独断的映画感想文:情婦
日記:2005年9月某日
映画「情婦」を見る(へえ,仮名漢字変換には情婦って無いのね.差別なのかしら).
原作はアガサ・クリスチィ,原題は「検察側証人」である.
1957年.監督:ビリー・ワイルダー.
タイロン・パワー,マレーネ・ディートリッヒ,チャールズ・ロートン,エルザ・ランチェスター.
今どきの映画に習熟した人にはこの大どんでん返しはそうショックではないかも知れないが,純朴な1950年代の映画ファンにとっては大変なショックだったことは想像に難くない.
ロンドンのベテラン弁護士ロバーツは病み上がりで,口やかましい看護婦が禁酒禁煙を監視するやっかいな境遇だが,飛び込んできた殺人容疑のレナードの弁護を引き受ける.
彼は無職の自称発明家,金持ちの未亡人に気に入られ資金援助が得られるかと言うところで未亡人は殺される.
無実を訴え弁護を依頼した直後レナードは逮捕され,ロバーツは調査を開始する.公判はロバーツの見事な弁論で有利に運んでいたが,検察側最後の証人に何とレナードの愛妻クリスティーネが出廷する….
ここからは逆転に次ぐ逆転,幾重にも底の割れないどんでん返しの連続というクライマックスが見事の一言に尽きる.
特にクリスティーネ役のマレーネ・ディートリッヒの魅力が,この映画にドラマの奥深さを付け加えている.ロバーツに追いつめられ,それまでの冷静な彼女の形相が変わって「畜生!」と叫ぶその瞬間.追いつめる側のロートンとともにすばらしい演技である.
イギリス映画らしいユーモアが随所にちりばめられているのも素敵.
看護婦役のエルザ・ランチェスターは,「メリー・ポピンズ」でお母さん役をやったのでおなじみの女優,この映画でもなかなかの味わいである.
★★★★(★5個が満点)
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