July 07, 2008

独断的映画感想文:ブレイブワン

日記:2008年7月某日
映画「ブレイブワン」を見る.Braveone1
2007年.監督:ニール・ジョーダン.
出演:ジョディ・フォスター(エリカ・ベイン), テレンス・ハワード(ショーン・マーサー刑事),ナヴィーン・アンドリュース(デイビッド・キルマーニ),メアリー・スティーンバージェン(キャロル),ニッキー・カット(ビタール刑事),ジェーン・アダムス(ニコール).
エリカ・ベインはN.Y.でラジオのパーソナリティを務める.恋人デイビッドとの挙式も近く幸せな日々を過ごしていた.
ある夜,犬の散歩に出かけた2人は暴漢に襲われ,叩きのめされ金品を奪われる.重傷を負い3週間の昏睡から目覚めたエリカは,デイビッドの死を告げられた.
退院しアパートに戻った彼女だが,心の傷は深く,足がすくみ街中に出ることが恐ろしい.警察に行ってその後の経過を訪ねても,待合室で待たされるだけ.彼女は恐怖心から,即座に手に入る非合法の銃を購入する.
その後偶然入ったコンビニでエリカは射殺事件を目撃,口封じに銃をかざして迫る犯人に彼女は夢中で発砲する.犯人は息絶え,エリカは監視カメラのビデオを抜き取って店を後にする….Braveone3
このように始まる「処刑人」の物語.
最後に自分たちを襲った犯人にたどり着くまで,彼女は幾人もの犯罪者を「処刑」することになる.
最初の発砲事件でビデオテープを抜き取ったことからも明らかな様に,彼女は自分の行為の違法性を百も承知している.しかしその一方で,犯罪者を殺したいという押さえきれない自分がいる.
その葛藤と苦悩を演じるジョディ・フォスターは,うまい.肩を落としうつむいて歩く小柄な彼女は,まるで「ロード・オブ・ザ・リング」のイライジャ・ウッドの様に見えた.Braveone2
ところで,この映画のオチはもう一つ納得がいかない.数あるオチのなかでも最悪のものではないだろうか.
エリカは明らかにモンスターになりかけていたのだ.それを本人も自覚してあの葛藤があったのだろう.それに対してこのオチはいささかバランスを失してはいないだろうか.
まあアメリカだから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが.
★★★(★5個が満点)

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July 03, 2008

独断的映画感想文:GONIN

日記:2008年7月某日
映画「GONIN」を見る.Gonin1
1995年.監督:石井隆.
出演:本木雅弘(三屋純),ビートたけし(京谷一郎),佐藤浩市(万代樹木彦),竹中直人(萩原昌平),根津甚八(米頭要),椎名桔平(ジミー),永島敏行(大越康正),鶴見辰吾(久松茂),木村一八(柴田一馬),室田日出男(式根),横山めぐみ(ナミィ),永島暎子(早紀),川上麻衣子(「ピンキー」のホステス),岩松了(バッティング・センターのトイレの男).
ネタバレあります,注意!!
冒頭,佐藤浩市の見る悪夢.
本木が女と踊りまくるディスコのシーン,続いて雨の路地で男を暴行する本木,佐藤が近づくと飛び出しナイフを片手に振り返るその顔は,ルージュを塗ったゲイの顔だ.Gonin2
夢から覚め出かける佐藤,バッティングセンターでトラブルとなり殴り倒した男竹中を自分の経営するディスコに案内すると,店には借金の取り立てにやくざが来ている.彼のディスコはやくざに借金を抑えられ,のっぴきならない状況になっているのだ.
店には本木が来ていた.竹中と本木がやくざとトラブルとなり,佐藤は本木を自宅に連れて帰る.Gonin3
佐藤には計画があった.佐藤をしゃぶりにかかっているヤクザの金庫をその集金日を狙って襲い,現金を強奪するのだ.
ある日ぼったくりバーで用心棒に叩きのめされた佐藤は,その用心棒がかって彼の店に踏み込んできた刑事であることを知る.Gonin4
その刑事根津と竹中,本木,それにヤクザのちんぴらでパンチドランカーの椎名を抱き込み,5人はある夜ヤクザの事務所を襲う.襲撃はまんまと成功し,現金を手にした5人はそれぞれの道をたどるが,ヤクザは二人の殺し屋,北野と木村を雇い,椎名とその恋人を拉致して口を割らせ,残る4人を狩りたてにかかる….
登場人物のほとんどが死んでしまう徹底したヴァイオレンス・アクション.しかしキャスティングが良く,一人一人の人物に魅力がある.Gonin5
カメラワークも実に素晴らしく,佐藤と本木が二人白いスーツ姿で祝杯を挙げるシーンの美しさ,佐藤を殺された本木が雨中ヤクザの事務所を襲撃するシーンの望遠ショット等,絵になるシーンの連続に心が奪われる.
俳優達のアクションも素敵.椎名が4人のヤクザを一瞬で殴り倒す目にも止まらぬ動き,根津が背後から襲撃され車のボンネットを転がって反対側に落ち,次の瞬間茂みに身を躍らせて姿を消すその身のこなし等,目を奪われる.Gonin6
リストラされてぶち切れた男と見える竹中の,身の毛もよだつサイドストーリーも印象的.
最も魅力的なのはやはり本木雅弘だろう.冒頭の息をのむほど美しいゲイの姿,その後佐藤とつるんで動くときのやんちゃぶり,佐藤を失い単身ヤクザを襲うときの冷たい横顔,そして映画の最後で佐藤の遺骨を抱き,白いシャツに折り目正しいスーツ姿で北野を迎えるときの少年の様な美しさ.Gonin8
この監督と俳優達の代表的アクション映画として,一見の価値あり.
★★★★☆(★5個が満点)

