑事・フリップを説き伏せ,フリップが面接を受けまんまと会員になることに成功する.3_9

かくてロンは電話で,フリップは参加して,黒人とユダヤ人排撃のKKKの内部捜査を進めることになる.KKK内部の過激派フェリックス夫妻はローラ等黒人活動家への爆弾テロを計画,一方ロンはコロラドにやって来るKKKの幹部デュークの警護担当を命じられるが….

コメディと称しているが,スパイク・リー監督らしい尖った作品.終盤のスリリングな展開は結構面白いし,ロンとローラの今後が予断を許さないものであることを暗示するラストシーンも印象的.エピローグもアメリカの現状を反映したイタい映像で締めくくられ,スパイク・リー監督の現代を見る眼差しを感じる.5_6

ジョン・デヴィッド・ワシントンの父デンゼル・ワシントンは26年前,この監督で「マルコムX」を撮ったが,本作冒頭のブラックパンサー党・ストークリー・カーマイケルのアジテーションに,「マルコムX」のそれを思い出した.

本作は設定が奇想天外でそれ自体がコメディと思えるが,後味はいささか苦い映画,見て損はなし.

★★★☆(★5個が満点).

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2019/04/07

番外:独断的歌舞伎感想文 4月大歌舞伎 昼の部 平成代名残絵巻/新版歌祭文 座摩社・野崎村/寿栄藤末廣/御存 鈴ヶ森

日記:2019年4月某日
歌舞伎「4月大歌舞伎 昼の部 平成代名残絵巻/新版歌祭文 座摩社・野崎村/寿栄藤末廣/御存 鈴ヶ森」を見る.Kabukiza_201904_fff_1a1f449660a35dde674d
今井豊茂 作,藤間勘十郎 演出・振付.「一、平成代名残絵巻(おさまるみよなごりのえまき)」.出演:常盤御前(福助),藤原基房(権十郎),平宗盛(男女蔵),平知盛(巳之助),平徳子(壱太郎),遮那王(児太郎),左源太(男寅),平重衡(吉之丞),右源太(竹松),平時子(笑三郎),建春門院滋子(笑也),鎌田正近(市蔵),平宗清(彌十郎).「二、新版歌祭文(しんぱんうたざいもん) 座摩社 野崎村」.出演:〈座摩社〉油屋娘お染(雀右衛門),丁稚久松(錦之助),弥忠太(家橘),勘六(寿治郎),山伏法印(松之助),山家屋佐四郎(門之助),手代小助(又五郎).〈野崎村〉久作娘お光(時蔵),油屋娘お染(雀右衛門),丁稚久松(錦之助),手代小助(又五郎),百姓久作(歌六),後家お常(秀太郎).坂田藤十郎米寿記念.「三、寿栄藤末廣(さかえことほぐふじのすえひろ) 鶴亀」.出演:女帝(藤十郎),亀(猿之助),従者(歌昇),従者(壱太郎),従者(種之助),従者(米吉),従者(児太郎),従者(亀鶴),鶴(鴈治郎).四世鶴屋南北 作.「四、御存 鈴ヶ森 (ごぞんじすずがもり)」.出演:白井権八(菊五郎),東海の勘蔵(左團次),飛脚早助(又五郎),北海の熊六(楽善),幡随院長兵衛(吉右衛門).Tokubetsu1904_kichiemon
4月らしい豪華な顔合わせ.平成代名残絵巻と寿栄藤末廣は華麗な舞踊劇,それぞれ福助と藤十郎が元気で顔を出しているのが嬉しい.若手の踊りも綺麗で華やか.前者では巳之助・壱太郎の両花道での踊りが素敵,久しぶりに柴のぶちゃんも見られた.Tokubetsu1904_kikugoro
座摩社・野崎村はベテランの芝居,この2幕を通すことでお染・久松の野崎村に至る経過が分かる.また野崎村では,両花道に別れたお染の船・久松の駕籠が,駕籠かきの棒杖の拍子・竹本の連れ弾きに合わせ去って行く場面は面白い.
鈴ヶ森は大ベテランの芝居.菊五郎・吉右衛門の名台詞で昼の部を締める形となって,なかなかの見応え.
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2019/04/05

独断的映画感想文:娼年

日記:2019年4月某日
映画「娼年」を見る.1_9
2017年.監督:三浦大輔.
出演:松坂桃李(森中領),真飛聖(御堂静香),冨手麻妙(咲良),猪塚健太(平戸東),小柳友(田島進也),西岡徳馬(泉川),江波杏子(老女).
森中領は一流大学に入りながら大学生活に興味が持てず,バーテンダーのバイトに精を出す虚無的な生活を送っている.ふとしたことで知り合った御堂靜香に娼夫としてスカウトされ,セックステストを受けることになるが,相手は靜香の娘・咲良だった.2_8
咲良相手のセックスで辛うじて合格した領は,意外にも年上の顧客に好評で,様々な相手とのセックスに思わぬ興味を惹かれる様になる….
自分のアイデンティティを娼夫という場で見出す青年の物語.全編ほぼセックスシーンというポルノグラフと言って良い映画だが,松阪桃李の演技はそれなりに筋が通っていて映画を成立させている.真飛聖も魅力的.4_6
★★★(★5個が満点)

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独断的映画感想文:ナラタージュ

日記:2019年4月3日
映画「ナラタージュ」を見る.1_8 2017年.監督:行定勲.
出演:松本潤(葉山貴司),有村架純(工藤泉),坂口健太郎(小野怜二),瀬戸康史(宮沢慶太),市川実日子(葉山美雪),大西礼芳(山田志緒),古舘佑太郎(黒川博文),神岡実希(塚本柚子),駒木根隆介(金田伊織),金子大地(新藤慶).2_7 映画の冒頭は夜のオフィスで一人残業中の泉,外は雨である.雨を眺めて追憶にふける泉.
大学生時代の泉は,高校時代の恩師葉山の呼び出しを受け,所属していた演劇部の学園祭上演の助っ人に入ることになる.そこでやはり助っ人の一人小野怜二と出会うが,泉には葉山への断ちがたい思いがあった.大学生の泉は高校時代の葉山と自分の関係を追憶する….3_6 という訳で追憶されている本人が追憶にふけるというややこしい映画.高校卒業時に自分の思いを葉山に伝えた泉だが,葉山には別居中の妻があり泉の思いは受け止められなかった.泉はその思いを抱えたまま一旦小野怜二と付き合うが,やはり葉山のことを諦めきれない.学園祭劇の稽古が続く中泉の思いは揺れ動く….
なかなか結論の出ないぐだぐだの恋愛劇が延々と続く.140分はなんぼ何でも長すぎる.俳優は松潤の葉山先生がひどすぎて映画にならない.
舞台はどうも富山県のようだが,誰も富山弁らしい人がいないのでどこか架空の国の映画の様だ(その割にはクレジットに方言指導という人が書いてある.誰に何を指導したのか?).4_5 葉山先生が突然自分の私生活を生徒(泉)相手にしゃべったり,小野怜二の実家が突然舞台となったりするのに,泉の生い立ち・家庭状況は一切分からず,このバランスにも違和感を感じる.
共感できず映画に入り込めない.
★☆(★5個が満点)

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独断的映画感想文:ラ・ラ・ランド

日記:2019年4月某日
映画「ラ・ラ・ランド」を見る.1_10
2016年.監督:デイミアン・チャゼル.2_9
出演:ライアン・ゴズリング(セバスチャン(セブ)),エマ・ストーン(ミア),ジョン・レジェンド(キース),ローズマリー・デウィット(ローラ),ソノヤ・ミズノ(ケイトリン),J・K・シモンズ(ビル),フィン・ウィットロック(グレッグ).4_7
女優を目指すミアは,毎日オーディションを受けながらなかなか芽が出ない.或る日ピアノの音に惹かれて訪れた酒場で出会ったセブ,彼は自分の思い通りのジャズを客に聴かせる店を作る為,悪戦苦闘していた.
やがて恋に落ちた二人,ミアは一人芝居の自作自演に挑み,一方セブは不本意ながら商業主義的バンドのキーボードとして売れ始める.それぞれに挫折と将来への不安を抱く二人だったが….3_7
この映画は冒頭の,渋滞するハイウェイで見渡す限りの車のボンネット上で踊り狂う人々の,群舞のシーンにまず圧倒される.その後も狂騒的な群舞シーンが繰り返され,自分などはすっかり嫌気が差してくる頃に,ミアとセブの出会いと恋の物語がようやく始まるのだ.
ところが一旦ミアとセブの物語になると,映画はすっかり落ち着いて,歌はバラードになり,これにセブの美しいピアノ,ジャズコンボの演奏が寄り添っていく.この後は安心してドラマを楽しむことが出来る.しかもそのドラマはハッピーエンドではないほろ苦い人生のドラマだ.どうして感動しないでいられよう.5_4
楽曲としてはミアの歌う「オーディション」,ミアとセブが繰り返し歌う「シティ・オブ・スター」が素晴らしい.主演の二人は魅力充分,監督の前作「セッション」でジャズマンとしての圧倒的存在感を見せつけたJ・K・シモンズが,セブのジャズを否定する店主の役で顔を出すのはご愛敬.6_2
最後に出会った二人が,もしこうであったら別な人生が開けていただろうかという一瞬の夢を見るエピローグが,切なくて哀しい.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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2019/04/02

