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2005/07/10

独断的映画感想文:血と骨

日記:2005年7月某日
映画「血と骨」を見る.
2004年.監督:崔洋一.
ビートたけし,鈴木京香,新井浩文,田畑智子,オダギリジョー,中村優子,北村一輝.
1923年に済州島から日本に来た金俊平は,強靱な肉体とためらうことのない凶暴さを持つ男.
連れ子のいる李英姫と結婚,終戦後はかまぼこ工場を開いて成功するが,その飽くなき金への執着と,家族親戚にも容赦なくふるう暴力のため,様々な悲劇が繰り広げられる.
映画は骨太な骨格と丁寧な作りで満足度高し.
冒頭の大阪港外の「君が代丸」船上の光景は,「船の上のピアニスト」や「ゴッド・ファーザー・パートⅡ」の最初のシーンを思い起こさせる.
終戦直後から1970年頃までの大阪市街の光景の変化,生活状況の変遷も丁寧な描写である(大成通りのオープンセットの経年変化が見事).
鈴木京香(日本アカデミー賞主演女優賞)の演技は老けメークを含めて素晴らしい.俳優では他にオダギリジョー(同助演男優賞)と中村優子が良かった.
金俊平の娘花子(田畑智子)への複雑な感情と,妾清子(中村優子)への愛情が,この映画の中では情感のある物語となっている.一人の怪物を通して見る戦後の日本史,家族史が重厚に描かれ印象深い.
★★★★(★5個で満点)
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受信: 2005/07/16 00:51

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受信: 2005/10/31 13:24

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血と骨 コレクターズ・エディション 血と骨 通常版 おすすめ度:★★★  梁石日原作の自伝的小説を崔洋一監督が映画化した作品である。主演はビートたけしで、金俊平役を演じている。  映画の中では、それぞれの見せ場がある。金俊平の人生全体を見ることで考え....... [続きを読む]

受信: 2005/12/08 11:25

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