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2005年7月に作成された記事

2005/07/31

独断的映画感想文:大いなる西部

日記:2005年7月某日
映画「大いなる西部」を見る.
1958年.監督:ウイリアム・ワイラー.音楽:ジェローム・モロス.
グレゴリー・ペック,チャールトン・ヘストン,ジーン・シモンズ,バール・アイブズ,チャック・コナーズ.
MGMのライオンが吠えた後突然始まるあの名曲,画面は疾走する6頭立ての駅馬車,この時点でぐいぐいと映画に引き込まれる.
この映画は音楽だけは40年前からファンだった.聞くだけで血湧き肉躍るすばらしいテーマ.ようやく見た映画の方は,166分の長尺ものだったが大満足.
カメラが引くと広大な大平原を駅馬車は走り抜け,わずか数戸の建物からなる宿場町に入っていく.ここから物語はスタートするのだ.
駅馬車から降り立つのは,西部には場違いな山高帽をかぶった紳士,実は東部出身の船乗りなのだが,遊学中の牧場主の娘に見初められ,婚約して今娘の住む西部の片田舎に着いたのだ.
ここでは放牧牛の水源を巡って牧場主が争いを繰り返し,婚約者の父は成功した牧場主だが,水争いの相手には力こそ正義で臨む男.その牧童頭は娘に執心し,東部男への反感を隠さない.
水源地の牧場を所有する,娘の親友は孤高の女性,彼女は祖父の遺訓を守って両者への水供給を認めているのだが….
血なまぐさい争いの渦中に現れた余所者の東部男が,この事態にどう立ち向かうのか?筋書きとしては大体予想通りなのだが,ワイラーのひと味違った西部劇はこうなのかと,目を見張ること多し.
力こそすべての西部で,丸腰のまま相手に立ち向かう東部男,彼がいかに苦境を打開するかは映画の中心なのだが,一方,力こそすべてを実践する西部の男たちにも決して冷たい目を向けているわけではないのが,この映画のもう一つの印象的なところである.
西部は広いだろうと自慢し,東部男に海の方が広いと言われてむっとする老人.乱暴狼藉を繰り返しながらいざ決闘となると卑怯未練の振る舞いに及んでしまう息子,その息子を撃ち殺してしまう父親の牧場主(この両方の俳優がよろしい).こういった西部の男たちへの監督の視線が,共感できる.
ジーン・シモンズ良いですね(この2年後の「スパルタカス」も良かったけれど),最初の登場シーンからあまりに美しく,結末が簡単に予測できちゃう.
若きチャールトン・ヘストンも新鮮(と言っても彼は2年前に「十戒」,翌年が「ベン・ハー」という既に大スター).
この映画は,主題曲に示されるとおりの,肯定的で楽観的な映画なのだ.悲劇を克服し前途には夢がある.この無条件の楽観主義が楽しい.ハリウッド黄金時代の傑作.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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2005/07/26