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June 25, 2008

独断的映画感想文:グッド・シェパード

日記:2008年6月某日
映画「グッド・シェパード」を見る.
2006年.監督:ロバート・デ・ニーロ.2
出演:マット・デイモン(エドワード・ウィルソン),アンジェリーナ・ジョリー(クローバー),アレック・ボールドウィン(サム・ミュラッハ),タミー・ブランチャード(ローラ),ビリー・クラダップ(アーチ・カミングス),ロバート・デ・ニーロ(ビル・サリヴァン将軍),ケア・デュリア(ラッセル上院議員),マイケル・ガンボン(フレデリックス教授),マルティナ・ゲデック(ハンナ・シラー),ウィリアム・ハート(フィリップ・アレン),ティモシー・ハットン(トーマス・ウィルソン),リー・ペイス(リチャード・ヘイズ),ジョー・ペシ(ジョゼフ・パルミ),ジョン・タートゥーロ(レイ・ブロッコ),ジョン・セッションズ(ヴァレンティン・ミロノフ),エディ・レッドメイン(エドワード・ウィルソン・ジュニア),オレグ・ステファン(ユリシーズ/スタス・シヤンコ),ガブリエル・マクト(ジョン・ラッセル・ジュニア).
1961年.CIAの指揮・支援の下,キューバ侵攻を試みる亡命勢力,しかしその攻撃は惨めな失敗に終わる(ビッグス湾事件).
その直後,作戦を担当したCIAのエドワード・ウィルソンの元に写真とテープが送られてくる.
ベッドで抱き合う男女の粒子の粗い写真,その睦言と思われる録音テープ.エドワードはその解析を部下に命じる.
第2次大戦開戦前,エール大学在学中だったエドワードはFBIの捜査員から接触を受け,ナチス支持者と思われる指導教授のフレデリックスの身辺を洗うことを引き受ける.
このことをきっかけにエドワードは戦略事務局(OSS)に勤め,戦後は創設されたCIAに移り諜報活動に専念することになる.
この間,エドワードは聾者であるローラと恋仲になるが,妊娠させたラッセル上院議員の娘クローバーと結婚し一児をもうける.3
映画はその後諜報活動に没頭するエドワードが,ロンドンに赴任し長く妻子と別離すること,ローラと再会するが彼女との逢い引きが撮影されクローバーに送られること,ソ連のスパイとのやりとりや,かけがえのない部下ブロッコを獲得すること等を描きながら,61年の事件の謎の解明をかぶせて物語を進めていく.
CIAの創設という歴史上の出来事と,その創設に関わったエドワードの家族がたどった運命を描く大作,重厚な画面の作りとマット・デイモン,アンジェリーナ・ジョリーの熱演は評価できる.
しかしこの映画は僕は楽しめなかった.4
それはひとえにCIAと,その創設メンバー達に典型なアメリカのエリートの世界に全く興味がない(と言うよりは敵意しか感じない)からだ.
ボーンズメンと言う存在も知らなかった(ボーンズメンはエール大学の4年生から選ばれる,1832年創設の秘密結社スカル・アンド・ボーンズのメンバーとのこと).映画にはたびたびボーンズメンの集まりが出てくるが,何のことか分からない.
マット・デイモンの演技は良かったが魅力は感じなかった.
見終わって気づいたが何と167分の長尺,最後まで重苦しく救いのない,好きになれない映画だった.まあこんな感想アップしない方が良かったんでしょうね.ちなみに題名は「良き牧者」の意味.
★★(★5個が満点)
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June 21, 2008

