2019/03/08

独断的映画感想文:ショーシャンクの空に

日記:2019年3月某日
映画「ショーシャンクの空に」を見る.1_3
1994年.監督:フランク・ダラボン.
出演:ティム・ロビンス(アンディ),モーガン・フリーマン(レッド (エリス・ボイド)),ウィリアム・サドラー(ヘイウッド),ボブ・ガントン(ウォーデン・サミュエル・ノートン),ジェームズ・ホイットモア(ブルックス・ヘイトレン),クランシー・ブラウン(バイロン・ハドリー),ギル・ベローズ(トミー・ウィリアムズ),マーク・ロルストン(ボッグス・ダイアモンド).5_3
銀行副頭取だった青年:アンディは妻とその愛人殺しの容疑で逮捕され,無実を主張するが終身刑の判決を受け服役する.当初は人を寄せ付けなかったアンディだが,「調達屋」のレッドとはうち解け,やがて穏やかな人柄と税務会計能力を発揮して,囚人のみならず看守からも一目置かれる存在となる.3_3
その能力を認められ図書係となるが,所長は自分の汚職の会計係として彼を使う様になる….
不条理な状況下でも自分を見失わず,希望を持ち続けたアンディの物語.
自分の能力を発揮して洗濯係から図書係,所長の会計係と処遇を改善していったアンディだが,自分の無実を証明する手掛かりが見えた時,最も残酷な運命が待っていた.それを彼は如何に突破し得たのか.
6
「希望」とは何を礎とするのかを,改めて考えさせる映画である.
ティム・ロビンス・モーガン・フリーマンの演技が素晴らしい.刑務所暮らしの彼等の日常と時折訪れる希望と絶望が間断することなく表現されて,全体のテンポも良く最後まで一気に見ることが出来る.
所長役のボブ・ガントン,看守役のクランシー・ブラウン,老懲役囚のジェームズ・ホイットモアも印象に残った.
2_3
終盤,レッドが仮釈放後バクストンで樫の木を目指すシーンでの音楽が,心に染み入って美しい.映画らしい映画,文句なし.
★★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年2月歌舞伎座昼の部 すし屋/暗闇の丑松/団子売

日記:2019年2月某日
二月大歌舞伎昼の部を見る.Kabukiza_1poster201902
「一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) すし屋」.初世尾上辰之助三十三回忌追善狂言.出演:いがみの権太(松緑),弥助実は三位中将維盛(菊之助),娘お里(梅枝),若葉の内侍(新悟),梶原の臣(吉之丞),梶原の臣(男寅),梶原の臣(玉太郎),六代君(亀三郎),弥左衛門女房おくら(橘太郎),鮓屋弥左衛門(團蔵),梶原平三景時(芝翫).「二、暗闇の丑松(くらやみのうしまつ)」.初世尾上辰之助三十三回忌追善狂言.長谷川 伸 作,村上元三 演出.出演:暗闇の丑松(菊五郎),丑松女房お米(時蔵),浪人潮止当四郎(團蔵),料理人作公(男女蔵),料理人伝公(彦三郎),料理人巳之吉(坂東亀蔵),料理人祐次(松也),建具職人熊吉(萬太郎),建具職人八五郎(巳之助),杉屋遣手おくの(梅花),湯屋番頭甚太郎(橘太郎),お米の母お熊(橘三郎),杉屋妓夫三吉(片岡亀蔵),岡っ引常松(権十郎).四郎兵衛女房お今(東蔵),四郎兵衛(左團次).「三、団子売(だんごうり)」.出演:杵造(芝翫),お臼(孝太郎).Kabukiza_2poster201902
すし屋は時代歌舞伎を演じることの難しさ(特にいがみの権太が手負いとなってから幕となるまで)をつくづく感じた.松緑は渾身の芝居で,見応えあり.
暗闇の丑松は優れた狂言だが,菊五郎の丑松は暗さや尖ったところがあまりない丑松に見えた.いつか松緑がやる丑松を見てみたい.湯屋番の橘太郎が出色の出来で面白い.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年2月歌舞伎座夜の部 熊谷陣屋/當年祝春駒/名月八幡祭

日記:2019年2月某日
二月大歌舞伎夜の部を見る.Kabukiza_201902_fff_f330feebf46a183
一、一谷嫩軍記-熊谷陣屋(くまがいじんや)」.出演:熊谷直実(吉右衛門),藤の方(雀右衛門),源義経(菊之助),亀井六郎(歌昇),片岡八郎(種之助),伊勢三郎(菊市郎),駿河次郎(菊史郎),梶原平次景高(吉之丞),堤軍次(又五郎),白毫弥陀六(歌六),相模(魁春).「二、當年祝春駒(あたるとしいわうはるこま)」.出演:工藤祐経(梅玉),曽我五郎(左近),大磯の虎(米吉),化粧坂少将(梅丸),曽我十郎(錦之助),小林朝比奈(又五郎).「三、名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)」.初世尾上辰之助三十三回忌追善狂言.池田大伍 作,池田弥三郎 演出.出演:縮屋新助(松緑),芸者美代吉(玉三郎),魚惣(歌六),船頭長吉(松江),魚惣女房お竹(梅花),美代吉母およし(歌女之丞),藤岡慶十郎(梅玉),船頭三次(仁左衛門).
熊谷陣屋は当代吉右衛門の当たり役,その素晴らしい演技を堪能した.
特に最後の場面,我が子の首を凝視した後花道を去って行く,何とも言えない哀しさ・寂しさの中にやるべきことをしたという微かな笑みを含んだ姿が,感銘的.
名月八幡祭は仁左衛門と玉三郎のお似合いの好演,松緑の狂気にいたる律儀な田舎者の追い詰められ様が,共にはまり役で見応えあり.両方の芝居で歌六の演技がこの人ならではで印象に残った.
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独断的映画感想文:金子文子と朴烈

日記:2019年2月某日
映画「金子文子と朴烈」を見る.00_2
2017年.監督:イ・ジュンイク.
出演:イ・ジェフン(朴烈(パクヨル)),チェ・ヒソ(金子文子),キム・インウ(水野錬太郎),山野内扶(布施辰治),キム・ジュンハン(立松懐清),金守珍(牧野菊之助).1_2
東京で人力車夫として生計を立てる朴烈は無政府主義者,朝鮮人を中心とした無政府主義者の結社「不逞社」の一員である.彼等が根城にする岩崎おでん屋の女給・金子文子は,朴烈の詩「犬ころ」に共感,朴烈と同棲をする.
この頃朴烈は上海から爆裂弾の購入を企図,また自作の爆裂弾も試作するが,いずれも失敗に終わる.3_2
関東大震災が起こると,朝鮮人による井戸への毒薬投入・暴動の噂が流れ,自警団による朝鮮人殺しが横行,また警察による予防検束が行われる.
朴烈・金子文子も逮捕されるが,爆裂弾購入に関与した一員が朴烈の名前を出し,また二人が「やるなら皇太子(昭和天皇裕仁)である」との考えを示したため,両名は大逆罪で起訴されることになる.これは朝鮮人虐殺の批判をかわすための,内大臣の方針でもあった.

4_2
二人は死を賭して,大逆罪裁判での弁論にその主張を訴えることを選択する….
骨太の歴史映画である.
根拠も脆弱な大逆罪起訴にあえて身を投げ入れる両名,無為な死としか見えない行為は,彼等としては命をかけた闘いである.若いアナーキスト二人の,その闘いでの生命力溢れる描写が誠に印象的だ.5_2
特にイ・ジェフン演じる朴烈,チェ・ヒソ演じる,金子文子の魅力はどうだろう.文子は裁判判決時に未だ23歳,その政治主張はいかにも生硬だが,朴烈に対する愛情のひたむきさには心を打たれる.イ・ジェフンの朴烈も素晴らしい存在感.他にキム・ジュンハン演じる立松懐清等が印象的だった.
コンチネンタルタンゴを思わせる主題歌を始め音楽も素晴らしい.映画として見応え充分,お勧めである.
★★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:夜明け(2019)

日記:2019年2月某日
映画「夜明け(2019)」を見る.1
2019.監督:広瀬奈々子.
出演:柳楽優弥(シンイチ/芦沢光),YOUNG DAIS(庄司大介),鈴木常吉(米山源太),堀内敬子(成田宏美),小林薫(涌井哲郎).3
映画の冒頭,夜明け前の鉄橋から花束を投げる青年.
翌朝,釣に行く途中の哲郎は川辺で倒れている青年を発見する.やもめ暮らしの哲郎はそのまま青年を連れて帰る.青年はシンイチと名乗るが,それは哲郎の8年前に交通事故死した一人息子と同じ名前だった.
哲郎は訳あり風のシンイチを家に引き取り,自分の木工所で木工を仕込むことにする.徐々に周囲に溶け込んでいくシンイチだが,シンイチには名前を偽らねばならない彼なりの事情があった.
哲郎は近々従業員の宏美と再婚同士の結婚式を控えている.哲郎はシンイチを息子同様に扱おうとするが,哲郎にも死んだ妻と息子との辛い過去があった….4
過去にトラウマを抱えた同士の疑似親子の試みがどうなるのかというヒューマンドラマ.
プロット自体には思いがけないものはない.予想される困難が出来し,予想される結末がやって来る.ラストシーンのシンイチのアップは,これから彼がどうするのか,観客に問いかけるかの様だ.
気弱で優しいシンイチを演じる柳楽優弥が見応えあり.表情も乏しく,常に囁くような声で喋るシンイチを演じて,次第にシンイチがどういう人間なのか,シンイチの苦しみは何なのかを観客に滲み込ませて行く.小林薫も矛盾ある哲郎を過不足無く演じ素敵.2
木工所の従業員が出入りする酒場のマスターのパワハラエピソードなど,描き方はもう一つ納得出来ないが,監督の今後に期待する.
★★★(★5個が満点)
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2019/02/04

独断的映画感想文:セブン・シスターズ

日記:2019年2月某日
映画「セブン・シスターズ」を見る.1_4
2016年.監督:トミー・ウィルコラ.
出演:ノオミ・ラパス(セットマン家の7姉妹),マーワン・ケンザリ(エイドリアン・ノレス),ウィレム・デフォー(テレンス・セットマン),クリスティアン・ルーベク(ジョー),グレン・クローズ(ニコレット・ケイマン).2_4
2073年,地球は干ばつと資源の枯渇で危機的状況に.遺伝子組み換え作物の開発で食糧危機は脱したものの,その副作用で多胎が増加する.
欧州連邦は児童分配局を創設,強権的な一人っ子政策を実施する.2人目以降の児童は分配局に収容され,危機が去るまでの間冷凍保存されることになる.3_4
誕生時に両親を失ったセットマン家の7人姉妹は,祖父テレンスの意向で7人が日替わりで一人の人格カレンを演じることで成長する.各人が曜日の名前をつけられた7人姉妹は,性格も才能もそれぞれだったが,協力して30歳まで生き延びてきた.
しかし或る日「月曜日」が夜になっても帰らず,翌日不安の中出かけた「火曜日」は児童分配局長官ケイマンに逮捕される….5_4
この時点で芋づる式に7人全員が逮捕されておかしくないのだが,襲撃してきたエージェントを残された5人姉妹が犠牲を払いながら撃退,武闘派の「水曜日」がコンピュータの天才「金曜日」の指示のもと,「月曜日」行方不明の手掛かりを捜しに街頭に忍び出る….
4_4
7人が1人として30年暮らすという設定自体が無茶苦茶であり,戦闘が始まった後も,何故自宅に公権力が雪崩れ込んでこないのか不思議とか,観客にとってミステリが多い映画.しかし映画のテンポは良く,アクションの連続と入れ替わりに活躍する7人の組み合わせが魅力的で映画に引き込まれる.
上に述べたミステリも映画の進行の中で次第に謎が解けてきて(かなり無理はありますが),ややB級映画的だが最後まで面白く見た.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:斬、

2019年1月某日
渋谷ユーロスペースで映画「斬、」を見る.1_3
2018年.監督,脚本,製作,撮影:塚本晋也.
出演:池松壮亮(都筑杢之進),蒼井優(ゆう),中村達也(源田源左衛門),前田隆成(市助),塚本晋也(澤村次郎左衛門).
2_3
杢之進はいずれ江戸に出ようという剣客,今はこの村で農作業の手伝いをする居候である.農家の少年市助に剣術の稽古をつけている.
その姉ゆうは杢之進を好いているが杢之進は行動に出ることがない.
3_3
或る日村に現れた凄腕の浪人澤村,浪士隊を組織して公儀に奉公したいと言い,杢之進と市助を勧誘する.二人は澤村と共に出立することになるが,その朝杢之進は病に倒れる.
市助は出立できない鬱憤のまま村外れに逗留していた浪人達と衝突し,袋だたきにされる.澤村は手下となった市助への危害には報復しなければならないと言い,杢之進の止めるのに耳を貸さず浪人達を切ってしまう.しかし逃れた2名の浪人が仲間を連れゆうの家を襲撃した….
池松壮亮の殺陣の動きは素晴らしく,寡黙な演技も印象的.蒼井優も期待通りの好演だ.映画は緊張感高く,並々ならぬ力量を傾けて製作されたものであることは間違いない.4_3
しかし認めがたい点も多々ある.「野火」に続く塚本晋也監督の作品だが,本作には「野火」にあった戦争という大前提に匹敵するものが見出しがたい.キャッチコピーの「なぜ人は人を斬るのか」という言葉は,戦争に比べれば全然普遍的な命題ではない.
また,殺陣のシーンは映像が暗く手持ちカメラのぶれが激しく,何が起こっているのか判らない.誰が誰を斬ったのか,負傷の程度はどれほどか,ドラマの根幹に関わる点が判らぬまま映画が進行する.5_3
こういう点が消化不良なまま,映画は終わってしまった.圧倒されたが何か釈然としない映画.
★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ヴィクトリア女王 最期の秘密

日記:2019年1月某日
Bunkamuraル・シネマ1で映画「ヴィクトリア女王 最期の秘密」を見る.1_2
2017年.監督:スティーヴン・フリアーズ.
出演:ジュディ・デンチ(ヴィクトリア女王),アリ・ファザール(アブドゥル・カリム),エディ・イザード(バーティー),アディール・アクタル(モハメド),ティム・ピゴット=スミス(ヘンリー・ポンソンビー),マイケル・ガンボン(ソールズベリー).2_2
1887年,英領インドのアグラに住むアブドゥルは,献上品の絨毯の目利きを認められ,ヴィクトリア女王即位50周年記念式典で記念金貨“モハール”を献上する役目に抜擢される.
はるばるロンドンに派遣されたアブドゥルは式典で女王の目に止まり,式典期間の間女王の従僕に採用される.
3_2
臆することなく親しみを込めてインドの風物などを語りかけるアブドゥルに,女王も心を開き,親しい人達を失った後の苦しい心中を打ち明けるまでになる.一方,有色人種であるアブドゥルへの寵愛に対し,皇太子アルバート(バーティー)以下王室職員の多くは激しい敵意を抱くが….


