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2005/09/03

独断的映画感想文:CURE(キュア)

日記:2005年9月某日
映画「CURE(キュア)」を見る.
1997年.監督:黒沢清.
役所広司,萩原聖人,うじきつよし.
犯人の異なる連続殺人事件が起こる.
喉首を十文字に切り裂くという残酷な明確に共通した手口,しかし犯人はそれぞれに違い,共通項は何もない.担当刑事高部は,精神を病んでいる妻との関係の中,捜査のため悪戦苦闘を続ける.
やがてそれぞれの事件に関与しているかと思われる,記憶を失った男間宮が,捜査線上に浮かんでくる.
彼を「犯人」と確信する高部は,友人の精神科医佐久間の協力を得てその謎に迫る.しかし間宮の真の目的は,連続殺人ではなかった…?
記念碑的と言えるかも知れない黒沢監督の傑作.
違和感のある音響,だだっ広く無機質な部屋や家屋.不安感と緊張感を高める様々な仕掛け.その中で展開されるサイコサスペンス.
有能で冷静だが,ストレスによりどんどんとんがっていく高部,一方独特の間と,なり立たない会話で,言いようのない不安感に相手を追い込んでいく間宮のしゃべり,この両者を造形していく役所広司・萩原聖人がすごい.
話の構成全体は,連続殺人などを遙かにしのぐスケールであることがうかがわれ,一方細かい描写やとぼけたユーモアも織り込まれる.それらを繋いでいく,少しざらついた感じの色調で描かれる,美しい風景.
終わるまで目を離すことが出来ない魅力ある映画.
★★★★☆(★5個が満点)
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