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2006/05/15

独断的映画感想文:メゾン・ド・ヒミコ

日記:2006年5月某日
映画「メゾン・ド.ヒミコ」を見る.
2005年.監督:犬童一心.
オダギリジョー,柴咲コウ,田中泯,西島秀俊.
塗装会社で働く吉田沙織は,借金に追われているらしい.
彼女のもとに岸本という男が来て,休日だけ老人ホームで働かないかと言う.その老人ホームは,沙織の父でゲイバー卑弥呼の2代目ママとして成功した,吉田照雄が引退と同時に開設したもの.照雄は今末期癌に冒されているという.
沙織にとって,照雄は自分と母を捨てた男だった.しかし沙織は法外な給料と照雄の遺産という岸本の誘いに乗って,そのゲイの老人ホーム,メゾン・ド・ヒミコで働く様になる.
最初はおかまへの嫌悪感でいっぱいだった沙織だが,少しずつ彼らの心の裡が分かってくる.セックスに対する感覚には辟易しながらも,彼らの優しい感性や世間から身を潜めて生きる寂しさを次第に理解していくのだ.
しかし照雄に対する彼女の気持ちは頑なだった.
彼女の抱える借金は,捨てられた母が癌で死んだときの治療費によるものだったし,照雄は沙織達に全く手を差し伸べようとしなかったのだ.
照雄の恋人である岸本が,沙織の会社の若社長細川や,照雄の愛人だった半田老人と平気で寝るのも,沙織を苛立たせる.
しかし照雄の死が近づいた盆の迎え火の夜,沙織は照雄の口から意外な事実を知らされることになる….
良い映画である.特にオダギリジョーと柴咲コウは素晴らしい.
岸本の見た目の格好良さと屈折した愛情の持ち方.沙織の怒りに燃えた,刺す様な視線と,時に見せる皮肉な笑顔,そして泣き顔.照雄を演じた田中泯も圧倒的な存在感がある.
照雄の枕許で,沙織が心の堰が切れた様に父への非難をぶつけ続け,それに対し照雄が「でもあなたが好きよ」と言う,死の床のシーンは感動的である.
服飾マニアの山崎の女装願望を叶えるべく,盛装した老人達がうち連れてディスコに出かけ,他の客と一緒に踊りに興じるシーンの開放感も素敵.
最後の落ちもほのぼのとしてなかなか宜しい.これまた一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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コメント

TBありがとうございます。
ご覧になりましたか。僕は珍しく映画館で観たのですが、期待にそむかない良い映画でした。オダギリジョーのさわやかさと柴咲コウの目つきの強烈さ、そしてなんと言っても田中泯の「圧倒的な存在感」が印象的でした。はしゃぎまわる入居者たちの裏側に張り付いたさびしさ、娘に何をいわれても言い返さずに「でもあなたが好きよ」と言い残して静かに死んでいった田中泯の悲しさが良く描けていましたね。
TBも送ったのですが、いつも夜中になると管理画面の動作が遅くなって、果たして届いたのかどうか。

投稿: ゴブリン | 2006/05/16 00:15

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2005年 日本 監督:犬童一心 脚本:渡辺あや 音楽:細野晴臣 プロデューサー [続きを読む]

受信: 2006/05/16 00:38

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