独断的映画感想文:天国でまた会おう

渋谷ユーロスペースで映画「天国でまた会おう」を見る.1_7 2017年.監督:アルベール・デュポンテル.原作:ピエール・ルメートル.
出演:ナウエル・ペレス・ビスカヤール(エドゥアール・ペリクール),アルベール・デュポンテル(アルベール・マイヤール),ロラン・ラフィット(プラデル),ニエル・アレストリュプ(マルセル・ペリクール),メラニー・ティエリー(ポリーヌ),エロイーズ・バルステ(ルイーズ),ジル・ガストン=ドレフュス(市長),フィリップ・ウシャン(区長),アンドレ・マルコン(憲兵),ミシェル・ヴュイエルモーズ(ジョゼフ・メルラン),キヤン・コジャンディ(デュプレ).4_4 1920年モロッコのフランス軍憲兵隊.逮捕されたアルベールの長い陳述が始まる.
1918年第1次大戦の西部戦線,休戦の指示を握りつぶしたプラデル中尉は部下に突撃を命令,アルベールはプラデルの悪事の証拠を目撃したため砲弾の穴に突き落とされ生き埋めになる.年若い戦友のエドゥアールに命を救われるが,エドゥアールは顔に重傷を負う.
野戦病院で意識を取り戻したエドゥアールは自身の顔の損傷を知り,また厳格な父に自分の画才を認められず確執があったため,自分は戦死したことにしてくれるようアルベールに懇願する.アルベールは書類をすり替え,エドゥアールは別人として生きることになる.3_5 二人はパリに戻ったが世間は復員者に冷たく,アルベールは経理係の仕事に復職できずサンドイッチマンとして糊口をしのぐ.エドゥアールは自らデザインした仮面をかぶることで自信を取り戻し,戦死者記念塔設立のデザインを請け負い,制作はしないで逃げるという詐欺で,国家に仕返しすることを考える.一方政界の実力者でもあるエドゥアールの父は,息子の死を悼み自分の街に戦死者記念塔を設立しようとするが,その娘婿にプラデル中尉が潜り込んでいた….
日本でも人気の推理小説作家ルメートル原作の映画,なかなか複雑なプロットだがテンポ良く映画は進む.
二人の戦争への思い,エドゥアールの父との確執,アルベールのプラデルへの復讐がもつれ合って進行するが,エドゥアールのバラエティ豊かな仮面の着用や,只一人エドゥアールの発する音声を言語に通訳できる少女ルイーズの登場など,物語は豊かな展開を見せる.2_6 敵役のプラデルが詐欺師としての二人を次第に追い詰めていく過程や,終盤の悲劇的な経過は見応えあり.最後のどんでん返しは,ルメートルならではと思わせる.見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
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2019/03/31

独断的映画感想文:ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

日記:2019年3月某日
映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」を見る.1_6 2017年.監督:スティーヴン・スピルバーグ.
出演:メリル・ストリープ(キャサリン・グラハム),トム・ハンクス(ベン・ブラッドリー),サラ・ポールソン(トニー・ブラッドリー),ボブ・オデンカーク(ベン・バグディキアン),トレイシー・レッツ(フリッツ・ビーブ),ブラッドリー・ウィットフォード(アーサー・パーソンズ),アリソン・ブリー(ラリー・グラハム・ウェイマウス),ブルース・グリーンウッド(ロバート・マクナマラ),マシュー・リス(ダニエル・エルズバーグ).5_3 1966年.ベトナムの前線を視察したダニエル・エルスバーグは,自身の米軍不利のレポートを上司マクナマラ国防長官が採用したにもかかわらず,対外的には米軍有利と発表したことに失望,秘密文書の外部持ち出しとコピーを始める.
一方ワシントンポストの女性社主キャサリン・グラハムは,父の死後同社を引き継いだ夫フィリップが自殺したのち1969年に同社主に就任した.1971年,彼女は役員の勧めによりポスト紙の株公開に打って出る.
この頃ニューヨーク・タイムスはベトナム秘密文書(ペンタゴン・ペーパーズ)の内容暴露の記事を発表,アイゼンハワー大統領時代から引き続いて国民を偽ってベトナム戦争を拡大してきたその内容はセンセーションを巻き起こす.ニクソン政権は直ちに機密保護法違反で記事の差し止めを命じる.
一方ポスト記者のベン・バグディキアンは旧友ダニエル・エルズバーグとの連絡に成功,ペンタゴン・ペーパーズの全文を入手,ポスト紙はその資料に基づく記事を作成し,掲載紙の発行許可をキャサリンに求める.株式公開直後のこの状況にキャサリンは決断に苦しむが….6_1 本作は報道の自由と国家のつく嘘を巡る極めてスリリングな政治ドラマである.その一方で,父と夫へのコンプレックスに苦しむ一女性の自己の確立と決意の物語でもある.
それを演じるメリル・ストリープの演技はどうだ.彼女が電話会議で掲載の最後の決断を下す場面,キャサリンの胸の動悸とあえぎが観客に聞こえてくる様である.メリル・ストリープの名演に敬礼するばかり.映画はラストシーンをニクソン政権の命運にかかわる別の事件のプロローグに繋げて終わるが,この演出も心憎い.4_3 この映画を現代の日本の新聞社は正視する勇気があるだろうか?某大新聞社の映画コラムで本作を取り上げているが,まるでエンタテインメント映画一般の取り上げ方で,我が身を省みる気配は皆無.さすがと寒心した次第であった.
★★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:探偵はBARにいる3

日記:2019年3月某日
映画「探偵はBARにいる3」を見る.1_5
2017年.監督:吉田照幸.
出演:大泉洋(探偵),松田龍平(高田),北川景子(マリ),前田敦子(諏訪麗子),鈴木砂羽(モンロー),リリー・フランキー(北城仁也),田口トモロヲ(松尾),志尊淳(波留),マギー(源),安藤玉恵(峰子),正名僕蔵(教頭先生),篠井英介(フローラ),松重豊(相田).2_4
探偵の相棒・高田から,後輩の彼女・麗子が行方不明になったので探して欲しい旨の依頼が来る.麗子のバイト先を突き止めた探偵は,そのモデル事務所実は風俗店を訪れ麗子の名前を出す.
事務所はシラを切り,翌日探偵と高田はやくざに袋だたきにされるが,事務所の女所長マリに救われる.事件はやくざ2グループ間での覚醒剤争奪と絡む殺人事件に関連し,麗子はその目撃者であることが分かる.事務所のオーナー北城が一方のやくざの頭目であることが分かるが,探偵はマリに昔会った記憶があった….5_2
札幌を舞台とする人気シリーズ3作目.全2作に比べるとB級感が弱くなり薄味になった感じが否めない本作.探偵はバーにいると言ってもそのバーの映画における存在感もまた薄い.4_2
話は一応なるほどと思ったけれど,今までのやんちゃ感は何処に行ったのか.前田敦子や志尊淳が出ている割には話への絡み方がさほどでもない.マリの犯罪動機も(あれ?これはネタバレかな?)到底通用しない話で,受け容れ難い.
その場限りの娯楽作品という感じ.3_3
★☆(★5個が満点)
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2019/03/24

番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場小劇場「元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿/積恋雪関扉」

日記:2019年3月某日
国立劇場小場で劇歌舞伎「元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿/積恋雪関扉」を見る.20190317page1
真山青果=作/真山美保=演出.「元禄忠臣蔵 (げんろくちゅうしんぐら) 二幕五場 御浜御殿綱豊卿 (おはまごてんつなとよきょう)」.伊藤熹朔=美術,中嶋八郎=美術.第一幕 御浜御殿松の茶屋 第二幕 御浜御殿綱豊卿御座の間,同 入側お廊下,同 元の御座の間,同 御能舞台の背面」.宝田寿来=作.「積恋雪関扉 (つもるこいゆきのせきのと) 常磐津連中 国立劇場美術係=美術」 .『元禄忠臣蔵』.出演:徳川綱豊卿(中村扇雀),富森助右衛門(中村歌昇),中臈お喜世(中村虎之介),新井勘解由(中村又五郎),他.『積恋雪関扉』.出演:関守関兵衛実ハ大伴黒主(尾上菊之助),良峯少将宗貞(中村萬太郎),小野小町姫/傾城墨染実ハ小町桜の精(中村梅枝).
真山青果ものは苦手である.登場人物が互いの台詞に感動してテンションが高まっていく辺りは,あまり感心しない.更に,激昂した場面で台詞が聴き取り難くなるのは残念.とは言え扇雀はさすがの落ち着きと品位で見応えあり.息子の虎之助の中臈お喜世が美しい.
積恋雪関扉は菊之助初演の関守/黒主.この日の扮装は驚く程菊五郎の若い時に似ている(様な気がする).梅枝の小町/墨染は色気があって風情があって魅力的.この二人の踊りが面白く,長丁場をだれることなく鑑賞できた.
小劇場は2回目だが,この広さの方が歌舞伎を見るのには具合が良い.
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独断的映画感想文:運び屋

