独断的映画感想文:恋のエチュード
日記:2005年8月某日
映画「恋のエチュード」を見る.
1971年.監督:フランソワ・トリュフォー.
ジャン・ピエール・レオー,キカ・マーカム,ステイシー・テンデター.
1900年頃の話.
パリに住むクロードは作家の卵,母の友人の娘,アンがイギリスから訪れる.
アンは彫刻家志望,その人柄に魅せられ,クロードはイギリスを訪れる.アンは母と妹と暮らしており,妹のミュリエルは目の病気のため引きこもりがちの生活である.アンはクロードにミュリエルとつき合うようしきりと勧め,クロードもミュリエルの高潔な人柄に惹かれていく.
姉妹の母親はクロードの気持ちに気付き,クロードは隣家で暮らすことになるが,それをきっかけにクロードは遂にミュリエルに結婚を申し込む.ミュリエルもそれに答えるが,親同士の話し合いで1年間の婚約期間で様子を見ることになる….
と,ここまでは前置き,その後パリに戻ったクロードは仕事が上手く行き始め,結婚する意志が薄れていくが,当初気後れしていたミュリエルは逆にクロードへの愛が燃えさかる.
クロードはミュリエルに破談を申し込み,ミュリエルはそれに応じる手紙を出すが,心はクロードへの愛で苦しみ続けるのだった.
ところが数年後,パリで彫刻の修行を本格的に始めたアンと再会したクロードは,成長した彼女の美しさに惹かれ,遂に二人は結ばれる.ところが….
というわけで物語は次々に「ところが」を連発しながら思いも寄らぬ結末へと展開していく.情熱的で自由なアンと高潔で一途なミュリエル.この二人に愛されたクロードが,恋のエチュードと考えていたものが,如何に苦い結果をもたらしたか.フランス恋愛ものと思って見始めた映画の結末は,想像以上に深刻なものだった.
恋とは何でしょう?そして人生とは何でしょう?
トリュフォー監督39歳の傑作.
イギリスの海岸に立つ姉妹の家(「ラヴェンダーの咲く庭で」を思い起こさせる),マッチ箱のような客車を牽き走る蒸気機関車,海岸の草地を走る姉妹とクロードの自転車等,すばらしいロケーション撮影である.
★★★★☆(★5個が満点)
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