独断的映画感想文:ミリオンダラー・ベイビー
日記:2005年5月某日
映画「ミリオンダラー・ベイビー」を見る.
歌舞伎町に着いて延々長蛇の列にびっくり,なんとこれは「機動戦士ガンダム」の列であった.しかし「ミリオンダラー・ベイビー」も館内は満席.
2004年.監督:クリント・イーストウッド.
名トレーナーだが選手に恵まれないフランキーのもとへ,既に30を超えた女性ボクサー志願のマギーが押しかけてくる.最初断っていたフランキーだがついに引き受けることに.
1年後マギーはデビューするや,連勝街道をばく進,ついにタイトル戦に挑むことになる.しかしチャンピオンは名うてのダーティ・ファイターだった….
この映画の二重構造にはびっくりさせられる.
その一つは公式戦のリンクのエキサイトするまばゆいほど光り輝く画面と,もう一つは,主人公たちが心の内を開くときのレンブラントの絵のような,闇の中に淡く照らされる画面.
一つはアメリカンドリームに向かってまっしぐらに進んでいくリズム感あふれる画面,もう一つはそれが達成された瞬間に始まるもう一つの思いもかけない物語の静謐な画面.
一つはフランキーの過去の実の娘との葛藤の暗示と,もう一つはマギーとの疑似父娘関係の物語.
当初の予想と違って,この映画は人間の尊厳と生と死に立ち向かう勇気についての映画だった.
クリント・イーストウッド,ヒラリー・スワンク,モーガン・フリーマンの3人がいずれも良い.ヒラリーの鍛え抜かれた動きと肉体の見事さ,一方後半の表情だけの難しい演技のできもすばらしい.
マギーのガウンに刺繍されていた「モ・クシュラ」はアイルランド語で,至る所で彼女は「モ・クシュラ」と歓声を浴びることになる.この言葉の意味が最後に明かされ,彼女が微笑んで納得するシーンは印象的.
音楽は今回も監督自身,これもすばらしい.
★★★★☆(★5個が満点)
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