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2006年3月に作成された記事

2006/03/22

独断的映画感想文:エターナル・サンシャイン

日記:2006年3月某日
映画「エターナル・サンシャイン」を見る.
2004年.監督:ミシェル・ゴンドリー.
ジム・キャリー,ケイト・ウィンスレット,キルステン・ダンスト,イライジャ・ウッド.
ジョエルは偶然出会ったクレメンタインに恋をした.
ところがけんかをした直後,ラクーナ社という会社から手紙が届き,クレメンタインがジョエルの記憶を消してしまったという.やむなくジョエルもクレメンタインの記憶を消すことを決意,深夜彼の自宅にラクーナ社の作業員が来て記憶削除作業にかかるが,彼の脳は不思議な反応を始める….
ドラマの展開と彼の脳が見ている記憶とが混在しながら描写されるのではなはだ判りづらい進行だが,慣れてくると事情が飲み込めてくる.
映画の結論は極めて健全なもので,オーソドックスなハッピーエンド.一応SFなのだからもっと捻った結末が来るかと思っていた.
出てくるたびに髪の色を変えて染めてくるケイト・ウィンスレットが,可愛い(この髪の色は,一応混乱した順番で出てくる場面の,正しい順番のヒントになっていると考えられる).スパイダーマンの恋人キルステン・ダンストが怪演.
恋の(というより失恋の)切なさ,失われた恋人を夢に見てそれが覚めたはかなさ,こういうことを描くのに,映画はこんなにいろいろな引き出しを持っていたなんて.
★★★☆(★5個が満点)
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2006/03/21

独断的映画感想文:オペラ座の怪人

日記:2006年3月某日
映画「オペラ座の怪人」を見る.
2004年.監督:ジョエル・シューマカー.
ジェラルド・バトラー,エミー・ロッサム,パトリック・ウィルソン.
言わずと知れたブロードウェイ・ミュージカルの映画化.
今は廃墟となったオペラ座の備品を競売するオークションが,そのオペラ座で開かれている.車椅子の貴族ラウルは,感慨深く破壊されたシャンデリアを見上げるのだった.
50年程前ラウルがオペラ座のオーナーに就任した頃,その幼なじみだったコーラスガール,クリスティーヌが主役に抜擢された.折しもオペラ座には仮面をかぶった謎の怪人が出没していた.
ある晩クリスティーヌの前にその怪人が現れる.クリスティーヌは怪人の指導を「音楽の天使」の助言として受け入れるようになる.やがて事態は怪人とラウルのクリスティーヌを巡る恋の闘争となっていく….
豪華な舞台と素晴らしい音楽の,重厚な映画.きらびやかな画面に目を奪われる.
エミー・ロッサムの声は美しい.この美声と美貌がありながら,普通の映画ではたいした役が付かない(「ミスティック・リバー」ではショーン・ペンの殺された娘)というのは,気の毒である.
ただ,音楽は少し重厚すぎる.最初から最後まですべてアリアという感じで,もっと合唱曲等を交えても良いと思う.
それにクリスティーヌが,怪人とラウルの間を揺れすぎる.いい加減にどっちかに決めろっと言いたくなる.
とはいえ,素晴らしい作品.★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ホテル・ルワンダ

日記:2006年3月某日
映画「ホテル・ルワンダ」を見る.
2004年.監督:テリー・ジョージ.
ドン・チードル,ソフィー・オコネドー,ホアキン・フェニックス,ニック・ノルティ,ジャン・レノ.
1994年のルワンダ虐殺で多数の避難民の命を救った,ホテル・ミル・コリンの支配人ポールの物語.
外国資本の四つ星付きホテルの支配人として,彼は日頃から情報に通じ,賄賂を使いこなし,要人への贈り物を欠かさずホテルを運営してきた.
ところが,多数派のフツ族と少数派ツチ族の内戦にようやく和平協定が結ばれた直後,大統領・首相が相次いで暗殺され,ツチ族と穏健派フツ族に,急進派フツ族の民兵が襲撃を開始する.
ポールはフツ族だが妻はツチ族だった.
ポールの家に現れた兵士は,妻子と周辺のツチ族住民を連行しようとするが,ポールは巨額の賄賂で彼らの命を買い戻す.ポールは彼らをミル・コリンに避難させた.民兵もうかつに手を出さないこのホテルに,避難民は続々と集まる.
ポールは彼らをすべて客として迎え,一方それまで培った手練手管・人脈の限りを尽くしてホテルと避難民を守る.
やがてベルギー軍の介入部隊がホテルに現れるが,その部隊はホテル滞在の外国人のみを避難させ,ホテルに駐留していた国連軍まで共に撤収して去っていった….
この絶望的な状況からポールが如何に道を切り開いていくのか,結果は最後まで予断を許さない.
映画は感動的で,幾つかの場面で涙を禁じ得なかった.緊張感が全編を貫き,ドラマは間断なく展開する.目を背けたくなるような現実に注視してこの映画を作り上げた努力には,敬意を表したい.
ただ,この映画は明快に民兵を虐殺者とする立場に,立っている.
このことは当たり前かも知れないが,僕は違和感を持たざるを得なかった.
この違和感は,リドリー・スコット監督の「ブラック・ホーク・ダウン」を見たときにも感じたものだ.リドリー・スコットはアメリカ軍の司令官を厳しく批判しながらも18名の米軍の死者を描き,一方ほとんど無差別に殺された1000人のソマリア民兵・市民の立場には,立とうとしなかった.「ブラック・ホーク・ダウン」は感動的な映画だが,この違和感はどうすることもできない.
ルワンダで殺された100万人は,また殺した方の人々は,ではどういう人だったのだろう.ある時殺す側に立った人も,その後殺される立場に変わったということも多いのではないだろうか.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ヴァン・ヘルシング