4_2
大英帝国及びインドの絶対的君主である一方,一人の寂しい女性として希有な存在でもあるヴィクトリア女王を,ジュディ・ディンチが圧倒的な存在感で演じる.フィレンツェで,プッチーニの前でギルバートとサリバンの歌曲を歌ってみせる(伴奏は皇太子バーティー)シーンは圧巻.
映画の終盤,アブドゥルにナイトの称号を授けようとして周囲の猛反発を受けた時の,皇太子・首相に対し,また王室職員一同に対し,女王が示した君主としての威厳も印象的だ.
5_2
このアブドゥルとの交流が,女王の晩年にとってかけがえのないものだったことは想像に難くない.英国女王の意外な一面という以上に,インド青年との心を開いた交流が感銘的な映画.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:焼肉ドラゴン

日記:2019年1月某日
映画「焼肉ドラゴン」を見る.1
2018年.監督:鄭義信.
出演:真木よう子(長女・静花),井上真央(次女・梨花),大泉洋(哲男),桜庭ななみ(三女・美花),大谷亮平(長谷川さん),ハン・ドンギュ(尹大樹),イム・ヒチョル(呉日白),大江晋平(末っ子・時生),宇野祥平(呉信吉),根岸季衣(美根子),イ・ジョンウン(母・英順),キム・サンホ(父・龍吉).2
万博間近の1969年,空港に隣接する大阪の下町にある在日コリアンの焼き肉屋「ドラゴン」.
父・龍吉は済州島の出身で、戦争で左腕を失った.先妻との間の二女と後妻・英順の連れ子美花,英順との間の子・時生と暮らしている.3
今日は次女・梨花と同じ在日の哲夫の結婚式だというのに,役所の差別的言辞に怒った哲夫が結婚届を破ってしまい,梨花と哲夫が大げんかをしながら戻って来る.長女の静花が二人を仲直りさせるが,哲夫は以前は静花の恋人だったらしい.静花は店の客・尹に好意を持たれている.三女・美花は歌手を目指しクラブのマスター長谷川と恋仲だが,長谷川には妻がいる.5
中学生の時生は父の計らいで進学校に通っているが,いじめに遭って失語症に陥っている.この一家の,時代に翻弄されながら生きていく姿を描く映画.
物語は家族の生い立ちや男女の確執の変転を追ってテンポ良く展開し,間断するところがない.4
俳優達それぞれが達者な演技を示すが,特に両親を演じるイ・ジョンウンとキム・サンホの存在感は圧倒的.終盤,美花に長谷川が求婚する場面での龍吉の訥々とした日本語の台詞には,涙を禁じ得なかった.
登場人物達は個々の事情で最後には別れ別れになっていくが,それぞれが逞しく生きていくことを示唆するラストシーンは感銘的である.映画らしい映画,見て損はなし.
★★★★☆(★5個が満点)
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2019/01/27

番外:独断的歌舞伎感想文 2019年1月壽 初春大歌舞伎 夜の部 絵本太功記/勢獅子/松竹梅湯島掛額

日記:2019年1月某日
歌舞伎座で「壽 初春大歌舞伎 夜の部 絵本太功記/勢獅子/松竹梅湯島掛額」を見る.Kabukiza_201901_fff_e9ef5e56968372e
「一、絵本太功記(えほんたいこうき) 尼ヶ崎閑居の場」.出演:武智光秀(吉右衛門),操(雀右衛門),初菊(米吉),武智十次郎(幸四郎),佐藤正清(又五郎),真柴久吉(歌六),皐月(東蔵).「二、勢獅子(きおいじし)」.出演:鳶頭(梅玉),鳶頭(芝翫),芸者(雀右衛門),芸者(魁春).福森久助 作「三、松竹梅湯島掛額(しょうちくばいゆしまのかけがく) 吉祥院お土砂の場 四ツ木戸火の見櫓の場・浄瑠璃『伊達娘恋緋鹿子』」.出演:紅屋長兵衛(猿之助),八百屋お七(七之助),小姓吉三郎(幸四郎).
絵本太功記は配役は5年前に見た時とほぼ同じ,母の死と息子の討ち死にを眺めながら微動だにせず舞台を支配する,吉右衛門の存在感が素晴らしい.幸四郎と米吉の情愛も心に残る.
勢獅子はお正月らしく明るく楽しい.若手で中村鷹之資が獅子舞で出ている.もう19歳なのだ.小柄なのは富十郎に似たのだろうか.
松竹梅湯島掛額は1幕目がドタバタ喜劇で,猿之助その他のギャグがテンポ良く抱腹絶倒.2幕目はお七の悲劇,七之助の人形振りの踊りが素晴らしい.
見応えある夜の部だった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年1月 新春浅草歌舞伎 1部2部

日記:2019年1月某日
「新春浅草歌舞伎 1部2部」を見る.Asakusa_2019f4_9d0f304853b1d7c8f260
第1部 お年玉〈年始ご挨拶〉.「一、戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)」.出演:浪花の次郎作実は石川五右衛門(中村歌昇),禿たより(中村梅丸).吾妻の与四郎実は真柴久吉(中村 種之助).「源平布引滝二、義賢最期(よしかたさいご)」.出演:木曽先生義賢(尾上松也),下部折平実は多田蔵人行綱(中村隼人),進野次郎宗政(中村橋之助),御台葵御前(中村鶴松),待宵姫(中村梅丸),矢走兵内(中村種之助),小万(坂東新悟).岡村柿紅 作.「三、芋掘長者(いもほりちょうじゃ)」.出演:芋掘藤五郎(坂東巳之助),友達治六郎(中村橋之助),息女緑御前(坂東新悟),腰元松葉(中村鶴松),菟原左内(中村歌昇),魁兵馬(尾上松也).
第2部.お年玉〈年始ご挨拶〉.「一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」.出演:曽我五郎時致(尾上松也),曽我十郎祐成(中村歌昇),小林朝比奈(坂東巳之助),大磯の虎(坂東新悟),鬼王新左衛門(中村隼人),化粧坂少将(中村梅丸),工藤左衛門祐経(中村錦之助).岡本綺堂 作.「二、番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)」.出演:青山播磨(中村隼人),腰元お菊(中村種之助),腰元お仙(中村鶴松),放駒四郎兵衛(中村橋之助),後室真弓(中村錦之助).「三、乗合船惠方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)」.出演:萬歳(坂東巳之助),才造(中村種之助),白酒売(坂東新悟),大工(中村隼人),女船頭(中村橋之助),芸者(中村鶴松),子守(中村梅丸),若旦那(中村歌昇),通人(尾上松也).
今回の浅草は踊りが楽しかった.踊りのことなど何も知らない小生がいうので当てにはならぬが,芋掘り長者のラストシーンの楽しさ(芋掘り踊りを,お姫様や腰元からライバルの若殿達までラインダンスで踊り始める),乗合船惠方萬歳の充実感(全員が短い踊りを披露しあうのだがいずれ劣らぬ手練れ揃い)はなかなかのものだ.
一方番長皿屋敷の緊張感はどうだろう.これはやはり岡本綺堂の戯曲が余程良いのだ.幸せの絶頂から絶望に引き落とされるお菊,一片の曇りも無い潔白を菊に疑われた青山播磨の無念さ.これを演じる隼人と種之助の芝居が素晴らしく見応えあり.
新悟,橋之助も充実感あり,鶴松が美しく今後への期待が大.
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2019/01/18

独断的映画感想文:アウトレイジ 最終章

日記:2019年1月某日
映画「アウトレイジ 最終章」を見る.1
2017年.監督:北野武.
出演:ビートたけし(大友),西田敏行(西野),大森南朋(市川),ピエール瀧(花田),松重豊(繁田),大杉漣(野村),塩見三省(中田),白竜(李),名高達男(白山),光石研(五味),原田泰造(丸山),池内博之(吉岡),津田寛治(崔),金田時男(張),中村育二(平山),岸部一徳(森島).3
済州島に遊びに来ていた日本のやくざ花菱会の花田は,ホテルに呼んだ女とトラブった挙げ句,地元のやくざの若い者を殺してしまう.日本に逃げ帰った花田は,済州島を仕切っている韓国のやくざ・張に詫びを入れに行くが相手にもされない.
2
花菱会会長の野村は,これを奇貨として張への攻撃を花田に命じる一方,花田のカシラ・西野を処分する様,西田の手下・中田に命じる.中田は野村の指示を受けると見せて西野と通じ,野村への反撃の機会を待つ.
一方済州島で張の庇護下にあった大友は,花田に若い者を殺された復讐に,日本に潜入し花菱会殲滅の機会を窺う….
4
このシリーズの最終章,武闘派やくざ・大友の最後の活躍を描く.北野監督得意のやくざ抗争ものだが,前回作に比べれば緊張度は低く,プロットの構成もいまいち.
老ヤクザ大友の暴力性の魅力は相変わらずだが,相手となる花田や野村が存在が軽すぎて面白くない.以前には暴力性の裏には悲哀が見て取れたが,今回はそういう陰も感じられない.

5
俳優で見応えがあったのは,西田敏行と白竜,金田時男くらいか.
★★★(★5個が満点)
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2019/01/14

独断的映画感想文:レッド・スパロー

日記:2019年1月某日
映画「レッド・スパロー」を見る.1_3
2018年.監督:フランシス・ローレンス.
出演:ジェニファー・ローレンス(ドミニカ・エゴロワ),ジョエル・エドガートン(ネイト・ナッシュ),マティアス・スーナールツ(ワーニャ・エゴロフ),シャーロット・ランプリング(監督官),ジェレミー・アイアンズ(コルチノイ).4_3
ボリショイバレー団のバレリーナ・ドミニカは,『事故』のため重傷を負い,バレリーナの道を絶たれる.国家による生活費と母の治療費を共に失った彼女は,ロシア諜報機関員の叔父・ワーニャの勧めで,女スパイ・スパロ-の訓練を受ける.
やがてドミニカは訓練を終え,CIA捜査官ネイトに接近する様指示される.ネイトと連絡を取っているロシア諜報機関内の大物が誰かを,明らかにすることがミッションだった.2_3
ネイトと接触したドミニカ,二人は互いに惹かれ合うが,一方両者は相手の信頼をもとに敵諜報機関を如何に偽計に乗せるか死力を尽くして渡り合う….
美貌と才能に恵まれたドミニカの,スパイとしての活躍を描く.但しドミニカは只のスパイではない.
自らがスパイを選ばざるを得なかった経過と,母の「相手に全てを委ねてはならない」という忠告に基づき,ドミニカは与えられたミッションの中で独自の活動を積み重ねていく.3_3
観客も最後まで,ドミニカの真意が何処にあるかを見極められないだろう.ジェニファー・ローレンスの美貌と演技も見応えあり,またシャーロット・ランプリング),ジェレミー・アイアンズの両大御所も適役である.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:家へ帰ろう

日記:2019年1月某日
映画「家へ帰ろう」を見る.1_2
2017年.監督:パブロ・ソラルス.
出演:ミゲル・アンヘル・ソラ(アブラハム),アンヘラ・モリーナ(マリア),オルガ・ボラズ(ゴーシャ),ナタリア・ベルベケ(クラウディア),マルティン・ピロヤンスキー(レオナルド),ユリア・ベーアホルト(イングリッド).4_2
アルゼンチンに住む88歳のユダヤ人の仕立屋・アブラハム.引退して家や家財は子供達に分配し,自身は老人ホームに入ることになる.
ところがそのお別れパーティーの夜,アブラハムは密かに家を脱出,ワルシャワで人と会うべく,空路マドリッドに向かう.2_2

アブラハムは大戦中ワルシャワのゲットーに収容された.辛うじて脱出した彼を,父の使用人の息子で兄弟同様に育ったピオトレックが助けてくれた.アブラハムは,自分が最後に作ったスーツを,彼にプレゼントするべく出かけたのだ.
マドリッドに着いた彼は,女主人マリアの安宿に泊まる.ところが旅の疲れで寝込んだ彼は目的の列車に乗り遅れてしまい,マリアと一緒に飲みに出かける.無愛想と思われたマリアだが,実は親身な女性,意気投合して帰ってきたホテルの部屋には泥棒が入り,彼の全財産が盗まれていた….
艱難辛苦に見舞われながらワルシャワを目指すアブラハム,しかもドイツの地は踏まないという固く心に誓った制約がある.6
マリアをはじめ,ドイツ人の文化人類学者,ワルシャワの看護師等,見ず知らずのアブラハムを助ける人々と共にゆったりと進行するロードムービー.
共演者ではマリアの存在感が抜群,特に酒場で披露する歌,アブラハムに打ち明ける過去の夫達のエピソードなど,素晴らしい味付けになっている.
また随所に挿入される,アブラハムの子ども時代の思い出の断章も印象深い.特に映画の冒頭,哀愁に満ちた音楽に乗ってダンスに興じるユダヤ人達の笑顔のシーンは,胸に残る.3_2
映画のラスト,長く辛い人生の決着をこの様な形でつけることが出来たアブラハム,ここまでの旅の経過を思い合わせ,涙を禁じ得ない.味わい深い映画,見て損はなし.
★★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年新橋演舞場 歌舞伎初春大公演-夜の部 鳴神/牡丹花十一代/俊寛

