2019/01/18

独断的映画感想文:アウトレイジ 最終章

日記:2019年1月某日
映画「アウトレイジ 最終章」を見る.1
2017年.監督:北野武.
出演:ビートたけし(大友),西田敏行(西野),大森南朋(市川),ピエール瀧(花田),松重豊(繁田),大杉漣(野村),塩見三省(中田),白竜(李),名高達男(白山),光石研(五味),原田泰造(丸山),池内博之(吉岡),津田寛治(崔),金田時男(張),中村育二(平山),岸部一徳(森島).3
済州島に遊びに来ていた日本のやくざ花菱会の花田は,ホテルに呼んだ女とトラブった挙げ句,地元のやくざの若い者を殺してしまう.日本に逃げ帰った花田は,済州島を仕切っている韓国のやくざ・張に詫びを入れに行くが相手にもされない.
2
花菱会会長の野村は,これを奇貨として張への攻撃を花田に命じる一方,花田のカシラ・西野を処分する様,西田の手下・中田に命じる.中田は野村の指示を受けると見せて西野と通じ,野村への反撃の機会を待つ.
一方済州島で張の庇護下にあった大友は,花田に若い者を殺された復讐に,日本に潜入し花菱会殲滅の機会を窺う….
4
このシリーズの最終章,武闘派やくざ・大友の最後の活躍を描く.北野監督得意のやくざ抗争ものだが,前回作に比べれば緊張度は低く,プロットの構成もいまいち.
老ヤクザ大友の暴力性の魅力は相変わらずだが,相手となる花田や野村が存在が軽すぎて面白くない.以前には暴力性の裏には悲哀が見て取れたが,今回はそういう陰も感じられない.

5
俳優で見応えがあったのは,西田敏行と白竜,金田時男くらいか.
★★★(★5個が満点)
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2019/01/14

独断的映画感想文:レッド・スパロー

日記:2019年1月某日
映画「レッド・スパロー」を見る.1_3
2018年.監督:フランシス・ローレンス.
出演:ジェニファー・ローレンス(ドミニカ・エゴロワ),ジョエル・エドガートン(ネイト・ナッシュ),マティアス・スーナールツ(ワーニャ・エゴロフ),シャーロット・ランプリング(監督官),ジェレミー・アイアンズ(コルチノイ).4_3
ボリショイバレー団のバレリーナ・ドミニカは,『事故』のため重傷を負い,バレリーナの道を絶たれる.国家による生活費と母の治療費を共に失った彼女は,ロシア諜報機関員の叔父・ワーニャの勧めで,女スパイ・スパロ-の訓練を受ける.
やがてドミニカは訓練を終え,CIA捜査官ネイトに接近する様指示される.ネイトと連絡を取っているロシア諜報機関内の大物が誰かを,明らかにすることがミッションだった.2_3
ネイトと接触したドミニカ,二人は互いに惹かれ合うが,一方両者は相手の信頼をもとに敵諜報機関を如何に偽計に乗せるか死力を尽くして渡り合う….
美貌と才能に恵まれたドミニカの,スパイとしての活躍を描く.但しドミニカは只のスパイではない.
自らがスパイを選ばざるを得なかった経過と,母の「相手に全てを委ねてはならない」という忠告に基づき,ドミニカは与えられたミッションの中で独自の活動を積み重ねていく.3_3
観客も最後まで,ドミニカの真意が何処にあるかを見極められないだろう.ジェニファー・ローレンスの美貌と演技も見応えあり,またシャーロット・ランプリング),ジェレミー・アイアンズの両大御所も適役である.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:家へ帰ろう

日記:2019年1月某日
映画「家へ帰ろう」を見る.1_2
2017年.監督:パブロ・ソラルス.
出演:ミゲル・アンヘル・ソラ(アブラハム),アンヘラ・モリーナ(マリア),オルガ・ボラズ(ゴーシャ),ナタリア・ベルベケ(クラウディア),マルティン・ピロヤンスキー(レオナルド),ユリア・ベーアホルト(イングリッド).4_2
アルゼンチンに住む88歳のユダヤ人の仕立屋・アブラハム.引退して家や家財は子供達に分配し,自身は老人ホームに入ることになる.
ところがそのお別れパーティーの夜,アブラハムは密かに家を脱出,ワルシャワで人と会うべく,空路マドリッドに向かう.2_2

