独断的映画感想文:きみに読む物語
日記:2006年4月某日
映画「君に読む物語」を見る.
2004年.監督:ニック・カサヴェテス.
ライアン・ゴスリング,レイチェル・マクアダムス,ジーナ・ローランズ,ジェームズ・ガーナー,サム・シェパード.
ノース・カロライナの湖水を望むシーブルック.夕暮れの中一人ボートを漕ぐ男の影から映画は始まる.
そのボートが寄っていく大邸宅,その窓に浮かび上がる老婦人が主人公のアリーである.
映画が始まると,このアリーは認知症で老人ホームで暮らしているらしい.同じホームに暮らすデュークという男は,彼女に物語の読み聞かせをかって出ているようだ.
昔々40年代のこと,シーブルックに夏休みに来ていたアリーという娘とノアという青年の物語.
カーニバルに来ていた裕福な家の一人娘アリーに一目惚れしたノアは,製材所で働く貧しい青年だった.やがてアリーとノアは愛し合うようになる.
子供時代の最後のような,大人の始まりのような輝かしい夏の日に,二人の恋は燃えさかるが,ある夜アリーの両親の介入で二人は引き裂かれる.やがてアリーはニューヨークの大学へ,ノアは志願して第2次大戦のヨーロッパ戦線へ.アリーは病院で知り合った負傷兵ロンに求愛され,彼と婚約する….
デュークはこのようなノアとアリーの物語を読み聞かせ続けるのだ.
アリーはデュークの話に引き込まれる.
ノアとアリーの物語はどうなるのだろう.この老婦人アリーは物語のアリーらしいが,ではノアはどうなるのか.映画はノアとアリーの物語を紹介しながら,アリーとデュークの物語を巧みに語っていく.
淡々とした物語の果てに用意されている静かな奇跡.
人生の歓び,哀しみはタペストリに織り込まれた文様の1つ1つのようだ.
アリーとノアを演じる俳優がいずれも良い.大好きなサム・シェパードも良かった.
二人を引き裂いた母親を演じたジョーン・アレンが見事な演技.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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コメント
TBありがとうございましたm(__)m
何年かあとにまたじっくり観なおしてみたい映画ですね^^
地味ながらジョアン・アレン素敵でした。 もうすぐ彼女の新作が来ますね! 今度もお母さん役ですが^^ しかも四人の娘の(笑)
TB何度かお返ししたのですが、残念ながら反映されないようですm(__)m
投稿: cyaz | 2006/04/24 23:11
TB、感謝です!!
>大好きなサム・シェパードも良かった.二人を引き裂いた母親を演じたジョーン・アレンが見事な演技.一見の価値あり.
サム・シェパード、もう少し観たかったですね。
ほんのちょっとだけど、味わいのある役でした。
あの母親も、最後には良いところを見せてくれてホッとしましたねぇぇ。
投稿: カゴメ | 2006/04/25 12:31
TBありがとうございました。
この映画、僕は若いときの二人より年老いた二人に惹かれました。ジェームズ・ガーナーとジーナ・ローランズ。こういう人生の閉じ方が出来たら、そう思わずにはいられません。人生の最も美しかったときの記憶。これが一番大事な宝なのかもしれませんね。
投稿: ゴブリン | 2006/04/25 22:50