独断的映画感想文:ウエスタン

日記:2005年7月某日
映画「ウエスタン」を見る.
1968年.監督:セルジオ・レオーネ.音楽:エンニオ・モリコーネ.
ヘンリー・フォンダ,クラウディア・カルディナーレ,ジェイソン・ロバーズ,チャールズ・ブロンソン.
公開版は142分なのにこのDVDはなんと165分.しかしその長さをあまり感じない.
大陸横断鉄道の建設が進む西部,鉄道王モートンの用心棒フランクが幅をきかす.
その鉄道の駅で列車を待ち受ける3人のコートの男,降りてきたのはハモニカの名手.一瞬の決闘で3人は命を落とす.
3人の子持ちの男が新婦を待ち受ける朝,コートの男たちがやってきて一家は皆殺しにされる.ニューオーリンズから嫁いできたジルは,新郎の死を知る.夫は何故殺されたのか,その謎を探るジル,やがて彼女は夫が鉄道の建設に関わって大きな計画を持っていたことを知る.
彼女が引き継いだその計画に絡んでジルに接近するフランク.そのフランクの周辺につきまとうハモニカ,ハモニカと不思議な友情で結ばれているお尋ね者シャイアン.彼ら登場人物の結びつきは何か.
物語は大河の様にゆっくりと展開していく.この映画はセルジオ・レオーネの西部劇への挽歌の様にも思える.
大陸横断鉄道が建設され,もうすぐ太平洋に届こうとするこの時代,西部開拓は終わりを告げようとしている.その中で展開されるこの物語は,西部劇そのものへの別れの挨拶の様だ.
どこまでも青い晴れ渡った空の下,立ちつくす男たち.ほとんど台詞のないまま画面いっぱいにクローズアップされるその日に焼けた顔.様式美さえ感じさせる決闘シーン.
筋書きとしては寓話の様な荒唐無稽なところもあるが,それを感じさせない西部劇への圧倒的な情熱.この映画は監督のそういう意志によって作られたのだろう.
ヘンリー・フォンダ,チャールズ・ブロンソンが圧巻.
★★★★(★5個が満点)
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2005/07/22

独断的映画感想文:タクシー・ドライバー

日記:2005年7月某日
映画「タクシー・ドライバー」を見る.
1976年.監督:マーティン・スコセッシ.
ロバート・デ・ニーロ,シビル・シェパード,ジョディ・フォスター,ハーヴェイ・カイテル.
カンヌのパルム・ドールを取った名作.
ベトナム帰還兵のトラヴィスは不眠症,夜勤のタクシー・ドライバーになってN.Y.を流すが,眼にはいるのは街角に立つ娼婦や薬の売人達.
乱れた世の中にいらだちをつのらすトラヴィスだが,ある日大統領選候補者の事務所で働くベッツィに恋をする.
せっかく口説き落としてデートに持ち込んだものの,彼女をポルノ映画館に連れ込んだため振られてしまう.トラヴィスはあきらめきれず,選挙事務所まで出かけて彼女につきまとうが追い払われてしまう始末.
そんなある日,彼のタクシーに飛び込んできて結局ポン引きに引きずり出されていった若い娼婦の姿が,彼の目に焼き付く.その後も幾度か眼にするその若すぎる娼婦.トラヴィスは何事かをなそうと準備を始めるのだった….
命がけで戦って帰ってきた母国は,何故か自分を受け入れない.自分を支えるのは戦闘で身につけた銃の扱いだけ.なまった体を鍛え上げ,銃の訓練に明け暮れる彼は,自分に忍び寄っている狂気に気がついているだろうか?
70年代の青春の狂気というものは他人事ではない.僕があの時代を切り抜けたのは,幾多の幸運と周囲の友人達とのつながりがあってこそだったろう.
そのことをしみじみと思い起こさせる印象深い作品.
デ・ニーロのトラヴィス像は傑出している.彼は2年後に名作「ディア・ハンター」でアカデミー主演男優賞にノミネートされているが,この作品の硬直したトラヴィス像はまた別の魅力を放っている.
若き(!)ジョディ・フォスター,ハーヴェイ・カイテルも素晴らしい.
夜のN.Y.を流すデ・ニーロのイエロー・キャブのバックに流れるバーナード・ハーマンの音楽も,一世を風靡したもの.
★★★★(★5個が満点)
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2005/07/17