アブラハムは大戦中ワルシャワのゲットーに収容された.辛うじて脱出した彼を,父の使用人の息子で兄弟同様に育ったピオトレックが助けてくれた.アブラハムは,自分が最後に作ったスーツを,彼にプレゼントするべく出かけたのだ.
マドリッドに着いた彼は,女主人マリアの安宿に泊まる.ところが旅の疲れで寝込んだ彼は目的の列車に乗り遅れてしまい,マリアと一緒に飲みに出かける.無愛想と思われたマリアだが,実は親身な女性,意気投合して帰ってきたホテルの部屋には泥棒が入り,彼の全財産が盗まれていた….
艱難辛苦に見舞われながらワルシャワを目指すアブラハム,しかもドイツの地は踏まないという固く心に誓った制約がある.6
マリアをはじめ,ドイツ人の文化人類学者,ワルシャワの看護師等,見ず知らずのアブラハムを助ける人々と共にゆったりと進行するロードムービー.
共演者ではマリアの存在感が抜群,特に酒場で披露する歌,アブラハムに打ち明ける過去の夫達のエピソードなど,素晴らしい味付けになっている.
また随所に挿入される,アブラハムの子ども時代の思い出の断章も印象深い.特に映画の冒頭,哀愁に満ちた音楽に乗ってダンスに興じるユダヤ人達の笑顔のシーンは,胸に残る.3_2
映画のラスト,長く辛い人生の決着をこの様な形でつけることが出来たアブラハム,ここまでの旅の経過を思い合わせ,涙を禁じ得ない.味わい深い映画,見て損はなし.
★★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年新橋演舞場 歌舞伎初春大公演-夜の部 鳴神/牡丹花十一代/俊寛

日記:2019年1月某日
「新橋演舞場 歌舞伎初春大公演-夜の部」を見る.Shinbashi_201901_f5_35685a5efa84a10
「一、歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)」.出演:鳴神上人(右團次).雲の絶間姫(児太郎).十一世市川團十郎生誕百十年.「二、牡丹花十一代(なとりぐさはなのじゅういちだい)」.出演:鳶頭(海老蔵),手古舞(堀越麗禾),鳶頭(堀越勸玄),鳶頭(右團次),差配人(男女蔵),芸者(児太郎),鳶の者(男寅),芸者(廣松),鳶の者(九團次),差配人(市蔵),茶屋女房(齊入),世話役(家橘),芸者(孝太郎).近松門左衛門 作.「三、平家女護島-俊寛(しゅんかん)」.出演:俊寛僧都(海老蔵),海女千鳥(児太郎),丹波少将成経(九團次),平判官康頼(男女蔵),瀬尾太郎兼康(市蔵),丹左衛門尉基康(右團次).福地桜痴 作.「四、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)」.出演:小姓弥生後に獅子の精(海老蔵),老女飛鳥井(齊入),家老渋井五左衛門(家橘).
休憩入れて5時間を越える長丁場,役者も客も大変である.
鳴神は,右團次が相変わらず何を言っているか判らない.
牡丹花十一代は成田屋万歳の演目だが,堀越麗禾・勸玄の両子役のかわいさが全て引っさらう,これはこれで大いに見応えあり.
海老蔵の俊寛・鏡獅子は海老蔵大奮闘,こちらも素晴らしかった.児太郎が鳴神・俊寛で好演したのも素敵.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年1月国立劇場「通し狂言 姫路城音菊礎石」

