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2005/10/05

独断的映画感想文:ドッペルゲンガー

日記:2005年10月某日
映画「ドッペルゲンガー」を見る.
2002年.監督:黒沢清.役所広司,永作博美,ユースケ・サンタマリア,柄本明.
医療機器メーカーで人工人体の開発に取り組む早崎は,天才と称されつつ今はスランプで崩壊寸前.
ある日部下から,知り合いの弟が自殺の前にドッペルゲンガーを見たという話を聞く.数日後,自宅に忽然と彼のドッペルゲンガーが現れ,行き詰まった彼の研究に協力すると言い出す….
このドッペルゲンガーは従来のイメージとは若干異なり,多重人格が実体化したようなドッペルゲンガーである.
後に早崎と知り合う永井由佳の,自殺した弟などはそのドッペルゲンガーが本人の自殺後も元気に創作活動に励んだりして,由佳は「あれ」は弟ではない,と悩んだりする.
早崎のドッペルゲンガーも本人の研究環境を変えたり,金を調達したり,情報を取ってきたり,本人がその気があったのに手を出せなかった女をやっちまったり,大活躍する.
おかげで早崎は人工人体を完成するのだが,その人工人体を医療機器メーカーに売り込もうと始まるロード・ムービーで,映画の雰囲気は一変する.最初はホラーかと思っていたのに途中はスプラッターコメディ,最後は青春コメディのようなエンディング.
早崎という男はこの映画で,スランプに悩んだあげくドッペルゲンガーに分裂し,おかげで研究が完成し,最後にドッペルゲンガーと再統一を果たすのだが,この再統一版早崎がえらく爽やかである.本人はドッペルゲンガーが出るくらいだから相当変わった男で,その周りの由佳や助手に雇った君島も変わっているのだが,映画はそんなことにお構いなくこの爽やかなエンディングに突っ走っていく.
まあ,そういうエンディングってありかよって言う立場も無論ある訳だが,この奇妙な雰囲気が,この映画の持ち味なのだろう.
息の詰まるようなホラーを撮った監督が,今回は含み笑いをしながら奇妙な映画を作ったという感じである.
★★★★(★5個が満点)
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