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2004/08/16

独断的映画感想文:八月の狂詩曲

日記:2004年8月某日
寝坊して起きたのが9時.映画「八月の狂詩曲」を見る.
黒澤明監督,村瀬幸子,吉岡秀隆,リチャード・ギア.
この映画をどういったらいいのだろう?子役達が口々に原爆の恐ろしさを伝聞で語り合っている場面は見苦しい.これではプロパガンダではないか?
映画はフィクションである.そのフィクションの中で実際に体験したという設定の人ならともかく,伝聞で話している内容にどれだけの真実があるだろう?また映画には実際の被爆者の人たちが出ているようだ.その人達と俳優が入り交じっていて大きな違和感を覚える.
ドキュメンタリーと創作はごっちゃには出来ないだろう.米国スリーマイル島の原子力発電所事故の後,放射性雲の通った後に異常な植物が多く発生した.どのマスコミも(日本のマスコミのことだ)決して取り上げなかったが,黒澤明が「夢」の中でその植物を映像にした.
黒澤の危機感は分かるが,それは違うだろうと思う.映画は映画である.真実を映画の中だけで取り上げれば,それは真実でなくなってしまうのだ.
その点でこの映画は基本的な違和感を抱えたままスタートし,それは最後まで変わらなかった.
しかし最後のシーン,兄の死を知って壊れてしまったばあちゃんが,嵐の中1945年8月9日に戻って夫を迎えに長崎を目指す.それを必死で追う4人の孫達.何の台詞もないこのシーンだけで,この映画は感動をもたらす.その黒澤の力量はやはり素晴らしい.
リチャード・ギアは居ても居なくてもよろしい.脚本はあまりに類型的で(少なくとも前半は)見るに耐えない.小学校の校庭のアメのように曲がったジャングルジムが,俳優が喋る何ものをも越えて衝撃的.★★★(★5個で満点)


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