日記:2006年3月某日
映画「ヴァン・ヘルシング」を見る.
2004年.監督:スティーブン・ソマーズ.
ヒュー・ジャックマン,ケイト・ベッキンセール,リチャード・ロクスバーグ.
ジキル博士とハイド氏,ドラキュラ,狼男,フランケンシュタイン等のモンスターをまとめてやっつけるヴァン・ヘルシングの冒険アクション映画.
ヴァチカンの秘密指令を受けたヴァン・ヘルシングは,ドラキュラ伯に闘いを挑むヴァレリアス一族の末裔アナ王女を支援し,ドラキュラを抹殺するため,相棒のカールと共にトランシルヴァニアに赴く.
カールは修道僧で,ヴァチカン本部ではモンスター用のアイディア武器の作成に従事している.
ヴァン・ヘルシングはアナ女王と協力して,ドラキュラ伯の牙城に迫るが,そこにフランケンシュタインが絡んできて….
冒頭,このドラキュラとフランケンシュタインの絡みが紹介され,またヴァン・ヘルシングがハイド氏を抹殺する2つのエピソードが紹介されるが,後はもう西部劇と言おうか,007と言おうか,とにかくアクション(ヴァン・ヘルシングがヴァチカンの基地でカールから秘密兵器を受け取るくだりは,英国秘密情報部でQから秘密兵器を受け取る007そのものですね).
CGを多用してそこそこ上手なのだが,いかにもCGって感じで情緒に欠ける.
アクションも角川映画の「里見八犬伝」での真田広之を思わせるような(古過ぎか),とにかくハイスピード,ど派手なアクションで,これも情緒は無し.
アクションの間のお休みでしっとりした芝居を見せるというほどの間もなく,最後の結末もあまりに唐突で,ケイト・ベッキンセール・ファンとしてはがっかりでした.
これだったらいっそお笑いの要素を入れたら良かったのにね.
★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ドアーズ

日記:2006年3月某日
映画「ドアーズ」を見る.
1991年.監督:オリヴァー・ストーン.
ヴァル・キルマー,メグ・ライアン.
ドアーズの天才作詞家にしてヴォーカリスト,ジム・モリソンの伝記映画.
映画は伝記映画以上でも以下でもない.また記述には事実と異なるところがあるという(映画では,メグ・ライアン演ずるパムはドラッグに関してジムに対し批判的であるが,実際はヘロインを過剰注射してジムを,また2年後に自身を死亡させたのは彼女であった).
いずれにしろロックやジャズの世界で繰り返される,酒とヤクと女に溺れて破滅する主人公の,救いのない物語.
当時の世相等の描き方も通り一遍,ジムが何故酒とヤクと女に溺れていったかを説明するものも,ほとんど無い.
ジムとパムの物語として,描こうとしすぎたのではないだろうか.
全編に流れるドアーズの音楽は録音も良く素敵.
ヴァル・キルマーは確かにジム・モリソンに似ている.
★★☆(★5個が満点)
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2006/03/13