独断的映画感想文:スパイダーマン2

日記:2005年7月某日
映画「スパイダーマン2」を見る.
2004年.監督:サム・ライミ.
トビー・マグワイア,キルステン・ダンスト,ジェームズ・フランコ,アルフレッド・モリナ.
親友ハリーの会社の天才研究員オクタヴィアスは,核融合炉を開発し,その操作のための電子頭脳付き人工アームを装着するが,核融合炉の事故のためその機能が損傷し,逆にアームに支配されるマッドサイエンティストになってしまう.
一方ピーターは相変わらず無報酬のスパイダーマンをバイトをしながら続けているが,学生としての勉強はおろそかになり,ハリーは父(前回の悪役グリーン・ゴブリンに変身していた)の仇と信ずるスパイダーマンへの復讐を誓い,MJ(メリー・ジェーン)は舞台女優として成功してピーターとは距離が広がるばかり.
悪者から狙われる身としてMJに公然と求愛する危険も犯せず,人間関係に悩み抜くピーターは,やがてスパイダーマンとしての能力にさえ翳りが見え始め,遂にスパイダーマン廃業を決意する….
この「スパイダーマン2」は,アメコミ・ヒーローもののもっとも美しい精神を描いて快調である.
スパイダーマンが最後に敵,マッドサイエンティストを倒すのも,危機にあるスパイダーマンが救われるのも,決して彼の特殊能力のためではなく,彼の行動が人類普遍の正義・勇気・献身的精神という原理に支えられているからなのだ.
しかしその原理が今時流行の「アメリカこそ正義,力こそすべて」という主張とは結びつかないのは,トビー・マグワイアという極めて平凡な風貌の気の弱そうな俳優が主人公を演じていればこそなのだろう.
スパイダーマンがビルの谷間を飛翔していく特撮も,開放感にあふれ気持ちが引き立てられるよう.
しかしシリーズ化していくんだろうけど,なんだか悪役ばっかり増えそうだなー.スパイダーマンの味方って無名の大衆以外には居ないのだろうか?
★★★★(★5個が満点)
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2005/07/14

独断的映画感想文:レザボア・ドッグス

日記:2005年7月某日
映画「レザボア・ドッグス」を見る.
1991年.監督:クエンティン・タランティーノ.
ハーヴェイ・カイテル,ティム・ロス,マイケル・マドセン,クリストファー・ペン,スティーヴ・ブシェミ.
ギャング映画だがギャングシーンはない.8人(だったかしら?)のギャング以外は,警官か通行人しか出てこない.女は冒頭のシーンで後ろにいるウエイトレスのばあさんと,車を奪われまいと拳銃を振り回すばあさんくらいしか出てこない.
映画は終始,ギャング達の口汚い会話で構成されている.
冒頭のシーン,ギャング達が朝食を摂りながらしょうもない会話を続けている.やがて朝食を終えて出て行く一同.
ところが次の画面では疾走する車の中,腹を撃たれたオレンジと運転するホワイト.彼らが逃げ込んだ倉庫に,仲間が一人一人帰ってくる.彼らは警官の待ち伏せを食らったらしい.仲間の中にイヌがいる.それは誰か.
ドラマはこの謎と奪った宝石の行方を巡ってギャング達の交わす会話を追い,ある時は自在に過去に飛び,次第に物語の全貌を明らかにしていく.
その物語は観客を捉えて離さない.最後10分間の驚くべき展開は衝撃的であり哀切である.
天才監督の忘れ難いデビュー作.ハーヴェイ・カイテルとティム・ロスが良い.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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2005/07/11

