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2006年2月に作成された記事

2006/02/26

独断的映画感想文:オリバー・ツイスト

日記:2006年2月某日
映画「オリバー・ツイスト」を見る.
2005年.監督:ロマン・ポランスキー.
バーニー・クラーク,ベン・キングズレー.
ディケンズの古典的名作の映画化.原作は読んでいない.
孤児院で育ち天涯孤独なオリバーは,給食のお代わりが欲しいと言ったために(言う役をアミダで抽選して負けたのだ),養育院を追放される.葬儀屋の親方のところに預けられるが,母の悪口を言われて飛び出し,ロンドンへ向かう.
そこで少年スリ団のドジャーに救われ,親方のフェイギンに引き取られる.
そこで彼は更に数奇な運命を辿るが,オリバーの特質はその美しさ,健気さ,善良さ,素直さがすべての人の同情を引き,様々なチャンスに恵まれることだ.
悪党のフェイギンさえオリバーをスリ団に投ずることなく養い,気を許しているように見受けられる.
最終局面,オリバーがフェイギンのために神の許しを請う場面は,感銘的である.
映画全体はロンドンのオープンセットも見事,2階建ての街路に人がひしめき馬車が行き交うシーンは,映画の醍醐味を満喫させる.
演技ではフェイギン役のベン・キングズレーが良い.
ついでに言えばビル・サイクスの愛犬が好演.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ

日記:2006年2月某日
映画「ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ」を見る.
2005年.監督:ジョン・ポルソン.
ロバート・デ・ニーロ,ダコタ・ファニング.
母親の突然の自殺を目の当たりにした9歳のエミリーは,深いトラウマに心を閉ざす.父親で心理学者のデイビッドは,エミリーを連れニューヨーク郊外の田舎町に引っ越した.
しばらくするとエミリーは「チャーリー」という友人が出来たと言い出す.ところが想像上の存在と思われたそのチャーリーは,思いもかけない「行動」を示すようになる….
巷の評を見ると,ネタは途中で判ったという人が多い.へーそうですか,僕は全く判りませんでした.
しかしこの映画脚本が悪い(悔し紛れ).
このネタでいくのは良いとして,それなら他の選択肢ももう少しリアルに描いて,観客にサスペンスを与えてくれなければ.
エミリーが森をじっと見ているシーンとか,蝶が洞窟に飛び込んでいくシーンとか,隣家の意味ありげな父親とか,らしいシーンはいろいろあるのだがすべてそのまんまで放置,何の伏線にもなっていない.
その挙げ句唐突に現れる本ネタは,やっぱりそれまでの状況と合ってないよなあ.
というわけで成功作とは言い難い.
★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:クラッシュ

日記:2006年2月某日
映画「クラッシュ」を見る.
2004年.監督:ポール・ハギス.
サンドラ・ブロック,ドン・チードル,マット・ディロン.
ロサンゼルスの2日間の出来事.
主人公は複数で,「マグノリア」同様グランドホテル形式の映画.描かれるのはすさまじい差別世界である.
アジア系はヒスパニックを差別し,ペルシャ系が黒人を差別し,無論圧倒的多数の白人は黒人を差別する.弱いものはより弱いものを差別し,差別されている者は時と場合によっては普段自分が差別されている相手を差別し,高い立場にある者は当然のごとく低い立場の者を差別する.
このむき出しのとげとげしい非寛容の,しかも銃で武装している世界はどういう事だろう.
しかも映画が更に描写を進めると,実は典型的な差別主義者が自分が差別した者を命がけで救い,無力に差別されていたように見えた者が差別に基づく犯罪者であることが明らかになる.
複雑に絡み合った混沌とした世界を,映画は淡々と描いていく.
家の外の銃声に脅え,ベッドの下に隠れて寝ている幼い少女.
父親が彼女を慰め,昔妖精が自分に魔法のマントをくれたと打ち明ける.目に見えないが,しかし銃弾から身を守ってくれるこのマントをおまえに譲ろうと,父親は自分の肩から外し,娘の首に結んでくれる.娘は安心して眠る.
翌日,トラブルで父親の元に押しかけてきた男が,銃をかざして父親に迫る.娘は「パパはもう魔法のマントをしていないの!」と叫んで,父を守ろうと身を投げ出す.その小さな背中に発射される銃弾.
このエピソードは感銘的である.
差別と尊厳という人間の両面を描いた,寓話的映画である.
役者はドン・チードルとジェニファー・エスポジート,マット・ディロンが良かった.
マーク・アイシャムの音楽も素敵.
わが首相の目指す勝ち組・負け組のはっきりした社会も,このような非寛容な社会になるのだろうか.
★★★☆(★5個が,満点)
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2006/02/23