独断的映画感想文:今宵、フィッツジェラルド劇場で

日記:2008年6月某日
映画「今宵、フィッツジェラルド劇場で」を見る(ネタバレあります).3_3
2006年.監督:ロバート・アルトマン.
出演:メリル・ストリープ(ヨランダ・ジョンソン),リリー・トムリン(ロンダ・ジョンソン),ギャリソン・キーラー(ギャリソン・キーラー),ケヴィン・クライン(ガイ・ノワール),リンジー・ローハン(ローラ・ジョンソン),ヴァージニア・マドセン(デンジャラス・ウーマン),ジョン・C・ライリー(レフティ),マーヤ・ルドルフ(モリー),ウディ・ハレルソン(ダスティ),トミー・リー・ジョーンズ(アックスマン),メアリールイーズ・バーク(ランチレディ),L・Q・ジョーンズ(チャック・エイカーズ).
アメリカはミネソタのフィッツジェラルド劇場.そこで毎週土曜の夜行われていたラジオ番組の「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の公開中継が,その夜最終回を迎える.
いつものように司会のギャリソン・キーラーが進める番組,フォークやカントリー&ウェスタン,ゴスペルの歌手達がコントやトークをはさみながら演奏を披露する.4
楽屋には謎のブロンドの美女が現れ,番組の終わる頃には劇場を買い取ったアックスマンが姿を見せる.その中でいつものように賑やかに楽しく番組を進めるスタッフや出演者達の群像劇.
この映画が気に入った最大のポイントは,演奏される音楽である.それは,僕がアメリカを嫌いになる前(つまり,ロバート・F・ケネディが暗殺される前)に耳に親しんだ,懐かしいフォークやカントリーナンバーの雰囲気をそのまま持っている曲達なのだ.
それを歌う俳優やコメディアン達の芸達者なことには感心するしかない.
メリル・ストリープとリリー・トムリンのハーモニーなど立派なものである.最も芸達者と見られるケヴィン・クラインが1曲も歌わないのは,さぞ本人が辛かったのではないか.1
一人で歌い,MCをやり,即興でコマーシャルを歌い語る実在の人物ギャリソン・キーラーを,本人が演じているのも素晴らしい.
舞台には擬音専門の江戸家猫八みたいなスタッフもいて,彼を困らせようとメリル・ストリープ達が話の中に次々と奇想天外なもの(オランウータン,電気ノコギリetc)を出しては,その都度その音や鳴き声がちゃんと聞こえてくるというシーンには大笑いしてしまう.
楽屋に来た謎の美女は実は死の天使で,老齢の出演者をお迎えに来たのだが,彼女の存在も映画のテイストの一つ.2
エピローグでスタッフや出演者が元劇場のお向かいにある食堂に集まっていると,この美女が入ってくる.ぎょっとして振り返る一同,ケヴィン・クラインが動揺して指を細かく動かすのが,「今度は誰が死ぬんだ,あいつか?こいつか?」と言っているようでこれも大笑い.
何とも言えぬ味のあるロバート・アルトマンの遺作.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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June 17, 2008

独断的映画感想文:17歳の風景 少年は何を見たのか

日記:2008年6月某日
映画「17歳の風景 少年は何を見たのか」を見る.172
2005年.監督:若松孝二.
出演: 柄本佑(少年),針生一郎(老人),関えつ子(老婆),小林かおり,井端珠里.
冒頭,波打ち際に置かれた自転車.車輪は砂に埋もれかけており,荒々しい波が浜辺に押し寄せる.
画面は冬の富士山に移り,その麓から自転車で駆け下りる少年.少年は東京の繁華街を抜け,ひたすら自転車をこいでやがて冬の日本海に出る.
後は海岸に沿って北上する少年.
少年は母親を殺してきたらしい.それを示唆する新聞記事,その話題を喋り合う,大学生風のラーメン屋の客3人.画面はしかしそれ以外は,ただ自転車をこぎ続ける少年を追っていくのみ.
雪の中雨の中もひたすら少年はこぎ続ける.
途上のエピソードは2つだけ.171
信越線青梅川駅の待合室で出会った老人は,自分の終戦時19歳だった戦争体験を語って聞かせる.雪に埋もれた集落で足をくじいて動けなくなっていた老女は,強制連行されてから在日として過ごしてきた自分の人生を語り,朝鮮の歌を延々と歌って聴かせる.
やがて転倒して自転車も大破し,それでもそれを抱え上げて海岸に沿って進む少年.海の向こうに彼が見たものは…?
まだあどけなさの残る少年,しかしじろっと睨むと人一人殺してきた凄みのある顔だ.彼がどこに向かって何を目的に自転車をこぐのか,何の説明もない.173
しかし少年のこぎ方は尋常ではない.前のめりになって憑かれた様に一心不乱にこぐ.
バックに聞こえる,ギター伴奏のみの激しい叫びの様な歌.
時に少年は道路を離れ,砂浜の波打ち際を疾走する.その姿を望遠でとらえる映像は,あたかも荒波に向かって突撃する様な迫力で,少年の悲しみと絶望の深さが胸にしみる.
映画全体が緊張感を持って表現する少年のその有り様を,観客はどう受け止めればいいのだろう.
映画にしかできないものを見ることが出来る,映画らしい映画.一見の価値あり.
★★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:そのときは彼によろしく

日記:2008年6月某日
映画「そのときは彼によろしく」を見る.2
2007年.監督:平川雄一朗.
出演: 長澤まさみ(滝川花梨),山田孝之(遠山智史),塚本高史(五十嵐佑司),国仲涼子(柴田美咲),北川景子(葛城桃香),黄川田将也(夏目貴幸),本多力(松岡郁生),黒田凛(滝川花梨(子供時代)),深澤嵐(遠山智史(子供時代)),桑代貴明(五十嵐佑司(子供時代)),和久井映見(遠山律子),小日向文世(遠山悟郎).
冒頭,ベッドに眠る花梨とそれを見守る智史と佑司.この3人は小学生の頃の親友だった.
転校してきた智史は,湖の岸辺で廃車になっているバスを「秘密基地」にしている花梨と佑司と友達になる.二人は施設で暮らしているらしく,花梨は両親を知らず,佑司は父の死後母に捨てられた.3人は無二の親友となる.
佑司は将来画家に,智史は将来水草の販売をすると言い,花梨は画家のモデルと水草屋の看板娘になると言うのだった.1
やがて智史の再びの転校で彼らは別れ別れになる.智史はその後約束通り水草の専門店を開く.
ある日店を訪ね,押しかけ店員になったのは,人気モデルを引退したばかりの森川鈴音だった….
実はこの森川鈴音はもちろん滝川花梨で,再開した二人の元に消息の知れなかった佑司が交通事故にあったという知らせが入り,一方花梨は子供の頃から抱えていた難病が悪化して…という基本難病ものだけど韓流ドラマも裸足で逃げる様な大胆設定.
俳優達は皆善戦していたが,最後のどんでん返し含めてファンタジーとは言えあまりのご都合主義の展開に,やや引いてしまった.3
この映画を救ったのは,回想シーンの子役達の好演である.
特に花梨の誕生会のシーン,智史をホームで見送る別れのシーン(何故か大人が一人もいない)では,つい涙ぐんでしまった.
所々にすてきな映像もあったしおしゃれな映画ではあるが,物語としては度し難し.
★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:4分間のピアニスト

