独断的映画感想文:コールドマウンテン
日記:2004年10月某日
映画「コールドマウンテン」を見る.
2003年.アンソニー・ミンゲラ監督(「イングリッシュ・ペイシェント」)
ジュード・ロウ,ニコール・キッドマン,レニ・ゼルウィガー.
南北戦争を巡る純愛ドラマである.
ニコールはジュードと恋に落ちるが,たった一度の口づけをしただけでジュードは出征してしまう.このとき自分の写真を撮っていってジュードに手渡すニコールの乙女心がいい.
寒村コールドマウンテンから若者は出征し,後には「義勇軍」が組織されて村を統制し,最終的には脱走兵の摘発と匿った者の処罰で村を恐怖支配する.
戦況が圧倒的に不利な中で支配と略奪を続けるこのミニナチどもは,一体何を考えているのだろう.とはいえ戦争になると必ずこの手のミニナチが出現するのだ.
ニコールはこの中で父の牧師を失い,義勇軍の頭目に目をつけられながらも一人で生き続けるが,飢えにさらされる.
ジュードは重傷を負って入院した病院で半年前に投函されたニコールの苦境を伝える手紙をようやく手にし,たまらず脱走して故郷に向かう.
途中一夜の宿を貸してくれた戦争未亡人(ナタリー・ポートマン)から,何もしないで隣に寝て欲しいと懇願され,その求めに応じる場面の哀しさ.
一方ニコールの家には村人の世話で身よりのないレニーが同居,レニーが農作業をニコールに教え二人の生活はようやく落ち着いていく.
やがて帰郷するジュードと待ち受ける義勇軍,死と生のクライマックスとなる.感動を呼ぶ結末.
役者が皆落ち着いた静かな演技で好ましい.物語の強烈なアクセントとなるレニーのキャラクターも素敵である.
南北戦争という市民戦争としての内戦が,いかにアメリカを傷つけたかがひしひしと感じられる映画.現にアメリカは戦争をしている.その中でこの戦争を真っ向から否定する映画を撮ってヒットさせられるのは,救いと言えるのだろうか.★★★★(★5個が満点).
僕の劇場の映写機(液晶プロジェクター)がおかしくなり,前半40分ほど白黒で見る羽目になってしまい,頭に来る.それはそうと,ノースカロライナ州コールドマウンテンの自然は美しい.カメラを賞賛したい.
コメント