日記:2019年1月某日
「新橋演舞場 歌舞伎初春大公演-夜の部」を見る.Shinbashi_201901_f5_35685a5efa84a10
「一、歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)」.出演:鳴神上人(右團次).雲の絶間姫(児太郎).十一世市川團十郎生誕百十年.「二、牡丹花十一代(なとりぐさはなのじゅういちだい)」.出演:鳶頭(海老蔵),手古舞(堀越麗禾),鳶頭(堀越勸玄),鳶頭(右團次),差配人(男女蔵),芸者(児太郎),鳶の者(男寅),芸者(廣松),鳶の者(九團次),差配人(市蔵),茶屋女房(齊入),世話役(家橘),芸者(孝太郎).近松門左衛門 作.「三、平家女護島-俊寛(しゅんかん)」.出演:俊寛僧都(海老蔵),海女千鳥(児太郎),丹波少将成経(九團次),平判官康頼(男女蔵),瀬尾太郎兼康(市蔵),丹左衛門尉基康(右團次).福地桜痴 作.「四、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)」.出演:小姓弥生後に獅子の精(海老蔵),老女飛鳥井(齊入),家老渋井五左衛門(家橘).
休憩入れて5時間を越える長丁場,役者も客も大変である.
鳴神は,右團次が相変わらず何を言っているか判らない.
牡丹花十一代は成田屋万歳の演目だが,堀越麗禾・勸玄の両子役のかわいさが全て引っさらう,これはこれで大いに見応えあり.
海老蔵の俊寛・鏡獅子は海老蔵大奮闘,こちらも素晴らしかった.児太郎が鳴神・俊寛で好演したのも素敵.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年1月国立劇場「通し狂言 姫路城音菊礎石」

日記:2019年1月某日
歌舞伎「通し狂言 姫路城音菊礎石(ひめじじょうおとにきくそのいしずえ) 五幕九場」を見る.Kokuritu1901010
並木五瓶=作 『袖簿播州廻』より.尾上菊五郎=監修,国立劇場文芸研究会=補綴.出演:尾上菊五郎、中村時蔵、尾上松緑、尾上菊之助、坂東彦三郎、坂東亀蔵、中村梅枝、中村萬太郎、市村竹松、尾上右近、寺嶋和史、寺嶋眞秀、市村橘太郎、片岡亀蔵、河原崎権十郎、市村萬次郎、市川團蔵、坂東楽善 ほか.
播州桃井家のお家騒動を巡る物語.なかなかに筋書は複雑で面白い.Kokuritu1901011
音羽屋の芝居は花があるし,今回は何より寺嶋和史・寺嶋眞秀の子役2名が可愛く,人気をさらっていくところが素敵.
Kokuritu1901012
未だ台詞が入っていなかったり道具立てのタイミングが悪かったり,初日らしいところはあったが楽しい舞台だった.
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独断的映画感想文:シェイプ・オブ・ウォーター

日記:2018年12月某日
映画「シェイプ・オブ・ウォーター」を見る.1
2017年.監督:ギレルモ・デル・トロ.
出演:サリー・ホーキンス(イライザ),マイケル・シャノン(ストリックランド),リチャード・ジェンキンス(ジャイルズ),ダグ・ジョーンズ(不思議な生きもの),マイケル・スタールバーグ(ホフステトラー博士),オクタヴィア・スペンサー(ゼルダ),デヴィッド・ヒューレット(フレミング),ニック・サーシー(ホイト元帥).4
1960年代のアメリカ,幼い時に声帯を傷つけられ言葉を失ったイライザは,政府の研究所で夜勤の掃除婦として働いている.映画館の屋根裏のアパートに住む彼女の話し相手は,同じアパートに住む売れないゲイの挿絵画家・ジャイルズと,同僚の黒人女ゼルダのみ.5
或る日研究所に運び込まれた不思議な生きものは,アマゾンの原住民に神と崇められている半魚人だった.その魅力に惹かれてゆで卵を差し入れてから,イライザはたびたび「彼」と会い,手話でコミュニケーションを試みる様になる.
次第に「彼」に愛情を抱く様になるイライザ,しかし「彼」は担当のストリックランドにより生体解剖に付されることになる.研究所に潜り込んだロシアのスパイとも交錯する中,イライザは独自に「彼」を救出しようと奔走するが….
黒い童話「パンズ・ラビリンス」の印象が未だに鮮やかなこの監督の,同じ色調の映画.
3
冷戦下の軍の意向を受け,残忍に「彼」を管理するストリックランドに対し,イライザをはじめ黒人女性,ゲイの画家,落ちこぼれロシアスパイ等が「彼」の救出に連携する展開は,なかなかスリリング.一方,類型的なロシアスパイの活動描写でのユーモアや,タイミング良く流されるこの時代のアメリカンポップスが心地よい.
そして何より,イライザと「彼」の純粋な交流が素晴らしい.ラストシーンでイライザと共に去って行く「彼」には,涙を禁じ得なかった.
2
俳優ではサリー・ホーキンス,オクタヴィア・スペンサーが共に素晴らしく,またマイケル・シャノンも熱演.映画らしい描写に満ちた監督の演出も味わい深い.
★★★★☆(★5個が満点)
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2018/12/21

番外:独断的歌舞伎感想文 2018年12月大歌舞伎夜の部 阿古屋/あんまと泥棒/二人藤娘

日記:2018年12月某日
歌舞伎座へ.12月大歌舞伎 夜の部を見る.Kabukiza_201812_f6_cc2ea36849d414a8
「一、壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき) 阿古屋」.出演:遊君阿古屋(玉三郎),秩父庄司重忠(彦三郎),榛沢六郎(坂東亀蔵),岩永左衛門(松緑).村上元三 作・演出・石川耕士 演出.「二、あんまと泥棒(あんまとどろぼう)」.出演:泥棒権太郎(松緑),あんま秀の市(中車).「三、二人藤娘(ににんふじむすめ)」.出演:藤の精(梅枝),藤の精(児太郎).
阿古屋は玉三郎絶品の演技と演奏.特に今回は琴を弾きながら歌う歌の美しさが印象的.細い声ながら,かき鳴らす琴に乗せた嫋々とした歌声が,誠に美しい.松緑の岩永,彦三郎の重忠もそれぞれに良く,素晴らしい舞台だった.Img_20181220_161715
あんまと泥棒は中車の独壇場,松緑が人の良い泥棒で,まあ予想通りの結末.
二人藤娘は梅枝・児太郎共に美しく,踊りにうっとり.また長唄囃子連中の演奏も素晴らしかった.
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独断的映画感想文:リトル・フォレスト 冬・春

日記:2018年12月某日
映画「リトル・フォレスト 冬・春」を見る.1
2015年.監督:森淳一.
出演:橋本愛(いち子),三浦貴大(ユウ太),松岡茉優(キッコ),温水洋一(シゲユキ),桐島かれん(福子).
東北のとある山奥の集落・小森に住むいち子.母は5年前に失踪しそれ以来一人で暮らす.
一度街に出たこともあるが,彼氏と別れまた小森に戻ってきた.小森は役場のある街まで自転車の下り道で30分,登りはどれほどかかるのか.
3
いち子は森と沢と田圃に囲まれた一軒家で,野菜を作り山菜を採り田を耕し,採れたものを母に習ったレシピで料理し食べる生活を続けていく.
秋に母から届いた手紙,親友キッコとの小さな口げんか,後輩ユウタからの批判.いち子は自分は他人と向き合わず逃げている,自分にとって家族とは何かと思い悩むが….2
何事にも真面目に取り組み,冷静ないち子の淡々とした日々の暮らしを大自然の中で描く,四季4部作の後半2部.前半2部と同様,美しい自然の中,子どもの時のいち子も含め小森での生活がより立体的に描かれる.
物語の展開は極めてゆっくりだが,日々の描写が充実していて間断するところはない.映画の最後でいち子の出した結論,そしてエピローグへと流れる物語も納得のいくものだった.
4
淡々とした映画だが,時に描かれるユーモアある場面が効果的(キャベツケーキのくだりは爆笑した).宮内優里の音楽・FLOWER FLOWERの主題歌も聞き応えあり.
★★★★(★5個が満点).
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2018/12/13

独断的映画感想文:リトル・フォレスト 夏・秋

日記:2018年12月某日
映画「リトル・フォレスト 夏・秋」を見る.1_2
2014年.監督:森淳一.
出演:橋本愛(いち子),三浦貴大(ユウ太),松岡茉優(キッコ),温水洋一(シゲユキ),桐島かれん(福子).
2_2
いち子は東北の山奥,小森という集落に暮らしている.集落に商店はなく,役場のある町の中心地に商店が幾つかあるが,そこまで自転車の下り道で30分.帰りはどのくらいかかるのか.
田圃と森と沢に囲まれた一軒家に一人暮らすいち子は,半ば自給自足の農業生活を送っている.
3_2
二人で暮らしていた母は5年前に出て行った.いち子も一時都会で男と暮らしたが,破綻して戻ってきた.
今は幼馴染みのキッコやユウタ,キッコのおばあちゃんと付き合いながら,日々を送っている.
映画は移ろう季節を追いながら,季節毎に得られる自然の恵みを料理し,お皿に載せて頂くまでを詳細に描いていく.
4_2
こう書けば今どきの田舎暮らしのテレビ番組の様だが,合鴨を絞めて毛をむしり解体して頂くところまで詳細に描くカメラは,やはり映画.またゆっくりながら物語は少しずつ動いている.
映画はこの巻で夏・秋を連続上映し,冬・春で4部作が完了する.5_2
とにかく映像は美しい.冒頭の大木の梢に静止していたアオサギがふわりと飛び立つシーンだけで,魅了されてしまう.
★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 2018年12月国立劇場「通し狂言 増補双級巴―石川五右衛門」

日記:2018年12月某日
国立劇場で歌舞伎を見る.Dec_flyer4c_final
三世瀬川如皐=作.国立劇場文芸研究会=補綴.国立劇場美術係=美術.「通し狂言 増補双級巴 (ぞうほふたつどもえ) ―石川五右衛門(いしかわごえもん)―四幕九場:中村吉右衛門宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候」.
発端 芥川の場.序幕 壬生村次左衛門内の場.二幕目 第一場 大手並木松原の場/第二場 松並木行列の場.三幕目 第一場 志賀都足利別館奥御殿の場/第二場 同 奥庭の場/第三場 木屋町二階の場.大詰 第一場 五右衛門隠家の場/第二場 藤の森明神捕物の場.
主な配役:石川五右衛門(中村吉右衛門),壬生村の次左衛門(中村歌六),三好修理太夫長慶(中村又五郎),此下藤吉郎久吉後ニ真柴筑前守久吉(尾上菊之助),大名粂川但馬(中村松江),大名田島主水/早野弥藤次(中村歌昇),足柄金蔵/大名白須賀民部(中村種之助),次左衛門娘小冬(中村米吉),大名天野刑部/小鮒の源五郎(中村吉之丞),大名星合兵部/三二五郎兵衛(嵐橘三郎),呉羽中納言氏定/大名六角右京(大谷桂三),足利義輝(中村錦之助),傾城芙蓉/五右衛門女房おたき(中村雀右衛門),義輝御台綾の台(中村東蔵).
前半序幕からは,自らの出自を知った石川五右衛門が大望を抱き,勅使に化けて将軍邸に乗り込み,幼馴染みの此下藤吉郎に見破られ,つづらで宙を飛び脱出するという,なかなか派手な展開.
しかし後半では,その前半は全て夢であったというところからスタートし,話のスケールが一挙に小さくなったという印象は否めない.
結局五右衛門は親子の情愛の絡んだ葛藤の挙げ句,此下藤吉郎に捕縛されるのだが,最後の立ち回りも老優吉右衛門にはいささか酷で,通し狂言ではなく途中で止めておけば良かったのにというのが正直なところ.
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独断的映画感想文:希望のかなた

日記:2018年12月某日
映画「希望のかなた」を見る.1
2017年.監督,製作,脚本:アキ・カウリスマキ.
出演:シェルワン・ハジ(カーリド),サカリ・クオスマネン(ヴィクストロム),シーモン・フセイン・アル=バズーン(マズダック),カイヤ・パカリネン(ヴィクストロムの妻),ニロズ・ハジ(ミリアム),イルッカ・コイヴラ(カラムニウス),ヤンネ・フーティアイネン(ニュルヒネン),ヌップ・コイヴ(ミルヤ),カティ・オウティネン(洋品店の女店主),マリア・ヤンヴェンヘルミ(収容施設の女性).2
映画の冒頭,貨物船の積荷の石炭の山から,小柄な男・カリードが這いだしてくる.カリードは上陸して身だしなみを整えると,警察に出頭し難民申請を行う.
カリードはシリアのアレッポで家を空爆され,妹以外の家族は全員死んだ.妹とトルコに逃れ幾つもの国境を越えてきたが,途中で妹とはぐれてしまう.フィンランドで仕事を見つけ,妹を探したいと言う.
3
カリードは難民宿舎で暮らすが,審査の結果は強制送還だった.カリードは強制送還直前に,難民宿舎の担当者の手引で脱走する.
一方,洋品卸商のヴィクストロムは,酒浸りの妻に愛想を尽かし家を出る.仕事にも行き詰まった彼は,ポーカーの大勝負で得た金を元手に古いレストランを従業員ごと買い,レストランのオーナーとなる.
4
或る日レストランの敷地で野宿していたカリードと出会ったヴィクストロムは,カリードを雇い入れ,偽造の身分証を世話してやる.居場所の見つかったカリードは妹の行方を必死に探すが….
フィンランド社会で苦闘する難民カリードの姿を,役人・警察・極右と一般市民等の対応を対比的に描きながら語っていく.
5
と言ってもカウリスマキ流のユーモアにくるまれ,素敵な仕上がり.客寄せのためにわかスシ店を開店するエピソードが傑作.俳優の演技が素っ気なく,寓話的な雰囲気を醸し出す.トランプの怒号にはこういう雰囲気で応えるのが文明的かも知れない.
昔のスエーデンのバンド:スプートニクスに似た,フィンランド・バンドの音楽も随所に挿入されて楽しい.
★★★★(★5個が満点)
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2018/12/08