日記:2008年6月某日
映画「4分間のピアニスト」を見る.45
2006年.監督:クリス・クラウス.
出演:モニカ・ブライブトロイ(トラウデ・クリューガー),ハンナー・ヘルツシュプルング(ジェニー・フォン・レーベン),スヴェン・ピッピッヒ(ミュッツェ),リッキー・ミューラー(コワルスキー).
冒頭,刑務所の全景に続き,房室で首つりをしている女囚が映る.
その横で寝ているジェニーが目覚め,死体を見るが特に驚くこともなく,やがて死体のポケットから取り出したタバコをくゆらす.
クリューガーは80歳の名ピアニスト,長年この刑務所でピアノ教師を務めてきたが,収監者の中にジェニーを見いだしその才能に期待をかける.44
ジェニーはピアノには天才的な腕を持つが心の荒みきった殺人犯,誇り高く厳格な教師クリューガーとは事ごとに対立する.
クリューガーは,以前この刑務所がナチスの収容所だった時代に看護婦として勤めた経験があり,その時期に誰にも言えぬ辛い経験をしている.
一方物語の進展と共にジェニーの生い立ちも明らかになってくる.ジェニーをコンクールに出場させようとがんばるクリューガー,しかしジェニーの暴力性は止まらず,それに反発する同房の囚人や看守の圧迫は激しくなる一方.
署長はジェニーのコンクール出場を禁じ,クリューガーが寄付したピアノも撤去されることになった.この苦境を二人は,どう切り抜けるのか….42
ジェニーとクリューガーの設定がよく考えられていて,その二人の織りなすドラマに引き込まれる.
もとより映画中で演奏されるピアノ曲には心打たれるが,特に最後のコンテストでのジェニーの演奏は,良い意味で予想を覆される内容だった.
いろいろ説明不足と思うところもあるが,ラストシーンの迫力はすべてを納得させる力を持つ.ジェニー役のハンナー・ヘルツシュプルングのとんがった演技と眼力は一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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June 11, 2008

独断的映画感想文:パッチギ!LOVE&PEACE

日記:2008年6月某日
映画「パッチギ!Love&Peace」を見る.Pdvd_046
2007年.監督井筒和幸.
出演:井坂俊哉(李安成(アンソン)),中村ゆり(李慶子(キョンジャ)),西島秀俊(野村健作),藤井隆(佐藤政之),風間杜夫(ビョンチャン),キムラ緑子(兄妹の母),ラサール石井(三浦プロデューサー),杉本哲太(「太平洋のサムライ」監督),麿赤兒(石橋中将役の大物俳優),でんでん(ライトエージェンシー社長),寺島進(イカ釣り船の船長),国生さゆり(お志摩),田口浩正(南プロデューサー),山本浩司(ライトエージェンシー松井),松尾貴史(ギャグ好きのおじさん),中村有志(宇野重吉)(これどういう洒落か?),温水洋一(マスター),木村祐一(漁船の船長).
話題作「パッチギ!」の続編だが,これほどむちゃくちゃな映画も珍しい.
映画は難病の息子をかかえるアンソン,芸能界の仕事を始め戦争映画の日本人ヒロインを演じるキョンジャ,彼らの父達の徴兵忌避事件を軸に進むのだが,まず続編と言っても俳優陣は総取っ替え,おまけに前作で主人公であった松山康介は今回は出てこない.冒頭の突然始まる主人公達と国土館高校応援団との殴り合いも,何故そうなるかは全く判らず(特に説明の必要もないが).
おまけにアンソンの息子が筋ジストロフィーだという難病テーマが,突然主題の一つに入っている.
映画の進行に伴って挿入されるアンソン等の父親の,徴兵忌避からヤップ島守備戦に巻き込まれるにいたる物語も,何のことか判然としない.
突っ込みたいところは山のようにあるが,何故か最後まで見てしまうのは,ひとえにこの映画の異常な迫力・エネルギーにあるのだろう.このチャンスに言いたいことを皆詰め込み言ってやろうという,制作者の構えに圧倒される思いだ.Pdvd_048
この映画は大勢で見て,その後つっこみ大会をやるのが正しい見方かも知れない.
この映画は文化庁の支援を受けているようだが,文化庁の太っ腹を褒めるべきか.幸か不幸か,週刊新潮の取り上げるところにはならなかったようである.
俳優ではアンソンとキョンジャを演じた両名が,共に新人ながら見応えあり.藤井隆のようなお笑いが副主人公等を演じるのは,個人的には好きではない.Lp1
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:山桜

