独断的映画感想文:モーターサイクル・ダイアリーズ
日記:2005年12月某日
映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」を見る.
2003年.監督:ウォルター・サレス.
ガエル・ガルシア・ベルナル,ロドリゴ・デ・ラ・セルナ.
1952年のこと,アルゼンチンの医学生エルネストと年上の生化学生アルベルトは,おんぼろバイク「ポデローサ」号で南米大陸冒険の旅に出る.
アルゼンチンからアンデスを越えチリへ,その後ペルー・サンパブロのハンセン氏病患者施設を訪ね最後はベネズエラのカラカスを目指す.
若く理想に燃えているが好奇心旺盛,女性にもあこがれる二人は,たかり同然の貧乏旅行を続けるが,ポデローサ号は遂にチリでポンコツくず鉄となる.つまりモーターサイクル・ダイアリーはここで終わり.
しかし彼らは更に徒歩とヒッチハイクで旅を続ける.
過酷なチリの銅山で働こうという労働者夫婦との交流,ハンセン氏病施設でのボランティア活動を通じた患者との交流を通じ,二人は変わっていく….
美しい映画である.ポデローサ号の疾走,あるいは河を行く貨客船の姿はいかにも映画らしい.
南米の大自然の描写も素敵.
貧しい人々との交流で顔つきも厳しいものに変わっていく二人.サンパブロの施設でのお別れパーティーの夜,エルネストは「南米は一つの混血国家なのです.その南米とペルーのために」と挨拶して乾杯するのだが,それを聞くアルベルトや施設の人々の面持ちは感銘的である.
反植民地主義,民族主義,共産主義が未来と正義の旗印だった時代の雰囲気が,感じられる.
俳優では「ブエノスアイレスの夜」のガエル・ガルシア・ベルナルが魅力的.
エルネスト・“チェ”・ゲバラ・デ・ラ・セルナは後にキューバ革命をカストロと共に成功させ,日本にもキューバ政府閣僚として来たことがある.その後ゲバラは南米各地の革命にゲリラとして参加,ボリビアの戦闘で射殺された.
アルベルトはその後盟友エルネストのためキューバに病院を寄贈し,キューバに移住した.今も健在である.
アルベルトを演じたロドリゴ・デ・ラ・セルナはゲバラの又従兄弟だそうな.
一見の価値あり,★★★★(★5個が満点)
人気blogランキングへ
固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (5)
最近のコメント