独断的映画感想文:ミラーズ・クロッシング
日記:2005年5月某日
映画「ミラーズ・クロッシング」を見る.
1990年.監督:ジョエル・コーエン.
ガブリエル・バーン,マーシャ・ゲイ・ハーデン,アルバート・フィニー.
主人公トムは寡黙なインテリギャング.元来はアイルランド系のボス・レオの懐刀だが,ボスの女ヴァーナと出来てしまい対立するギャング・キャスパー傘下に入るかという状況.
ヴァーナの弟バーニーは両ギャングの対立の原因だし,バーニーとキャスパーの片腕デインは共通の男の愛人ミンクを抱えている間柄だし,その間を口先一つで泳ぎ回っていくトム.
嘘がばれ絶体絶命になること一度ならずというのに,そのたびに奇跡的な状況が現れる.コーエン兄弟の映画らしく,思いもかけない偶然の出来事がドラマを展開していく.最終的なハッピーエンドを誰が予測できるだろうか?
それにしてもトムのハードボイルドぶりが,この映画の魅力である.
トムの抱える状況は難しい.レオとは親友だがその情婦ヴァーナと出来てしまった.ヴァーナの弟バーニーは両組のもめ事の種,レオとの友情,その中でそのどれにもひっつかない独自の立場に固執するトム.更にばくちの勘も冴えず,ノミ屋に借金の山をこしらえる.
おかげでトムはやたら襲われる.
自分の家のドアを出た瞬間待ち伏せされたり,街で襲われたり,人を襲おうとしてあっさり逆襲されたり.トムは腕っ節はそれほどでもないからいずれもこてんぱんの目に遭わされるが,やられた後のトムの陰謀は冴え渡る.
(それに比べてレオの強いこと!襲ってきたマシンガン武装の4人組を拳銃1丁で返り討ちにしてしまうし,トムを叩き出すときの腕まくりしたパンチの迫力!)
しかしトムが命がけで守るその行動の原理とは,何なのか?この映画でたびたび強調される「帽子」が,何かを象徴しているようだ.
ガブリエル・バーンの渋い演技にはまってしまった.彼を見るだけでこの映画を見る価値あり.コーエン映画らしいとぼけたユーモアの映像が,随所に挿まれるのも魅力.
★★★☆(★5個で満点)
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