日記:2008年6月某日
映画「山桜」を見る.1
2008年.監督:篠原哲雄.
出演:田中麗奈(磯村野江),篠田三郎(浦井七左衛門),檀ふみ(浦井瑞江),北条隆博(浦井新之助),南沢奈央(浦井勢津),富司純子(手塚志津),高橋長英(磯村左次衛門),永島暎子(磯村富代),村井国夫(諏訪平右衛門),東山紀之(手塚弥一郎).
藤沢周平原作の時代劇.
冒頭,伯母の墓参りをすませ春の野辺を歩く磯村野江,美しく咲き誇る山桜に目をとめる.
その枝を取ろうと背伸びするが届かず,足袋を汚してしまう.その野江の後から「手折って進ぜよう」と声をかけ山桜の枝を折り取ってくれたのは,手塚弥一郎,かって野江とのあいだに縁談のあった男である.
野江は最初の夫の死後磯村に嫁いだが,磯村の家は金貸しが本業の如き家で,権力者に取り入り金貸しに励む夫に,野江は心を許すことができない.4
「今は幸せでござろうな」と言って去って行った弥一郎に,野江は心和むものを感じるのだった.
折しも権力者の座にある諏訪平右衛門は,富農と結託した新田開発を強行し,不作にあえぐ農民の不満は高まる一方だった.その諏訪平右衛門をある日手塚弥一郎が襲い殺害する.野江の心は激しく騒ぐ….
原作は短編であり,しかもラストの1行のために全編があるような作品,映画化は難しかろうと思っていたが,原作に思い入れのある作品としてはまずまずの出来に思える.
特に庄内の美しい風景,季節の鳥の声などが心にしみる.
田中麗奈,壇ふみ,東山紀之等の俳優の押さえた物静かな演技も期待通り.特筆すべきは富司純子で,彼女が登場した瞬間から映画の格まで変わったかのように感じた.彼女と田中麗奈が演じる映画のラストは,この映画の最大の見せ場と言えよう.5
ところがこの二人の演技が未だ続いている最中に,一青窈の歌う主題歌が突然始まったのには吃驚した.この極めて現代的な一青窈の歌の挿入は,それまで99分間積み上げてきた感動をまさにラスト1行でぶち壊すものとしか思えない.
監督は時代劇は初めてだそうだが,次回からはこういうことは止めて欲しい.
この歌をいれなければ★★★☆.この歌をいれれば★(★5個が満点).
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June 05, 2008

独断的映画感想文:悪い男

日記:2008年6月某日
映画「悪い男」を見る.1
2001年.監督:キム・ギドク.
出演:チョ・ジェヒョン(ハンギ), ソ・ウォン(ソナ),チェ・ドンムン(ミョンス),キム・ユンテ(ジョンテ),キム・ジョンヨン(アンヒ).
キム・ギドク監督は3作目である.
冒頭街を行き交う人々のなか異彩を放つやくざものハンギ.ベンチに座る女子大生ソナに目をとめその隣に腰を下ろす.
嫌悪感も露わに立ち上がり,来合わせた恋人の胸に飛び込むソナ,そのソナに後ろから抱きつきハンギは強引にその唇を奪う.
周りにいた軍人に取り押さえられ袋だたきにされ,ソナには唾を吐きかけられるハンギ.物語はそこから始まる.2
ハンギはソナに罠を仕掛け,自分が2人の子分と取り仕切る売春宿に売り飛ばす.絶望のうちに娼婦としての暮らしを送るソナ,ハンギは男に抱かれるソナを夜ごとマジックミラー越しに見つめるのだった….
荒々しく暴力的な映画だが,これは紛れもない純愛映画である.
一目見て恋に落ちたソナに罠を仕掛け,娼婦に身を落とさせながら,ハンギはソナを抱くことも出来ない.日ごと夜ごと狂おしく彼女を見つめながら,ハンギに出来ることと言えば眠っている彼女の乱れた髪をそっと直すことくらい.3
ハンギはほとんど口を開かないのだが,後半になって彼が絞り出す様に叫ぶ「ヤクザ風情に愛だなんて…」という台詞が印象的だ.
そのハンギの思いに次第に気付いていくソナのこころ.物語は思いがけない終幕に向かって二転三転する.
僕は韓国映画は生理的に苦手なのだが,この映画でもそういう苦手な場面はいくつもあったのだが,そんなことはどうでも良いと思える映画の迫力だった.4
映画にしか描けない物語を断固として紡ぎ続ける監督の姿勢に敬礼.俳優も皆良かった.
一見の価値あり.
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May 28, 2008

