独断的映画感想文:NARC ナーク
日記:2005年4月某日
映画「NARC ナーク」を見る.
2002年.監督:ジョー・カーナハン.
ジェイソン・パトリック,レイ・リオッタ.
麻薬潜入捜査官テリスは,犯人追跡中の銃撃戦で市民を巻き添えにし停職中.復職の条件に同じ潜入捜査官で射殺されたカルベスの捜査を命じられる.
カルベスの同僚で死体発見者のオーク警部補と組んで捜査を始めるテリス,捜査は幾度も壁に突き当たり,わずかな手がかりを拾っては進んでいく毎日だった.苦闘の末カルベスの射殺現場にいた売人2人をようやく捕らえた時,驚くべき真相が姿を現す….
蒼い色調の暗い画面で描く,緊張感ある展開が良い.
そして何と言っても主演の2人の迫真の演技が素晴らしい.
張り込み中の車の中で,テリスに自分の過去をオークが語る.殺人課を志望したのに風俗課に回され,胃潰瘍になるほど苦しんだ日々.その彼が帰宅すると膝枕で慰めてくれた妻,その愛撫の心地よさ.妻が病死した後殺人課に回され,吹っ切れたデカになったと語るオーク.
その言葉通りオークの捜査は荒っぽい.何故彼はこの件をこれほど執念を持って荒々しく捜査するのか.
テリスも捜査にかける執念は激しく,妻は彼を愛するが故にその執念で自分の命を粗末にする彼の元を離れていく.
そして最終局面,黒澤の「羅生門」のように矛盾し入り乱れる供述の中に最後に現れる真実は何か.息をもつかせぬ展開と非情な幕切れに圧倒される.
それにしてもアメリカの刑事とはかくも痛々しいものか.一見の価値あり.
★★★★☆(★5個が満点)
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