独断的映画感想文:アイデン&ティティ
日記:2005年4月某日
映画「アイデン&ティティ」を見る.
2003年.監督:田口トモロヲ,脚本:宮藤官九郎,原作:三浦じゅん,音楽:遠藤憲司.
峯田和信,麻生久美子,中村獅童.
ロックバンド,高円寺,ボブ・ディランというのがこの映画のキーワードである.どうして見ないでいられようか?
バンドブームで躍り出たスピード・ウェイの4人組,だがブームはあっという間に去り,作詞作曲を担当する中島は,商業主義との狭間で苦闘する日々.付き合って4年目の恋人がいる一方でブームの時からグルーピーと寝る癖もつき,自己嫌悪にも陥る.
そんな彼の前にある夜ボブ・ディランが現れた(唐突なようですが,これはロックのおとぎ話,これでいいのだ).ブルース・ハープでしかコミュニケーションしないボブだが,その言っていることは中島には逐一分かる.
ロックとは,本当にやりたいこととは,そして自分とは?
ボブはその問いから逃げるなと言い続けているらしい.
しかしバンドの活動範囲は狭まり,公開生番組出演の依頼は,懐メロ扱いだった.このチャンスに中島はある決意をする….
どなたもそうでしょうが,不肖小生も人生のある時期にはロック魂こそがすべてだと思っていました.シンプルな縦乗りロックからバラードを経て本当の歌の追求(ただしそれは軟弱なものというわけではない)へと経過していく中島の唄作りもいちいち納得がいく.そしてそれが社会になかなか受け入れられないことも.
事務所をクビになりそれでもライブを重ねていく彼らの戦いに胸が熱くなる.
ライブ中の長いMCシーンに過去の映像が挿入されるあたりの整理が悪く混乱したりするが,それでも映画の魅力で最後まで一気に見る.
エンドタイトルでかかるボブ・ディランの名作を聴いたとき,思わず快哉を叫んでしまった.
★★★☆(★5個が満点)
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