番外:独断的歌舞伎感想文:十二夜

日記:2005年7月某日
歌舞伎「十二夜」を見る.
演出蜷川幸雄.
尾上菊五郎,尾上菊之助,尾上松禄,市川左團次,中村時蔵,市川亀治郎.
嵐のために遭難した双子の兄(セバスチャン)と妹(ヴァイオラ),妹は兄が死んだと思い男に姿を変え,シザーリオと名乗ってオーシーノ公爵の小姓となる.
公爵はオリヴィア姫に恋し,その恋の使いにシザーリオをたてるが姫はこのシザーリオに恋してしまう.これに姫の召使いや伯父,道化のフェステ,姫に恋する執事のマルヴォーリオ,姫に執心するアンドルーが登場しての大騒ぎ,最後にセバスチャンが現れて話は一気に大団円へ.
このシェークスピアの原作を歌舞伎に翻案しての4時間半は,ちょっと長すぎて難行苦行だが,面白い芝居.
冒頭の公爵邸でのハープシコード伴奏での賛美歌の合唱から始まる舞台は,ハーフミラーを多用した斬新なもの(1階席の客が映って見える).
回り舞台等を多用したテンポの良い展開,また俳優では菊之助が美しく,天才バカボンとしか思えないノータリンのアンドルー(安藤英竹)役の尾上松禄は衝撃的.
腰元まあ役の市川亀治郎はダイナミックな動きで怪演(マルヴォーリオを袋だたきにする場面,手に持った竿竹に素振りをくれるときの,野球選手の様な身のこなしが良い).
終わってみれば楽しい恋の馬鹿騒ぎだった.
★★★★(★5個が満点)
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2005/07/10

独断的映画感想文:血と骨

日記:2005年7月某日
映画「血と骨」を見る.
2004年.監督:崔洋一.
ビートたけし,鈴木京香,新井浩文,田畑智子,オダギリジョー,中村優子,北村一輝.
1923年に済州島から日本に来た金俊平は,強靱な肉体とためらうことのない凶暴さを持つ男.
連れ子のいる李英姫と結婚,終戦後はかまぼこ工場を開いて成功するが,その飽くなき金への執着と,家族親戚にも容赦なくふるう暴力のため,様々な悲劇が繰り広げられる.
映画は骨太な骨格と丁寧な作りで満足度高し.
冒頭の大阪港外の「君が代丸」船上の光景は,「船の上のピアニスト」や「ゴッド・ファーザー・パートⅡ」の最初のシーンを思い起こさせる.
終戦直後から1970年頃までの大阪市街の光景の変化,生活状況の変遷も丁寧な描写である(大成通りのオープンセットの経年変化が見事).
鈴木京香(日本アカデミー賞主演女優賞)の演技は老けメークを含めて素晴らしい.俳優では他にオダギリジョー(同助演男優賞)と中村優子が良かった.
金俊平の娘花子(田畑智子)への複雑な感情と,妾清子(中村優子)への愛情が,この映画の中では情感のある物語となっている.一人の怪物を通して見る戦後の日本史,家族史が重厚に描かれ印象深い.
★★★★(★5個で満点)
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2005/07/08

独断的映画感想文:スパイダーマン

日記:2005年7月某日
映画「スパイダーマン」を見る.
2002年.監督:サム・ライミ.
トビー・マグワイア,ウイレム・デフォー,キルステン・デンスト.
科学に強いが気が弱く,カメラの腕はよいが腕力はからきしのピーター,両親はなくなり6歳の時から伯父夫婦に育てられている.
隣家の幼なじみのMJ(メリー・ジェーン)を好きだが,つき合うこともできない.
そんな彼が,見学に訪れた博物館で,遺伝子操作されたスーパー蜘蛛に咬まれ,スパイダーマンに変身する(しかしこんなことで変身できるのなら,スパイダーマンはやたらいるかもしれないね).一方親友ハリーの父ノーマンは,兵器会社の重役,自らを人体実験した人間強化操作のため,悪役グリーン・ゴブリンに変身する.
このスパイダーマン,正義のヒーローとして大活躍するのだが,経済的には無報酬の上暇が無くて正業に就けず,おまけにゴブリンとのカップリングで悪役との噂まで流される始末.MJはハリーに取られそうだし,さあどうなるのか?
いろいろ仕掛けのある環境から,正義のヒーローはいかに生まれるのかという,シリーズもの狙い見え見えの第1作だが,しかし等身大のヒーローの苦悩と活躍に共感できる.荒唐無稽のアメコミものという偏見を覆す面白さだった.
「サイダーハウス・ルール」のトビー・マグワイアの不思議な印象が良い.ヒロインMJの女優はもう少し魅力的にならないのかしら,彼女も発展途上と見るべきなのか?ウイレム・デフォーは二重人格を自在の演技で怪演.
★★★☆(★5個が満点)
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2005/07/03