日記:2019年3月某日
TOHOシネマズ新宿で映画「運び屋」を見る.6
2018年.監督:クリント・イーストウッド.出演:クリント・イーストウッド(アール・ストーン),ブラッドリー・クーパー(コリン・ベイツ),ローレンス・フィッシュバーン(DEAエージェント),マイケル・ペーニャ(トレヴィノ),ダイアン・ウィースト(メアリー),タイッサ・ファーミガ(ジニー),アリソン・イーストウッド(アイリス),アンディ・ガルシア(レイトン).
アールは退役軍人,ユリの栽培に没頭し品評会でも賞を取るが家族は顧みず,妻メアリーとは離婚し結婚式をすっぽかした娘アイリスは12年間口をきいてくれない.2_3
ところがインターネット販売に押され彼のユリ園は破産,アールは孫ジニーの婚約式で出会った若者に誘われ,荷物の運搬を引き受ける.当初はその中身を知らなかったが,ドラッグと知っても臆さず運び続けるアール.ジニーの結婚式の2次会費用をプレゼントしたり,焼失した退役軍人会館の厨房の再建費用を負担したりする.
交通違反の履歴一つなく高齢の退役軍人であるアールは,ノーマークで大量のドラッグを陸送し続けるが,やがて麻薬取締局DEAのベイツ捜査官の手が迫ってくる….
アールという人物が元気で茶目っ気たっぷり,言いたいことを言い度胸もあるというその魅力がまず楽しい.親分のレイトンは,アールが好き勝手に道を変えたり寄り道したりすることを,却って足が付かないから良いと支持するが,現場の見張り役は気が気ではない.その見張り役も,アールの車につけた盗聴器を通じて流れてくるラジオ音楽とそれに合わせて鼻歌を歌うアールの機嫌良さに,思わず一緒に歌い出すというシーンが可笑しい.3_2
アールの最大の関心事は,DEAの追及でもなければ組織の締め付けでもなく,家族の絆の再構築にある.アールがベイツ捜査官と朝の珈琲を飲みながら話すシーン(ベイツはアールが目指すホシだとはまだ気付いていない),ベイツが家族の記念日を失念していたらしいのを知ったアールが,「家族が何よりも大切だ,自分はそれに失敗した」と説教する場面は印象的.メアリーとアールの和解のシーンも感銘的だ.4_1
ドラッグが犯罪という概念をある種飛び越えたところで,アールの人生・家族との絆のドラマが展開することが面白い.イーストウッド映画らしく音楽も相変わらず良い.エンドロールで流れる「年を忘れよう」という内容の唄も魅力的.とにかくイーストウッドを見るのが楽しい,見て損はなし.1_4
★★★★☆.
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番外:独断的歌舞伎感想文 3月大歌舞伎夜の部 盛綱陣屋/雷船頭/弁天娘女男白浪

日記:2019年3月某日
3月大歌舞伎夜の部を見る.Moritsuna
「一、近江源氏先陣館 盛綱陣屋(もりつなじんや)」.出演:佐々木盛綱(仁左衛門),篝火(雀右衛門),信楽太郎(錦之助),早瀬(孝太郎),四天王(廣太郎),四天王(種之助),四天王(米吉),四天王(千之助),高綱一子小四郎(勘太郎),盛綱一子小三郎(寺嶋眞秀),竹下孫八(錦吾),伊吹藤太(猿弥),古郡新左衛門(秀調),北條時政(歌六),微妙(秀太郎),和田兵衛秀盛(左團次).「二、雷船頭(かみなりせんどう)」.出演:女船頭(猿之助),雷(弘太郎).河竹黙阿弥 作.「三、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ) 浜松屋見世先より 稲瀬川勢揃いまで」.出演:弁天小僧菊之助(幸四郎),南郷力丸(猿弥),鳶頭清次(猿之助),忠信利平(亀鶴),赤星十三郎(笑也),浜松屋伜宗之助(鷹之資),番頭与九郎(橘三郎),狼の悪次郎(錦吾),浜松屋幸兵衛(友右衛門),日本駄右衛門(白鸚).Benten
盛綱陣屋は役者が揃った中で,仁左衛門が堂々として美しく,なおかつ心理描写が判り易く印象的だ.特に偽首を見てからの自身への決意と,小四郎・篝火に対する情けが素晴らしい.この仁左衛門に応答する切腹して手負いの小四郎を演じる勘太郎が,立派な芝居.役の小四郎も演ずる勘太郎もいたいけで感動する.Img_20190323_160238
雷船頭は軽妙な踊り,猿之助の色っぽい踊りと弘太郎の愛嬌ある踊りが楽しかった.
弁天娘女男白浪は幸四郎版で.名台詞の連続で軽快な展開.

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2019/03/22

独断的映画感想文:グリーンブック

日記:2019年3月某日
TOHOシネマズ新宿で映画「グリーンブック」を見る.0
2018年.監督:ピーター・ファレリー.
出演:ヴィゴ・モーテンセン(トニー・“リップ”・バレロンガ),マハーシャラ・アリ(ドクター・ドナルド・シャーリー),リンダ・カーデリーニ(ドロレス・バレロンガ),ディミテル・D・マリノフ(オレグ),マイク・ハットン(ジョージ).
1962年のアメリカ,トニーは腕の立つ用心棒兼運転手.勤めていたN.Y.のコパカバーナが改装閉店したため,新しい職を探す.紹介されたのは黒人ジャズ演奏家ドクター・シャーリーのツアー運転手,8週間かけて南部を演奏旅行するという.渋るトニーをシャーリーは好条件で説き伏せ,2人のロードムービー・友情物語が始まる.3_1
シャーリーは幼くして才能を見出され留学したピアニスト,しかしクラシック界では黒人は受け入れられないとジャズに転身し,今はカーネギー・ホールの階上に住む成功者だ.しかし彼には南部ツアーを成功させたい理由があった.2_2
旅は様々な軋轢を含みながら始まるが,二人は次第に理解し合いうち解けて行く.トニーが車の中でのお喋りや煙草をシャーリーに押さえ込まれるシーンや,シャーリーがトニーの勧めで初めてケンタッキーフライドチキンを食べるやり取りは傑作.トニーは粗野で下品なイタリア系だが,妻を愛し仕事を選ぶしっかり者だ(失業中にマフィア系の仕事を断るシーンがある).4
何より素晴らしいのは,トニーが音楽を理解し(さすがイタリア人)アーティストに敬意を抱くことだ.最初にシャーリーのトリオの演奏を聴いた時のトニーの表情はどうだろう.トニーはアーチストにとって契約がどういうものかを理解しているし,その為に自分がするべきことも心得ている.必ずスタンウェイピアノを確保するという契約を守らせるために,トニーは身体を張るのだ.こういうことが2人の信頼を育んでいく過程を,観客は確認することが出来る.5
音楽も素晴らしい.この時代のヒット曲が矢継ぎ早に流れる一方で,ツアーの公演ではシャーリー・トリオの素晴らしいジャズを聴くことが出来る.終盤のブルースハウスで,シャーリーがショパンのエチュードイ短調をド迫力で弾いた後,ブルースマン達と繰り広げるセッションは圧巻.映画の面白さ,感動を充分味わうことの出来る好編,お勧めです.1_3
★★★★☆.
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番外:独断的歌舞伎感想文 3月大歌舞伎昼の部 女鳴神/傀儡師/傾城反魂香

日記:2019年3月某日
3月大歌舞伎昼の部を見る.Onnanarukamimin-1
「一、女鳴神(おんななるかみ)龍王ヶ峰岩屋の場」.出演:鳴神尼(孝太郎),雲野絶間之助/佐久間玄蕃盛政(鴈治郎).「二、傀儡師(かいらいし)」.出演:傀儡師(幸四郎).近松門左衛門 作.「三、傾城反魂香(けいせいはんごんこう) 近江国高嶋館の場より土佐将監閑居の場まで〈高嶋館・竹藪〉」.出演:狩野四郎二郎元信(幸四郎),不破入道道犬(猿弥),銀杏の前(米吉),長谷部雲谷(松之助),不破伴左衛門(廣太郎),宮内卿の局(笑三郎),狩野雅楽之助(鴈治郎).「同 〈土佐将監閑居〉」.出演:浮世又平後に土佐又平光起(白鸚),女房おとく(猿之助),土佐修理之助(高麗蔵),百姓庄右衛門(寿猿),将監北の方(門之助),土佐将監光信(彌十郎),狩野雅楽之助(鴈治郎).
鳴神と逆転の女鳴神は,孝太郎の程よい色気と凄みが相俟って,なかなか面白かった.特に最後の鴈治郎の押し戻しが,狂言のバランスをまさに押し戻して素晴らしい.劇場に轟き渡る鴈治郎の大音声が印象的.
傾城反魂香は,初めて見た〈高嶋館・竹藪〉の場が,虎の活躍もあって印象に残ったが,結局姫君がどうなるのかは判らず終い.〈土佐将監閑居〉の場との繋がりも腑に落ちず.
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2019/03/08

独断的映画感想文:ショーシャンクの空に

日記:2019年3月某日
映画「ショーシャンクの空に」を見る.1_3
1994年.監督:フランク・ダラボン.
出演:ティム・ロビンス(アンディ),モーガン・フリーマン(レッド (エリス・ボイド)),ウィリアム・サドラー(ヘイウッド),ボブ・ガントン(ウォーデン・サミュエル・ノートン),ジェームズ・ホイットモア(ブルックス・ヘイトレン),クランシー・ブラウン(バイロン・ハドリー),ギル・ベローズ(トミー・ウィリアムズ),マーク・ロルストン(ボッグス・ダイアモンド).5_3
銀行副頭取だった青年:アンディは妻とその愛人殺しの容疑で逮捕され,無実を主張するが終身刑の判決を受け服役する.当初は人を寄せ付けなかったアンディだが,「調達屋」のレッドとはうち解け,やがて穏やかな人柄と税務会計能力を発揮して,囚人のみならず看守からも一目置かれる存在となる.3_3
その能力を認められ図書係となるが,所長は自分の汚職の会計係として彼を使う様になる….
不条理な状況下でも自分を見失わず,希望を持ち続けたアンディの物語.
自分の能力を発揮して洗濯係から図書係,所長の会計係と処遇を改善していったアンディだが,自分の無実を証明する手掛かりが見えた時,最も残酷な運命が待っていた.それを彼は如何に突破し得たのか.
6
「希望」とは何を礎とするのかを,改めて考えさせる映画である.
ティム・ロビンス・モーガン・フリーマンの演技が素晴らしい.刑務所暮らしの彼等の日常と時折訪れる希望と絶望が間断することなく表現されて,全体のテンポも良く最後まで一気に見ることが出来る.
所長役のボブ・ガントン,看守役のクランシー・ブラウン,老懲役囚のジェームズ・ホイットモアも印象に残った.
2_3
終盤,レッドが仮釈放後バクストンで樫の木を目指すシーンでの音楽が,心に染み入って美しい.映画らしい映画,文句なし.
★★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年2月歌舞伎座昼の部 すし屋/暗闇の丑松/団子売

