独断的映画感想文:カンゾー先生
日記:2005年9月某日
映画「カンゾー先生」を見る.
1998年.監督:今村昌平.
柄本明,麻生久美子,唐十郎,田口トモロヲ,世良公則,小沢昭一,松坂慶子.
終戦期,瀬戸内の田舎町で開業医をしているカンゾー先生こと赤城医師と見習い看護婦のソノ子の物語.
真摯な開業医として,日中戦争開始後激増している肝臓病の診断治療に奔走する赤城,その功績は東京の医界で激賞されるほどである.戦時の困難な状況下でますます研究に熱中する赤城,しかしその活動は思いもかけない事件で挫折する.
一方見習い看護婦のソノ子は,女郎の母親を持ち,両親を失って弟妹を養う苦難の日々.時々男に身を売っていたが,カンゾー先生に雇われてからは先生に信服し,ついには先生を愛するようになる.この二人を中心に,盟友の生臭和尚や外科医を巻き込んだ物語.
カンゾー先生は肝臓病の蔓延に警鐘を鳴らすが,何故肝臓病は蔓延しているのか?映画にも言っているとおり,肝臓病は日中戦争開始後激増しており,感染経路は経口・血液・性交なのである.肝臓病が蔓延する大陸に行った男達が,現地で何をしてきたか想像に難くない.
映画としては,何と言ってもソノ子のキャラクターと演じる麻生久美子が素晴らしい.激しく純情な聖娼婦の演技は一見の価値あり.
柄本・唐・世良の盟友3人組の活躍も印象的.
映画は極めて悲観的な状況を舞台にしているが,登場人物の生命力はそれを凌駕して楽観的である.共感できる映画.
★★★★☆(★5個が満点)
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