独断的映画感想文:オールド・ボーイ

日記:2005年7月某日
映画「オールド・ボーイ」を見る.
2003年.韓国.監督:パク・チャヌク.チェ・ミンシク,ユ・ジテ,カン・ヘジョン.
2004年カンヌ国際グランプリ.原作は日本の劇画(土屋ガロン作).
妻と娘を持つ普通のサラリーマン,オ・デスは,ある日誘拐され監禁された上,妻殺しの疑いをかけられる.
そのまま15年が経過,ある日突然解放される.
オ・デスはミドという少女と知り合い,彼女の助けを借りて自分を監禁した犯人の捜索と復讐に乗り出す.遂に犯人と見られる男と対決するが,彼(ウジン)は「7月5日」までに「何故か」を探り出すようにとオ・デスに挑戦する.
ウジンにより周到に張り巡らされた仕掛けの中,身体を張って謎に挑むオ・デス,いつしかミドとの間に生まれる愛.しかし真の復讐は思いもかけない形で現れる….
カンヌを制しただけのことはある重厚な映画,謎や伏線の張り方が二重三重である.
一方で荒唐無稽さやユーモアもちりばめられ(15年間食べ続けた餃子の出前の味で遂に監禁場所を突き止めることや,15年間の監禁生活中にボクシング訓練に励みむちゃくちゃに強くなってしまったことや…),更にミド役のカン・へジョンが薄幸の少女を演じて印象的.
画像的には,廊下一杯の敵をたった一人金槌1本で叩きのめす長回しのショットが良い(その直後現れたエレベーター一杯の敵の処理の仕方は笑ってしまう).音楽も久石譲に似た「ウジンのテーマ」の哀愁に満ちたワルツが良かった.
しかしこの映画は好きか嫌いかと言われると,嫌いである.
生理的に受け入れがたい.復讐劇の元となる事件にも共感の余地はない.
ただ,ミドが哀れで,彼女にある種のハッピーエンドが予感されるラストシーンが救いだった.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:スチームボーイ

日記:2005年7月某日
映画「スチームボーイ」を見る.
2003年.監督:大友克洋.
世界万国博開催を控えた19世紀のロンドン,蒸気機関を使った産業革命の真っ最中でロバート・スティーブンソンの権勢が高い.
ロバートのライバル,スチム家の天才的技術者親子は渡米し,オハラ財団の資力で画期的な高密度高圧の蒸気エンジン「スチームボール」を考案する.
しかしそれの利用の仕方で親子の見解は分かれ,死の商人であるオハラ財団は,祖父ロイドを追放して父エディに「スチーム城」の完成を託す.ロイドは孫のレイ宛に「スチームボール」を送り,レイは図らずもその争奪戦に巻き込まれる.
画面一杯に描き込まれた膨大な歯車とピストン等のメカニクスの迫力,蒸気を動力源に後はメカニクスのみで構成された機械類が,画面狭しと動き回る光景には圧倒される.
物語はアメリカ資本は死の商人,イギリス政府は権威主義と分かりやすい類型で,その中を少年少女がかけずり回る活劇はなかなかに面白い.ロンドン万博やロンドン橋をあっさりぶっ壊してしまうのもアニメならではの痛快さ.
オハラ財団会長の孫娘スカーレットが,いかにもアメリカブルジョア娘の高慢ちきさを持ちながら,憎めないキャラクターで共感できる.スカーレットがレイと連れ立って水晶宮に忍び込み,その美しさに魅せられて光の中で踊るシーンは素敵である.
音響や音楽も満足度高し.ただロイド役の中村嘉葎雄がやや滑舌悪く,興ざめだった.
★★★☆(★5個で満点)
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