独断的映画感想文:細雪

日記:2008年5月某日
映画「細雪」を見る.11
1983年.監督:市川崑.
出演:岸恵子(蒔岡鶴子),佐久間良子(蒔岡幸子),吉永小百合(蒔岡雪子),古手川祐子(蒔岡妙子),伊丹十三(辰雄),石坂浩二(貞之助),岸部一徳(板倉),桂小米朝(奥畑),江本孟紀(東谷),辻萬長(三好),常田富士男(五十嵐),浜村純(音吉),小坂一也(野村),三宅邦子(富永の叔母),細川俊之(橋寺),上原ゆかり(お春),白石加代子(酒亭の内儀),仙道敦子(橋寺の娘),橋爪淳(新兵).
あまりに有名な谷崎潤一郎の小説の映画化.
大阪上本町に本家のある蒔岡家の4姉妹の物語である.長女の鶴子,次女の幸子とも養子をとり,3女の雪子,4女の妙子は子細あって分家に暮らす.08
物語は雪子の縁談と妙子の男性遍歴を中心に,昭和13年の京阪神の上流家庭の状況を描く.
この映画の最大のポイントはその美しさである.平安神宮の桜,嵯峨野の紅葉をはじめとする情景の美しさ,女優の美しさ,その衣装の美しさは筆舌に尽くしがたい.この美しさを映像に留めたというだけでこの映画を見る価値は十分にあるであろう.
市川崑は女優の表情を,スクリーンの大半を埋めるほどのアップで繰り返し捉えるが,いずれの女優もそのアップで十分に見応えあり.06
物語の方は,映像の美しさに比べると,やや見劣りする.戦前の京阪神の上流家庭の状況が如何に丁寧に描かれようと,それは今の時点から見ればいささか退屈と言わざるを得ない.
昭和13年は,恐らく戦争の影が社会を覆う前の最後の瞬間であったろう.その数年後にはパーマをかけたり,振り袖を着たりするだけで市民から「非国民」と罵倒される社会になったのだから.05
その点で,物語の歴史性についての描写は,この映画が1983年の制作であるとしてももう少しあって良かったのではないかと思われる.
★★★☆(★5個が満点)
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May 24, 2008

独断的映画感想文:放浪記

日記:2008年5月某日
映画「放浪記」を見る.4
1962年.監督:成瀬巳喜男.
出演:高峰秀子(林ふみ子),田中絹代(母・きし),宝田明(福地貢),加東大介(安岡信雄),小林桂樹(藤山武士),草笛光子(日夏京子),仲谷昇(伊達春彦),伊藤雄之助(白坂五郎),多々良純 (田村),織田政雄(ふみ子の父),加藤武(上野山),文野明子(村野やす子),飯田蝶子(下宿屋の婆さん).
林芙美子の同名の小説の映画化.
行商人の両親に連れられ旅する少女.その少女が大人になって母と共に行商に歩く姿から映画はスタートする.
行商の成果は思わしくなく,母は故郷に帰り,娘ふみ子は職探しに次々失敗した挙げ句カフェの女給となる.
女給をしながら詩を書き童話を書くふみ子,カフェに来た詩人で俳優の伊達にその詩を評価され同棲するが,伊達には妻があり更に別の恋人京子がいた….
林芙美子の,カフェの女給,牛飯屋の女中,男との同棲,結婚を経て「放浪記」の出版で成功するまでの日々を中心とした物語.
何より驚くのは美人女優高峰秀子による林芙美子の造形であろう.
太く下がった眉,上目遣いのふてくされた表情,猫背で外股に歩くやや着崩した姿.その圧倒的な存在感はどうだろう.2
その存在感があればこそ,カフェの女給でありながら横暴な客を罵倒してクビになり,日々の食事にも事欠きながら執筆活動をあくまでも続けるこの林芙美子という人物が,観客の胸に迫るのだろう.
助演の加藤大介,伊藤雄之助,多々良純等も懐かしい(皆故人となった).
映画のもう一つの楽しみはバックに流れる大正・昭和の唄である.
ふみ子が母からの手紙を読むシーンで流れる唄は「青葉茂れる櫻井の」.この唄は楠木正成が嫡子正行と今生の別れを告げる場の物語である.はてと思って聞いているうちに唄の後段ではたとその意味が判る.
後段のメロディに乗る2番の歌詞はこうだ.「いましはここまで来つれども,とくとく帰れ故郷へ」.ここで遠くに汽笛の音がぼーっと入る.3
あるいはカフェで物思いにふけるふみ子のシーンで流れる「篭の鳥」,伊達と抱擁するシーンでの「ゴンドラの唄」,あるいは「さすらいの唄」等々,大正から昭和にかけてのこれらの歌曲が,何と効果的に使われていることだろう.
林芙美子という人物像を,優れた俳優陣を得てみごとに描いた見応えある映画.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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May 20, 2008

