独断的映画感想文:宮本武蔵 一乗寺の決闘
日記:2004年12月某日
映画「宮本武蔵-一乗寺の決闘」を見る.
1964年.監督:内田吐夢.
中村錦之助,入江若葉,高倉健,平幹次郎,佐藤慶.
吉川英治の名作の映画化だから兵法論等いろいろ出てくるが,そんなことは(今となっては)どうでも良い,決闘シーンの出来が問題なのだ.
吉岡伝七郎との一瞬の勝負も素晴らしいが,何と言っても一乗寺下り松の決闘シーンが秀逸.
よくこのようなロケ地があったものである.堂々たる下り松の周辺に広がる泥田,彼方まで朝霧の中に浮かぶ木立や丘.決闘シーンの冒頭のこの俯瞰図に圧倒される.
そういえばこの映画では,京都の街並みや,本阿弥光悦の屋敷周辺の作業場の様子等のセットにも感心する.日本映画黄金時代の力量というものだろうか?
その下り松のもとに置かれた吉岡道場の本陣を疾風の様に襲う武蔵,あっという間に7歳の名目人を含め幹部が倒されてしまう.その後野獣のように両刀を掲げて畦道を疾駆し,相手を次々に倒していく武蔵,最後には泥田を這いずりながら戦う両者.
この場面だけモノクロームで撮影された決闘シーンは,忘れることの出来ない迫力だった.
★★★★(★5個が満点)
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