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2006/04/07

独断的映画感想文:ヒトラー ~最期の12日間~

日記:2006年4月某日
映画「ヒトラー ~最期の12日間~」を見る.
2004年.監督:オリバー・ヒルシュビーゲル.
ブルーノ・ガンツ,アレクサンドラ・マリア・ラーラ,ユリアーネ・ケーラー,ハイノ・ヘルヒ.
ヒトラーを中心とした群像劇で描く第三帝国崩壊の日々.ヒトラーの個人秘書を務めたトラウドゥル・ユンゲがその語り部である.
総統官邸の地下要塞で,崩壊の断末魔にあえぐヒトラーとその帝国の人々の最後の日々が描かれる.
その様子は何と狂気に満ちたものだろう.
ヒトラーが死守を命じたため,既に2万人の若い将校が戦死したと,将軍がヒトラーに詰め寄る.ヒトラーは驚いて反論する.「しかしそれが彼らの使命だろう?」
地下要塞に避難してきたゲッベルスの一家,ヒトラーの死後ゲッベルス婦人が子供達に眠剤を飲ませる.ぐっすり寝入った6人の子供達に,婦人は青酸カリのアンプルを投与する.その口を開け,アンプルを噛ませて頭と顎を押さえる.アンプルが割れ,毒薬が喉に落ち絶命する子供達.映画はその6人の最後を一人一人映し出す.非ナチの世界で子供達が教育されることには耐えられない,と婦人は言う.
一方この狂気の世界の,ある面での魅力的なことはどうだろう.
例えばエヴァ・ブラウンが冷酷な総統のもとで共に働くスタッフを慰めるために心を砕く,その立ち居振る舞いの何と魅惑的なことか.
軍需相アルベルト・シュペアーが危険を冒して地下要塞にやってくる.ヒトラーの命じた焦土指令を実行しなかったと告白した後ヒトラーと別れ,総統官邸の瓦礫に覆われた壮大なドームを見上げて(それは彼が建築を手がけたのだ)暗闇に消えていく,その何とも言えない寂しい後ろ姿.この感覚はどういうことだろうか.
強いてあげれば,オウム真理教の恐ろしさに震撼しながらも,時になにがしかの魅力を感じてしまう瞬間があるのと似ているだろうか?
そういえばナチの指導者も皆若いのだった.ヒトラーは56歳で死んだ.シュペアーはその時まだ30代だった.彼らが戦争という例えようのない程大きな狂気に世界を引きずり込んだのは,何故だったのだろうか.
こういうことを感じさせる,希有な映画.紛れもない力作である.
★★★★☆(★5個が満点)
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コメント

この映画は力作でしたね。最近観た映画の中でもっとも骨太な映画でした。
それにしてもあのシュペーアという男。僕はこの映画を観るまでその存在を知りませんでした。ヒトラーに市民を犠牲にすべきではないと直言した場面は強く印象に残っています。別の時代に生まれていたらもっと違った形で歴史に名を残したかもしれません。
あらゆる人を否応なく巻き込んでいったファシズムの嵐。重たすぎるテーマですが、やはり目をそむけてはいけないのでしょうね。
TBも送らせていただきます。

投稿: ゴブリン | 2006/04/08 14:27

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