日記:2019年1月某日
歌舞伎「通し狂言 姫路城音菊礎石(ひめじじょうおとにきくそのいしずえ) 五幕九場」を見る.Kokuritu1901010
並木五瓶=作 『袖簿播州廻』より.尾上菊五郎=監修,国立劇場文芸研究会=補綴.出演:尾上菊五郎、中村時蔵、尾上松緑、尾上菊之助、坂東彦三郎、坂東亀蔵、中村梅枝、中村萬太郎、市村竹松、尾上右近、寺嶋和史、寺嶋眞秀、市村橘太郎、片岡亀蔵、河原崎権十郎、市村萬次郎、市川團蔵、坂東楽善 ほか.
播州桃井家のお家騒動を巡る物語.なかなかに筋書は複雑で面白い.Kokuritu1901011
音羽屋の芝居は花があるし,今回は何より寺嶋和史・寺嶋眞秀の子役2名が可愛く,人気をさらっていくところが素敵.
Kokuritu1901012
未だ台詞が入っていなかったり道具立てのタイミングが悪かったり,初日らしいところはあったが楽しい舞台だった.
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独断的映画感想文:シェイプ・オブ・ウォーター

日記:2018年12月某日
映画「シェイプ・オブ・ウォーター」を見る.1
2017年.監督:ギレルモ・デル・トロ.
出演:サリー・ホーキンス(イライザ),マイケル・シャノン(ストリックランド),リチャード・ジェンキンス(ジャイルズ),ダグ・ジョーンズ(不思議な生きもの),マイケル・スタールバーグ(ホフステトラー博士),オクタヴィア・スペンサー(ゼルダ),デヴィッド・ヒューレット(フレミング),ニック・サーシー(ホイト元帥).4
1960年代のアメリカ,幼い時に声帯を傷つけられ言葉を失ったイライザは,政府の研究所で夜勤の掃除婦として働いている.映画館の屋根裏のアパートに住む彼女の話し相手は,同じアパートに住む売れないゲイの挿絵画家・ジャイルズと,同僚の黒人女ゼルダのみ.5
或る日研究所に運び込まれた不思議な生きものは,アマゾンの原住民に神と崇められている半魚人だった.その魅力に惹かれてゆで卵を差し入れてから,イライザはたびたび「彼」と会い,手話でコミュニケーションを試みる様になる.
次第に「彼」に愛情を抱く様になるイライザ,しかし「彼」は担当のストリックランドにより生体解剖に付されることになる.研究所に潜り込んだロシアのスパイとも交錯する中,イライザは独自に「彼」を救出しようと奔走するが….
黒い童話「パンズ・ラビリンス」の印象が未だに鮮やかなこの監督の,同じ色調の映画.
3
冷戦下の軍の意向を受け,残忍に「彼」を管理するストリックランドに対し,イライザをはじめ黒人女性,ゲイの画家,落ちこぼれロシアスパイ等が「彼」の救出に連携する展開は,なかなかスリリング.一方,類型的なロシアスパイの活動描写でのユーモアや,タイミング良く流されるこの時代のアメリカンポップスが心地よい.
そして何より,イライザと「彼」の純粋な交流が素晴らしい.ラストシーンでイライザと共に去って行く「彼」には,涙を禁じ得なかった.
2
俳優ではサリー・ホーキンス,オクタヴィア・スペンサーが共に素晴らしく,またマイケル・シャノンも熱演.映画らしい描写に満ちた監督の演出も味わい深い.
★★★★☆(★5個が満点)
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2018/12/21

番外:独断的歌舞伎感想文 2018年12月大歌舞伎夜の部 阿古屋/あんまと泥棒/二人藤娘

日記:2018年12月某日
歌舞伎座へ.12月大歌舞伎 夜の部を見る.Kabukiza_201812_f6_cc2ea36849d414a8
「一、壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき) 阿古屋」.出演:遊君阿古屋(玉三郎),秩父庄司重忠(彦三郎),榛沢六郎(坂東亀蔵),岩永左衛門(松緑).村上元三 作・演出・石川耕士 演出.「二、あんまと泥棒(あんまとどろぼう)」.出演:泥棒権太郎(松緑),あんま秀の市(中車).「三、二人藤娘(ににんふじむすめ)」.出演:藤の精(梅枝),藤の精(児太郎).
阿古屋は玉三郎絶品の演技と演奏.特に今回は琴を弾きながら歌う歌の美しさが印象的.細い声ながら,かき鳴らす琴に乗せた嫋々とした歌声が,誠に美しい.松緑の岩永,彦三郎の重忠もそれぞれに良く,素晴らしい舞台だった.Img_20181220_161715
あんまと泥棒は中車の独壇場,松緑が人の良い泥棒で,まあ予想通りの結末.
二人藤娘は梅枝・児太郎共に美しく,踊りにうっとり.また長唄囃子連中の演奏も素晴らしかった.
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独断的映画感想文:リトル・フォレスト 冬・春