独断的映画感想文:ティン・カップ

日記:2008年5月某日
映画「ティン・カップ」を見る.3
1996年.監督:ロン・シェルトン.
出演:ケヴィン・コスナー.レネ・ルッソ,ドン・ジョンソン,チーチ・マリン.
街道を外れたゴルフ練習場,アルマジロがちょろちょろと走っている.
その練習場の裏のトレーラー・ハウスに住むロイ・“ティン・カップ”・マカヴォイは,伝説のプロゴルファー.若い頃はライバル・シムズと張り合った仲だったが今や彼はツアープロ,ロイは時給7ドルのレッスン・プロ.
博打に眼がなく,プレイでもいざというときは一か八かの勝負に走る彼は,酒と女を愛し,唯一の理解者ロミオと一緒に気楽に暮らしている.
ある日彼を指名して教わりに来た初心者モリーは,精神科医でシムズの恋人だった.彼女に一目惚れしたロイは,U.S.オープン出場を決意するが….
僕はゴルフは全くしないしできないが,ゴルフの雰囲気は嫌いではない.ケヴィン・コスナーも好きである.ということで見た映画だが,まあ隙だらけの映画.
ストーリー展開は一直線の,やさぐれ男一念発起のゴルフ成功・恋愛成就の物語.特にひねりもなく裏をかかれることもなし.1
ほとんどけだるいといった感じの展開で,気楽に見るのが一番.
ケヴィン・コスナーはしかしスポーツものは体が良く動いて感じが良い.特にゴルフ道具を質入れし,それを受け出すためにバット,シャベル,熊手等の道具で賭ゴルフをするシーンは,なかなかの傑作です.
ところがこの映画,最後の15分で目が覚める.
ここから先はネタバレです.
U.S.オープン優勝目前のロイが,それまでの3日間いずれも池ポチャに終わっていた最終18ホール,なんとここでも果敢に2オン狙いの池越えに挑戦(刻めば優勝間違いなしだったのに),会心の一打はしかし突然吹いた風のためにグリーンから転がり落ちまたもや池ポチャとなる.
その後ロイは同じ場所から池越しに打って打って打ちまくり,球は池に落ち続け,ついにこれが失敗したら失格という最後の第12打は天高く舞い上がる….2
この場面は理屈抜きに感動する.この映画の真骨頂はこのシーンにあるだろう.
エピローグはまた少しかったるいが,そんなことはどうでも宜しい.
スポーツものはこれがあるからやめられない.
★★★★(★5個が満点)
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May 14, 2008

独断的映画感想文:憑神(つきがみ)

日記:2008年5月某日
映画「憑神(つきがみ)」を見る.Photo
2007年.監督:降旗康男.
出演:妻夫木聡(別所彦四郎),夏木マリ(別所イト),佐々木蔵之介(別所左兵衛),鈴木砂羽(別所千代),森迫永依(おつや(死神)),笛木優子(井上八重),佐藤隆太(小文吾),赤井英和(九頭龍(疫病神)),香川照之(甚平),西田敏行(伊勢屋(貧乏神)),江口洋介(勝海舟).
時は幕末,御家人の次男坊で文武に優れながら婿入り先から暇を出されて,うだつの上がらぬ部屋住を続けている主人公別所彦四郎.
ある日幼なじみの榎本武揚と出会い,彼の出世の糸口が向島の三回り神社詣でからだと聞いた彦四郎は,その夜酔った拍子で倒れ込んだくさむらにあった三巡り神社のほこらに,思わずお参りしてしまう.
早速翌日やってきたのは貧乏神,「みめぐり」違いのこの神社,なんと貧乏神・疫病神・死に神が計三体とりつくという大変な神社.彦四郎は知謀と誠意の限りを尽くしてこの事態に対処するのだが….Photo_2
浅田次郎ものはどうもダメである.
むろん独断と偏見だが,彼の物語は奇抜で卓越した発想でスタートするのはよいが,終盤理屈っぽく重苦しくなり,無理矢理感動させようというあざとさに辟易して終わることになる(浅田次郎ファンの皆さんご免なさい).
「メトロに乗って」もそうだったがこの映画も同様.これは原作の欠点なのだが,脚本がそこを忠実に踏襲しているから映画もダメである.Photo_3
キャスティングは悪くなく俳優も健闘しているが,大勢を挽回するには至らない.
小説同様前半はそこそこ楽しかったのだが,惜しいことである.後半は見なきゃ良かったか.
★☆(★5個が満点)
蛇足:最後に作者が素で出てきたのには仰天した.自分の作品にトドメを刺しに来るとは.いやあ恐れ入った.
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May 12, 2008

独断的映画感想文:シェーン

日記:2008年5月某日
映画「シェーン」を見る.5
1953年.監督:ジョージ・スティーヴンス.
出演:アラン・ラッド,ヴァン・ヘフリン,ジーン・アーサー,ブランドン・デ・ワイルド,ウォルター・ジャック・パランス.
あまりに有名な西部劇の古典的傑作.
ワイオミングの開拓地.開拓農民ジョー・スターレットの農場へ立ち寄った流れ者シェーンは,農場が,牛の放牧をするライカー一家に脅かされていることを知り,スターレットに雇われ働くことになる.1
ジョーはシェーンと友情を結び,ジョーの息子ジョーイは拳銃使いのシェーンを慕う.ジョーの妻マリアンは密かにシェーンに惹かれている.
周辺の農場は皆ライカー一家に圧迫され立ち退きを迫られている.彼らは団結して立ち向かおうとするが,ライカー一家は殺し屋ウィルスンを雇ってまとめ役のスターレットを狙う….
古典的西部劇の面白さに加え,少年ジョーイの視点とマリアンとのほのかなロマンス,ジョーとの男の友情が彩りを添えている.
更に魅力を加えているのは,ニヒルな殺し屋を演じるジャック・パランスであろう.ヴイクター・ヤングの主題歌も素晴らしい.3
バランスのとれた古き良き映画.
ただ,スローで見てみると決闘シーンではアラン・ラッドは発砲の瞬間に2度とも目をつむっているのが分かる.また酒場でウィスキーを引っかけられたアラン・ラッドの胸のシミが,一瞬消えている画面がある.2
何となくのどかな感じの映画ではある.★★★☆(★5個が満点)
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May 08, 2008

