独断的映画感想文:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
日記:2005年3月某日
映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を見る.
1984年.監督:セルジオ・レオーネ.
ロバート・デ・ニーロ,ジェームズ・ウッズ,エリザベス・マクガバン,ジェニファー・コネリー,ジョー・ペシ.
堂々たるアメリカの叙事詩,227分を全く長く感じさせない.
ギャング映画というよりは,チンピラ時代から一緒にやってきた仲間たちの友情と裏切りの物語.
1915年頃と1930年頃,1965年頃の3つの時代を子役と大人の俳優のダブルキャストで描く.このうちエリザベス・マクガバンがデ・ニーロに一生愛される女性デボラで,その子供時代がジェニファー・コネリー.二人とも美しい(僕は美人に弱い).
映画の冒頭デ・ニーロは仲間3人をサツに売った男として追われている.
阿片窟に潜み辛くも追っ手から逃れたデ・ニーロは姿を消すが,35年後何ものかから手紙を受け取ってニューヨークに舞い戻る.
彼が裏切った仲間は誰か,彼は何故裏切ったのか,彼を再びニューヨークに呼び出したのは誰か?映画はこの謎を,2つの時代の回想シーンと現在を交錯させる複雑な構成で,解き明かしていく.
この映画で印象的なのは,隅々まで行き届いた映画としての完成度の高さだ.例えば老けメーク.日本映画の老けメークはもう少し何とかならないだろうか?デ・ニーロの老けメークの見事さ,マクガバンが35年ぶりにデ・ニーロと会って,泣きながら舞台メークを落としていく,その下から現れる老けメーク等,実に丁寧である.
それからオープンセットや大道具の見事さ.ブルックリン橋を遠景に入れた煉瓦作りの建物群や,延々と並ぶクラシックカーの群れに圧倒される.
そしてエンニオ・モリコーネの素晴らしい音楽と,劇中に使用される「アマポーラ」「サマー・タイム」等の構成の見事さ.映画を楽しむとはこういうことかと,満足すること請け合いです.
ボーナスで入っているドキュメントも興味深い.
この映画の脚本作りは12年間かかったこと,その精緻に組み上げられた構成を最初の公開時に会社は時代順に編集し直してしまったこと(馬鹿である),デ・ニーロの出所シーンで雨が欲しかった監督が「アクション」と叫んだら本当に雨が降ってきたこと,監督の頭の中には現場が既にできあがっていて,セットが出来る前にセットを横切る間しゃべっているには後10語台詞が必要と注文し,その通りだったこと等,面白い話が一杯.
ずっと見たかった映画がこんなに素晴らしい映画で,本当に良かった.
最後のシーンは何故か阿片窟,阿片を吸って眠りに落ちたデ・ニーロは夢を見たのだろうか微笑んでいる.この長い映画は「一炊の夢」だったのかも知れないと,監督は言っているのか?
★★★★☆(★5個が満点)
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