独断的映画感想文:妹

日記:2006年2月某日
映画「」を見る.
1974年.監督:藤田敏八.
林隆三,秋吉久美子,伊丹十三,吉田日出子.
フォークグループ・かぐや姫の歌「妹」をモチーフに作られた70年代らしい作品.
秋夫は両親を失い,元食堂だった家を根城に運送業を一人でやっている.
ある晩,鎌倉で同棲中の妹ねりが,出戻って来た.相手の耕三は同じ日に行方不明になって,その家族では騒ぎになっている.
本歌では耕三は秋夫の親友という設定の筈だが,この耕三は最後まで姿も見せずどういう人かも描写されない.
秋吉久美子は可愛いが,こちらもお兄さんが好きっということ以外はほとんど良く分からない人物,というよりあり得ない人物.
同棲相手を殺したかもしれないと口走り,最後には出家して挙げ句に坊主と駆け落ちしたという.
映画の中で片桐夕子が,彼女を「具体性のない美人」と言うがその通りか.
いろいろ変な映画なのだが,実はこのムードこそが70年代日活映画のムードなので,見ていて妙に落ちつくのはそのせいだと思われる.
個人的には見て損はなかったがさて,今の時代に通用するだろうか?
★★★(★5個で満点)
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2006/02/20

独断的映画感想文:わが谷は緑なりき

日記:2006年2月某日
映画「わが谷は緑なりき」を見る.
1941年.監督:ジョン・フォード.
ウォルター・ピジョン,モーリン・オハラ,ドナルド・クリスプ,ロディ・マクドウォール.
古き良き時代の映画(と言っても1941年なのだ.この年,日本はこの映画を作った国と,絶望的な戦争を戦うことになる),ジョン・フォードの名作.
ウェールズ地方の炭坑街.不況で賃金は切り下げられ,鉱夫は組合を組織して対抗する.
炭坑住宅は日本のものよりはましだがやはり天井が低く,その狭い住居にモーガン家の親子8人が住んでいる.
末っ子のヒューは皆に愛され頭も良い.そのヒューの成長していく目を通して見る,一家の暮らし.
美しい姉のかなわぬ恋,その不本意な結婚,ヒューの進学といじめっ子との悪戦苦闘.やがて長兄の事故死,そして父親の遭難.
父を救いに,姉の慕う牧師がリフトに乗り込む.牧師に続いてヒューが震えながら乗り込む.その勇気,健気さに心を打たれる.
やがて父を抱いて上がってきたヒューは,もう大人のヒューのようだ.
映画は淡々と喜びも悲しみも描いていくが,過ぎていく時間と人の成長が,すべてを飲み込んでいく.
心に残る名作である.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:Uターン

日記:2006年2月某日
映画「Uターン」を見る.
1997年.オリヴァー・ストーン監督.
ショーン・ペン,ジェニファー・ロペス,ニック・ノルティ,ビリー・ボブ・ソーントン,ジョン・ヴォイト,ホアキン・フェニックス,リブ・タイラー.
いやー,良い意味で期待を裏切る映画ですね.
60年代の名車ムスタングに乗って快調に飛ばすボビー,しかし彼はマフィアへの支払いが遅れてリンチを受け,支払いの金を急ぎラスベガスに運ぶ途中なのだ.ところが思いがけず愛車が故障,やむなく立ち寄ったスペリアという街.ここから物語が始まる.
小汚い修理屋に愛車を預け,街に出ると美しい女と行き会う.誘われるままに荷物運びを手伝って女の家に行くと,その夫に踏み込まれ強烈なパンチを見舞われる.ところがその帰り道,追いかけてきた夫は金を出すから妻を殺してくれと言い出す….
そこから先は典型的な不条理劇.
ボビーは思いもかけぬ事件に巻き込まれ有り金を失い,行きずりの女に言い寄られてはその彼氏にぼこぼこにされ,車はぼろぼろにされた上法外な修理費を請求され,男に袋だたきにあうこと・女に騙されること数えきれず,一文無しになってしまうがなお街から出ることが出来ない.
この映画の結末はどうなるのか?
結末は意外なところからやってくるが,気がつけばそれは物語が始まったところで終わる,ということなのだった.味のある映画である.
キャストにも味がある.
ビリー・ボブ・ソーントンとジョン・ヴォイトが誰に扮しているのかを見つけるのも,なかなか興味深い.怪しいのはこの人ってとこまでは判るが,二人とも信じられない怪演である.
リブ・タイラーは端役で台詞は「あら」の一言だが,こちらはその美貌故か,一目で分かります.
カメラワークには多少好き嫌いが出るかも知れませんが,見て損はない映画.
★★★★(★5個が満点)
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2006/02/13

