独断的映画感想文:ザ・エージェント
日記:2005年6月某日
映画「ザ・エージェント」を見る.
1996年.監督:キャメロン・クロウ.
トム・クルーズ,キューバ・グッディング・Jr,レニ・ゼルウィガー.
プロスポーツ選手のエージェントとして大企業SMIに勤める腕利きのジェリー・マグワイア.しかし選手の年棒をつりあげる一方で選手を馬車馬のように働かせるやり方に疑問を持ち,ある夜インスピレーションのままに「もっと良心的なやり方」を提案した文書を配る.
翌朝それを読んだ社員は拍手で彼を迎えるが,後輩のエージェントが彼にクビを宣告,彼は独立を強いられる.
「僕についてくるものは?」と叫ぶがついてきたのはレニ・ゼルウィガーと金魚1匹のみ.抱えていたクライアントはすべてSMIに奪われ,婚約者には慰めてほしいと言うと拒否され,分かれようと宣告すると殴り倒される.
彼に残されたのは,わがままで扱い辛いフットボーラー・ロッドのみ.彼がけがでもしたら万事休すである.というどん底から彼はいかに這い上がるのか….
この映画は要領よくすごいテンポで進んでいくが,前半は彼が打ちのめされていく過程なので見るのは辛い.しかし途中から待てよと思う.
この映画は魅力的な恋愛映画であり,また一人の人間がいかに奪うだけの人間から与える人間に成長するのかを描く映画でもあるのだ.
この映画のトム・クルーズが魅力的なのは,打ちのめされた上に更に奪うだけの人間と自覚し苦悩する過程を,きちんと演じているからだ.また,レニ・ゼルウィガーが魅力的なのは,トムとの対比で与える母性の人間としてのドロシーを(そしてそれに悩む姿を),きちんと演じているからだ.
あの困ったような、今にも泣き出しそうな顔を見ていると,それが感じられる.
ドロシーの息子レニーがとんでもなく魅力的.こまっしゃくれた子供なのだが,それが演技と思えないところが可愛い.邦題のイメージとは違った佳作であった.
★★★★(★5個が満点)
人気blogランキングへ
コメント