日記:2019年2月某日
二月大歌舞伎昼の部を見る.Kabukiza_1poster201902
「一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) すし屋」.初世尾上辰之助三十三回忌追善狂言.出演:いがみの権太(松緑),弥助実は三位中将維盛(菊之助),娘お里(梅枝),若葉の内侍(新悟),梶原の臣(吉之丞),梶原の臣(男寅),梶原の臣(玉太郎),六代君(亀三郎),弥左衛門女房おくら(橘太郎),鮓屋弥左衛門(團蔵),梶原平三景時(芝翫).「二、暗闇の丑松(くらやみのうしまつ)」.初世尾上辰之助三十三回忌追善狂言.長谷川 伸 作,村上元三 演出.出演:暗闇の丑松(菊五郎),丑松女房お米(時蔵),浪人潮止当四郎(團蔵),料理人作公(男女蔵),料理人伝公(彦三郎),料理人巳之吉(坂東亀蔵),料理人祐次(松也),建具職人熊吉(萬太郎),建具職人八五郎(巳之助),杉屋遣手おくの(梅花),湯屋番頭甚太郎(橘太郎),お米の母お熊(橘三郎),杉屋妓夫三吉(片岡亀蔵),岡っ引常松(権十郎).四郎兵衛女房お今(東蔵),四郎兵衛(左團次).「三、団子売(だんごうり)」.出演:杵造(芝翫),お臼(孝太郎).Kabukiza_2poster201902
すし屋は時代歌舞伎を演じることの難しさ(特にいがみの権太が手負いとなってから幕となるまで)をつくづく感じた.松緑は渾身の芝居で,見応えあり.
暗闇の丑松は優れた狂言だが,菊五郎の丑松は暗さや尖ったところがあまりない丑松に見えた.いつか松緑がやる丑松を見てみたい.湯屋番の橘太郎が出色の出来で面白い.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年2月歌舞伎座夜の部 熊谷陣屋/當年祝春駒/名月八幡祭

日記:2019年2月某日
二月大歌舞伎夜の部を見る.Kabukiza_201902_fff_f330feebf46a183
一、一谷嫩軍記-熊谷陣屋(くまがいじんや)」.出演:熊谷直実(吉右衛門),藤の方(雀右衛門),源義経(菊之助),亀井六郎(歌昇),片岡八郎(種之助),伊勢三郎(菊市郎),駿河次郎(菊史郎),梶原平次景高(吉之丞),堤軍次(又五郎),白毫弥陀六(歌六),相模(魁春).「二、當年祝春駒(あたるとしいわうはるこま)」.出演:工藤祐経(梅玉),曽我五郎(左近),大磯の虎(米吉),化粧坂少将(梅丸),曽我十郎(錦之助),小林朝比奈(又五郎).「三、名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)」.初世尾上辰之助三十三回忌追善狂言.池田大伍 作,池田弥三郎 演出.出演:縮屋新助(松緑),芸者美代吉(玉三郎),魚惣(歌六),船頭長吉(松江),魚惣女房お竹(梅花),美代吉母およし(歌女之丞),藤岡慶十郎(梅玉),船頭三次(仁左衛門).
熊谷陣屋は当代吉右衛門の当たり役,その素晴らしい演技を堪能した.
特に最後の場面,我が子の首を凝視した後花道を去って行く,何とも言えない哀しさ・寂しさの中にやるべきことをしたという微かな笑みを含んだ姿が,感銘的.
名月八幡祭は仁左衛門と玉三郎のお似合いの好演,松緑の狂気にいたる律儀な田舎者の追い詰められ様が,共にはまり役で見応えあり.両方の芝居で歌六の演技がこの人ならではで印象に残った.
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独断的映画感想文:金子文子と朴烈

日記:2019年2月某日
映画「金子文子と朴烈」を見る.00_2
2017年.監督:イ・ジュンイク.
出演:イ・ジェフン(朴烈(パクヨル)),チェ・ヒソ(金子文子),キム・インウ(水野錬太郎),山野内扶(布施辰治),キム・ジュンハン(立松懐清),金守珍(牧野菊之助).1_2
東京で人力車夫として生計を立てる朴烈は無政府主義者,朝鮮人を中心とした無政府主義者の結社「不逞社」の一員である.彼等が根城にする岩崎おでん屋の女給・金子文子は,朴烈の詩「犬ころ」に共感,朴烈と同棲をする.
この頃朴烈は上海から爆裂弾の購入を企図,また自作の爆裂弾も試作するが,いずれも失敗に終わる.3_2
関東大震災が起こると,朝鮮人による井戸への毒薬投入・暴動の噂が流れ,自警団による朝鮮人殺しが横行,また警察による予防検束が行われる.
朴烈・金子文子も逮捕されるが,爆裂弾購入に関与した一員が朴烈の名前を出し,また二人が「やるなら皇太子(昭和天皇裕仁)である」との考えを示したため,両名は大逆罪で起訴されることになる.これは朝鮮人虐殺の批判をかわすための,内大臣の方針でもあった.

4_2
二人は死を賭して,大逆罪裁判での弁論にその主張を訴えることを選択する….
骨太の歴史映画である.
根拠も脆弱な大逆罪起訴にあえて身を投げ入れる両名,無為な死としか見えない行為は,彼等としては命をかけた闘いである.若いアナーキスト二人の,その闘いでの生命力溢れる描写が誠に印象的だ.5_2
特にイ・ジェフン演じる朴烈,チェ・ヒソ演じる,金子文子の魅力はどうだろう.文子は裁判判決時に未だ23歳,その政治主張はいかにも生硬だが,朴烈に対する愛情のひたむきさには心を打たれる.イ・ジェフンの朴烈も素晴らしい存在感.他にキム・ジュンハン演じる立松懐清等が印象的だった.
コンチネンタルタンゴを思わせる主題歌を始め音楽も素晴らしい.映画として見応え充分,お勧めである.
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独断的映画感想文:夜明け(2019)

日記:2019年2月某日
映画「夜明け(2019)」を見る.1
2019.監督:広瀬奈々子.
出演:柳楽優弥(シンイチ/芦沢光),YOUNG DAIS(庄司大介),鈴木常吉(米山源太),堀内敬子(成田宏美),小林薫(涌井哲郎).3
映画の冒頭,夜明け前の鉄橋から花束を投げる青年.
翌朝,釣に行く途中の哲郎は川辺で倒れている青年を発見する.やもめ暮らしの哲郎はそのまま青年を連れて帰る.青年はシンイチと名乗るが,それは哲郎の8年前に交通事故死した一人息子と同じ名前だった.
哲郎は訳あり風のシンイチを家に引き取り,自分の木工所で木工を仕込むことにする.徐々に周囲に溶け込んでいくシンイチだが,シンイチには名前を偽らねばならない彼なりの事情があった.
哲郎は近々従業員の宏美と再婚同士の結婚式を控えている.哲郎はシンイチを息子同様に扱おうとするが,哲郎にも死んだ妻と息子との辛い過去があった….4
過去にトラウマを抱えた同士の疑似親子の試みがどうなるのかというヒューマンドラマ.
プロット自体には思いがけないものはない.予想される困難が出来し,予想される結末がやって来る.ラストシーンのシンイチのアップは,これから彼がどうするのか,観客に問いかけるかの様だ.
気弱で優しいシンイチを演じる柳楽優弥が見応えあり.表情も乏しく,常に囁くような声で喋るシンイチを演じて,次第にシンイチがどういう人間なのか,シンイチの苦しみは何なのかを観客に滲み込ませて行く.小林薫も矛盾ある哲郎を過不足無く演じ素敵.2
木工所の従業員が出入りする酒場のマスターのパワハラエピソードなど,描き方はもう一つ納得出来ないが,監督の今後に期待する.
★★★(★5個が満点)
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2019/02/04

独断的映画感想文:セブン・シスターズ

日記:2019年2月某日
映画「セブン・シスターズ」を見る.1_4
2016年.監督:トミー・ウィルコラ.
出演:ノオミ・ラパス(セットマン家の7姉妹),マーワン・ケンザリ(エイドリアン・ノレス),ウィレム・デフォー(テレンス・セットマン),クリスティアン・ルーベク(ジョー),グレン・クローズ(ニコレット・ケイマン).2_4
2073年,地球は干ばつと資源の枯渇で危機的状況に.遺伝子組み換え作物の開発で食糧危機は脱したものの,その副作用で多胎が増加する.
欧州連邦は児童分配局を創設,強権的な一人っ子政策を実施する.2人目以降の児童は分配局に収容され,危機が去るまでの間冷凍保存されることになる.3_4
誕生時に両親を失ったセットマン家の7人姉妹は,祖父テレンスの意向で7人が日替わりで一人の人格カレンを演じることで成長する.各人が曜日の名前をつけられた7人姉妹は,性格も才能もそれぞれだったが,協力して30歳まで生き延びてきた.
しかし或る日「月曜日」が夜になっても帰らず,翌日不安の中出かけた「火曜日」は児童分配局長官ケイマンに逮捕される….5_4
この時点で芋づる式に7人全員が逮捕されておかしくないのだが,襲撃してきたエージェントを残された5人姉妹が犠牲を払いながら撃退,武闘派の「水曜日」がコンピュータの天才「金曜日」の指示のもと,「月曜日」行方不明の手掛かりを捜しに街頭に忍び出る….
4_4
7人が1人として30年暮らすという設定自体が無茶苦茶であり,戦闘が始まった後も,何故自宅に公権力が雪崩れ込んでこないのか不思議とか,観客にとってミステリが多い映画.しかし映画のテンポは良く,アクションの連続と入れ替わりに活躍する7人の組み合わせが魅力的で映画に引き込まれる.
上に述べたミステリも映画の進行の中で次第に謎が解けてきて(かなり無理はありますが),ややB級映画的だが最後まで面白く見た.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:斬、