独断的映画感想文:ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女

日記:2006年3月某日
映画「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」を見る.
2005年.監督:アンドリュー・アダムソン.
ウィリアム・モーズリー,アナ・ポップルウェル,スキャンダー・ケインズ,ジョージー・ヘンリー.
いわずと知れたナルニア国物語の第1作(ということは第7作までやるのかしら).
第2次大戦中のロンドン,ドイツ軍の空襲は激しさを増し,ペベンシー家の子供達4人は,田舎のカーク教授のもとに疎開する.古い屋敷である日かくれんぼをするうち,末っ子のルーシーが衣装戸棚に隠れると,その奥は冬の森に続いていた.
そこは動物や半人半獣の不思議な生き物たちが住む,魔法のナルニア国だった.
ところが今ナルニア国は魔女に支配され,100年の冬が続いている.予言によると人間の4人兄弟が来て魔女の魔法を打ち破るのだという.兄弟4人は予言に導かれるまま,ナルニア国の獅子王アスランに会うことになる….
この原作は薦める人があって第1作だけは読んだのだが,それでお終い.
勧められたのが20代後半でしたからね.現実の方が面白いし大変になってきて,ファンタジーに没入することは出来なかった.
でもこの映画は楽しい.見ていて我を忘れ,子供のように身を乗り出して夢中になってまた見る.
映像が美しく見事,ハリー・グレッグソン=ウィリアムズの音楽も素晴らしい.
評を見るとLOTR(ロード・オブ・ザ・リング)の方が恐怖や無情を描いて良かった,こっちはガキ向きだ等という批判が見られるが,少なくとも見ている間は全く気にならない.
なぜなら見ている僕がガキになっているからである.
ガキに戻った僕は,次男エドマンドの狡さに我が身を思い出して胸を痛め,天真爛漫なルーシーの活躍にこんな妹が欲しかったことを思い出す.
そういう気持ちを思い出させてくれるこの映画の素晴らしさは,かけがえがない.
最後まで一気に見る映画,見て損は無し.
★★★★(★5個が満点)
但し僕もちょっとだけ余計なことを言います.
ルーシーの出会った半人半獣のフォーンがルーシーを誘って,「イワシの缶詰をごちそうしよう」と言うのだが,ナルニア国のどこかにイワシ缶詰工場があるのだろうか?
まああっても良いけど,イメージがちょっと崩れるなあ.資本主義の匂いがするぞ.
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番外:独断的歌舞伎感想文:當世流小栗判官

日記:2006年3月某日
歌舞伎「當世流小栗判官」を見る.
通しで1時から8時半前まで.
近松門左衛門/文耕堂・竹田出雲/勝諺蔵=原作.市川猿之助=演出.
市川右近,市川笑也,市川猿弥,市川段治郎,市川春猿他.
横山郡司の一人娘照手姫とその許嫁小栗判官が,お家乗っ取りをたくらむ横山大膳の為に苦難の道を歩む.
その発端となる「鶴岡八幡宮社前の場」から始まり,小栗判官がその得意の馬術で人馬一体となり横山大膳の仕組んだ罠を突破する「横山大膳館の場」,照手姫を小栗家の旧臣浪七と女房お藤が命を捨てて守り抜く「浪七住家の場」,小栗判官と照手姫が再会するが,小栗判官に一目惚れした照手の乳姉妹お駒の執念により悲劇に終わる「青墓宿宝光院門前の場」,お駒の呪いに傷ついた身を遊行上人に救われる「熊野湯の峰の場」,そして小栗・照手の二人を乗せた宙乗りを経て大団円に至る.
どの幕も見応えがあり,特に猿弥と段治郎が素晴らしい.
「浪七住家の場」では右近が3枚目の八橋の橋蔵を演じこれが面白い.花道でイナバウアーをやったのには吃驚.
スピーディーな展開で,わくわくはらはらしてるうちに昼夜通しの長丁場を見通した.
特に照手姫・小栗判官2人の天馬にまたがる宙乗りは圧巻.大満足でした.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:デンジャラス・ビューティー

