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2006/02/26

独断的映画感想文:クラッシュ

日記:2006年2月某日
映画「クラッシュ」を見る.
2004年.監督:ポール・ハギス.
サンドラ・ブロック,ドン・チードル,マット・ディロン.
ロサンゼルスの2日間の出来事.
主人公は複数で,「マグノリア」同様グランドホテル形式の映画.描かれるのはすさまじい差別世界である.
アジア系はヒスパニックを差別し,ペルシャ系が黒人を差別し,無論圧倒的多数の白人は黒人を差別する.弱いものはより弱いものを差別し,差別されている者は時と場合によっては普段自分が差別されている相手を差別し,高い立場にある者は当然のごとく低い立場の者を差別する.
このむき出しのとげとげしい非寛容の,しかも銃で武装している世界はどういう事だろう.
しかも映画が更に描写を進めると,実は典型的な差別主義者が自分が差別した者を命がけで救い,無力に差別されていたように見えた者が差別に基づく犯罪者であることが明らかになる.
複雑に絡み合った混沌とした世界を,映画は淡々と描いていく.
家の外の銃声に脅え,ベッドの下に隠れて寝ている幼い少女.
父親が彼女を慰め,昔妖精が自分に魔法のマントをくれたと打ち明ける.目に見えないが,しかし銃弾から身を守ってくれるこのマントをおまえに譲ろうと,父親は自分の肩から外し,娘の首に結んでくれる.娘は安心して眠る.
翌日,トラブルで父親の元に押しかけてきた男が,銃をかざして父親に迫る.娘は「パパはもう魔法のマントをしていないの!」と叫んで,父を守ろうと身を投げ出す.その小さな背中に発射される銃弾.
このエピソードは感銘的である.
差別と尊厳という人間の両面を描いた,寓話的映画である.
役者はドン・チードルとジェニファー・エスポジート,マット・ディロンが良かった.
マーク・アイシャムの音楽も素敵.
わが首相の目指す勝ち組・負け組のはっきりした社会も,このような非寛容な社会になるのだろうか.
★★★☆(★5個が,満点)
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受信: 2006/02/27 00:40

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受信: 2006/02/27 19:51

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