番外:独断的歌舞伎感想文 2018年11月国立劇場 通し狂言 名高大岡越前裁 (なもたかしおおおかさばき)

日記:2018年11月某日
国立劇場へ.歌舞伎を見る.Ph_content02_01
河竹黙阿弥=作,国立劇場文芸研究会=補綴,国立劇場美術係=美術.「通し狂言 名高大岡越前裁 (なもたかしおおおかさばき)」.六幕九場.序幕 第一場 紀州平沢村お三住居の場,第二場 紀州加田の浦の場,二幕目 美濃長洞常楽院本堂の場,三幕目 第一場 大岡邸奥の間の場,第二場 同 無常門の場,第三場 小石川水戸家奥殿の場,四幕目 南町奉行屋敷内広書院の場,五幕目 大岡邸奥の間庭先の場,大詰 大岡役宅奥殿の場」.
主な配役:大岡越前守忠相(中村梅玉),大岡妻小沢(中村魁春),法沢後二天一坊(市川右團次),田口千助(中村松江),吉田三五郎(市川男女蔵),下男久助/池田大助(坂東彦三郎),大岡一子忠右衛門(市川右近),お三(中村歌女之丞),僧天忠/久保見杢四郎(嵐橘三郎),土屋六郎右衛門(大谷桂三),伊賀亮女房おさみ(市川齊入),平石治右衛門(坂東秀調),名主甚右衛門(市村家橘),山内伊賀亮(坂東彌十郎),徳川綱條(坂東楽善).
八代将軍吉宗のご落胤を名乗る天一坊と,大岡越前守を巡る虚々実々の闘いを描く.明治8年初演の河竹黙阿弥作品の再演.
梅玉の大岡越前,魁春のその妻,右團次の天一坊他,脇役連中も役者は揃っている.梅玉の大岡越前はニンが合っていて見応えあり.また梅丸が下女お霜,徳川綱條近習・主税の2役で活躍したのもうれしい.
しかしその割には客席は空きが目立って,連休というのに寂しい限り.
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独断的映画感想文:スター・ウォーズ/最後のジェダイ

日記:2018年11月某日
映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を見る.1_4
2017年.監督:ライアン・ジョンソン.
出演:マーク・ハミル(ルーク・スカイウォーカー),キャリー・フィッシャー(レイア・オーガナ),アダム・ドライヴァー(カイロ・レン),デイジー・リドリー(レイ),ジョン・ボイエガ(フィン),オスカー・アイザック(ポー・ダメロン),アンディ・サーキス(最高指導者スノーク),ルピタ・ニョンゴ(マズ・カナタ),ドーナル・グリーソン(ハックス将軍),アンソニー・ダニエル(C3PO),グウェンドリン・クリスティー(キャプテン・ファズマ),ケリー・マリー・トラン(ローズ),ローラ・ダーン(アミリン・ホルドー中将),ヨーナス・スオタモ(チューバッカ),ジミー・ヴィー(R2-D2),ベニチオ・デル・トロ(DJ).
前作で遂にルーク・スカイウォーカーの居場所をき止めたレイ,ところがルークは再びジェダイとして参戦することを拒否する.しかしレイの中にジェダイの素質を見たルークは,レイに3つの教えを授けるのだった.
一方,レイア姫率いるレジスタンスは,ハックス将軍率いる艦隊の急襲を受け辛くも脱出するが,壊滅的な打撃を受ける.冒険主義的な突撃で敵戦艦ドレッドノートを破壊するきっかけを作ったポーは,しかし爆撃部隊壊滅の責任を問われ降格される.2_3
亜空間をジャンプしたレジスタンスの艦隊をハックスの艦隊が追尾してくる.フィンは敵艦隊に潜入し追尾装置の破壊を企むが,その為には敵艦隊に侵入するコード破りの技術が必要だった.フィン達はその技術を持つDJを捜しに惑星カントニカに向かうが….
150分を超える長尺の本作,レイの活動,フィンの活動,ポーとレジスタンス本隊の活動が交錯し,物語は極めて複雑.更にレイがジェダイへの道を歩むのか,カイロ・レン(=ベン・ソロ)が本当にダーク・サイドに落ちることになるのか,この辺りも複雑な展開を遂げる.3_4
本作は単独で見た場合は何がなにやら全く判らないという意味で,筋は判らなくても映画は楽しめたという従来のスターウォースに比べ,評価は低くならざるを得ない.
更にレジスタンスは十数名の残党が残るのみである.統合の象徴たるレイア姫(を演じるキャリー・フィッシャー)は死んだ.第3部では如何なる奇手をもって大団円とするのか,はてさて.
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ボヘミアン・ラプソディ

日記:2018年11月某日
映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見る.1_3
2018年.監督:ブライアン・シンガー.
演:ラミ・マレック(フレディ・マーキュリー),ルーシー・ボーイントン(メアリー・オースティン),グウィリム・リー(ブライアン・メイ),ベン・ハーディ(ロジャー・テイラー),ジョセフ・マッゼロ(ジョン・ディーコン).2_2
ロックグループ・クィーンのリード・ヴォーカル:フレディ・マーキュリーの物語.1973年のデビュー前から1985年のライブエイドでのパフォーマンスまでを描く.
3_3
映画では1985年のライブエイド直前にはクィーンは崩壊,フレディ・マーキュリーは既にAIDSを発症しており,自分の死を意識したフレディがライブエイドのために他のメンバーとの間を修復した様に描かれている.この物語が事実に基づくかどうかは,自分にはよく判らない.また映画では,フレディの出自,家族との関係,性的嗜好,メンバーとの関係はいずれも深く掘り下げられてはいない.4_2
しかしまあそれは実はどうでも良いことだ.この映画はそういうことを深く掘り下げるドラマではなく,クィーン自身による,フレディとクィーンの神話であり伝説であるのだから.
5_2
観客は彼等が如何に独創的にその音楽を作り出し,如何にそれが成功していったかを見るだろう.そしてフレディの光と影,紆余曲折,有為転変の後に,ライブエイドで最高の21分間のパフォーマンスを演じることを見るだろう.その喜びは,何ものにも替え難い.この映画の素晴らしさはここにあり,その点に文句は無し.
★★★★(★5個が満点)
蛇足:映画の終盤,ライブエイドの楽屋にクィーンの面々が入る時,舞台からダイアー・ストレイツが演奏するやはりこのライブの名演「悲しきサルタン」が,バックに流れている.これも懐かしかった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2018年11月吉例顔見世大歌舞伎夜の部 楼門五三桐/文売り/法界坊

日記:2018年11月某日
吉例顔見世大歌舞伎夜の部を見る.Kabukiza_201811_ffl_fa949b590fde523
「一、楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」.出演:石川五右衛門(吉右衛門),右忠太(歌昇),左忠太(種之助),真柴久吉(菊五郎).「二、文売り(ふみうり)」.出演:文売り(雀右衛門).奈河七五三助 作,石川耕士 補綴.「三、隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ) 法界坊:向島大七入口の場,同 座敷の場,向島牛の御前鳥居前の場,同 三囲土手の場,隅田川渡しの場」.浄瑠璃「双面水澤瀉」.〈法界坊〉.出演:聖天町法界坊(猿之助),五百平(巳之助),おくみ(尾上右近),野分姫(種之助),手代要助(隼人),代官牛島大蔵(吉之丞),おらく(門之助),大阪屋源右衛門(團蔵),道具屋甚三(歌六).〈双面水澤瀉〉.出演:法界坊の霊/野分姫の霊(猿之助),おくみ(尾上右近),手代要助実は松若丸(隼人),渡し守おしづ(雀右衛門).Kabukiza201811houkaibou
猿之助初演の法界坊が楽しみだったが,2時間半を超える舞台があっという間だった.
勘三郎の,抱腹絶倒のまま最後まで突っ走る法界坊に比べ,猿之助の持ち味が出た見応えある芝居.
大七座敷の場ではおくみ,要助のしゃべくりも全体の進行も,もう少しテンポ良いほうが望ましかった.ただし,團蔵や右近という配役だとこの方が良いのかも知れない.弘太郎の番頭はいまいち.
最後の場「双面水澤瀉」では,法界坊と野分姫の合体した亡霊が町娘おくみの姿を取って現れるという難しい設定を,美しい女形の姿で見事に演じた.猿之助の素晴らしさに納得.
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独断的映画感想文:日日是好日(にちにちこれこうじつ)

日記:2018年11月某日
映画「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」を見る.1_2
2018年.監督:大森立嗣.
出演:黒木華(典子),樹木希林(武田先生),多部未華子(美智子),原田麻由(田所),川村紗也(早苗),滝沢恵(由美子),山下美月(ひとみ),郡山冬果(郡山冬果),岡本智礼(典子の弟),鶴田真由(雪野),鶴見辰吾(典子の父).
典子は大学2年生,真面目で理屈っぽく不器用.ふとしたことから従兄弟の美智子とお茶を習い始める.4
お茶の師匠の武田先生は近くの大きな家に一人で住む.始めの日から袱紗さばきをみっちり仕込まれ,途惑う二人.お茶は理屈でなく形を身につけることから,と武田先生は言う.
何時しか1年2年と続けていく二人だった….5
美智子が実家に帰って結婚・出産しても一人でお茶を続けていく典子.いつか後輩も出来るが,不器用な先輩であることは変わらない.
しかし静かな茶室に通ううちに茶釜の湯の音と水の音が違うことに気付いたり,掛け軸の意味がふと判ったりする.映画は大きなドラマの展開を描く訳ではなく(登場人物に恋愛やら失恋やらがない訳ではないが),只ひたすら武田先生のお稽古の進展と美智子の心の変化を描いていく.
3_2
四季の移りを描くカメラや,水音,蝉の声,鳥の鳴き声を拾っていく音響が素晴らしい.俳優では亡くなって間もない樹木希林の登場がうれしく,存在感は圧倒的.黒木華はいつも通りの達者な演技.父娘の情愛を演じた鶴見辰吾が良かった.
6
見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:三度目の殺人

日記:2018年11月某日
映画「三度目の殺人」を見る.1
2017年.監督:是枝裕和.
出演:福山雅治(重盛朋章),広瀬すず(山中咲江),満島真之介(川島輝),市川実日子(篠原一葵),松岡依都美(服部亜紀子),蒔田彩珠(重盛結花),井上肇(小野稔亮),橋爪功(重盛彰久),斉藤由貴(山中美津江),吉田鋼太郎(摂津大輔),役所広司(三隅高司).
冒頭,三隈高司の殺人シーン,被害者を後から殴り倒し,殺人後灯油をかけて焼く.
辣腕弁護士・重盛朋章は同期の摂津から頼み込まれ,殺人犯三隈高司の国選弁護を引き受ける.三隈は殺人自体は認めているものの,供述がころころ変わり摂津は弁護方針を立てられないでいた.
重盛の父はかって裁判官だった時三隈の最初の強盗殺人事件を担当しており,その判決によって三隈は30年間服役し,出所して間もない状況だった.
三隈の事件を当時捜査した警察官も三隈の供述がころころ変わったことを指摘し,空っぽの器の様な男だったと語る.
3
このままでは死刑を免れないため,重盛は何とか無期懲役に持ち込むべく調査を重ねるが,三隈と被害者の娘・咲江との間に,意外な接点のあることが判明する….
ミステリーではあるが,謎解きが完了したとは言い難い.様々な可能性が錯綜したまま,有罪判決が出て映画は終わってしまう.
重盛自身は,今回の事件は咲江を守るために行われ,また咲江を守るために三隈は自らに不利な主張を敢えて行ったと考えるが,果たしてそうか.そもそも強盗殺人で30年間服役していた男が何故そのような行動を取るのか.2
映画の中盤では冒頭の殺人シーンが再び挿入されるが,今回は三隈と共に咲江も殺人に参加している.この場面は誰の想像シーンなのか.
役所広司の,掴み所のない三隈の供述演技もうますぎて,三隈自身の人柄も掴めないままだ.むしろ監督は,何も真実が判らないまま死刑判決が平然と出される,日本の裁判制度の現状を描いたのかも知れない.映画としての成功・不成功が今ひとつ明確でない.
★★★(★5個が満点)
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2018/11/18

独断的映画感想文:ザ・サークル

日記:2018年11月某日
映画「ザ・サークル」を見る.1
2017年.監督:ジェームズ・ポンソルト.
出演:エマ・ワトソン(メイ・ホランド),トム・ハンクス(イーモン・ベイリー),ジョン・ボイエガ(タイ・ラフィート),カレン・ギラン(アニー・アラートン),エラー・コルトレーン(マーサー),パットン・オズワルト(トム),グレン・ヘドリー(ボニー),ビル・パクストン(ビニー).2
難病の父を抱え,水道会社のコールセンター勤務でくすぶっていたメイは,友人アニーの誘いでSNSの大手会社「サークル」の面接を受ける.無事合格したメイは仕事は相変わらずコールセンター業務だが,完備した福利厚生や,フレンドリーな従業員関係に気分一新,溌剌と仕事に励む.3
一方サークルは従業員に自身の生活を週末も含め全面的にSNS上にアップする様求め,それに応えたメイは思わぬ事件で幼馴染みのマーサを傷つけてしまう.失意のメイはカヤックで夜の海にこぎ出し遭難するが,SNSユーザーの通報で救助される.
4
この件を社内集会で告白したメイは,新たに開発された超小型カメラ:シーチェインジを装着して自らの全生活を公開すると宣言する.この結果フォロワーは一千万を超え,メイは一躍寵児となりトップ会議にも出席できる様になるが….
5
個人が自ら望んで明るい監視社会に組み込まれていく現状を描く,風刺映画.
大物俳優が出ているが,内容にはB級感がある.政治社会との関係にはリアルさが感じられないし,物語のラストでメイの今後とサークルがどうなるかは曖昧で,いささか中途半端.良い素材を扱ったとは思うのだが.
★★★(★5個が満点)
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2018/11/08

