独断的映画感想文:スイミング・プール
日記:2005年12月某日
映画「スイミング・プール」を見る.
2003年.監督:フランソワ・オゾン.
シャーロット・ランプリング,リュディヴィーヌ・サニエ,チャールズ・ダンス(「ラヴェンダーの咲く庭で」の監督である).
シリーズものがヒットしている女流ミステリ作家サラは,新作のアイディアに行き詰まる日々.編集者ジョンの薦めで彼の南仏の自宅に逗留し,著作に専念することにする.
そこはプール付きの美しい邸宅,気分も一新勇躍著作に没頭する彼女だが,ある晩ジョンの娘ジュリーが飛び込んでくる.驚いたサラはジョンに連絡を取ろうとするがつながらない.毎夜別の男を連れ込むジュリーとの奇妙な同居が始まる….
最終的に殺人事件にいたるサスペンスなのだが,奇妙な味の映画である.
作品世界をタイプするのが仕事の中年のイギリス女性サラ,彼女は節制のためかヨーグルトばかり食べている.一方食欲旺盛,酒やマリファナにふけり奔放に男を引き込むジュリー.
映画は美しい南仏の風景を挟み,鏡越しに登場人物を写すシーンの多用,色彩の対比,十字架への登場人物のこだわり,ジュリーの体の傷跡の描写等,細かい仕掛けで観客を幻惑しつつ進行する.
挿入される明らかにサラの妄想と思えるシーンもあって,ことの真相はどうなっているのかは,予断を許さない.
そして最終局面のあっと驚くどんでん返し,その後の象徴的な最後のシーン,謎はかえって深まって映画は終了する.観客はまるで映画の仕掛けた迷路に取り残されたようだ.
いかにもヨーロッパ映画らしい映画,一見の価値あり.問題の鍵は「プール」にあると思えるのだが….
主演二人の美しいヌードにも驚かされる.特にシャーロット・ランプリングは撮影時58歳か,「愛の嵐」で始めて見たヌードは27歳のものだった筈ですが,いやあ驚きました.
★★★★(★5個で満点)
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