2019年1月某日
渋谷ユーロスペースで映画「斬、」を見る.1_3
2018年.監督,脚本,製作,撮影:塚本晋也.
出演:池松壮亮(都筑杢之進),蒼井優(ゆう),中村達也(源田源左衛門),前田隆成(市助),塚本晋也(澤村次郎左衛門).
2_3
杢之進はいずれ江戸に出ようという剣客,今はこの村で農作業の手伝いをする居候である.農家の少年市助に剣術の稽古をつけている.
その姉ゆうは杢之進を好いているが杢之進は行動に出ることがない.
3_3
或る日村に現れた凄腕の浪人澤村,浪士隊を組織して公儀に奉公したいと言い,杢之進と市助を勧誘する.二人は澤村と共に出立することになるが,その朝杢之進は病に倒れる.
市助は出立できない鬱憤のまま村外れに逗留していた浪人達と衝突し,袋だたきにされる.澤村は手下となった市助への危害には報復しなければならないと言い,杢之進の止めるのに耳を貸さず浪人達を切ってしまう.しかし逃れた2名の浪人が仲間を連れゆうの家を襲撃した….
池松壮亮の殺陣の動きは素晴らしく,寡黙な演技も印象的.蒼井優も期待通りの好演だ.映画は緊張感高く,並々ならぬ力量を傾けて製作されたものであることは間違いない.4_3
しかし認めがたい点も多々ある.「野火」に続く塚本晋也監督の作品だが,本作には「野火」にあった戦争という大前提に匹敵するものが見出しがたい.キャッチコピーの「なぜ人は人を斬るのか」という言葉は,戦争に比べれば全然普遍的な命題ではない.
また,殺陣のシーンは映像が暗く手持ちカメラのぶれが激しく,何が起こっているのか判らない.誰が誰を斬ったのか,負傷の程度はどれほどか,ドラマの根幹に関わる点が判らぬまま映画が進行する.5_3
こういう点が消化不良なまま,映画は終わってしまった.圧倒されたが何か釈然としない映画.
★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ヴィクトリア女王 最期の秘密

日記:2019年1月某日
Bunkamuraル・シネマ1で映画「ヴィクトリア女王 最期の秘密」を見る.1_2
2017年.監督:スティーヴン・フリアーズ.
出演:ジュディ・デンチ(ヴィクトリア女王),アリ・ファザール(アブドゥル・カリム),エディ・イザード(バーティー),アディール・アクタル(モハメド),ティム・ピゴット=スミス(ヘンリー・ポンソンビー),マイケル・ガンボン(ソールズベリー).2_2
1887年,英領インドのアグラに住むアブドゥルは,献上品の絨毯の目利きを認められ,ヴィクトリア女王即位50周年記念式典で記念金貨“モハール”を献上する役目に抜擢される.
はるばるロンドンに派遣されたアブドゥルは式典で女王の目に止まり,式典期間の間女王の従僕に採用される.
3_2
臆することなく親しみを込めてインドの風物などを語りかけるアブドゥルに,女王も心を開き,親しい人達を失った後の苦しい心中を打ち明けるまでになる.一方,有色人種であるアブドゥルへの寵愛に対し,皇太子アルバート(バーティー)以下王室職員の多くは激しい敵意を抱くが….


4_2
大英帝国及びインドの絶対的君主である一方,一人の寂しい女性として希有な存在でもあるヴィクトリア女王を,ジュディ・ディンチが圧倒的な存在感で演じる.フィレンツェで,プッチーニの前でギルバートとサリバンの歌曲を歌ってみせる(伴奏は皇太子バーティー)シーンは圧巻.
映画の終盤,アブドゥルにナイトの称号を授けようとして周囲の猛反発を受けた時の,皇太子・首相に対し,また王室職員一同に対し,女王が示した君主としての威厳も印象的だ.
5_2
このアブドゥルとの交流が,女王の晩年にとってかけがえのないものだったことは想像に難くない.英国女王の意外な一面という以上に,インド青年との心を開いた交流が感銘的な映画.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:焼肉ドラゴン

日記:2019年1月某日
映画「焼肉ドラゴン」を見る.1
2018年.監督:鄭義信.
出演:真木よう子(長女・静花),井上真央(次女・梨花),大泉洋(哲男),桜庭ななみ(三女・美花),大谷亮平(長谷川さん),ハン・ドンギュ(尹大樹),イム・ヒチョル(呉日白),大江晋平(末っ子・時生),宇野祥平(呉信吉),根岸季衣(美根子),イ・ジョンウン(母・英順),キム・サンホ(父・龍吉).2
万博間近の1969年,空港に隣接する大阪の下町にある在日コリアンの焼き肉屋「ドラゴン」.
父・龍吉は済州島の出身で、戦争で左腕を失った.先妻との間の二女と後妻・英順の連れ子美花,英順との間の子・時生と暮らしている.3
今日は次女・梨花と同じ在日の哲夫の結婚式だというのに,役所の差別的言辞に怒った哲夫が結婚届を破ってしまい,梨花と哲夫が大げんかをしながら戻って来る.長女の静花が二人を仲直りさせるが,哲夫は以前は静花の恋人だったらしい.静花は店の客・尹に好意を持たれている.三女・美花は歌手を目指しクラブのマスター長谷川と恋仲だが,長谷川には妻がいる.5
中学生の時生は父の計らいで進学校に通っているが,いじめに遭って失語症に陥っている.この一家の,時代に翻弄されながら生きていく姿を描く映画.
物語は家族の生い立ちや男女の確執の変転を追ってテンポ良く展開し,間断するところがない.4
俳優達それぞれが達者な演技を示すが,特に両親を演じるイ・ジョンウンとキム・サンホの存在感は圧倒的.終盤,美花に長谷川が求婚する場面での龍吉の訥々とした日本語の台詞には,涙を禁じ得なかった.
登場人物達は個々の事情で最後には別れ別れになっていくが,それぞれが逞しく生きていくことを示唆するラストシーンは感銘的である.映画らしい映画,見て損はなし.
★★★★☆(★5個が満点)
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2019/01/27

番外:独断的歌舞伎感想文 2019年1月壽 初春大歌舞伎 夜の部 絵本太功記/勢獅子/松竹梅湯島掛額

日記:2019年1月某日
歌舞伎座で「壽 初春大歌舞伎 夜の部 絵本太功記/勢獅子/松竹梅湯島掛額」を見る.Kabukiza_201901_fff_e9ef5e56968372e
「一、絵本太功記(えほんたいこうき) 尼ヶ崎閑居の場」.出演:武智光秀(吉右衛門),操(雀右衛門),初菊(米吉),武智十次郎(幸四郎),佐藤正清(又五郎),真柴久吉(歌六),皐月(東蔵).「二、勢獅子(きおいじし)」.出演:鳶頭(梅玉),鳶頭(芝翫),芸者(雀右衛門),芸者(魁春).福森久助 作「三、松竹梅湯島掛額(しょうちくばいゆしまのかけがく) 吉祥院お土砂の場 四ツ木戸火の見櫓の場・浄瑠璃『伊達娘恋緋鹿子』」.出演:紅屋長兵衛(猿之助),八百屋お七(七之助),小姓吉三郎(幸四郎).
絵本太功記は配役は5年前に見た時とほぼ同じ,母の死と息子の討ち死にを眺めながら微動だにせず舞台を支配する,吉右衛門の存在感が素晴らしい.幸四郎と米吉の情愛も心に残る.
勢獅子はお正月らしく明るく楽しい.若手で中村鷹之資が獅子舞で出ている.もう19歳なのだ.小柄なのは富十郎に似たのだろうか.
松竹梅湯島掛額は1幕目がドタバタ喜劇で,猿之助その他のギャグがテンポ良く抱腹絶倒.2幕目はお七の悲劇,七之助の人形振りの踊りが素晴らしい.
見応えある夜の部だった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年1月 新春浅草歌舞伎 1部2部

日記:2019年1月某日
「新春浅草歌舞伎 1部2部」を見る.Asakusa_2019f4_9d0f304853b1d7c8f260
第1部 お年玉〈年始ご挨拶〉.「一、戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)」.出演:浪花の次郎作実は石川五右衛門(中村歌昇),禿たより(中村梅丸).吾妻の与四郎実は真柴久吉(中村 種之助).「源平布引滝二、義賢最期(よしかたさいご)」.出演:木曽先生義賢(尾上松也),下部折平実は多田蔵人行綱(中村隼人),進野次郎宗政(中村橋之助),御台葵御前(中村鶴松),待宵姫(中村梅丸),矢走兵内(中村種之助),小万(坂東新悟).岡村柿紅 作.「三、芋掘長者(いもほりちょうじゃ)」.出演:芋掘藤五郎(坂東巳之助),友達治六郎(中村橋之助),息女緑御前(坂東新悟),腰元松葉(中村鶴松),菟原左内(中村歌昇),魁兵馬(尾上松也).
第2部.お年玉〈年始ご挨拶〉.「一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」.出演:曽我五郎時致(尾上松也),曽我十郎祐成(中村歌昇),小林朝比奈(坂東巳之助),大磯の虎(坂東新悟),鬼王新左衛門(中村隼人),化粧坂少将(中村梅丸),工藤左衛門祐経(中村錦之助).岡本綺堂 作.「二、番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)」.出演:青山播磨(中村隼人),腰元お菊(中村種之助),腰元お仙(中村鶴松),放駒四郎兵衛(中村橋之助),後室真弓(中村錦之助).「三、乗合船惠方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)」.出演:萬歳(坂東巳之助),才造(中村種之助),白酒売(坂東新悟),大工(中村隼人),女船頭(中村橋之助),芸者(中村鶴松),子守(中村梅丸),若旦那(中村歌昇),通人(尾上松也).
今回の浅草は踊りが楽しかった.踊りのことなど何も知らない小生がいうので当てにはならぬが,芋掘り長者のラストシーンの楽しさ(芋掘り踊りを,お姫様や腰元からライバルの若殿達までラインダンスで踊り始める),乗合船惠方萬歳の充実感(全員が短い踊りを披露しあうのだがいずれ劣らぬ手練れ揃い)はなかなかのものだ.
一方番長皿屋敷の緊張感はどうだろう.これはやはり岡本綺堂の戯曲が余程良いのだ.幸せの絶頂から絶望に引き落とされるお菊,一片の曇りも無い潔白を菊に疑われた青山播磨の無念さ.これを演じる隼人と種之助の芝居が素晴らしく見応えあり.
新悟,橋之助も充実感あり,鶴松が美しく今後への期待が大.
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2019/01/18