独断的映画感想文:六月燈の三姉妹

日記:2018年10月某日
映画「六月燈の三姉妹」を見る.0
2013年.監督:佐々部清.
出演:吹石一恵(平川奈美江),吉田羊(中薗静江),徳永えり(中薗栄),津田寛治(平川徹),市毛良枝(中薗惠子),西田聖志郎(有馬眞平),井上順(阿久根紀夫).
1_2
鹿児島のとあるシャッター街になりかかりの商店街,和菓子屋「とら屋」では売り上げ回復のため,六月燈に新製品を売り出そうと躍起になっていた.
六月燈は旧薩摩藩領の寺社で旧暦6月に開催されるお祭りである.
とら屋は母・惠子が前夫と離婚後再婚した職人・眞平と,離婚しているが同居している.前夫との長女・静恵は出戻りで家業を手伝い,次女・奈美江は離婚届に判を押して東京から戻ってきている.
2
眞平との間に出来た三女・栄は結婚直前に婚約を破棄し,今は妻子ある男と不倫関係にある.
そこに東京から奈美江の夫・徹がやって来た.徹は奈美江と何とかよりを戻そうと懇願するが,一家はそれどころではなく,新製品「かるキャン」の仕上げに徹にも手伝わせ必死で立ち向かう….3
ちょっと極端な設定のラブコメといった本作,鹿児島の風情,人々の姿が良く描けていて楽しい.
とら屋の各メンバーも人生経験豊富(?)なだけあって会話のやり取りも面白く,シャッター街寸前と言いながらのんびりして穏やかな商店街の人々との交流も気持ちが良い.
徹が都城出身で方言が基本一緒なのに,前夫のもとで育った奈美江だけが東京弁だというギャグも有効に機能している.
4
ほのぼのしみじみしてハッピーエンドという,日本映画の王道を行く本作,お勧めです.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:光 2017・河瀬直美監督

日記:2018年10月某日
映画「(2017・河瀬直美監督)」を見る.20171_2
2017年.監督:河瀬直美.
出演:永瀬正敏(中森雅哉),水崎綾女(尾崎美佐子),神野三鈴(智子/時枝),小市慢太郎(明俊),藤竜也(北林/重三).
20173_2
美佐子は,ある映画の音声ガイドの作成を担当している.
視覚障害者に試作を何度もモニターしてもらうが,その評価は厳しい.特にラストシーン,「重三」と「時枝」の海辺のシーンは,中森から辛辣な指摘を繰り返し受ける.
美佐子は感情的に反発するが,上司の智子は中森の言葉に向き合う様,美佐子を指導する.20174_2
中森は天才的カメラマンだったが視力が低下,現在は視野に残った僅かな視界を通じ,拡大読書器や読み上げソフトの助けで意思疎通を確保している.
美佐子は智子の指示で中森の自宅に届け物をし,次第に中森と交流を重ねる様になる.中森の写真集にあった夕日の写真が,自分の実家の近くから撮ったものと気づき,一度共にその現場に行こうと約束する.
しかしある日遂に中森は完全に失明する….
20175_2
中森の失明への過程,美佐子の音声ガイドへの取り組み,二人の交流の進展が織りなして語られる物語.映画は緊張感強く,淡々とした展開ながら一気に最後まで見通した.
河瀬監督特有の,風のざわめきを伴った樹々や,野山の風景が美しい.
永瀬正敏・水崎綾女が好演,神野三鈴も素晴らしかった.映画のラスト,新たな光を得て歩き出す中森・成長した美佐子の姿に感銘を受ける.20176
完成した音声ガイドの試写会で,ガイドを朗読する樹木希林の声も印象的だった.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:光 2017年大森立嗣監督

日記:2018年10月某日
映画「」を見る.20171
2017年.監督:大森立嗣.
出演:井浦新(黒川信之),瑛太(輔(たすく)),長谷川京子(篠浦未喜),橋本マナミ(黒川南海子),梅沢昌代(山内),南果歩(小野),平田満(洋一).
20172
離島の中学生・信之は同級生・未喜と恋仲,父親のDVに苦しみ信之を兄のように慕う輔(たすく)等と暮らす.
ある日信之は山中で旅行者の男に抱かれていた未喜と遭遇,未喜にこの男を殺してと頼まれた信之は男を殺してしまうが,その場を輔も目撃する.その夜島を津波が襲い,島は殆ど壊滅,見晴台にいた彼等3名は助かったが以降散り散りとなる.
20173
25年後,妻子もあり平穏に暮らす信之,妻南海子は浮気をしているが相手は輔だった.
やがて輔は25年前の殺人現場を撮影した写真をネタに,信之と女優として活躍中の未喜から金を得ようと動き始める….
三浦しおんの小説の映画化だが原作は未読.
20174
井浦新・瑛太の演技はさすがと思わせ,終盤の二人のシーンは迫力があったし,助演の橋本マナミ・南果歩も見応えあった.
映画は特徴ある映像と音楽が印象的だが,全体的には冗長である.長回しが多用されるが,緊張感を欠いているため見て退屈.随所に打ち込まれてくるジェフ・ミルズの音楽も,映画に合っているとは思えない.
20175
島の堕落した暮らしや,人間の業のことを描きたいと推定されるのだが,そこまで物語が煮詰まっていかない.俳優の熱演にもかかわらず,いささか残念な鑑賞結果となった.
★★(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 2018年10月大歌舞伎夜の部 宮島のだんまり/吉野山/助六

日記:2018年10月某日
歌舞伎座の「10月大歌舞伎」夜の部を見る.Img_20181006_104255_burst001_cover
平成30年度(第73回)文化庁芸術祭参加公演.「一、宮島のだんまり(みやじまのだんまり)」.出演:傾城浮舟太夫実は盗賊袈裟太郎(扇雀),大江広元(錦之助),典侍の局(高麗蔵),相模五郎(歌昇),本田景久(巳之助),白拍子祇王(種之助),奴団平(隼人),息女照姫(鶴松),浅野弾正(吉之丞),御守殿おたき(歌女之丞),悪七兵衛景清(片岡亀蔵),河津三郎(萬次郎),平相国清盛(彌十郎).「二、義経千本桜 吉野山(よしのやま)」.出演:佐藤忠信実は源九郎狐(勘九郎),早見藤太(巳之助),静御前(玉三郎).「三、助六曲輪初花桜(すけろくくるわのはつざくら) 三浦屋格子先の場」.出演:花川戸助六(仁左衛門),三浦屋揚巻(七之助),白酒売新兵衛(勘九郎),通人里暁(彌十郎),若衆艶之丞(片岡亀蔵),朝顔仙平(巳之助),三浦屋白玉(児太郎),福山かつぎ(千之助),男伊達(竹松),男伊達(廣太郎),男伊達(玉太郎),男伊達(吉之丞),文使い番新白菊(歌女之丞),傾城八重衣(宗之助),遣手お辰(竹三郎),くわんぺら門兵衛(又五郎),髭の意休(歌六),三浦屋女房(秀太郎),母満江(玉三郎),後見(松之助).
宮島のだんまりは,傾城実は盗賊が厳島神社の宝物を盗み出し,清盛はじめゆかりの面々がそれを取り返そうという趣旨のだんまり.きらびやかで古風な舞台である.
吉野山は玉三郎・勘九郎の踊りが美しく,特に勘九郎は大柄な身体を生かした切れの良いシャープな踊りで,素晴らしい.すっかり魅了された.
助六は仁左衛門の好演は無論のこと,七之助の美しさと勘九郎の剽軽さが魅力的.亡き勘三郎への思いが満ちた印象的な舞台となった.
3本全てに出演し,後の2本ではいずれも滑稽な役を熱演した巳之助が敢闘賞もの.終わってみれば見応えたっぷりの夜の部だった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2018年10月国立劇場「通し狂言 平家女護島」

日記:2018年10月某日
国立劇場で歌舞伎「通し狂言 平家女護島」を見る.H3010kabukihonomote
序幕 六波羅清盛館の場,二幕目 鬼界ヶ島の場,三幕目 敷名の浦磯辺の場,同 御座船の場.
主な配役:平相国入道清盛/俊寛僧都(中村芝翫),俊寛妻東屋(片岡孝太郎),瀬尾太郎兼康(中村亀鶴),能登守教経/丹左衛門尉基康(中村橋之助),俊寛郎等有王丸(中村福之助),上臈松ヶ枝(中村梅花),海女千鳥(坂東新悟),越中次郎兵衛盛次/丹波少将成経(中村松江),後白河法皇(中村東蔵).
初めて見る「俊寛」の通し狂言.1幕目清盛館の場は,俊寛の妻・東屋が操を守って非業の最期を遂げるが,動き少なく不覚の寝落ち.
2幕目はついこの9月にも見たいつもの「俊寛」,芝翫の熱演は勿論,千鳥の新悟,康頼の橋吾が好演して見応えがあった.
3幕目は清盛御座船のスペクタクル,千鳥が後白河法皇を救って清盛に討たれるという,初めて知る悲劇が演じられる.
ここに至って,実は女性が主軸になっているというこの狂言の構成が理解できた.吉右衛門の「俊寛」との見比べも面白く,勉強になった本日の観劇であった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2018年10月大歌舞伎昼の部 三人吉三/大江山/佐倉義民伝

日記:2018年10月某日
歌舞伎座で「芸術祭10月大歌舞伎 昼の部」を見る.Kabukiza_201810_ffl_30824df3a553e07
河竹黙阿弥 作:「一、三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ) 大川端庚申塚の場」.出演:お嬢吉三(七之助),お坊吉三(巳之助),和尚吉三(獅童).萩原雪夫 作:「二、大江山酒呑童子(おおえやましゅてんどうじ)」.出演:酒呑童子(勘九郎),平井保昌(錦之助),源頼光(扇雀).三世瀬川如皐 作:「三、東山桜荘子 佐倉義民伝(さくらぎみんでん) 印旛沼渡し小屋の場 木内宗吾内の場 同裏手の場 東叡山直訴の場」.出演:木内宗吾(白鸚),おさん(七之助),徳川家綱(勘九郎),松平伊豆守(高麗蔵),幻の長吉(彌十郎),渡し守甚兵衛(歌六).
十八世勘三郎七回追善と銘打った10月歌舞伎.
三人吉三は七之助・鶴松の女形勢は良かったが,巳之助・獅童がもう一息で,いささか残念.この時代の不良青年等を,彼等なりに料理したところを期待したのだが.
大江山酒呑童子は,ユーモアを含んだ飄々とした酒呑童子を勘九郎らしく演じて面白かった.
佐倉義民伝は,白鸚が自家薬籠中の演技で見応えあり.但し物語の全体構成が判りにくく,幻の長吉の出現も意味不明で,この点は評価できない.
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2018/10/01

独断的映画感想文:わたしは、ダニエル・ブレイク

日記:2018年10月某日
映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」を見る.
2016年.監督:ケン・ローチ.
出演:デイヴ・ジョーンズ(ダニエル・ブレイク),ヘイリー・スクワイアーズ(ケイティ),ディラン・フィリップ・マキアナン(ディラン),ブリアナ・シャン(デイジー),ケイト・ラッター(アン),シャロン・パーシー(シェイラ),ケマ・シカズウェ(チャイナ).1_2
大工として40年間生きてきたダニエル・ブレイク,しかし心臓病が見つかり医師からは仕事を止められる.
公的支援の手続に行くと,当初認められた支援は,役所が委託した民間会社の「医療専門家」スタッフとの面談で取り消されてしまう.その場で役所のスタッフに不当な取扱を受けていたケイティと知り合うが,彼女は未婚の2児の母だった.
3_2
ケイティ一家を支援しつつ不服審査申請の手続も進めるが,当面は就職活動をするようにとの役所の指示が出て,やむなく役所の指定した履歴書作成講習も受け,週35時間の就職活動を律儀にこなすダニエル.しかし根拠となるエビデンスがないという理由でその活動すら役所から認められず,かえって処罰を喰らう.
一方ケイティは自身を犠牲にしての育児に疲れ,万引きに手を出してしまう….4_2
ダニエルとケイティを傷めつける役所の頑迷な保身行動は,何も英国保守党政権に限ったことではなく,我が国の現政権でも同様であろう.
この役所の,自身のルールを押し通すためにはひとの尊厳を傷つけ惨めな目に遭わせることを意に介さない様は,G.オーウェルの「1984年」を彷彿とさせるものがある.

5
主人公等を演じるデイヴ・ジョーンズとヘイリー・スクワイアーズが好演.ケイティが子供に食事を回した結果,飢えのあまりフードバンクで貰った食材をその場で口にしてしまうシーンは,涙を禁じ得ない.
またダニエルの,自身の不服審査で読み上げるための原稿も感銘的.
人間にとって尊厳が如何に大切なものかを,改めて思い出させる映画,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:スペースウォーカー

日記:2018年9月某日
映画「スペースウォーカー」を見る.1
2016年.監督:ドミトリー・コンスタンチーノヴィチ・キセリョフ,監修:アレクセイ・レオーノフ.
出演:エフゲニー・ミローノフ/コンスタンチン・ハベンスキー/ヴラディミール・イリイン/アレクサンドラ・ウルスヤク.
2
1965年に打ち上げられた衛星宇宙船ボスホート2号で人類初の宇宙遊泳が行われた.この映画はその搭乗飛行士:アレクセイ・レオーノフとパーヴェル・ベリャーエフの活躍を描いたもの,アレクセイ・レオーノフ自身が監修し既に亡くなっているパーヴェル・ベリャーエフに捧げられている.
計画は冷戦下であり且つアメリカとの宇宙競争のまっただ中に企画され,2年前倒しで行われることになった.関係者の必死の努力にも拘わらず,無人実験機での飛行は帰還段階で失敗し,不安を残したままボスホート2号は打ち上げられる.
3
宇宙船は無事軌道に乗り,アレクセイの宇宙遊泳はTVカメラによる生中継で全世界に送信されたが….
その直後宇宙服の不調で,一時宇宙船に帰還できなくなったこと,宇宙船内のセンサー異常で酸素濃度が過度にに上がったこと,地表帰還のための自動点火が起動しなかったこと等,次々に起こる想定外の事態に必死に対応する両飛行士の苦闘が,スリリングに描かれる.
更に地球帰還後も,手動降下による着陸地点が不明だったため当局が把握できないまま,両飛行士はシベリアのタイガ地帯で凍死の危機にさらされる.
4
両飛行士が生還できたことは歴史的事実であるにもかかわらず,この展開は誠にサスペンスフルで,ヘリコプターが遂に二人を発見した時は涙が出た.全体として緊張感高く息もつかせない展開が印象的だ.
プロローグとエピローグに現れる幼少期のアレクセイのエピソードも合わせ,ドキュメンタリー的映画の枠を越えたロシア映画の表現力を味わえる良作,極めてアメリカ的だった「アポロ13」との対比も面白いだろう.
★★★★(★5個が満点)
蛇足:アレクセイの愛称はアリョーシャである.字幕でアレックスと表記され続けたのは違和感あり.
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2018/09/24