日記:2006年3月某日
映画「デンジャラス・ビューティー」を見る.
2001年.監督:ドナルド・ペトリ.
サンドラ・ブロック,マイケル・ケイン,ウィリアム・シャトナー,キャンディス・バーゲン.
色気無し,男勝りのFBI女性捜査官グレイシー,連続爆破犯の予告によると,今度はミスコンが狙われているらしい.
FBIはグレイシーに,ミスコンに潜入して参加者を守るよう命令する.
ミスコンには偏見を持っていたグレイシーだが,自身はベテランスタイリスト・ビクターの手で大変身,また参加者は美貌と共に知性も磨いていることを知って,その偏見も変わっていく.
様々な失敗や混乱を同僚や参加者の協力で乗り越えつつ,グレイシーは犯人像に迫っていくのだが….
サンドラ・ブロック(制作も)の面目躍如といった傑作コメディ.笑いあり涙あり友情ありといった,お手本的コメディである.
サンドラ以外のFBIは皆馬鹿で間抜けでとんまというのもお約束といったところか.
ミスコンの参加者は魅力的で,各州を代表し知性も懸命に磨いており,また参加者同士の友情も育まれて,見ていて気持ちが良い(という風に描いてある).そういう描写が,最終局面でのグレイシーの感動的なスピーチに観客の共感を呼ぶ,下地になっている.
このシーンでは,グレイシーが詰まりながら幾つかの言葉をぽつりぽつりと述べていくのだが,それだけで胸に来るものがある.サンドラ・ブロックの演技力を見直した.
他には,スター・トレックのカーク船長や,キャンディス・バーゲンが出ているのが興味深い(どちらかと言えば,見なけりゃよかった).
ところで原題は「MISS CONGENIALITY(相性)」,邦題はいまいちって気もするんだけどな.
★★★☆(★5個が満点)
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2006/03/05

独断的映画感想文:シークレット・ウインドウ

日記:2006年3月某日
映画「シークレット・ウインドウ」を見る.
2004年.監督:デヴィッド・コープ.
ジョニー・デップ,ジョン・タートゥーロ,マリア・ベロ.
流行作家のモートは,不倫した妻エイミーとの離婚問題を抱え,湖畔の山荘でスランプの日々.
ところがある日,ジョンと名乗る男が現れ,モートが自分の作品を盗作したと主張する.ジョンの置いていった原稿は確かに自分の作品「シークレット・ウインドウ」と酷似していた.モートは過去に盗作の経験があったが,ジョンの言うことには心当たりはない.
ところが愛犬が殺され,今はエイミーの住む自宅が放火され,その都度ジョンの脅迫が繰り返される.
困惑したモートは探偵を雇うが….
謎の人物ジョンを演じるジョン・タートゥーロが良い.ジョニー・デップもいかにも彼らしい演技で良いのだが,映画全体は今ひとつ.
理由その1,このところ同工異曲の作品を見続けている.種明かしがあってもちっともびっくりしない.それに種明かしの披露の仕方が平凡.
理由その2,話の展開に不条理さがなさ過ぎる.確かにジョンは変質的な人間だが,不条理という感じがあまりしない.モート自身が自壊しているのだとしか思えず,状況がちっともミステリーに感じない.
そんなこんなで消化不良のまま終了.
ただ冒頭の,湖面から立ち上がって湖畔の山荘の窓から入り,部屋を俯瞰した後モートの寝ているカウチにいたるロングショットはどうやって撮ったのかしら.こっちの方がよほどミステリーです.
★★☆(★5個が満点)
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2006/03/02

独断的映画感想文:デンジャラス・ビューティー2

日記:2006年3月某日
映画「デンジャラス・ビューティー2」を見る.
2005年.監督:ジョン・パスキン.
サンドラ・ブロック(制作も),レジーナ・キング,ウィリアム・シャトナー.
前作は見ていないのだが,この作品だけで充分面白い.
男と張り合うが色気はゼロのFBI捜査官グレイシーは,前作のミスコン爆破事件(だということらしい)ですっかり有名人.捜査に入れば通りすがりのおばさんにサインを求められ,犯人にはバレ,捜査自体が成り立たない.
業を煮やした上司の命令で,泣く泣く広報専門になるグレイシー,ところがその仕事でラス・ベガスに来ると,当地で現役ミスアメリカが誘拐されたという.
この世で唯一の友達ミスアメリカを救うため,彼女は相性の悪い女性捜査官フラーと共に,現地の脳足りんFBIの執拗な妨害をはねのけはねのけ突進する….
アメリカのミステリーにも,FBIの中間管理職以上長官までが,如何に馬鹿で間抜けで腐敗して卑怯かということを綿々と描いた作品がある.この映画もその同類か,でもアメリカではそれでバランスが取れているんでしょうね.
グレイシーがその売れすぎた顔を逆手にとって捜査を進める場面や,極端に目立つ格好をして逆に顔が全く人目を引かなくなる場面など,趣向も効いていて映画の展開に乗せられる.テンポも良くて最後まで一気に見た.
見て損は無し.
しかしサンドラ・ブロックって美人でもないしグラマーでもないんだね(こんなことしみじみ言っていたら,サンドラファンに殺されちゃうかも.そういう芝居をしてるんだって).
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