独断的映画感想文:アウトレイジ 最終章

日記:2019年1月某日
映画「アウトレイジ 最終章」を見る.1
2017年.監督:北野武.
出演:ビートたけし(大友),西田敏行(西野),大森南朋(市川),ピエール瀧(花田),松重豊(繁田),大杉漣(野村),塩見三省(中田),白竜(李),名高達男(白山),光石研(五味),原田泰造(丸山),池内博之(吉岡),津田寛治(崔),金田時男(張),中村育二(平山),岸部一徳(森島).3
済州島に遊びに来ていた日本のやくざ花菱会の花田は,ホテルに呼んだ女とトラブった挙げ句,地元のやくざの若い者を殺してしまう.日本に逃げ帰った花田は,済州島を仕切っている韓国のやくざ・張に詫びを入れに行くが相手にもされない.
2
花菱会会長の野村は,これを奇貨として張への攻撃を花田に命じる一方,花田のカシラ・西野を処分する様,西田の手下・中田に命じる.中田は野村の指示を受けると見せて西野と通じ,野村への反撃の機会を待つ.
一方済州島で張の庇護下にあった大友は,花田に若い者を殺された復讐に,日本に潜入し花菱会殲滅の機会を窺う….
4
このシリーズの最終章,武闘派やくざ・大友の最後の活躍を描く.北野監督得意のやくざ抗争ものだが,前回作に比べれば緊張度は低く,プロットの構成もいまいち.
老ヤクザ大友の暴力性の魅力は相変わらずだが,相手となる花田や野村が存在が軽すぎて面白くない.以前には暴力性の裏には悲哀が見て取れたが,今回はそういう陰も感じられない.

5
俳優で見応えがあったのは,西田敏行と白竜,金田時男くらいか.
★★★(★5個が満点)
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2019/01/14

独断的映画感想文:レッド・スパロー

日記:2019年1月某日
映画「レッド・スパロー」を見る.1_3
2018年.監督:フランシス・ローレンス.
出演:ジェニファー・ローレンス(ドミニカ・エゴロワ),ジョエル・エドガートン(ネイト・ナッシュ),マティアス・スーナールツ(ワーニャ・エゴロフ),シャーロット・ランプリング(監督官),ジェレミー・アイアンズ(コルチノイ).4_3
ボリショイバレー団のバレリーナ・ドミニカは,『事故』のため重傷を負い,バレリーナの道を絶たれる.国家による生活費と母の治療費を共に失った彼女は,ロシア諜報機関員の叔父・ワーニャの勧めで,女スパイ・スパロ-の訓練を受ける.
やがてドミニカは訓練を終え,CIA捜査官ネイトに接近する様指示される.ネイトと連絡を取っているロシア諜報機関内の大物が誰かを,明らかにすることがミッションだった.2_3
ネイトと接触したドミニカ,二人は互いに惹かれ合うが,一方両者は相手の信頼をもとに敵諜報機関を如何に偽計に乗せるか死力を尽くして渡り合う….
美貌と才能に恵まれたドミニカの,スパイとしての活躍を描く.但しドミニカは只のスパイではない.
自らがスパイを選ばざるを得なかった経過と,母の「相手に全てを委ねてはならない」という忠告に基づき,ドミニカは与えられたミッションの中で独自の活動を積み重ねていく.3_3
観客も最後まで,ドミニカの真意が何処にあるかを見極められないだろう.ジェニファー・ローレンスの美貌と演技も見応えあり,またシャーロット・ランプリング),ジェレミー・アイアンズの両大御所も適役である.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:家へ帰ろう

日記:2019年1月某日
映画「家へ帰ろう」を見る.1_2
2017年.監督:パブロ・ソラルス.
出演:ミゲル・アンヘル・ソラ(アブラハム),アンヘラ・モリーナ(マリア),オルガ・ボラズ(ゴーシャ),ナタリア・ベルベケ(クラウディア),マルティン・ピロヤンスキー(レオナルド),ユリア・ベーアホルト(イングリッド).4_2
アルゼンチンに住む88歳のユダヤ人の仕立屋・アブラハム.引退して家や家財は子供達に分配し,自身は老人ホームに入ることになる.
ところがそのお別れパーティーの夜,アブラハムは密かに家を脱出,ワルシャワで人と会うべく,空路マドリッドに向かう.2_2

アブラハムは大戦中ワルシャワのゲットーに収容された.辛うじて脱出した彼を,父の使用人の息子で兄弟同様に育ったピオトレックが助けてくれた.アブラハムは,自分が最後に作ったスーツを,彼にプレゼントするべく出かけたのだ.
マドリッドに着いた彼は,女主人マリアの安宿に泊まる.ところが旅の疲れで寝込んだ彼は目的の列車に乗り遅れてしまい,マリアと一緒に飲みに出かける.無愛想と思われたマリアだが,実は親身な女性,意気投合して帰ってきたホテルの部屋には泥棒が入り,彼の全財産が盗まれていた….
艱難辛苦に見舞われながらワルシャワを目指すアブラハム,しかもドイツの地は踏まないという固く心に誓った制約がある.6
マリアをはじめ,ドイツ人の文化人類学者,ワルシャワの看護師等,見ず知らずのアブラハムを助ける人々と共にゆったりと進行するロードムービー.
共演者ではマリアの存在感が抜群,特に酒場で披露する歌,アブラハムに打ち明ける過去の夫達のエピソードなど,素晴らしい味付けになっている.
また随所に挿入される,アブラハムの子ども時代の思い出の断章も印象深い.特に映画の冒頭,哀愁に満ちた音楽に乗ってダンスに興じるユダヤ人達の笑顔のシーンは,胸に残る.3_2
映画のラスト,長く辛い人生の決着をこの様な形でつけることが出来たアブラハム,ここまでの旅の経過を思い合わせ,涙を禁じ得ない.味わい深い映画,見て損はなし.
★★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年新橋演舞場 歌舞伎初春大公演-夜の部 鳴神/牡丹花十一代/俊寛

日記:2019年1月某日
「新橋演舞場 歌舞伎初春大公演-夜の部」を見る.Shinbashi_201901_f5_35685a5efa84a10
「一、歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)」.出演:鳴神上人(右團次).雲の絶間姫(児太郎).十一世市川團十郎生誕百十年.「二、牡丹花十一代(なとりぐさはなのじゅういちだい)」.出演:鳶頭(海老蔵),手古舞(堀越麗禾),鳶頭(堀越勸玄),鳶頭(右團次),差配人(男女蔵),芸者(児太郎),鳶の者(男寅),芸者(廣松),鳶の者(九團次),差配人(市蔵),茶屋女房(齊入),世話役(家橘),芸者(孝太郎).近松門左衛門 作.「三、平家女護島-俊寛(しゅんかん)」.出演:俊寛僧都(海老蔵),海女千鳥(児太郎),丹波少将成経(九團次),平判官康頼(男女蔵),瀬尾太郎兼康(市蔵),丹左衛門尉基康(右團次).福地桜痴 作.「四、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)」.出演:小姓弥生後に獅子の精(海老蔵),老女飛鳥井(齊入),家老渋井五左衛門(家橘).
休憩入れて5時間を越える長丁場,役者も客も大変である.
鳴神は,右團次が相変わらず何を言っているか判らない.
牡丹花十一代は成田屋万歳の演目だが,堀越麗禾・勸玄の両子役のかわいさが全て引っさらう,これはこれで大いに見応えあり.
海老蔵の俊寛・鏡獅子は海老蔵大奮闘,こちらも素晴らしかった.児太郎が鳴神・俊寛で好演したのも素敵.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年1月国立劇場「通し狂言 姫路城音菊礎石」

日記:2019年1月某日
歌舞伎「通し狂言 姫路城音菊礎石(ひめじじょうおとにきくそのいしずえ) 五幕九場」を見る.Kokuritu1901010
並木五瓶=作 『袖簿播州廻』より.尾上菊五郎=監修,国立劇場文芸研究会=補綴.出演:尾上菊五郎、中村時蔵、尾上松緑、尾上菊之助、坂東彦三郎、坂東亀蔵、中村梅枝、中村萬太郎、市村竹松、尾上右近、寺嶋和史、寺嶋眞秀、市村橘太郎、片岡亀蔵、河原崎権十郎、市村萬次郎、市川團蔵、坂東楽善 ほか.
播州桃井家のお家騒動を巡る物語.なかなかに筋書は複雑で面白い.Kokuritu1901011
音羽屋の芝居は花があるし,今回は何より寺嶋和史・寺嶋眞秀の子役2名が可愛く,人気をさらっていくところが素敵.
Kokuritu1901012
未だ台詞が入っていなかったり道具立てのタイミングが悪かったり,初日らしいところはあったが楽しい舞台だった.
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独断的映画感想文:シェイプ・オブ・ウォーター

