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2004/08/09

独断的映画感想文:アララトの聖母

日記:2004年8月某日
映画「アララトの聖母」を見る.
デヴィット・アルペイ (ラフィ),アーシニー・カジャン (母アニ),クリストファー・プラマー,シャルル・アズナブール.
1915年に起きたトルコ軍によるアルメニア人の大虐殺を扱った映画.
この事件の映画を撮ろうという監督はその母親がこの事件の生き残り,その映画のモチ-フになるアルメニア人画家アーシル・ゴーキーの研究家のアニもアルメニア人,息子のラフィは父がトルコ公使を暗殺したことを知り,愛し合っている義理の妹シリア(ラフィとは血のつながりはない)はアニが父の自殺の原因だと責め続けている.
その映画でトルコ総督役をするアリはカナダ生まれのトルコ人,彼と同棲しているフィリップはゴーキーの絵を飾る美術館に勤め,その父デイヴィッドはラフィがトルコから帰国したときの入国審査官.
劇中劇で作成されていくその映画の各場面は虐殺の模様を伝えるが、その中にフィクションもあるとアニは言う.虐殺の謎,ゴーキーの絵の謎,シリアの父の自殺の謎,ラフィがトルコで何を見てきたかの謎が,この入り組んだ人の関係の中で語られていくが,映画「アララトの聖母」は前後関係が入り乱れ相当に複雑な構成.
人々に大きな苦しみを与え未だにその影響を拡げている90年前の大虐殺.そのために運命を変えられた人たちが今苦しむ現代の悩み.それらがあるものは癒されあるものは謎のまま残っていく.この映画は相当に象徴的で、明快ではない.
この映画が只の虐殺告発の映画ではなく,大きな歴史の中の人間を扱っていることはよく分かる.しかしこの構成はこれで良かったのか,クリストファー・プラマーの長すぎるラフィの取り調べは結局何だったのか,いくつかの疑問が残る.★★★☆(★5個が満点)
アーシル・ゴーキーは実在の画家,映画のモチーフになった絵はワシントンのナショナル・ギャラリー・オブ・アートにある.画家とその母がこの世に残した唯一の写真を題材にした未完の作品.こっちの絵の方が必見かも知れない.


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