独断的映画感想文:ウエスタン
日記:2005年7月某日
映画「ウエスタン」を見る.
1968年.監督:セルジオ・レオーネ.音楽:エンニオ・モリコーネ.
ヘンリー・フォンダ,クラウディア・カルディナーレ,ジェイソン・ロバーズ,チャールズ・ブロンソン.
公開版は142分なのにこのDVDはなんと165分.しかしその長さをあまり感じない.
大陸横断鉄道の建設が進む西部,鉄道王モートンの用心棒フランクが幅をきかす.
その鉄道の駅で列車を待ち受ける3人のコートの男,降りてきたのはハモニカの名手.一瞬の決闘で3人は命を落とす.
3人の子持ちの男が新婦を待ち受ける朝,コートの男たちがやってきて一家は皆殺しにされる.ニューオーリンズから嫁いできたジルは,新郎の死を知る.夫は何故殺されたのか,その謎を探るジル,やがて彼女は夫が鉄道の建設に関わって大きな計画を持っていたことを知る.
彼女が引き継いだその計画に絡んでジルに接近するフランク.そのフランクの周辺につきまとうハモニカ,ハモニカと不思議な友情で結ばれているお尋ね者シャイアン.彼ら登場人物の結びつきは何か.
物語は大河の様にゆっくりと展開していく.この映画はセルジオ・レオーネの西部劇への挽歌の様にも思える.
大陸横断鉄道が建設され,もうすぐ太平洋に届こうとするこの時代,西部開拓は終わりを告げようとしている.その中で展開されるこの物語は,西部劇そのものへの別れの挨拶の様だ.
どこまでも青い晴れ渡った空の下,立ちつくす男たち.ほとんど台詞のないまま画面いっぱいにクローズアップされるその日に焼けた顔.様式美さえ感じさせる決闘シーン.
筋書きとしては寓話の様な荒唐無稽なところもあるが,それを感じさせない西部劇への圧倒的な情熱.この映画は監督のそういう意志によって作られたのだろう.
ヘンリー・フォンダ,チャールズ・ブロンソンが圧巻.
★★★★(★5個が満点)
人気blogランキングへ
コメント