番外:独断的歌舞伎感想文 2018年秀山祭夜の部 操り三番叟/俊寛/幽玄

日記:2018年9月某日
歌舞伎座で秀山祭9月大歌舞伎夜の部を見る.Img_20180922_210812
「一、松寿操り三番叟(まつのことぶきあやつりさんばそう)」.出演:三番叟(幸四郎),後見(吉之丞).
近松門左衛門 作 平家女護島.「二、俊寛(しゅんかん) 鬼界ヶ島の場」.出演:俊寛僧都(吉右衛門),海女千鳥(雀右衛門),丹波少将成経(菊之助),平判官康頼(錦之助),瀬尾太郎兼康(又五郎),丹左衛門尉基康(歌六).
坂東玉三郎・花柳壽輔 演出・振付.「三、新作歌舞伎 幽玄(ゆうげん) 羽衣/石橋/道成寺」.出演:天女/白拍子花子(玉三郎),伯竜/獅子の精(歌昇),伯竜/獅子の精(萬太郎),伯竜/獅子の精(種之助).
操り三番叟は幸四郎,人形振りが素敵な踊り.
Kabukiza09_shunkan
俊寛は吉右衛門円熟の舞台,従来の幕切れは手を振り船を呼び続ける演出が多かったが,今回は只呆然と虚空を凝視し続ける.感動した.瀬尾の又五郎が朗々たる声で悪役を好演.
幽玄は鼓童の和太鼓を中心とした新作舞踊,踊りを見るより音楽を聴く要素が強い感あり.玉三郎は羽衣の踊りは良かったが,一般に踊りの方はあまり感心せず.中で石橋(歌昇等)は若々しく力強い踊りあり.
幽玄はやや長く感じたが,全体には見応えある良い舞台だった.この日の3階席には,花道に人が出ると平然と前のめり・中腰になる客が多く,殆ど花道は見えなかった.なんたることだ.
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独断的映画感想文:永い言い訳

日記:2018年9月某日
映画「永い言い訳」を見る.1_2
2016年.監督:西川美和.
出演:本木雅弘(衣笠幸夫(津村啓)),竹原ピストル(大宮陽一),藤田健心(大宮真平),白鳥玉季(大宮灯),堀内敬子(大宮ゆき),池松壮亮(岸本信介),黒木華(福永智尋),深津絵里(衣笠夏子).6
作家の衣笠幸夫はTVにモデル売れっ子作家だが,最近はまともな作品が書けない.妻の夏子はヘアスタジオを主催する美容師,映画の冒頭幸夫はその夏子に髪を刈ってもらっている.
やがて散髪は終わり,夏子は親友・大宮ゆきとバス旅行へ行く.入れ替わりに愛人の編集者福永を引き込んで情事にふける幸夫.ところが夏子の乗ったバスはその夜事故を起こし,夏子とゆきは帰らぬ人となる.
夏子の死後メディアの手前を取り繕いつつ,荒れた生活を送る幸夫.遺族会で初めて会ったゆきの夫・大宮陽一と思いがけないつき合いが始まり,長距離トラック運転手である陽一の子供・真平と灯の面倒を見ることになる.
ゆきを失った大宮一家の世話をしながら陽一と議論することを通じ,自分と夏子の関係を省みる幸夫だったが….2_2
ゆきに頼り切り,ゆきの喪失を嘆き悲しみながら暮らす陽一に対し,細々と助言し面倒を見る幸夫.しかしそのことを通じて幸夫は,逆に自分にとって夏子が如何に大切だったかを,長い時間をかけて教えられていくことになる.3_2
大宮一家の人々を通じて再生していく幸夫を演じる本木雅弘が,素晴らしい.
深津絵里は短い出演ながら圧倒的な存在感,特に真平・灯と共に登場する海辺の幻のシーンには,涙を禁じ得ない.5
竹原ピストルと子役達の大宮家も素敵な演技.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:散歩する侵略者

日記:2018年9月某日
映画「散歩する侵略者」を見る.1
2017年.監督:黒沢清.出演:長澤まさみ(加瀬鳴海),松田龍平(加瀬真治),高杉真宙(天野),恒松祐里(立花あきら),前田敦子(鳴海の妹・明日美),満島真之介(丸尾),児嶋一哉(車田刑事),光石研(鈴木社長),東出昌大(牧師),小泉今日子(医者),笹野高史(品川),長谷川博己(ジャーナリスト・桜井).
2
或る日日本で宇宙人の侵略が始まる.
宇宙人は少年・天野と少女・あきらの肉体を侵略し,一家殺害事件を起こしたあきらの取材に来た記者・桜井を「ガイド」として,地球侵攻の準備を始める.桜井は彼等が宇宙人かどうか半信半疑ながら,記者根性で協力に応じる.
鳴海の夫・真治も侵略された一人.挙動がおかしくなった真治を病院に連れて行った鳴海は既に夫と破綻しかけていたが,侵略され一見以前の夫に近くなった真治への期待を持って,「ガイド」を勤めることになる.
侵略者は人間の持つ「概念」を情報収集のために奪うが,奪われた人間はその概念を失ってしまう.そこから巻き起きる騒動を交え,3人の侵略者が邂逅して進む宇宙人の侵攻の過程を描く….3
侵略者と「ガイド」の関係が,物語の進行に伴ってどんどん変転していく独特の視点が面白い.特に,侵略者となったが本来の夫らしい個性を取り戻す真治と,再び夫にたいする溢れるような愛情を取り戻す鳴海の関係が,魅力的.演じる松田龍平と長澤まさみに見応えあり.
4
侵略者と戦う日本政府側は,ウィルス感染として対応した厚労省の担当エージェントが,縦割り行政のお陰か為す術もなく全滅するのが情けない.
ちょっと変わった侵略もの,見終わった後の気分は良い.
★★★☆(★5個が満点).
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番外:独断的歌舞伎感想文 2018年秀山祭昼の部 金閣寺/鬼揃紅葉狩/河内山

日記:2018年9月某日
歌舞伎座で「秀山祭九月大歌舞伎 昼の部」を見る.Kabukiza_201809_f5_1a273a82c98ed7_2
「一、祇園祭礼信仰記 金閣寺(きんかくじ)」.出演:此下東吉実は真柴久吉(梅玉),雪姫(児太郎),狩野之介直信(幸四郎),松永鬼藤太(坂東亀蔵),此下家臣春川左近(橋之助,同 戸田隼人(男寅),同 内海三郎(福之助),同 山下主水(玉太郎),腰元(梅花),腰元(歌女之丞),十河軍平実は佐藤正清(彌十郎),松永大膳(松緑),慶寿院尼(福助).
萩原雪夫 作,今井豊茂 補綴.「二、鬼揃紅葉狩(おにぞろいもみじがり)」.出演:更科の前実は戸隠山の鬼女(幸四郎),平維茂(錦之助),侍女かえで(高麗蔵),侍女ぬるで(米吉),侍女かつら(児太郎),侍女もみじ(宗之助),従者月郎吾(隼人),従者雪郎太(廣太郎),男山八幡の末社(玉太郎),男山八幡の末社(東蔵).
河竹黙阿弥 作.「三、天衣紛上野初花 河内山(こうちやま) 上州屋質見世,松江邸広間,同 書院,同 玄関先」.出演:河内山宗俊(吉右衛門),松江出雲守(幸四郎),宮崎数馬(歌昇),大橋伊織(種之助),黒沢要(隼人),腰元浪路(米吉),北村大膳(吉之丞),高木小左衛門(又五郎),和泉屋清兵衛(歌六),後家おまき(魁春).Kabukiza09_kouchiyama
金閣寺は児太郎が美しく口跡良く見応えあり.特に立ち姿はお姫様らしくてきれい.贔屓の松緑も良い芝居で嬉しい.復帰の福助に拍手,福助は2013年8月に歌舞伎座で見て以来である.
鬼揃紅葉狩は音楽が素晴らしい.囃子方に竹本・常磐津が入れ替わり入れ替わり加わる他,中盤では大薩摩の演奏もあり,堪能した.踊りは,もうすぐ18になる玉太郎がお祖父さんの東蔵と踊った男山八幡の末社が,若々しくて素敵だった.
河内山は吉右衛門が魅力を存分に発揮,魁春がツボにはまったお内儀役で良かった.
それぞれ魅力ある演目で誠に見応えあり.
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2018/09/12

独断的映画感想文:ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命

日記:2018年9月某日
映画「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」を見る.1
2016年.監督:パブロ・ラライン.音楽:ミカ・レヴィ.
出演:ナタリー・ポートマン(ジャクリーン・ケネディ(ジャッキー)),ピーター・サースガード(ロバート・F・ケネディ(ボビー)),グレタ・ガーウィグ(ナンシー・タッカーマン),リチャード・E・グラント(ビル・ウォルトン),ビリー・クラダップ(ジャーナリスト),ジョン・ハート(神父).
2
1963年11月.ケネディ暗殺事件から間もない或る日,米誌ライフの記者がジャクリーン・ケネディを訪れる.ジャクリーンは自分が記事を検閲することを条件に,ロングインタビューに応じる.そこで語られる,暗殺直後から国葬までの4日間を中心とした物語.
冒頭,彼女が改装し面目を一新したホワイトハウスの内装が紹介された1962年放映のTV番組が紹介される.未だ31歳,スタッフのナンシーの助力を得ながら堂々とカメラに向かうジャクリーン.初々しい彼女の才気が溢れている.
3
大統領の受傷直後から病院への急行,大統領専用機での副大統領リンドン・B・ジョンソンの就任宣誓に血に汚れた服で立ち会うジャクリーン.彼女はワシントンでボブ・ケネディと会い,初めて心からの悲しみにひたる….
映画は緊張感に満ちている.
深い悲哀と喪失感の中,子供達に父の死を伝え,ケネディの葬られるべき場所を自ら選定し,国葬では棺の後を徒歩で進むことを決定するジャクリーン.ケネディ家・民主党政権のスタッフ・警備関係者等とのやり取りを強い意志で乗り切っていく一方,ケネディとの思い出にひたり牧師に心情を告白する姿は痛々しい.ナタリー・ポートマンの演技は誠に見応えあり.4
またジャクリーンを労る牧師のジョン・ハート,若々しいボブ・ケネディを演じたピーター・サースガードが印象的だった.
冒頭の不安と緊張に満ちた響きから,ラストシーンのある落ち着きに至るミカ・レヴィの音楽も素晴らしかった.見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
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2018/09/04

番外:独断的歌舞伎感想文 義経千本桜 道行初音旅/川連法眼館

日記:2018年9月某日
「巡業 松竹大歌舞伎 西コース」を見る.Jungyo_2018west_4a36c66f31c33e5036b
「義経千本桜 一、道行初音旅 清元連中 竹本連中」.出演 佐藤忠信実は源九郎:片岡愛之助,静御前:中村壱太郎,逸見藤太:市川猿弥.「義経千本桜 二、川連法眼館 一幕」.出演 佐藤忠信・佐藤忠信実は源九郎:片岡愛之助,静御前:中村壱太郎,亀井六郎:市川猿弥,川連法眼:中村寿治郎,法眼妻飛鳥:上村吉弥,駿河次郎:中村松江,源義経:市川門之助.
道行初音旅は踊りがメイン,壱太郎はさすがに市民会館の花道が狭くて踊りにくそうだ.後段,忠信との踊りになるといきいきとして見違える様.
川連法眼館では,愛之助が音羽流の忠信を忠実に演じて熱演に拍手.壱太郎がここでもしっかりとした演技・口跡で見応えあり.
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独断的映画感想文:菊とギロチン

日記:2018年8月某日
映画「菊とギロチン」を見る.1_2
2018年.監督:瀬々敬久.
出演:木竜麻生(花菊ともよ),東出昌大(中濱鐵),寛一郎(古田大次郎),韓英恵(十勝川たまえ),渋川清彦(岩木玉三郎),山中崇(和田久太郎),井浦新(村木源次郎),大西信満(飯岡大五郎),嘉門洋子(玉椿みつ),大西礼芳(勝虎かつ),山田真歩(小桜はる),嶋田久作(田中半兵衛).3
アナーキストグループ「ギロチン社」は,関東大震災で大杉栄が虐殺されたことに対し復讐を決意,様々な事件を起こすが不成功に終わる.
残党の中濱・古田は東京近郊の海浜に潜伏,当地巡業中の女相撲・玉岩興業の相撲を見物して大いに共感,玉岩興業のチラシを作成して配布する等,行動を共にする様になる.4
一座には山形出身の力士の他,朝鮮人で遊郭にいた十勝川,沖縄出身の与那国等がおり,前頭の花菊は姉の死後その後妻に入るが,夫の暴力に耐えかねて逃げ出し一座に加わっている.
親方の岩木は興行主との関係を保ちつつ,様々な出自の力士達に目配りする,芯のしっかりした豪気な男.中濱・古田の出入りも黙認する.やがて中濱は十勝川と,古田は花菊とお互いに好意を持つ様になる.
5
一方地元の在郷軍人会の分会長・飯岡は,十勝川を朝鮮人と知り,拉致・拷問して震災時の朝鮮人の「犯行」を「自白」させようとするが….
3時間を越える長尺だが,アナキストグループと女相撲という特異な集団の交流を描いて間断するところがない.女相撲の興業を見事に再現した映像は,素晴らしかった.巡業地の砂浜で一座と中濱・古田,更に震災難民や地元の漁師も交えて踊り歌うシーンは誠に印象的.2
この後アナキストグループは闘争をエスカレート,また一座には花菊の夫が妻を取り戻しに来る等波乱が続く.大正13年・14年という,経済的破綻と軍部の台頭する不穏な空気を背景に描かれる勇壮な叙事詩.見応えあり.
★★★★(★5個が満点)
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ようやっと25万アクセス突破

台風21号が接近中で不要不急の外出を控えていたら,本blogが25万アクセスを越えていることに気付きました.
まあ細々と続いている本blogですが,それでも細々と見て下さる方がおられるようで,有り難いことであります.
Photo
これからも楽しく映画を見て独断的感想を上げていきたいと思いますので,相変わらぬご贔屓を頂きます様,宜しくお願い申し上げます.好きな映画の一つのポスターを掲げて,ご挨拶といたします.