独断的映画感想文:サハラ 死の砂漠を脱出せよ

日記:2006年2月某日
映画「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」を見る.
2005年.監督:ブレック・アイズナー.
マシュー・マコノヒー,ペネロペ・クルス,スティーブ・ザーン.
冒頭は1865年の南北戦争末期,北軍の包囲を突破しようとする装甲艦テキサス.その積み荷は相当重要なものらしい.
と思ったら次の舞台は現代のナイジェリア・ラゴス.WHOの医師が,疫病と思われる患者を診察している.患者は皆マリから来たらしい.医師エヴァはマリに調査に行くべきだと主張する.ところがエヴァは往診先で何者かに襲われる.
と思ったら,たまたまそこでエヴァを救ったダークは,深海調査船のダイバー.海底の文化財発見に活躍しつつ,真の狙いは装甲艦テキサスの財宝である.
と言うのもテキサスにまつわる南軍発行の金貨が,この近くで見つかっているからだ.ダークは相棒のアルとオーナーのボートを借りて,マリに探検に赴く.
そのボートに頼み込んでエヴァらWHOが同乗することになる….
とこういう筋立てでマリを舞台に始まる活劇,息をもつかせぬ奇想天外な物語.
当初はWHO組の地味なしかし緊張感に満ちた活動と,ダーク組のアクションに満ちたしかし脳天気な活動が並行していたのだが,ある時点でエヴァがアクション組に合流した後はもう西部劇と言おうか,007と言おうか,とにかくアクション.
映像は綺麗だしカメラワークも良く,最後まで間断することなく楽しめました.ダークとアルのコンビも絶妙.
只,「テキサス」が突然ナイジェリアに現れる謎については一切言及無し.これだけでSFもの一つ出来そうなのに.
しかし題名は何でしょうね.「サハラ」だけじゃおこがましいと思ったのかも知れないけど,まるでこれじゃ火曜サスペンス劇場じゃないですか.
★★★(★5個が満点)
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2006/02/12

独断的映画感想文:ブリジット・ジョーンズの日記 切れそうな私の12ヶ月

日記:2006年2月某日
映画「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうな私の12ヶ月」を見る.
2004年.監督:ビーバン・キドロン.
レニー・ゼルウィガー,コリン・ファース,ヒュー・グラント.
前作の数週間後から始まる続編.
人権派弁護士マークとの幸せ一杯の生活を送るブリジット,前作では冴えないOLだった筈が,そこそこ人気のあるTVリポーターとして仕事も快調らしい.
しかしマークとは,育ちの違いや階級の違いと言う新しい問題が生じている.おまけに彼の周りには知性も階級も太刀打ちの出来ない女性がおり,一方ブリジットには前作で振られたダニエルが再度迫ってくる….
どうもすべての男がブリジットを恋してしまうと言う設定は,いささか「だめ女」のコンセプトから外れてきた気がするが,まあゼルウィガーの魅力に免じてOKとしましょう.
ゼルウィガーは「シカゴ」「コールドマウンテン」で痩せた後,またこの作品のために(あるいは元に戻って?)ぱんぱんに太っている.その根性は立派である.
楽しい映画.
★★★☆(★5個が満点)
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2006/02/05

