独断的映画感想文:タカダワタル的
日記:2005年5月某日
映画「タカダワタル的」を見る.
2003年.監督:タナダユキ.
高田渡,柄本明.
映画は1970年中津川フォークジャンボリーでの若々しい高田渡から始まり,2003年の下北沢スズナリ劇場,京都拾得,大阪春一番コンサートでのライブ,吉祥寺での彼の生活を紹介していくドキュメントである.
この映画は柄本明が高田渡にはまって企画したものらしいが,柄本明は時々画面に出てきて頭をかくだけ,映画の最後で「高田渡のように芝居しようって思ったってできないもんね」と笑う.
結局この言葉通りなのであって,映画は曰く言い難い,説明しちゃうと嘘っぽくなってしまう,高田渡の希有な人柄と音楽をただ画面に映して行くのみ.
ライブの雰囲気が良く伝わり,大阪・京都・東京のそれぞれのライブがその土地の状況をそのまま反映しているのも面白い.その中をひょうひょうと歌い歩く酒仙フォークシンガー.思い詰めた世の中にこんな時空間があったんだということをしみじみと感じさせる.
スズナリ劇場での「ブラザー軒」,この唄は亡き父と妹の幽霊が,七夕の夜ブラザー軒で氷水を飲んでいるところに行き会うという唄.歌っている高田渡が泣いている.涙は流していないが白いヒゲの間から鼻水が光っている.淡々とした良い曲で,こちらもじんと来てしまう.
★★★★(★5個で満点)
p.s.追悼上映中の吉祥寺バウスシアターのP.A.装置は,映画館とは思えない程すばらしい.その装置で聴くライブの音は一段とすてきだった.
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