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2018/09/01

独断的映画感想文:彼女がその名を知らない鳥たち

日記:2018年8月某日
映画「彼女がその名を知らない鳥たち」を見る.1
2017年.監督:白石和彌.
出演:蒼井優(北原十和子),阿部サダヲ(佐野陣治),松坂桃李(水島真),村川絵梨(國枝カヨ),赤堀雅秋(酒田),赤澤ムック(野々山美鈴),中嶋しゅう(國枝),竹野内豊(黒崎俊一).2_2
十和子は陣治と暮らす家を殆ど出ず,クレームの電話をかけたりビデオを見たりの自堕落な日々を送る.15歳年上の陣治はひたすら十和子に仕えるが,十和子はその稼ぎで暮らしているのに陣治には殆ど身体も許さない.
十和子は8年前付き合っていた黒﨑にひどい仕打ちを受け,暴行され捨てられたのだが,彼女は未だに黒﨑が忘れられない.クレームの担当者で黒﨑に似た感じの水島と付き合うようになるが,水島は女を引っかけては捨てる男らしい.3
一方,水島と十和子の情事を陣治は尾行していた.黒﨑が5年前から失踪しているという情報を得た十和子は,陣治が黒﨑の失踪に関係しているのではないかと疑うが….
4
出だしは不愉快極まりない十和子と陣治の共同生活の描写,それがミステリーとなりサスペンスとなり,最後に恋愛物語に昇華していく.それを演じていく蒼井優と阿部サダヲの演技が見応えあり.

5
後半次々に明らかになる事実の展開には圧倒される.全ての事実が明らかになったあと,ラストシーンで十和子が見上げる「彼女がその名を知らない鳥たち」の乱舞は印象的.
★★★★(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 新作歌舞伎「NARUTO -ナルト-」

日記:2018年8月某日
新橋演舞場で新作歌舞伎「NARUTO -ナルト-」を見る.Shinbashi_201808_f5_60b3f3078388006
うずまきナルト(坂東巳之助),うちはサスケ(中村隼人),綱手(市川笑也),大蛇丸(市川笑三郎),春野サクラ(中村梅丸),うちはイタチ(市瀬秀和),はたけカカシ(嘉島典俊),自来也(市川猿弥),うちはマダラ(片岡愛之助).
人気長編コミックの歌舞伎舞台化.脚本・演出は7年前に見た新作歌舞伎『東雲烏恋真似琴』で大谷竹次郎奨励賞を受賞したG2.予備知識ゼロで見たが,冒頭いきなり竹本で始まったのには吃驚.
忍者学校の劣等生ナルトが,同級生サスケ等と共に成長しながら,九尾の狐の魔力を我が物にして世界を牛耳ろうという,うちはマダラの陰謀と戦う物語.
舞台をうまく使ったテンポの良い作品で,若手らしいアクションシーンが魅力的だ.客席も若い観客が目立ち賑やかな雰囲気,久しぶりの新橋だったが楽しかった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 8月大歌舞伎3部 「通し狂言 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)」

日記:2018年8月某日
歌舞伎座で「8月大歌舞伎3部 盟三五大切」を見る.Img_20180819_144710
四世鶴屋南北 作,郡司正勝 補綴・演出,織田紘二 演出.「通し狂言 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ) 序幕:佃沖新地鼻の場,深川大和町の場.二幕目:二軒茶屋の場,五人切の場.大詰:四谷鬼横町の場 愛染院門前の場」.
出演:薩摩源五兵衛(幸四郎),芸者小万(七之助),家主くり廻しの弥助(中車),ごろつき五平(男女蔵),内びん虎蔵(廣太郎),芸者菊野(米吉),若党六七八右衛門(橋之助),お先の伊之助(吉之丞),里親おくろ(歌女之丞),了心(松之助),廻し男幸八(宗之助),富森助右衛門(錦吾),ごろつき勘九郎(片岡亀蔵),笹野屋三五郎(獅童).
複雑な人間関係と凄惨な殺し場が特徴の,鶴屋南北の傑作狂言.
芸者小万に入れ揚げ何より大切な100両の金をまんまと美人局で巻き上げられる浪人源五兵衛,源五兵衛の狂気の5人切りを忠義のために身替わりとなって自首するその若党,源五兵衛に最愛の女房を斬殺されながら主筋と知って自らは切腹して果てる三五郎.
死屍累々の末,源五兵衛は義士の一員となり「めでたしめでたし」となる.やりきれない不条理劇だが緊張感高く,構成に隙が無い.役者がそれぞれに奮闘し,見応えがあった.
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2018/08/23

独断的映画感想文:美女と野獣

日記:2018年8月某日
映画「美女と野獣」を見る.
2017年.監督:ビル・コンドン.
出演:エマ・ワトソン(ベル),ダン・スティーヴンス(野獣),ルーク・エヴァンス(ガストン),ケヴィン・クライン(モーリス),ジョシュ・ギャッド(ル・フウ),ユアン・マクレガー(ルミエール),スタンリー・トゥッチ(カデンツァ),ネイサン・マック(チップ),ググ・ンバータ=ロー(プリュメット),オードラ・マクドナルド(マダム・ド・ガルドローブ),イアン・マッケラン(コグスワース),エマ・トンプソン(ポット夫人).1
傲慢の罪で魔女の呪いをかけられた王子とその召使い・城.呪いを解くには,魔女が残したバラの花びらが全て散る前に,「愛し愛されること」を王子が知らねばならなかった.
一方近隣の村で父モーリスと二人暮らしの娘ベル,本の虫で変わり者と村中から相手にされない.或る日モーリスが森で狼に襲われ,偶然逃げ込んだ王子の城で囚われの身となってしまう.モーリスを救いに城に来たベルは,身替わりに城で暮らすことになるが….3
子供だましの通俗的映画.
きら星の様な配役だが,エマ・ワトソン以外は映画の殆どで家具や調度品として登場するので,あまり意味は無い.
音楽的にもエマ・ワトソンの歌唱に特に魅力は無く,感銘を受ける楽曲も無い.
2
フランスが舞台と言っているが,何故黒人の登場人物がこれだけ出てくるのか,理解に苦しむ.
大人の都合で作られた映画という印象が最後まで残った.見て楽しさは特に感じられない.
★(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 八月納涼歌舞伎1部・2部 花魁草/龍虎/心中月夜星野屋/東海道中膝栗毛/雨乞其角

日記:2018年8月某日
「八月納涼歌舞伎1部・2部」を見る.Img_20180819_143037
第一部:北條秀司 作・演出,大場正昭 演出.「一、(おいらんそう)」.出演:お蝶(扇雀),幸太郎(獅童),座元の妾お八重(高麗蔵),客孝吉(松江),米之助女房お松(梅枝),お糸(新悟),客平助(虎之介),小料理屋女房(梅花),客音松(吉之丞),小料理屋亭主(松之助),達磨問屋主人五兵衛(市蔵),菊岡女将お栄(萬次郎),座元勘左衛門(彌十郎),百姓米之助(幸四郎).大野恵造 作.「二、龍虎(りゅうこ)」.出演:龍(幸四郎),虎(染五郎).小佐田定雄 脚本,今井豊茂 演出.「新作歌舞伎 三、心中月夜星野屋(しんじゅうつきよのほしのや)」.出演:おたか(七之助),星野屋照蔵(中車),藤助(片岡亀蔵),母お熊(獅童).
第二部:十返舎一九 原作より.杉原邦生 構成,戸部和久 脚本,市川猿之助 演出.「お伊勢参りにまた行くの!?一、東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ) 弥次郎兵衛・喜多八/梵太郎・政之助 宙乗り相勤め申し候」.出演:喜多八(猿之助),伊月梵太郎(染五郎),五代政之助(團子),弥次郎兵衛(幸四郎),獅童,七之助,中車,右團次,竹松,市川右近,弘太郎,寿猿,門之助.伊藤鷗二 作.「二、雨乞其角(あまごいきかく)」.出演:其角(扇雀),船頭(歌昇),同(虎之介),芸者(新悟),同(廣松),其角の弟子(橋之助),同(男寅),同(福之助),同(鷹之資),同(千之助),同(玉太郎),同(歌之助),同(鶴松),大尽(彌十郎).Kabukiza_201808f3_e38509b265db77210
花魁草は7年前のやはり8月歌舞伎で見た.浩太郎は今回と同じ獅童,お蝶は福助.
今回も最終場面の舞台構成の見事さに感銘を受けた.扇雀の訳ありお蝶の演技が秀逸.
心中月夜星野屋は落語ネタで気楽に見れる一幕だが,落ちがいまいち.ここはやはり死んだ筈の旦那が出てくる怪談仕立てでは無いだろうか.
膝栗毛は,喜多さんが死んじゃって弥次喜多のやり取りが無いのは残念.一方,冒頭の意味も無く延々と繰り返される獅童・中車・七之助の早替わりシリーズや,閻魔大王の前での踊りの饗宴等,歌舞伎本来のネタを使った奇想天外なやんちゃは,なかなか面白い.
染五郎・團子のコンビや,市川右近の大活躍が楽しい.全体に8月らしく若手の溌剌とした活躍が嬉しかった.
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2018/08/16

独断的映画感想文:タクシー運転手 ~約束は海を越えて~

日記:2018年8月某日
映画「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」を見る.1_2
2017年.監督:チャン・フン.
出演:ソン・ガンホ(キム・マンソプ),トーマス・クレッチマン(ユルゲン・ヒンツペーター(ピーター)),ユ・ヘジン(ファン・テスル),リュ・ジュンヨル(ク・ジェシク).
2_2
1980年5月に起こった韓国の光州抗争事件に際し,その現場を撮影し事件の真相を世界に知らせた記者と,彼を乗せて光州潜入・ソウルへの脱出を実現したタクシー運転手の,実話に基づく映画.
妻を癌で亡くし一人娘と暮らす個人タクシー運転手:キム・マンソプは,貧しいが陽気な男.一方戒厳令撤廃を求める学生・市民と軍との衝突が深刻になっていた光州,軍は光州を包囲封鎖し,通信も遮断して市民が暴徒化したとのニュースを流していた.
3_2
日本に滞在していたドイツ人記者ピーターは,光州の実情を知るべく身分を隠して渡韓.ピーターの「通行禁止期限までに光州に行ったら10万ウォン払う」という話に飛びついたキムは,サウジ出稼ぎで身につけた片言の英語を武器に,ピーターを乗せて光州を目指すが….
物語は光州での惨劇,ピーター等を支援する学生・市民等と軍隊・警察との争闘,ピーター達がフィルムを持って無事光州を脱出できるか,というサスペンスが軸となって進行する.冒頭からのユーモアに満ちた展開と,このハラハラドキドキは,見応えあり.
4_2
他方で,光州市民とキムとの交流・葛藤もよく描かれている.
ピーターを連れて来たものの,厳しい状況に腰の引けているキムに対する光州市のタクシー運転手等の批判や,一旦仲間と認めたあとは二人を自宅に招いて歓待し,脱出時には身体を張ってキム等を支援する彼等の真情は印象的だ.5_3
自分にとっては韓国市民の,まずはぶつかり合い(忖度などということはない),一旦気を許せば情を通わせ合うという特質が,興味深かった.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:四川のうた

日記:2018年8月某日
映画「四川のうた」を見る.1
2008年.監督:ジャ・ジャンクー.
出演:ジョアン・チェン(シャオホァ),リュイ・リーピン(ダーリー),チャオ・タオ(スーナー),チェン・ジェンビン(ソン・ウェイドン).2
2007年,四川省成都にある420工場は,50年にわたるその歴史を閉じようとしていた.工場の閉鎖式,施設設備の解体撤去,新しい高層マンション群の建設と進む状況を背景に,この工場で働いたり,この工場地区で学び育った人々のインタビューで綴るドキュメンタリー.
本作は420工場の労働者・子弟4人のインタビューと,4人の俳優がそれらの人々を演じて行うインタビューとで構成されている.3
工場創業と文革前後を語る何錫崑,420工場設置の毛沢東の政策を語る関書記,90年代のリストラ状況を語る侯麗君,420工場で生まれ進学後TVキャスターになった趙剛は本人が出演.
一方,工場創設時の異動の旅で一人息子が行方不明になった大麗(ダーリー),80年代の不況下で別れる羽目になった医学生の彼女が,「赤い疑惑」の山口百恵と同じ髪型だったと語る栄衛東(ソン・ウェイドン),80年代に工場に勤め婚期を逃した小花(シャオホァ)こと顧敏華,1982年に工場で生まれ今は上海で高級品のバイヤーをしている蘇娜(スーナー)をそれぞれ俳優が演じてインタビューを行う.4
それぞれのインタビューは印象的で,本人出演の如何にも風雪に耐えてきた労働者という顔貌と語り口も素晴らしい.
一方,リュイ・リーピン,チャオ・タオのインタビューはそれぞれ好演で感銘を受けた.特にジャ・ジャンクー監督の全映画に出演しているチャオ・タオが,廃校となった420工場の学校で父と母を語る映画のラストシーンは素晴らしい.
5_2
途中で流れる「ありがとう あなた」(赤い疑惑主題歌)を始め,挿入される中国歌謡や詩文も趣があり,映画に厚みを与えている.
見応えあり.★★★★(★5個が満点)
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2018/08/12

