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2004/11/21

独断的映画感想文:TOMORROW 明日

日記:2004年11月某日
映画「TOMORROW 明日」を見る.
1988年.監督:黒木和雄.南果歩,桃井かおり,佐野史郎,仙道敦子.
原作は井上光晴の「明日・1945年8月8日・長崎」.監督の戦争レクイエム3部作(この後「美しい夏キリシマ」,「父と暮らせば」)の第1作.
被爆1日前の暑く美しい長崎に暮らす人々の姿を描いている.
街で遊ぶ少年少女.ささやかな結婚式を挙げ初夜を迎える娘と男.男は娘に母の形見の指輪を贈る.娘の姉は明け方男児を出産する.
妹は恋する大学生の招集を知る.二人会う夜の草原に聞こえる歌声は,「美しい夏キリシマ」の夜の湖のシーンで流れた不思議な歌声(「波の子守唄」)の様だ.
男の親友は捕虜収容所の通訳として,捕虜の病死を救えなかったことを悔やんでいる.
そして9日の昼前,これらの人々は(名前もまだ無い赤子も含めて)皆原爆の惨禍に消えていくのだ.
この映画はそれに対する哀しみの表明であり鎮魂である.その感情を,見るものは映画と共有する.静かな感動をもたらす映画である.9.11の後の米国の反応を僕が嫌悪する原点は,ここに関わる.★★★★(★5個が満点)


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