独断的映画感想文:ワンダフル・ライフ
日記:2004年8月某日
映画「ワンダフル・ライフ」を見る.
いいとこと悪いとこのある映画.
とある施設,そこを訪れるのは死者である.
1週間ここで暮らす彼らは,最初の3日間で面接を受け,各自「自分の一番素晴らしい人生の思い出」を選ぶ.スタッフがそのシーンを映画化し,最後の日その映画を見ながら死者はその思い出だけを抱いてあの世に旅立つ,そういう設定のはなし.
いいとこは出てくる素人の人たちや映画作りのシーンで出てくるスタッフの人たちの演じる,ドキュメンタリー調のところ.
兄の思い出を語るおばあさんが,自分の娘時代を演じる子役に話しかける「私もこんな時があったのね」という言葉にしみじみとしてしまう(俳優じゃないけど実に味のあるおばあさんだ).
悪いとこはこの映画の設定自体.どうしてたった一つの思い出以外は皆消されてしまうのか.素晴らしい思い出がない人は(選べない人は)どうなるのか?
ヒロインのしおり(小田エリカ)がどうもそうらしい.彼女自身死者なのだが彼女の経歴は一切判らない.何故18歳で死んだのか,も.
しおりは面接アシスタントとして,やってきた女子高生(吉野紗弥加)が「東京ディズニーランド」を選んだのをたしなめ,その結果女子高生は子供の時の母との思い出を選び,しおりに後から感謝するのだが,その後しおり本人はひどく落ち込んでしまう.
極悪人でも良い思い出のある人はそれを抱いてあの世に行くのか.あの世に行くためのこの施設はどうしてこんなにみすぼらしいのか(1週間滞在するだけの死者はまだ良いとして,何年もこの施設で暮らしているスタッフは嫌にならないだろうか?).と言う感じで,考え始めるといろいろなところが気になる.
この映画は感動しそうで感動しない,でも不思議な味のある映画.小田エリカがかわいい.監督は「幻の光」の是枝裕和,★★★☆(★5個で満点).
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