独断的映画感想文:リバティーン
日記:2006年4月某日
映画「リバティーン」を見る.
2004年.監督:ローレンス・ダンモア.
ジョニー・デップ,サマンサ・モートン,ジョン・マルコビッチ,ロザムンド・パイク.音楽:マイケル・ナイマン.
17世紀のロンドン,リチャード2世の治世下,放蕩でならすジョン・ウィルモット・ロチェスター伯爵は,酒と女にふけっては卑猥な言葉だらけの詩や脚本を発表し,国王から追放されている身である.
しかし彼の才気を愛し,何かの役に立つと考える国王に追放を解かれ,ロンドンに帰ってきたジョンは,女優のリジーを見てその秘められた才能に驚く.やがてジョンはリジーの演技指導を行うようになり,リジーはその驚異的な才能を開花させていく….
映画は,蒼ざめた暗い色調で進行し,これは最後まで変わることはない.この映画では明るい太陽や暖かい燭台の灯火が現れることはないのだ.
この暗鬱な色調の中,あくまでも破滅的に生きるジョンの運命が,緊張度高く描かれる.
特に物語の中心はジョンとリジーとの恋だろう.二人ともその心をお互いに明かそうとしないにもかかわらず,この二人が如何にお互いを愛する対象として求めていたかは,画面からひしひしと伝わってくる.
最終局面で再会し,お互いの心を確かめるリジーとジョンのシーンは感銘的である.
ジョンは放蕩無頼の生活の挙げ句梅毒で死期を迎えるが,死の直前妻のもとに帰り,また国王のために議会で熱弁をふるい彼の政治的危機回避に貢献した.これは彼の「改心」と言えるのだろうか?
また,映画の中では妻,リジーをはじめ娼婦達に至るまで,誰もが彼を心から愛している.これもこの時代に「放蕩無頼」と言われた彼の人間性を伺わせるものだろうか?
ジョニー・デップとサマンサ・モートンが素晴らしい.17世紀ロンドンの情景描写はリアリティがある.
マイケル・ナイマンの音楽は今回も素敵.
骨太なコスチューム・プレイであった.
★★★★☆(★5個が満点)
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