独断的映画感想文:弱虫(チンピラ)
日記:2005年5月某日
映画「弱虫(チンピラ)」を見る.
2000年.監督:望月六郎.
北村一輝,星遥子,田口トモロヲ,長門浩之,宮前希依,ガダルカナル・タカ.
やくざ映画だが出てくる人に悪い人(やくざだから良い人なわけはないが,邪悪でないという意味)がいない,不思議な映画.
チンピラの修はジゴロのような仕事をしている.
修はやくざの女と愛し合いその女のために人を刺し,女は修のために指を噛み切った.女は今キャバレーに勤め修と同棲しているが,必要があれば客と寝ている.修も必要に応じ女と寝て金を稼いでいる.
修は極めて優しいやくざで,女とのもめ事を裁いてくれた船水に付き従っている.船水もインテリ系のエキセントリックなやくざで,親分のめちゃくちゃな女あさりを冷たく突き放す一方で親分との情を切れない面もある.
船水の同輩浅岡は権力欲のある馬鹿で(無論ガダルカナル・タカ),浅はかに他の組と通じてはマッチポンプに精を出す.
ある日親分の情婦景子を修が匿ったことから物語は動き始める.
景子は親分を嫌って修に接触してくる.親分はそんな景子をシャブ漬けにして自分のものにしようとする.たびたび携帯に連絡してくる景子を無視している修,しかしある日親分がたたない(すみませんね,直截的表現で)自分の代わりに,修に景子を抱くよう命じる.
シャブ漬けで魂の抜け殻になった景子,しかし彼に抱かれて景子は一回だけ「修」と呼びかける.この人形のような景子を修が抱くシーンは印象的.
組同士の抗争に体を張って立ち向かった修・船水だが,結局景子に恋した修は同棲相手も船水も棄て景子と旅立つ.
男と女,やくざの人間関係(と言ってもほとんど親子関係と思った方が良い)の哀しさを描き,情感溢れる望月六郎の世界.田口トモロヲがあり得ないやくざを演じ存在感あり.
★★★☆(★5個が満点)
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