独断的映画感想文:CODE46
日記:2005年11月某日
映画「CODE46」を見る.
2003年.監督:マイケル・ウィンターボトム.
ティム・ロビンス,サマンサ・モートン.
CODE46とは,遺伝子の一致するもの同士の妊娠を規制する法規.
近未来の地球,パペルという身分証を持つ市民だけが管理された安全な都市に住むことができ,持たない市民は砂漠化した“外”で厳しい生活を強いられる.
そのパペルの偽造事件が発生,調査員ウィリアムが上海にやってくる.
パペルの発行を行うスフィンクス社の依頼により同社工場を調査,容疑者を尋問し犯人マリアを特定する.ウィリアムは,相手のわずか数語の発言から知りたい情報を得ることができる特殊能力者だ.
ところがウィリアムは別の容疑者を犯人と報告,マリアと一晩を共にする.帰国したウィリアムは,その後マリアが姿を消したことを知る….
安全で快適な“中”,市民はしかし身も心も徹底的に管理される.“外”では市民は保護されず,過酷な砂漠の生活を強いられるが,そこには何の管理もない自由がある.しかしそのどちらの生活も,荒涼とした絶望感に色濃く縁取られている.
近未来SFに特有のこういう設定は,嫌いではない.人間の自由と尊厳をかけ,あえてその絶望に挑戦するという希望のかけらがそこに埋め込まれているからだ.
映画は,毎年の誕生日ごとに夢に現れる男が鮮明になっていくというマリアのエピソード,イギリス映画らしい暗い色調,特徴ある沈痛な音楽により,運命的な結末を暗示して進行.アジア系の都市の情景や,市民の喋る言語が多種多様であること等印象的な作りとなっている.
主演2人の存在感が大きく,見応えあり.一見の価値ある映画(もっとも好き嫌いによりますが.本質的には古典的ロマンですからね).
★★★★(★5個が満点)
蛇足:マリアがぼかしの入った陰部を見せながら乳房を見せないのは何故だろうと思っていたら,CODE46のために出産の出来ない彼女の,子育ての象徴である乳房を見せない暗喩であるとの指摘がWeb上にあった.
なるほど.
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