独断的映画感想文:イベリア 魂のフラメンコ

日記:2006年2月某日
映画「イベリア 魂のフラメンコ」を見る.
2005年.監督:カルロス・サウラ.
サラ・バラス,アイーダ・ゴメス,アントニオ・カナーレス,ミゲル・アンヘル・ベルナ,エンリケ・モレンテ(歌手),チャノ・ドミンゲス(ピアノ).
スペインの音楽と舞踊のドキュメンタリー,第一線の名手がスタジオに集められ,スペインの民族的音楽家アルベニスの組曲「イベリア」にインスパイアされた曲の数々を,踊り歌い演奏する.
監督は,80年代にフラメンコの名手アントニオ・ガデスと組み,フラメンコ3部作(「血の婚礼」「カルメン」「恋は魔術師」-全部見ました)を撮ったカルロス・サウラ.
ドキュメンタリーだから,映画の基本的な要素『物語』には欠けるが,それぞれの曲に物語性がある.何より観客は踊り手のかっこよさ,官能的な動き,鋭い視線・表情に魅了されるだろう.
「アルバイシン」での群舞の迫力,「アストリア」でのサラ・バラスの鋭い身のこなし.これらの踊りを見ていると,「ウエスト・サイド物語」に出てくるヒスパニック系グループの踊りに,共通するものがあることを思い出す.
また中盤でのジャズ・ピアノとヴォーカル,手拍子のコラボレーションも良い.ピアノだけでもキース・ジャレットの即興演奏を思わせる様な見事な展開,これに手拍子が加わり,最後にヴォーカルが加わってエンディングをぴたりと決める,その素晴らしさ.
撮影場所のスタジオは,スクリーンと鏡で区切られたシンプルな仕掛け.しかしそれらが移動したり,スクリーンには踊り手達のライブ映像が微妙に遅らせたタイミングで多数映し出されたりして,目を楽しませる.
音楽と舞踊には好みがあるから,万人向きとは言えないのだろうが,素晴らしい映画.オフィシャルサイトはこちら.★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:皇帝ペンギン

日記:2006年2月某日
映画「皇帝ペンギン」を見る.
2005年.監督:リュック・ジャケ.
フランスの動物ドキュメンタリー.
冬の初めに,南極の各地から皇帝ペンギンの群れが一斉に営巣地めがけて行進を始める.ほぼ同日同時刻に営巣地にたどり着いた彼らは,カップルを形成し子育てにはいる.
やがて出産,卵を父親に託した母親達は,遙かな海岸まで餌取りの行進に出かける.卵が孵って雛が餌を求め始めるまさにその時に母親達は帰り着き,父親達は交代して海を目指す.
このようなペンギンたちの生態を淡々と追い,その「独白」をナレーションで入れている映画である.
ペンギンたちの映像は美しく,またその厳しい生存のための闘いは感動的.
しかしフランス人てのは,ペンギンたちの「独白」をナレーションで入れるにもかかわらず,何故?とかどうして?とかいうことには,全く興味はないんですかね.
僕は生まれつきなぜなぜ坊やでしたから,何でこんなに海から離れたところで営巣するの?とか,何故雛を営巣地に残したまま親たちは自分のテリトリーに帰ってしまうの?とか,映画を見れば見るほど疑問が山ほど湧いてくる.しかしこの映画はそういう解説は一切しないで,ペンギンの「独白」をフランス語で聞かせるだけ.映画を見終わって,後に残った大量のはてなマークの処理に,ほとほと困ってしまった.
また音楽もいかにも軽いフレンチポップス風のもので,全く頂けませんね.
せっかくの題材をフランス風に料理されてしまって,残念というのが率直な感想.
★★(★5個が満点)
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2006/02/04

独断的映画感想文:電車男

日記:2006年2月某日
映画「電車男」を見る.
2005年.監督:村上正典.
山田孝之,中谷美紀,国仲涼子,佐々木蔵之介,木村多江.
ベストセラー(未読)の映画化,秋葉オタクの電車男が,勇気を奮って酔漢から救った女性との付き合いを決意し,デートを経て恋愛成就を目指す汗と涙の物語.
彼の恋愛にはネットのボード上に膨大なギャラリーがおり,そのうちの7人が主要なメンバーとして登場する.
そいつらの悲喜こもごもと併せ進行する恋愛劇のおかしさ切なさ,単細胞な僕は終盤の告白場面で感動してしまいました.
音楽も軽快だし映像のテンポも良い.
エルメス役の中谷美紀がきれい.
原作には彼女は間接的表現でしか出てこないそうですが,従って謎だらけの存在なのだが,まあ恋愛しているときの相手女性って神様か天使みたいに見えちゃうものですよね.こういう女性に対しては気後れするし,その気持ちは良く分かります.
ギャラリーの3人組が吃驚したり怒ったりするたびに現れる空想上の戦闘シーン(突撃ラッパつき)が可笑しい.もっとはじけていても良いと思ったくらい.
映画の最後のシーンは蛇足だという気がしたが,如何でしょう?
★★★☆(★5個が満点)
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