日記:2018年12月某日
映画「リトル・フォレスト 冬・春」を見る.1
2015年.監督:森淳一.
出演:橋本愛(いち子),三浦貴大(ユウ太),松岡茉優(キッコ),温水洋一(シゲユキ),桐島かれん(福子).
東北のとある山奥の集落・小森に住むいち子.母は5年前に失踪しそれ以来一人で暮らす.
一度街に出たこともあるが,彼氏と別れまた小森に戻ってきた.小森は役場のある街まで自転車の下り道で30分,登りはどれほどかかるのか.
3
いち子は森と沢と田圃に囲まれた一軒家で,野菜を作り山菜を採り田を耕し,採れたものを母に習ったレシピで料理し食べる生活を続けていく.
秋に母から届いた手紙,親友キッコとの小さな口げんか,後輩ユウタからの批判.いち子は自分は他人と向き合わず逃げている,自分にとって家族とは何かと思い悩むが….2
何事にも真面目に取り組み,冷静ないち子の淡々とした日々の暮らしを大自然の中で描く,四季4部作の後半2部.前半2部と同様,美しい自然の中,子どもの時のいち子も含め小森での生活がより立体的に描かれる.
物語の展開は極めてゆっくりだが,日々の描写が充実していて間断するところはない.映画の最後でいち子の出した結論,そしてエピローグへと流れる物語も納得のいくものだった.
4
淡々とした映画だが,時に描かれるユーモアある場面が効果的(キャベツケーキのくだりは爆笑した).宮内優里の音楽・FLOWER FLOWERの主題歌も聞き応えあり.
★★★★(★5個が満点).
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2018/12/13

独断的映画感想文:リトル・フォレスト 夏・秋

日記:2018年12月某日
映画「リトル・フォレスト 夏・秋」を見る.1_2
2014年.監督:森淳一.
出演:橋本愛(いち子),三浦貴大(ユウ太),松岡茉優(キッコ),温水洋一(シゲユキ),桐島かれん(福子).
2_2
いち子は東北の山奥,小森という集落に暮らしている.集落に商店はなく,役場のある町の中心地に商店が幾つかあるが,そこまで自転車の下り道で30分.帰りはどのくらいかかるのか.
田圃と森と沢に囲まれた一軒家に一人暮らすいち子は,半ば自給自足の農業生活を送っている.
3_2
二人で暮らしていた母は5年前に出て行った.いち子も一時都会で男と暮らしたが,破綻して戻ってきた.
今は幼馴染みのキッコやユウタ,キッコのおばあちゃんと付き合いながら,日々を送っている.
映画は移ろう季節を追いながら,季節毎に得られる自然の恵みを料理し,お皿に載せて頂くまでを詳細に描いていく.
4_2
こう書けば今どきの田舎暮らしのテレビ番組の様だが,合鴨を絞めて毛をむしり解体して頂くところまで詳細に描くカメラは,やはり映画.またゆっくりながら物語は少しずつ動いている.
映画はこの巻で夏・秋を連続上映し,冬・春で4部作が完了する.5_2
とにかく映像は美しい.冒頭の大木の梢に静止していたアオサギがふわりと飛び立つシーンだけで,魅了されてしまう.
★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 2018年12月国立劇場「通し狂言 増補双級巴―石川五右衛門」