独断的映画感想文:ドライブイン蒲生

日記:2018年8月某日
映画「ドライブイン蒲生」を見る.1_2
2014年.監督:たむらまさき.
出演:染谷将太(蒲生俊也),黒川芽以(蒲生沙紀),永瀬正敏(蒲生三郎),小林ユウキチ(須田満),猫田直(蒲生しのぶ),平澤宏々路(岸本亜希子),鈴木晋介(パン屋のおじさん),足立智充(沙紀の担任教師).
3_2
寂れきったドライブイン蒲生.店主の蒲生三郎はやくざっぽい駄目親父,店を開けずに昼間っから酒を飲む.
そんな父に激しく反発する姉沙紀はヤンキー,どっちつかずの弟俊也は不良になりきれないグータラ高校生.
彼等の父親との過去の葛藤を,現在の沙紀がDVの夫に決着をつけるため俊也と共に出かける姿と絡めて描くドラマ.2_2
映画の前半は家族それぞれの怠惰で無為な日々が淡々と描かれる.物語が動き出すのは父親の病死から.
父の危篤から葬儀に至る経過での沙紀と俊也の描写から,彼等なりの父への愛情が感じられる.それは現在に戻っていよいよDV夫と決着をつける場面での,沙紀と俊也の行動に繋がっていくのだ.5
沙紀と俊也の人間的成長,父親の受け入れと継承が印象的なラストシーンだった.
黒川芽以・染谷昇太の寡黙で動きの少ない演技が面白い.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:道

日記:2018年8月某日
映画「」を見る.1
1954年.監督:フェデリコ・フェリーニ.
出演:アンソニー・クイン(Zampano),ジュリエッタ・マシーナ(Gelsomina),リチャード・ベイスハート(Il Matto).
2
貧しい上に頭の足りないジェルソミーナは,母親に1万リラで売られ,芸人ザンパーノと共に旅に出る.
ザンパーノは野獣のような男,ジェルソミーナを強引に妻にするが,彼女にラッパや太鼓を仕込み,ジェルソミーナも懸命に芸を覚える.
しかし,行く先々で金ができると女と酒に入れ込むザンパーノに,自分は何のために生きているのかと涙を流すジェルソミーナ.一時合流したサーカスの一座で,空中ブランコを演じる「キ印」と呼ばれる青年に,「小石一つでもこの世に存在する価値がある」と励まされたジェルソミーナ,しかし「キ印」とザンパーノは折り合いが悪く,遂に或る日悲劇が起こる….3
天使の様に純情でしかし大人の哀しみを背負って人生を歩むジェルソミーナ,野獣のように思いのままに人生を突き進もうというザンパーノ.
この二人がいっとき共に歩いた道が,如何に貴重な日々だったのか.そのことに思い至って夜の海岸で慟哭するザンパーノのシーンは,目に焼き付いて離れない.
4
ニーノ・ロータの音楽が素晴らしい.
スリルもスペクタルもないが,映画とはこういうものだということを存分に味わえる名作,必見です.
★★★★☆(★5個が満点)
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2018/08/07

独断的映画感想文:ウインド・リバー

日記:2018年7月某日
映画「ウインド・リバー」を見る.1_3
2017年.監督:テイラー・シェリダン.
出演:ジェレミー・レナー(コリー・ランバート),エリザベス・オルセン(ジェーン・バナー),ジョン・バーンサル(マット),グレアム・グリーン(ベン),ケルシー・アスビル(ナタリー),ギル・バーミンガム(マーティン).
2_3
映画の冒頭,夜の雪原を走っていく女性.やがて力尽きて倒れる.続いて羊を狙う狼の群れを,純白の雪上用迷彩服を着て狙撃・射殺するコリーのシーン.
ワイオミングのネイティブ・アメリカン居留地:ウインド・リバーで働く魚類野生生物局の職員コリーは,牛を襲ったピューマを追跡中,雪原に倒れた女性の遺体を発見する.
3_3
遺体は親友マーティンの娘で,3年前に亡くなったコリーの娘の親友,ナタリーだった.ナタリーの死因は極寒中逃走したための肺損傷によるもの.通報で派遣されてきたFBIの捜査官ジェーンは,コリーに協力を求め,地元警察と共に捜査を進めるが….
コリーの娘もかって行方不明になり,発見された時はコヨーテに食い荒らされて,死因も不明だった.コリーは白人だが,娘の死後別れた妻はネイティブだ.過酷な自然の居留地で繰り返される少女の死は,何故起こるのか.
本作はクライムサスペンスであると同時に,娘を失った父の復讐劇でもある.4_3
犯罪捜査の進行を描く物語は,ワイオミングの自然の厳しさを描くと共に,居留地住民の生活の闇もあぶり出す.コリーはヤク中のナタリーの兄に,「おまえは軍にも大学にも行かずこの道を選んだ」と言う.居留地の若者の選択肢は少ないのだ.
事件は凄まじい銃撃戦で決着が付く(特にコリーによる狙撃は衝撃的だ)が,銃でしか決着をつけられないアメリカ社会もまた大きな闇の中にある.5_3
緊迫感に満ちた映像,ニック・ケイヴとウォーレン・エリスの音楽が素晴らしい.主演のジェレミー・レナー,エリザベス・オルセンの演技も素晴らしかった.見応えある映画.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:通し狂言 三國無雙瓢箪久(さんごくむそうひさごのめでたや)出世太閤記

日記:2018年7月某日
歌舞伎座で「七月大歌舞伎 昼の部」を見る.Kabukiza_taikoki201807
織田紘二 補綴・演出,石川耕士 補綴・演出,川崎哲男 補綴・演出,藤間勘十郎 補綴・演出.「通し狂言 三國無雙瓢箪久(さんごくむそうひさごのめでたや)出世太閤記 市川海老蔵宙乗り相勤め申し候」.序幕;第一場 西遊記(夢の場),第二場 本能寺の場,第三場 備中高松城外、秀吉陣中の場.二幕目;第一場 小栗栖村竹薮の場,第二場 近江湖水の場,第三場 松下嘉兵衛住家の場.大詰;第一場 大徳寺焼香の場,第二場 同 奥庭の場.
出演:羽柴秀吉/孫悟空(市川海老蔵),明智光秀/明智左馬之助(中村獅童),松下嘉兵衛/柴田勝家(市川右團次),北畠信雄(中村松江),加藤清正(坂東亀蔵),沙悟浄/滝川一益(中村亀鶴),秀吉女房八重(中村児太郎),三法師(堀越勸玄),福島正則(市村竹松),森蘭丸/片桐且元(大谷廣松),神戸信孝(市川男寅),脇坂安治(中村玉太郎),猪八戒/小栗栖長兵衛(市川九團次),高山右近(大谷桂三),中川清秀(澤村由次郎),村越伍助/佐久間信盛(片岡市蔵),丹羽長秀(河原崎権十郎),三蔵法師/筒井順慶(市川齊入),百姓畑作/佐々成政(市村家橘),紅少娥実は金毛九尾狐(市村萬次郎),前田利家(大谷友右衛門),光秀妻皐月(中村雀右衛門),嘉兵衛妻呉竹(中村東蔵).Kabukiza_shido201807
海老蔵の太閤記概要の解説に続き,冒頭は蘭丸の見た夢の中の孫悟空の場.ここで無理矢理宙乗りとなるが,ややとってつけた感じ.
この後は本能寺の変から大徳寺の信長法要までの50日間の物語.筋立ては込み入っていて光秀と左馬之助が早変わり二役だったりして判りにくい.
備中高松城外、秀吉陣中の場では,獅童・児太郎が海老蔵と絡んで笑いを取る場だが,ここも笑いが滑りまくって,獅童はこういう芝居が下手なのかと思ってしまう.
という訳で完成度はいまいち.大徳寺焼香の場では,勸玄ちゃんの三法師が,隣で懸命に台詞を喋っている海老蔵の横で,寝落ちしそうになって客席がざわつく.幸い自分の台詞を間違えずに堂々と言えたが,本作で最もスリリングなシーンだった.
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独断的映画感想文:きいろいゾウ

日記:2018年7月某日
映画「きいろいゾウ」を見る.1_2
2012年.監督:廣木隆一.
出演:宮崎あおい(妻利愛子(ツマ)),向井理(武辜歩(ムコ)),濱田龍臣(大地),浅見姫香(洋子),本田望結(幼少時代のツマ),リリー・フランキー(夏目),松原智恵子(セイカ),緒川たまき(緑),柄本明(アレチ).2_2
三重県の農村地帯の一軒家に住むムコとツマ.
ムコは地元の介護施設に勤めながら小説を書いている.ツマは少女のように純粋な女性,動物や草木の語る声を聴くことができる.出会ってすぐに結婚した二人だが,互いに相手の知らない秘密を抱えている.3_2
ツマは子供の頃心臓病のため入院していたが,満月を見ていた時きいろいゾウが現れ,その背に乗って世界中を旅した.その後心臓病は治ったが,月の影響を強く受け,また生きものの語る声が聞こえるようになる.
ムコは背中に美しい鳥のタトゥーを入れているが,それは鳥の絵を書くかっての恋人の原画をもとにしたものだった.ムコのもとにその恋人の夫から手紙が届き,ムコは東京に行く決意をする.そのことに激しく動揺するツマだったが….4_2
寡黙で飄々としているが感情にもろいムコを演じる向井理と,少女の感受性・大人の身体と狂気を備えたツマを演じる宮崎あおいの演技が,それぞれ見応えあるラブファンタジー.
過去を乗り越え大人の夫婦として新たな関係を作り始めるムコとツマ,彼等を囲む3組のカップルが織りなす物語が印象的だ.見て損はなし.
5_2
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:22年目の告白-私が殺人犯です-

日記:2018年7月某日
映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」を見る.221
2017年.監督:入江悠.
出演:藤原竜也(曾根崎雅人),伊藤英明(牧村航),夏帆(岸美晴),野村周平(小野寺拓巳),石橋杏奈(牧村里香),竜星涼(春日部信司),早乙女太一(戸田丈),平田満(滝幸宏),岩松了(山縣明寛),岩城滉一(橘大祐),仲村トオル(仙堂俊雄).222
1995年の阪神淡路大震災直後,東京で起こった5連続殺人事件.
捜査員・牧村刑事のアパートが爆破され,牧村の先輩・滝刑事が殉職するという最後の事件後犯人は姿を消し,必死の捜査も空しく事件は時効を迎えた.
ところがその後,曾根崎という男が「自分が犯人だ」と名乗って会見を開き,「私が殺人犯です」という告白本の出版を発表する.曾根崎は,被害者のもとを訪れ挑発したり,サイン会を開いたり,TV生出演を求めたりする.223
TVキャスター仙堂は,曾根崎に自分の番組への生出演を求め,曾根崎も了承したが….
出だしから,時効後の思いがけない犯行告白と美しい犯人という衝撃的な展開,被害者遺族の葛藤や,徐々に明らかになる事件の全貌等,丁寧な展開に引き込まれる.
ところが曾根崎の番組出演で強烈などんでん返しが判明するに至って,映画は先が見えなくなる.そして衝撃のラスト.なかなか良く練られたプロットだった.
224
藤原竜也が最近よく演じているサイコパス系の犯罪者,伊藤英明が見るからに体育会系の刑事,と思われるスタート時点の印象が,物語の進行に伴い変わっていく辺りも面白い.
エンタテインメントとして見応え充分.
★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 通し狂言 源氏物語

日記:2018年7月某日
歌舞伎座で「七月大歌舞伎 夜の部」を見る.Kabukiza_201807_f5_3d82cbba4495ec0b
今井豊茂 作,藤間勘十郎 演出・振付「通し狂言 源氏物語(げんじものがたり) 市川海老蔵宙乗り相勤め申し候」.
出演:光源氏/龍王(市川海老蔵),六条御息所(中村雀右衛門),右大臣(市川右團次),春宮後に朱雀帝(坂東亀蔵),葵の上/明石の上(中村児太郎),光の君/春宮(堀越勸玄),漁師(市村竹松),漁師(大谷廣松),漁師(市川男寅),藤大納言/漁師(中村鷹之資),漁師(中村玉太郎),頭中将(市川九團次),大宮/尼(市川齊入),左大臣(市村家橘),紫式部(市村萬次郎),兵部卿宮(大谷友右衛門),大命婦(中村東蔵),弘徽殿女御(中村魁春),六の君(板東玉朗),源の内侍(市川右若),能楽師出演者(片山九郎右衛門,梅若紀彰,観世喜正),闇の精霊(アンソニー・ロス・コスタンツォ),光の精霊(ザッカリー・ワイルダー).
回り舞台やセリの駆使はもとより,テノールとカウンターテナーのオペラ歌手,怨霊や生き霊・竜王等を演じる能楽師,劇場全体を使ったプロジェクションマッピング等々,従来の歌舞伎以外の要素を動員した絢爛豪華な舞台である.Kabukiza_genji201807
各開幕前の序曲や,アリアの伴奏をした洋楽の演奏も素敵.
海老蔵が竜王として宙乗りをした場面は良かったが,その為に源氏としての登場場面を大幅に削り,竜王の舞を延々と演じた辺りは,ややバランスを欠いた感あり.堀越勸玄の登場場面がドラマとしては最も盛り上がった感じがあるのもちょっとどうかしら.
雀右衛門の六条御息所がさすがの緊張感溢れる演技.終わってみればなかなかの力作で楽しかった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 日本振袖始(にほんふりそではじめ)

日記:2018年7月某日
国立劇場で歌舞伎鑑賞教室「日本振袖始(にほんふりそではじめ) 一幕―八岐大蛇(やまたのおろち)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)―」を見る.H3007kabukikansyokyoshitsuomote
二世藤間勘祖=振付,高根宏浩=美術,野澤松之輔=作曲.-出雲国簸の川川上の場-.主な配役:岩長姫実ハ八岐大蛇(中村時蔵),稲田姫(坂東新悟),素戔嗚尊(中村錦之助).
物語は素戔嗚尊が岩長姫の色香に騙され十握の宝剣を奪われたことや,稲田姫と恋仲になったことなどを事前説明でスルーして,稲田姫が八岐大蛇の生け贄になったところからスタート.
岩長姫が登場して瓶の酒を平らげた挙げ句,稲田姫をひと飲みする前半,本性を現した八岐大蛇と素戔嗚尊の大立ち回りの後半とで構成される.
舞踊劇だが良いテンポで楽しめた.途中の大薩摩も素晴らしく,歌と踊りを堪能した一幕.
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