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2005/01/29

独断的映画感想文:スパルタカス

日記:2005年1月某日
映画「スパルタカス」を見る.
1960年.監督:スタンリー・キューブリック.
カーク・ダグラス,ローレンス・オリヴィエ,ジーン・シモンズ.
キューブリックはこの時32歳の若さである.
3時間を超える史劇の超大作.奴隷という身分の絶望感,自由を求めての戦い等,まだ楽天的で若々しいアメリカが生み出した映画のテーマは鮮明である.
生まれながらの奴隷スパルタカスは,奴隷商に拾われ剣闘士になるが,過酷な扱いに反乱を起こし,反乱軍のリーダーとなる.
映画の中盤は反乱軍の転戦を描くロードムービー風で,その中で観客は父子連れ,老人の夫婦,母子等様々な人物と「顔見知り」になる.追いつめられた最後の決戦で彼らもまた死んでいくのを,観客は見なければならない.
冒頭に近いシーンで奴隷商に拾われたとき,兵士に反抗し鎖に繋がれ死に瀕していたスパルタカスだが,最後のシーンもまたそれと重なり合う映像で終わる.
このような演出はいかにも映画らしく,物語の展開を飽きさせない.
元老員での勢力争いを巡るローレンス・オリヴィエ(名優)等の暗闘も面白いし,ジーン・シモンズとの恋の進展も素敵,原野を埋め尽くすエキストラたちの行進も圧巻.
その映画の楽しさは今になっても色褪せることはない.しかし映画のテーマは現代のアメリカにとっては何と皮肉なものになってしまったか.
★★★★(★5個が満点)


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