独断的映画感想文:ドッグヴィル
日記:2005年1月某日
映画「ドッグヴィル」を見る.
2003年.監督:ラース・フォン・トリアー.
ニコール・キッドマン.
映画の舞台ドッグヴィルの村の街路や家屋はステージに描かれた線で表され,ステージには必要最小限の大道具小道具しか置いてない.
山間の廃坑の村ドッグヴィルは,ジョージタウンへ出る1本の道しか無く,この閉塞した村にギャングと警察に追われた若い娘グレースが逃げ込んでくるところから物語は始まる.
村の自称作家トムは折しも,村人に精神運動を訴えることで村の停滞を改善しようと企図していた.トムは現れたグレースを皆が助けるべきだと訴える.
グレースは人に優しく聡明で,次第に村人に受け入れられる.村に活気が出て一時は皆に感謝される存在となるグレースだが,警察とギャングに追われるという弱い立場の彼女に,次第に村人の感情は変化していく.
やがて男に陵辱され,その現場を見た女性に男を誘惑していると非難され追いつめられるグレース,最後には鎖につながれてこき使われ,夜は性の慰み者になる.
やがて彼女をギャングに売り渡そうという村人の発案が,映画の最終局面に繋がるのだが….
アメリカ社会の建前と現実,その双方に現れる人間の醜さを描いた寓話だが,楽しい映画ではない.ただし緊張感がみなぎって3時間を長いとは思わせない.ニコール・キッドマンが良く,美しい.
★★★☆(★5個が満点)
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