日記:2018年12月某日
国立劇場で歌舞伎を見る.Dec_flyer4c_final
三世瀬川如皐=作.国立劇場文芸研究会=補綴.国立劇場美術係=美術.「通し狂言 増補双級巴 (ぞうほふたつどもえ) ―石川五右衛門(いしかわごえもん)―四幕九場:中村吉右衛門宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候」.
発端 芥川の場.序幕 壬生村次左衛門内の場.二幕目 第一場 大手並木松原の場/第二場 松並木行列の場.三幕目 第一場 志賀都足利別館奥御殿の場/第二場 同 奥庭の場/第三場 木屋町二階の場.大詰 第一場 五右衛門隠家の場/第二場 藤の森明神捕物の場.
主な配役:石川五右衛門(中村吉右衛門),壬生村の次左衛門(中村歌六),三好修理太夫長慶(中村又五郎),此下藤吉郎久吉後ニ真柴筑前守久吉(尾上菊之助),大名粂川但馬(中村松江),大名田島主水/早野弥藤次(中村歌昇),足柄金蔵/大名白須賀民部(中村種之助),次左衛門娘小冬(中村米吉),大名天野刑部/小鮒の源五郎(中村吉之丞),大名星合兵部/三二五郎兵衛(嵐橘三郎),呉羽中納言氏定/大名六角右京(大谷桂三),足利義輝(中村錦之助),傾城芙蓉/五右衛門女房おたき(中村雀右衛門),義輝御台綾の台(中村東蔵).
前半序幕からは,自らの出自を知った石川五右衛門が大望を抱き,勅使に化けて将軍邸に乗り込み,幼馴染みの此下藤吉郎に見破られ,つづらで宙を飛び脱出するという,なかなか派手な展開.
しかし後半では,その前半は全て夢であったというところからスタートし,話のスケールが一挙に小さくなったという印象は否めない.
結局五右衛門は親子の情愛の絡んだ葛藤の挙げ句,此下藤吉郎に捕縛されるのだが,最後の立ち回りも老優吉右衛門にはいささか酷で,通し狂言ではなく途中で止めておけば良かったのにというのが正直なところ.
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独断的映画感想文:希望のかなた

日記:2018年12月某日
映画「希望のかなた」を見る.1
2017年.監督,製作,脚本:アキ・カウリスマキ.
出演:シェルワン・ハジ(カーリド),サカリ・クオスマネン(ヴィクストロム),シーモン・フセイン・アル=バズーン(マズダック),カイヤ・パカリネン(ヴィクストロムの妻),ニロズ・ハジ(ミリアム),イルッカ・コイヴラ(カラムニウス),ヤンネ・フーティアイネン(ニュルヒネン),ヌップ・コイヴ(ミルヤ),カティ・オウティネン(洋品店の女店主),マリア・ヤンヴェンヘルミ(収容施設の女性).2
映画の冒頭,貨物船の積荷の石炭の山から,小柄な男・カリードが這いだしてくる.カリードは上陸して身だしなみを整えると,警察に出頭し難民申請を行う.
カリードはシリアのアレッポで家を空爆され,妹以外の家族は全員死んだ.妹とトルコに逃れ幾つもの国境を越えてきたが,途中で妹とはぐれてしまう.フィンランドで仕事を見つけ,妹を探したいと言う.
3
カリードは難民宿舎で暮らすが,審査の結果は強制送還だった.カリードは強制送還直前に,難民宿舎の担当者の手引で脱走する.
一方,洋品卸商のヴィクストロムは,酒浸りの妻に愛想を尽かし家を出る.仕事にも行き詰まった彼は,ポーカーの大勝負で得た金を元手に古いレストランを従業員ごと買い,レストランのオーナーとなる.
4
或る日レストランの敷地で野宿していたカリードと出会ったヴィクストロムは,カリードを雇い入れ,偽造の身分証を世話してやる.居場所の見つかったカリードは妹の行方を必死に探すが….
フィンランド社会で苦闘する難民カリードの姿を,役人・警察・極右と一般市民等の対応を対比的に描きながら語っていく.
5
と言ってもカウリスマキ流のユーモアにくるまれ,素敵な仕上がり.客寄せのためにわかスシ店を開店するエピソードが傑作.俳優の演技が素っ気なく,寓話的な雰囲気を醸し出す.トランプの怒号にはこういう雰囲気で応えるのが文明的かも知れない.
昔のスエーデンのバンド:スプートニクスに似た,フィンランド・バンドの音楽も随所に挿入されて楽しい.
★★★★(★5個が満点)
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2018/12/08