独断的映画感想文:リプリー

日記:2008年5月某日
映画「リプリー」を見る.Ripley1
1999年.監督:アンソニー・ミンゲラ.
出演:マット・デイモン(トム・リプリー),グウィネス・パルトロー(マージ・シャーウッド),ジュード・ロウ(ディッキー・グリーンリーフ),ケイト・ブランシェット(メレディス・ローグ),フィリップ・シーモア・ホフマン(フレディ・マイルズ),ジャック・ダヴェンポート(ピーター・スミス=キングスレー),ジェームズ・レブホーン(ハーバート・グリーンリーフ).
名画「太陽がいっぱい」のリメイク.
貧しいピアノの調律師トムは,あるパーティーでピアノ伴奏をしているとき,富豪のグリーンリーフ氏から声をかけられる.
トムを息子と同じ大学の学生と誤解したグリーンリーフ氏は,イタリアに行って帰らない息子ディッキーを連れ戻してくれるよう,トムに依頼する.
イタリアに飛んだトムは,ディッキーに気に入られることに成功,その恋人マージと共にイタリアでの奔放な生活を楽しむが,ディッキーを取り巻く豊かなアメリカ人の仲間内では浮いた存在だった.
当初トムを気に入っていたディッキーもそれに飽き,サンレモを訪れた二人はボート上でいさかいを起こし,トムはディッキーを殺害する.その死体を隠したトムは,以降ディッキーになりすましてディッキーの金でローマでの暮らしを続けるのだが….
この映画のキーワードは,なりすまし,ホモセクシュアル,サスペンスといったところか.
元来ものまねのうまいトムが,ディッキーと一緒に暮らすうちに覚え,ディッキーになりすましてからは磨きをかけた「金持ちの態度」は,画面にありありと描かれる.それを演じるマット・デイモンのうまさ.
一方,「太陽がいっぱい」と異なりこの映画では,トムがホモであることは公然と描かれる.そのことは物語の進展にとって重要なポイントだ.
そしてサスペンス.トムの奸智と偶然が味方して彼が殺人容疑を逃れたかに見えたとき,最悪の罠が彼を襲う.映画の終局,ダッフルコートを着たトムが船室に一人悄然とうつむくシーンはむしろ痛々しいほどだ.
映画「リプリー」は,「太陽がいっぱい」がアラン・ドロンという俳優の生々しい魅力で成り立った映画であったのに比べ,主人公の人物像の強烈な印象で成り立った映画と言えるかもしれない.
俳優の魅力としては,地味なマット・デイモンよりはむしろジュード・ロウが上.女優は二人とも通常の出来.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ダイ・ハード4.0

日記:2008年5月某日
映画「ダイ・ハード4.0」を見る.
2007年.監督:レン・ワイズマン(アンダーワールド・シリーズ).
出演:ブルース・ウィリス(ジョン・マクレーン),ジャスティン・ロング(マット・ファレル),ティモシー・オリファント(トーマス・ガブリエル),クリフ・カーティス(ボウマン),マギー・Q(マイ・リン),シリル・ラファエリ(ランド),メアリー・エリザベス・ウィンステッド(ルーシー・マクレーン).
映画の冒頭,FBIのサーバーにサイバー・アタックが発生し,FBIはブラックリストに載ったハッカーを次々に逮捕する.41
一方ハッカーらしき人々が,テロ組織の美人エンジニアの指示の元,自分のコンピュータにウィルスを送り込まれ次々に消されていく.
いましも消されかかったハッカー,マットをFBIに依頼され逮捕しにやってきたのがジョン・マクレーン.マットの,身柄を押さえようとした瞬間,マットをねらったテロリストの襲撃を受け早くもエンジン全開のアクションシーン.
一方,テロリスト・トーマスは次々とサイバー・アタックを発動,全米は交通制御システムのダウン,通信システムのダウン等の攻撃を受け大混乱に陥る.
この中,あくまでマットの命をねらう一味は,マクレーン共々抹殺せんとヘリコプターを繰り出してその車を襲撃,追い詰められたマクレーンは起死回生の技を繰り出して….
おなじみのシリーズの第4作.
周到に計画し準備した,コンピュータを意のままに操るサイバーテロリスト達.しかも情け容赦なく人を殺し,美人テロリストはカンフーの達人でもある.
そのプロ集団が,ほとんど通りすがりと言っていいピストル一丁持っただけのマクレーンにどうしてこんなにめちゃくちゃにやられ続けるのか.
マクレーンにかかればヘリコプターもジェット戦闘機も墜落し,どんな脅しも通用せず,銃を突きつけてもまだ安心できない.42
えーっと突っ込みたいところは山ほどあるけど,突っ込む暇もあらばこそ,テンポ良く大ネタを畳みかけるその映画の進行に,すっかりやられちゃいました.
まあ後には巻き添えになった一般市民の死体とその車の残骸が,山の様に残っているのだろうけど,そんなのかんけーねーの心境.
ぽんぽん人が死ぬことを別にすれば痛快この上ない典型的アクション映画.何も考えずに夢中で見ましょう.エンドロールのクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの音楽も良かった.
(でも4.0ってどういう意味だ?「ダイ・ハード4.3」とか作られるのか?)
★★★☆(★5個が満点)
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