日記:2018年12月某日
映画「シェイプ・オブ・ウォーター」を見る.1
2017年.監督:ギレルモ・デル・トロ.
出演:サリー・ホーキンス(イライザ),マイケル・シャノン(ストリックランド),リチャード・ジェンキンス(ジャイルズ),ダグ・ジョーンズ(不思議な生きもの),マイケル・スタールバーグ(ホフステトラー博士),オクタヴィア・スペンサー(ゼルダ),デヴィッド・ヒューレット(フレミング),ニック・サーシー(ホイト元帥).4
1960年代のアメリカ,幼い時に声帯を傷つけられ言葉を失ったイライザは,政府の研究所で夜勤の掃除婦として働いている.映画館の屋根裏のアパートに住む彼女の話し相手は,同じアパートに住む売れないゲイの挿絵画家・ジャイルズと,同僚の黒人女ゼルダのみ.5
或る日研究所に運び込まれた不思議な生きものは,アマゾンの原住民に神と崇められている半魚人だった.その魅力に惹かれてゆで卵を差し入れてから,イライザはたびたび「彼」と会い,手話でコミュニケーションを試みる様になる.
次第に「彼」に愛情を抱く様になるイライザ,しかし「彼」は担当のストリックランドにより生体解剖に付されることになる.研究所に潜り込んだロシアのスパイとも交錯する中,イライザは独自に「彼」を救出しようと奔走するが….
黒い童話「パンズ・ラビリンス」の印象が未だに鮮やかなこの監督の,同じ色調の映画.
3
冷戦下の軍の意向を受け,残忍に「彼」を管理するストリックランドに対し,イライザをはじめ黒人女性,ゲイの画家,落ちこぼれロシアスパイ等が「彼」の救出に連携する展開は,なかなかスリリング.一方,類型的なロシアスパイの活動描写でのユーモアや,タイミング良く流されるこの時代のアメリカンポップスが心地よい.
そして何より,イライザと「彼」の純粋な交流が素晴らしい.ラストシーンでイライザと共に去って行く「彼」には,涙を禁じ得なかった.
2
俳優ではサリー・ホーキンス,オクタヴィア・スペンサーが共に素晴らしく,またマイケル・シャノンも熱演.映画らしい描写に満ちた監督の演出も味わい深い.
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2018/12/21

番外:独断的歌舞伎感想文 2018年12月大歌舞伎夜の部 阿古屋/あんまと泥棒/二人藤娘

日記:2018年12月某日
歌舞伎座へ.12月大歌舞伎 夜の部を見る.Kabukiza_201812_f6_cc2ea36849d414a8
「一、壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき) 阿古屋」.出演:遊君阿古屋(玉三郎),秩父庄司重忠(彦三郎),榛沢六郎(坂東亀蔵),岩永左衛門(松緑).村上元三 作・演出・石川耕士 演出.「二、あんまと泥棒(あんまとどろぼう)」.出演:泥棒権太郎(松緑),あんま秀の市(中車).「三、二人藤娘(ににんふじむすめ)」.出演:藤の精(梅枝),藤の精(児太郎).
阿古屋は玉三郎絶品の演技と演奏.特に今回は琴を弾きながら歌う歌の美しさが印象的.細い声ながら,かき鳴らす琴に乗せた嫋々とした歌声が,誠に美しい.松緑の岩永,彦三郎の重忠もそれぞれに良く,素晴らしい舞台だった.Img_20181220_161715
あんまと泥棒は中車の独壇場,松緑が人の良い泥棒で,まあ予想通りの結末.
二人藤娘は梅枝・児太郎共に美しく,踊りにうっとり.また長唄囃子連中の演奏も素晴らしかった.
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独断的映画感想文:リトル・フォレスト 冬・春

日記:2018年12月某日
映画「リトル・フォレスト 冬・春」を見る.1
2015年.監督:森淳一.
出演:橋本愛(いち子),三浦貴大(ユウ太),松岡茉優(キッコ),温水洋一(シゲユキ),桐島かれん(福子).
東北のとある山奥の集落・小森に住むいち子.母は5年前に失踪しそれ以来一人で暮らす.
一度街に出たこともあるが,彼氏と別れまた小森に戻ってきた.小森は役場のある街まで自転車の下り道で30分,登りはどれほどかかるのか.
3
いち子は森と沢と田圃に囲まれた一軒家で,野菜を作り山菜を採り田を耕し,採れたものを母に習ったレシピで料理し食べる生活を続けていく.
秋に母から届いた手紙,親友キッコとの小さな口げんか,後輩ユウタからの批判.いち子は自分は他人と向き合わず逃げている,自分にとって家族とは何かと思い悩むが….2
何事にも真面目に取り組み,冷静ないち子の淡々とした日々の暮らしを大自然の中で描く,四季4部作の後半2部.前半2部と同様,美しい自然の中,子どもの時のいち子も含め小森での生活がより立体的に描かれる.
物語の展開は極めてゆっくりだが,日々の描写が充実していて間断するところはない.映画の最後でいち子の出した結論,そしてエピローグへと流れる物語も納得のいくものだった.
4
淡々とした映画だが,時に描かれるユーモアある場面が効果的(キャベツケーキのくだりは爆笑した).宮内優里の音楽・FLOWER FLOWERの主題歌も聞き応えあり.
★★★★(★5個が満点).
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2018/12/13

独断的映画感想文:リトル・フォレスト 夏・秋

日記:2018年12月某日
映画「リトル・フォレスト 夏・秋」を見る.1_2
2014年.監督:森淳一.
出演:橋本愛(いち子),三浦貴大(ユウ太),松岡茉優(キッコ),温水洋一(シゲユキ),桐島かれん(福子).
2_2
いち子は東北の山奥,小森という集落に暮らしている.集落に商店はなく,役場のある町の中心地に商店が幾つかあるが,そこまで自転車の下り道で30分.帰りはどのくらいかかるのか.
田圃と森と沢に囲まれた一軒家に一人暮らすいち子は,半ば自給自足の農業生活を送っている.
3_2
二人で暮らしていた母は5年前に出て行った.いち子も一時都会で男と暮らしたが,破綻して戻ってきた.
今は幼馴染みのキッコやユウタ,キッコのおばあちゃんと付き合いながら,日々を送っている.
映画は移ろう季節を追いながら,季節毎に得られる自然の恵みを料理し,お皿に載せて頂くまでを詳細に描いていく.
4_2
こう書けば今どきの田舎暮らしのテレビ番組の様だが,合鴨を絞めて毛をむしり解体して頂くところまで詳細に描くカメラは,やはり映画.またゆっくりながら物語は少しずつ動いている.
映画はこの巻で夏・秋を連続上映し,冬・春で4部作が完了する.5_2
とにかく映像は美しい.冒頭の大木の梢に静止していたアオサギがふわりと飛び立つシーンだけで,魅了されてしまう.
★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 2018年12月国立劇場「通し狂言 増補双級巴―石川五右衛門」

日記:2018年12月某日
国立劇場で歌舞伎を見る.Dec_flyer4c_final
三世瀬川如皐=作.国立劇場文芸研究会=補綴.国立劇場美術係=美術.「通し狂言 増補双級巴 (ぞうほふたつどもえ) ―石川五右衛門(いしかわごえもん)―四幕九場:中村吉右衛門宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候」.
発端 芥川の場.序幕 壬生村次左衛門内の場.二幕目 第一場 大手並木松原の場/第二場 松並木行列の場.三幕目 第一場 志賀都足利別館奥御殿の場/第二場 同 奥庭の場/第三場 木屋町二階の場.大詰 第一場 五右衛門隠家の場/第二場 藤の森明神捕物の場.
主な配役:石川五右衛門(中村吉右衛門),壬生村の次左衛門(中村歌六),三好修理太夫長慶(中村又五郎),此下藤吉郎久吉後ニ真柴筑前守久吉(尾上菊之助),大名粂川但馬(中村松江),大名田島主水/早野弥藤次(中村歌昇),足柄金蔵/大名白須賀民部(中村種之助),次左衛門娘小冬(中村米吉),大名天野刑部/小鮒の源五郎(中村吉之丞),大名星合兵部/三二五郎兵衛(嵐橘三郎),呉羽中納言氏定/大名六角右京(大谷桂三),足利義輝(中村錦之助),傾城芙蓉/五右衛門女房おたき(中村雀右衛門),義輝御台綾の台(中村東蔵).
前半序幕からは,自らの出自を知った石川五右衛門が大望を抱き,勅使に化けて将軍邸に乗り込み,幼馴染みの此下藤吉郎に見破られ,つづらで宙を飛び脱出するという,なかなか派手な展開.
しかし後半では,その前半は全て夢であったというところからスタートし,話のスケールが一挙に小さくなったという印象は否めない.
結局五右衛門は親子の情愛の絡んだ葛藤の挙げ句,此下藤吉郎に捕縛されるのだが,最後の立ち回りも老優吉右衛門にはいささか酷で,通し狂言ではなく途中で止めておけば良かったのにというのが正直なところ.
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独断的映画感想文:希望のかなた