番外:独断的歌舞伎感想文 2018年11月国立劇場 通し狂言 名高大岡越前裁 (なもたかしおおおかさばき)

日記:2018年11月某日
国立劇場へ.歌舞伎を見る.Ph_content02_01
河竹黙阿弥=作,国立劇場文芸研究会=補綴,国立劇場美術係=美術.「通し狂言 名高大岡越前裁 (なもたかしおおおかさばき)」.六幕九場.序幕 第一場 紀州平沢村お三住居の場,第二場 紀州加田の浦の場,二幕目 美濃長洞常楽院本堂の場,三幕目 第一場 大岡邸奥の間の場,第二場 同 無常門の場,第三場 小石川水戸家奥殿の場,四幕目 南町奉行屋敷内広書院の場,五幕目 大岡邸奥の間庭先の場,大詰 大岡役宅奥殿の場」.
主な配役:大岡越前守忠相(中村梅玉),大岡妻小沢(中村魁春),法沢後二天一坊(市川右團次),田口千助(中村松江),吉田三五郎(市川男女蔵),下男久助/池田大助(坂東彦三郎),大岡一子忠右衛門(市川右近),お三(中村歌女之丞),僧天忠/久保見杢四郎(嵐橘三郎),土屋六郎右衛門(大谷桂三),伊賀亮女房おさみ(市川齊入),平石治右衛門(坂東秀調),名主甚右衛門(市村家橘),山内伊賀亮(坂東彌十郎),徳川綱條(坂東楽善).
八代将軍吉宗のご落胤を名乗る天一坊と,大岡越前守を巡る虚々実々の闘いを描く.明治8年初演の河竹黙阿弥作品の再演.
梅玉の大岡越前,魁春のその妻,右團次の天一坊他,脇役連中も役者は揃っている.梅玉の大岡越前はニンが合っていて見応えあり.また梅丸が下女お霜,徳川綱條近習・主税の2役で活躍したのもうれしい.
しかしその割には客席は空きが目立って,連休というのに寂しい限り.
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独断的映画感想文:スター・ウォーズ/最後のジェダイ

日記:2018年11月某日
映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を見る.1_4
2017年.監督:ライアン・ジョンソン.
出演:マーク・ハミル(ルーク・スカイウォーカー),キャリー・フィッシャー(レイア・オーガナ),アダム・ドライヴァー(カイロ・レン),デイジー・リドリー(レイ),ジョン・ボイエガ(フィン),オスカー・アイザック(ポー・ダメロン),アンディ・サーキス(最高指導者スノーク),ルピタ・ニョンゴ(マズ・カナタ),ドーナル・グリーソン(ハックス将軍),アンソニー・ダニエル(C3PO),グウェンドリン・クリスティー(キャプテン・ファズマ),ケリー・マリー・トラン(ローズ),ローラ・ダーン(アミリン・ホルドー中将),ヨーナス・スオタモ(チューバッカ),ジミー・ヴィー(R2-D2),ベニチオ・デル・トロ(DJ).
前作で遂にルーク・スカイウォーカーの居場所をき止めたレイ,ところがルークは再びジェダイとして参戦することを拒否する.しかしレイの中にジェダイの素質を見たルークは,レイに3つの教えを授けるのだった.
一方,レイア姫率いるレジスタンスは,ハックス将軍率いる艦隊の急襲を受け辛くも脱出するが,壊滅的な打撃を受ける.冒険主義的な突撃で敵戦艦ドレッドノートを破壊するきっかけを作ったポーは,しかし爆撃部隊壊滅の責任を問われ降格される.2_3
亜空間をジャンプしたレジスタンスの艦隊をハックスの艦隊が追尾してくる.フィンは敵艦隊に潜入し追尾装置の破壊を企むが,その為には敵艦隊に侵入するコード破りの技術が必要だった.フィン達はその技術を持つDJを捜しに惑星カントニカに向かうが….
150分を超える長尺の本作,レイの活動,フィンの活動,ポーとレジスタンス本隊の活動が交錯し,物語は極めて複雑.更にレイがジェダイへの道を歩むのか,カイロ・レン(=ベン・ソロ)が本当にダーク・サイドに落ちることになるのか,この辺りも複雑な展開を遂げる.3_4
本作は単独で見た場合は何がなにやら全く判らないという意味で,筋は判らなくても映画は楽しめたという従来のスターウォースに比べ,評価は低くならざるを得ない.
更にレジスタンスは十数名の残党が残るのみである.統合の象徴たるレイア姫(を演じるキャリー・フィッシャー)は死んだ.第3部では如何なる奇手をもって大団円とするのか,はてさて.
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ボヘミアン・ラプソディ

