独断的映画感想文:バットマン ビギンズ
日記:2005年12月某日
映画「バットマン ビギンズ」を見る.
2005年.監督:クリストファー・ノーラン.
クリスチャン・ベイル,マイケル・ケイン,リーアム・ニーソン,モーガン・フリーマン,ゲイリー・オールドマン,ケイティ・ホームズ,渡辺謙.
幼い日に空井戸に落ちたとき出会ったコウモリに衝撃を受けたブルースは,その後両親を犯罪で失う.
そのトラウマから,ブルースは犯罪者の群れに身を投じ悪と言うものを理解しようとする.ヒマラヤ山麓の刑務所であてのない服役生活をしていた彼は,影の同盟と名乗る一団に救われ,悪と戦うための技を徹底的に仕込まれる.
生まれ故郷のゴッサムへ帰った彼は,街を牛耳る悪と対決する決意を固めるのであった….
人気アメコミものシリーズの最新作は,バットマンが如何にして誕生したか,何故悪と戦うのかを詳細に論証した作品となった.
バットマンものを見るのはこれが初めて.もっと荒唐無稽なコミカルなものかと思ったあては外れ,テロに脅える腐敗した都市と,それを救う思想的にも強固に武装した選ばれし者を描く重苦しい内容であった.
映画は退屈する間もなく面白く展開して,見て損はなしと思えるのだが,超大金持ちのブルースが何故身を挺して悪と戦うのかの説明は鬱陶しい.
この辺はスパイダーマンと比べてみればその差がはっきりする.
スパイダーマンは超能力を得てそれを悪との闘いに当然のごとく使わざるを得ない.しかしそのためスパイダーマンは恋人に自分の正体も明かせず(恋人が悪との闘いに巻き込まれるのを恐れるからである),正業にも就けず,その苦しさのために肝心の超能力さえ失いかける.
一方バットマンは大金持ちで,超能力はないがそれを補う新兵器は金の力でいくらでも調達できる.
その彼が,自分は何故悪と戦うのかを(何故自分は選ばれし者なのかを)自分自身に論証しなければならない.この映画はそういう内容なのだ.
9/11を経たアメリカという国のやりきれなさを,感じずには居られない,その意味で重苦しい印象を後に残す映画.
★★★(★5個が満点)
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