日記:2018年12月某日
映画「希望のかなた」を見る.1
2017年.監督,製作,脚本:アキ・カウリスマキ.
出演:シェルワン・ハジ(カーリド),サカリ・クオスマネン(ヴィクストロム),シーモン・フセイン・アル=バズーン(マズダック),カイヤ・パカリネン(ヴィクストロムの妻),ニロズ・ハジ(ミリアム),イルッカ・コイヴラ(カラムニウス),ヤンネ・フーティアイネン(ニュルヒネン),ヌップ・コイヴ(ミルヤ),カティ・オウティネン(洋品店の女店主),マリア・ヤンヴェンヘルミ(収容施設の女性).2
映画の冒頭,貨物船の積荷の石炭の山から,小柄な男・カリードが這いだしてくる.カリードは上陸して身だしなみを整えると,警察に出頭し難民申請を行う.
カリードはシリアのアレッポで家を空爆され,妹以外の家族は全員死んだ.妹とトルコに逃れ幾つもの国境を越えてきたが,途中で妹とはぐれてしまう.フィンランドで仕事を見つけ,妹を探したいと言う.
3
カリードは難民宿舎で暮らすが,審査の結果は強制送還だった.カリードは強制送還直前に,難民宿舎の担当者の手引で脱走する.
一方,洋品卸商のヴィクストロムは,酒浸りの妻に愛想を尽かし家を出る.仕事にも行き詰まった彼は,ポーカーの大勝負で得た金を元手に古いレストランを従業員ごと買い,レストランのオーナーとなる.
4
或る日レストランの敷地で野宿していたカリードと出会ったヴィクストロムは,カリードを雇い入れ,偽造の身分証を世話してやる.居場所の見つかったカリードは妹の行方を必死に探すが….
フィンランド社会で苦闘する難民カリードの姿を,役人・警察・極右と一般市民等の対応を対比的に描きながら語っていく.
5
と言ってもカウリスマキ流のユーモアにくるまれ,素敵な仕上がり.客寄せのためにわかスシ店を開店するエピソードが傑作.俳優の演技が素っ気なく,寓話的な雰囲気を醸し出す.トランプの怒号にはこういう雰囲気で応えるのが文明的かも知れない.
昔のスエーデンのバンド:スプートニクスに似た,フィンランド・バンドの音楽も随所に挿入されて楽しい.
★★★★(★5個が満点)
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2018/12/08

番外:独断的歌舞伎感想文 2018年11月国立劇場 通し狂言 名高大岡越前裁 (なもたかしおおおかさばき)

日記:2018年11月某日
国立劇場へ.歌舞伎を見る.Ph_content02_01
河竹黙阿弥=作,国立劇場文芸研究会=補綴,国立劇場美術係=美術.「通し狂言 名高大岡越前裁 (なもたかしおおおかさばき)」.六幕九場.序幕 第一場 紀州平沢村お三住居の場,第二場 紀州加田の浦の場,二幕目 美濃長洞常楽院本堂の場,三幕目 第一場 大岡邸奥の間の場,第二場 同 無常門の場,第三場 小石川水戸家奥殿の場,四幕目 南町奉行屋敷内広書院の場,五幕目 大岡邸奥の間庭先の場,大詰 大岡役宅奥殿の場」.
主な配役:大岡越前守忠相(中村梅玉),大岡妻小沢(中村魁春),法沢後二天一坊(市川右團次),田口千助(中村松江),吉田三五郎(市川男女蔵),下男久助/池田大助(坂東彦三郎),大岡一子忠右衛門(市川右近),お三(中村歌女之丞),僧天忠/久保見杢四郎(嵐橘三郎),土屋六郎右衛門(大谷桂三),伊賀亮女房おさみ(市川齊入),平石治右衛門(坂東秀調),名主甚右衛門(市村家橘),山内伊賀亮(坂東彌十郎),徳川綱條(坂東楽善).
八代将軍吉宗のご落胤を名乗る天一坊と,大岡越前守を巡る虚々実々の闘いを描く.明治8年初演の河竹黙阿弥作品の再演.
梅玉の大岡越前,魁春のその妻,右團次の天一坊他,脇役連中も役者は揃っている.梅玉の大岡越前はニンが合っていて見応えあり.また梅丸が下女お霜,徳川綱條近習・主税の2役で活躍したのもうれしい.
しかしその割には客席は空きが目立って,連休というのに寂しい限り.
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独断的映画感想文:スター・ウォーズ/最後のジェダイ

日記:2018年11月某日
映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を見る.1_4
2017年.監督:ライアン・ジョンソン.
出演:マーク・ハミル(ルーク・スカイウォーカー),キャリー・フィッシャー(レイア・オーガナ),アダム・ドライヴァー(カイロ・レン),デイジー・リドリー(レイ),ジョン・ボイエガ(フィン),オスカー・アイザック(ポー・ダメロン),アンディ・サーキス(最高指導者スノーク),ルピタ・ニョンゴ(マズ・カナタ),ドーナル・グリーソン(ハックス将軍),アンソニー・ダニエル(C3PO),グウェンドリン・クリスティー(キャプテン・ファズマ),ケリー・マリー・トラン(ローズ),ローラ・ダーン(アミリン・ホルドー中将),ヨーナス・スオタモ(チューバッカ),ジミー・ヴィー(R2-D2),ベニチオ・デル・トロ(DJ).
前作で遂にルーク・スカイウォーカーの居場所をき止めたレイ,ところがルークは再びジェダイとして参戦することを拒否する.しかしレイの中にジェダイの素質を見たルークは,レイに3つの教えを授けるのだった.
一方,レイア姫率いるレジスタンスは,ハックス将軍率いる艦隊の急襲を受け辛くも脱出するが,壊滅的な打撃を受ける.冒険主義的な突撃で敵戦艦ドレッドノートを破壊するきっかけを作ったポーは,しかし爆撃部隊壊滅の責任を問われ降格される.2_3
亜空間をジャンプしたレジスタンスの艦隊をハックスの艦隊が追尾してくる.フィンは敵艦隊に潜入し追尾装置の破壊を企むが,その為には敵艦隊に侵入するコード破りの技術が必要だった.フィン達はその技術を持つDJを捜しに惑星カントニカに向かうが….
150分を超える長尺の本作,レイの活動,フィンの活動,ポーとレジスタンス本隊の活動が交錯し,物語は極めて複雑.更にレイがジェダイへの道を歩むのか,カイロ・レン(=ベン・ソロ)が本当にダーク・サイドに落ちることになるのか,この辺りも複雑な展開を遂げる.3_4
本作は単独で見た場合は何がなにやら全く判らないという意味で,筋は判らなくても映画は楽しめたという従来のスターウォースに比べ,評価は低くならざるを得ない.
更にレジスタンスは十数名の残党が残るのみである.統合の象徴たるレイア姫(を演じるキャリー・フィッシャー)は死んだ.第3部では如何なる奇手をもって大団円とするのか,はてさて.
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ボヘミアン・ラプソディ

日記:2018年11月某日
映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見る.1_3
2018年.監督:ブライアン・シンガー.
演:ラミ・マレック(フレディ・マーキュリー),ルーシー・ボーイントン(メアリー・オースティン),グウィリム・リー(ブライアン・メイ),ベン・ハーディ(ロジャー・テイラー),ジョセフ・マッゼロ(ジョン・ディーコン).2_2
ロックグループ・クィーンのリード・ヴォーカル:フレディ・マーキュリーの物語.1973年のデビュー前から1985年のライブエイドでのパフォーマンスまでを描く.
3_3
映画では1985年のライブエイド直前にはクィーンは崩壊,フレディ・マーキュリーは既にAIDSを発症しており,自分の死を意識したフレディがライブエイドのために他のメンバーとの間を修復した様に描かれている.この物語が事実に基づくかどうかは,自分にはよく判らない.また映画では,フレディの出自,家族との関係,性的嗜好,メンバーとの関係はいずれも深く掘り下げられてはいない.4_2
しかしまあそれは実はどうでも良いことだ.この映画はそういうことを深く掘り下げるドラマではなく,クィーン自身による,フレディとクィーンの神話であり伝説であるのだから.
5_2
観客は彼等が如何に独創的にその音楽を作り出し,如何にそれが成功していったかを見るだろう.そしてフレディの光と影,紆余曲折,有為転変の後に,ライブエイドで最高の21分間のパフォーマンスを演じることを見るだろう.その喜びは,何ものにも替え難い.この映画の素晴らしさはここにあり,その点に文句は無し.
★★★★(★5個が満点)
蛇足:映画の終盤,ライブエイドの楽屋にクィーンの面々が入る時,舞台からダイアー・ストレイツが演奏するやはりこのライブの名演「悲しきサルタン」が,バックに流れている.これも懐かしかった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2018年11月吉例顔見世大歌舞伎夜の部 楼門五三桐/文売り/法界坊

日記:2018年11月某日
吉例顔見世大歌舞伎夜の部を見る.Kabukiza_201811_ffl_fa949b590fde523
「一、楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」.出演:石川五右衛門(吉右衛門),右忠太(歌昇),左忠太(種之助),真柴久吉(菊五郎).「二、文売り(ふみうり)」.出演:文売り(雀右衛門).奈河七五三助 作,石川耕士 補綴.「三、隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ) 法界坊:向島大七入口の場,同 座敷の場,向島牛の御前鳥居前の場,同 三囲土手の場,隅田川渡しの場」.浄瑠璃「双面水澤瀉」.〈法界坊〉.出演:聖天町法界坊(猿之助),五百平(巳之助),おくみ(尾上右近),野分姫(種之助),手代要助(隼人),代官牛島大蔵(吉之丞),おらく(門之助),大阪屋源右衛門(團蔵),道具屋甚三(歌六).〈双面水澤瀉〉.出演:法界坊の霊/野分姫の霊(猿之助),おくみ(尾上右近),手代要助実は松若丸(隼人),渡し守おしづ(雀右衛門).Kabukiza201811houkaibou
猿之助初演の法界坊が楽しみだったが,2時間半を超える舞台があっという間だった.
勘三郎の,抱腹絶倒のまま最後まで突っ走る法界坊に比べ,猿之助の持ち味が出た見応えある芝居.
大七座敷の場ではおくみ,要助のしゃべくりも全体の進行も,もう少しテンポ良いほうが望ましかった.ただし,團蔵や右近という配役だとこの方が良いのかも知れない.弘太郎の番頭はいまいち.
最後の場「双面水澤瀉」では,法界坊と野分姫の合体した亡霊が町娘おくみの姿を取って現れるという難しい設定を,美しい女形の姿で見事に演じた.猿之助の素晴らしさに納得.
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