日記:2018年11月某日
映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見る.1_3
2018年.監督:ブライアン・シンガー.
演:ラミ・マレック(フレディ・マーキュリー),ルーシー・ボーイントン(メアリー・オースティン),グウィリム・リー(ブライアン・メイ),ベン・ハーディ(ロジャー・テイラー),ジョセフ・マッゼロ(ジョン・ディーコン).2_2
ロックグループ・クィーンのリード・ヴォーカル:フレディ・マーキュリーの物語.1973年のデビュー前から1985年のライブエイドでのパフォーマンスまでを描く.
3_3
映画では1985年のライブエイド直前にはクィーンは崩壊,フレディ・マーキュリーは既にAIDSを発症しており,自分の死を意識したフレディがライブエイドのために他のメンバーとの間を修復した様に描かれている.この物語が事実に基づくかどうかは,自分にはよく判らない.また映画では,フレディの出自,家族との関係,性的嗜好,メンバーとの関係はいずれも深く掘り下げられてはいない.4_2
しかしまあそれは実はどうでも良いことだ.この映画はそういうことを深く掘り下げるドラマではなく,クィーン自身による,フレディとクィーンの神話であり伝説であるのだから.
5_2
観客は彼等が如何に独創的にその音楽を作り出し,如何にそれが成功していったかを見るだろう.そしてフレディの光と影,紆余曲折,有為転変の後に,ライブエイドで最高の21分間のパフォーマンスを演じることを見るだろう.その喜びは,何ものにも替え難い.この映画の素晴らしさはここにあり,その点に文句は無し.
★★★★(★5個が満点)
蛇足:映画の終盤,ライブエイドの楽屋にクィーンの面々が入る時,舞台からダイアー・ストレイツが演奏するやはりこのライブの名演「悲しきサルタン」が,バックに流れている.これも懐かしかった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2018年11月吉例顔見世大歌舞伎夜の部 楼門五三桐/文売り/法界坊

日記:2018年11月某日
吉例顔見世大歌舞伎夜の部を見る.Kabukiza_201811_ffl_fa949b590fde523
「一、楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」.出演:石川五右衛門(吉右衛門),右忠太(歌昇),左忠太(種之助),真柴久吉(菊五郎).「二、文売り(ふみうり)」.出演:文売り(雀右衛門).奈河七五三助 作,石川耕士 補綴.「三、隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ) 法界坊:向島大七入口の場,同 座敷の場,向島牛の御前鳥居前の場,同 三囲土手の場,隅田川渡しの場」.浄瑠璃「双面水澤瀉」.〈法界坊〉.出演:聖天町法界坊(猿之助),五百平(巳之助),おくみ(尾上右近),野分姫(種之助),手代要助(隼人),代官牛島大蔵(吉之丞),おらく(門之助),大阪屋源右衛門(團蔵),道具屋甚三(歌六).〈双面水澤瀉〉.出演:法界坊の霊/野分姫の霊(猿之助),おくみ(尾上右近),手代要助実は松若丸(隼人),渡し守おしづ(雀右衛門).Kabukiza201811houkaibou
猿之助初演の法界坊が楽しみだったが,2時間半を超える舞台があっという間だった.
勘三郎の,抱腹絶倒のまま最後まで突っ走る法界坊に比べ,猿之助の持ち味が出た見応えある芝居.
大七座敷の場ではおくみ,要助のしゃべくりも全体の進行も,もう少しテンポ良いほうが望ましかった.ただし,團蔵や右近という配役だとこの方が良いのかも知れない.弘太郎の番頭はいまいち.
最後の場「双面水澤瀉」では,法界坊と野分姫の合体した亡霊が町娘おくみの姿を取って現れるという難しい設定を,美しい女形の姿で見事に演じた.猿之助の素晴らしさに納得.
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独断的映画感想文:日日是好日(にちにちこれこうじつ)

日記:2018年11月某日
映画「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」を見る.1_2
2018年.監督:大森立嗣.
出演:黒木華(典子),樹木希林(武田先生),多部未華子(美智子),原田麻由(田所),川村紗也(早苗),滝沢恵(由美子),山下美月(ひとみ),郡山冬果(郡山冬果),岡本智礼(典子の弟),鶴田真由(雪野),鶴見辰吾(典子の父).
典子は大学2年生,真面目で理屈っぽく不器用.ふとしたことから従兄弟の美智子とお茶を習い始める.4
お茶の師匠の武田先生は近くの大きな家に一人で住む.始めの日から袱紗さばきをみっちり仕込まれ,途惑う二人.お茶は理屈でなく形を身につけることから,と武田先生は言う.
何時しか1年2年と続けていく二人だった….5
美智子が実家に帰って結婚・出産しても一人でお茶を続けていく典子.いつか後輩も出来るが,不器用な先輩であることは変わらない.
しかし静かな茶室に通ううちに茶釜の湯の音と水の音が違うことに気付いたり,掛け軸の意味がふと判ったりする.映画は大きなドラマの展開を描く訳ではなく(登場人物に恋愛やら失恋やらがない訳ではないが),只ひたすら武田先生のお稽古の進展と美智子の心の変化を描いていく.
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四季の移りを描くカメラや,水音,蝉の声,鳥の鳴き声を拾っていく音響が素晴らしい.俳優では亡くなって間もない樹木希林の登場がうれしく,存在感は圧倒的.黒木華はいつも通りの達者な演技.父娘の情愛を演じた鶴見辰吾が良かった.
6
見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:三度目の殺人

日記:2018年11月某日
映画「三度目の殺人」を見る.1
2017年.監督:是枝裕和.
出演:福山雅治(重盛朋章),広瀬すず(山中咲江),満島真之介(川島輝),市川実日子(篠原一葵),松岡依都美(服部亜紀子),蒔田彩珠(重盛結花),井上肇(小野稔亮),橋爪功(重盛彰久),斉藤由貴(山中美津江),吉田鋼太郎(摂津大輔),役所広司(三隅高司).
冒頭,三隈高司の殺人シーン,被害者を後から殴り倒し,殺人後灯油をかけて焼く.
辣腕弁護士・重盛朋章は同期の摂津から頼み込まれ,殺人犯三隈高司の国選弁護を引き受ける.三隈は殺人自体は認めているものの,供述がころころ変わり摂津は弁護方針を立てられないでいた.
重盛の父はかって裁判官だった時三隈の最初の強盗殺人事件を担当しており,その判決によって三隈は30年間服役し,出所して間もない状況だった.
三隈の事件を当時捜査した警察官も三隈の供述がころころ変わったことを指摘し,空っぽの器の様な男だったと語る.
3
このままでは死刑を免れないため,重盛は何とか無期懲役に持ち込むべく調査を重ねるが,三隈と被害者の娘・咲江との間に,意外な接点のあることが判明する….
ミステリーではあるが,謎解きが完了したとは言い難い.様々な可能性が錯綜したまま,有罪判決が出て映画は終わってしまう.
重盛自身は,今回の事件は咲江を守るために行われ,また咲江を守るために三隈は自らに不利な主張を敢えて行ったと考えるが,果たしてそうか.そもそも強盗殺人で30年間服役していた男が何故そのような行動を取るのか.2
映画の中盤では冒頭の殺人シーンが再び挿入されるが,今回は三隈と共に咲江も殺人に参加している.この場面は誰の想像シーンなのか.
役所広司の,掴み所のない三隈の供述演技もうますぎて,三隈自身の人柄も掴めないままだ.むしろ監督は,何も真実が判らないまま死刑判決が平然と出される,日本の裁判制度の現状を描いたのかも知れない.映画としての成功・不成功が今ひとつ明確でない.
★★★(★5個が満点)
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