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2006年7月に作成された記事

2006/07/29

独断的映画感想文:天国と地獄

日記:2006年7月某日
映画「天国と地獄」を見る.
1963年.監督:黒澤明.
三船敏郎,香川京子,仲代達也,木村功,加藤武,三橋達也,山崎努.
権堂金吾は大会社の常務,会社は重役間の争いで揺れている.
権堂は乾坤一擲,私財のすべてをかけて自分の会社の株を買い取る交渉をまとめ上げた.腹心の部下に小切手を持たせ,株式買収に立たせようとしたとき,誘拐犯から子供を誘拐したとの電話が入る.
ところが実際に誘拐されたのは,住み込みの運転手の息子だった.しかし誘拐犯はそれでも権堂に同額の身代金を払えと言う.払わなければ子供の命はない,と.
権堂は逡巡の挙げ句,身代金の支払いを決断する….
この後は有名な特急こだま号上の身代金受け渡し,捜査陣と犯人の息詰まる攻防へと続く.
原作はエド・マクベインの推理小説だが,映画の迫力は素晴らしい.
やや長尺だが,特に前半の身代金受け渡しまでは息もつかせぬ緊張感溢れる展開.後半も捜査の網が徐々に絞られていく過程のテンポは,快調である.一見の価値あり.
この映画を見て最も印象深かったのは,映画表現におけるヒューマニズムについてである.
黒澤明自身は言うまでもなくヒューマニズムの人であるが,この映画ではまず権堂金吾という凄い名前の重役が,会社の株買い占めという果断な作業のまっただ中で,他人の息子の身代金を払って破産するという道を選択する.
これは今時の,官民あげて弱肉強食を勧める世相では,考えられないヒューマニズムと言えよう.こんな人の良い経営者ではとても会社を任せられないから,さっさと破産でもしてもらおうというのが,今日の市場の判断ではあるまいか.
一方犯人もヒューマニズムの人である.
この犯人は3人もの殺害を行う凶悪な人間だが,誘拐した子供は無事に帰す.
この子供の目撃証言が結局命取りになるのだが,今時の世相では子供を殺すことをためらう凶悪犯は考えにくい.そういう意味では,何となくひと時代前の,ロシア文学的な人間像を持つ犯人である.
逆に言えば,今時の世相は,この映画が公開された四十数年前と比べ,何という地点まで来てしまったのだろうか.
蛇足その1.犯人山崎努のサングラス姿は,極めて印象的.この頃,山崎は良くこういうスタイルの犯人役を,ドラマでも演じていた様な記憶がある.
蛇足その2.ヤク中女菅井キンのシミーズ姿を見てしまった.
★★★★(★5個が満点)
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2006/07/25

独断的映画感想文:パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト

日記:2006年7月某日
映画「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」を見る.
2006年.監督:ゴア・ヴァービンスキー.
ジョニー・デップ,オーランド・ブルーム,キーラ・ナイトレイ,ジャック・ダヴェンポート.
映画を見たんですが,筋を説明しろと言われても基本的に良く判りません.
ウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)とエリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)が何故か婚約しているんだけど,両方逮捕されちゃって,縛り首になりたくなかったら,ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)からコンパスを掻っ払ってこいと,マーサーから言われる.マーサーって偉いさんらしいんだけど,どういう人だか良く分からない.
一方ジャックは海底に住む呪われた海賊「さまよえるオランダ船」の船長デイヴィー・ジョーンズに借りがあるらしく,それを返せと「黒丸」を突きつけられる.
これがあると目茶やばいらしく,ジャックは自分の魂の代わりに100の魂(その中にウィルのを含む)を差し出すという約束をしてしまう.
何となく判ったのはここまでで(これだって合ってるかどうか判らん),後ははちゃめちゃなアクションをあははあははと笑いながら見ていただけ.
言われる通り確かに「スター・ウォーズ」そっくりだというのは誰の目にも明らかだけど,デズニーものだからおふざけの程度が徹底しているのが特徴.
げらげら笑うアクションが延々と続くが,さすがに途中から笑い疲れてくる.2時間半はちょっと長いでしょうね.
面白いけど,後には何も残らないお気楽映画.
でももう少し筋が判ると良いんだけどね(記憶力が悪くって最後に出てきて見栄を切ったのが,誰だか判らないまま終わってしまったのが残念).
★★☆(★5個が満点)
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2006/07/24

独断的映画感想文:天空の草原のナンサ

日記:2006年7月某日
映画「天空の草原のナンサ」を見る.
2005年.監督:ビャンバスレン・ダヴァー.
ナンサル・バットチュルーン,他.
ドキュメンタリーに近いモンゴル遊牧民の一家の物語.
ゲルで暮らす一家のもとへ,街の学校に通っていた長女ナンサがバスで帰ってくる.夏休みなのだ.
早速着替えて弟妹と遊び始めるナンサ.母親に言われて牛糞を拾いに一人で草原に出掛ける.その途中,ナンサは岩穴に隠れていた子犬を見つけて連れ帰る.
父親には飼ってはいけないと言われたが,ナンサは羊の群れの中に隠してツォーホルと名付けたこの犬を飼い始める.
ある日父親が街に出掛け,ナンサは一人で馬を駆って羊を逐うが,行方不明になったツォーホルを捜すうちに羊の群れとはぐれ,雨の中見知らぬおばあさんのゲルに迷い込む.そこでナンサはおばあさんから「黄色い犬の伝説」を聞かせてもらうのだった….
ナンサは8歳か9歳だろうか,妹は4,5歳,弟は2歳くらい(今Webを見たらナンサは6歳だという.すると妹は4歳,弟は2歳か).
この姉弟が,オオカミがうろつきハゲワシが群れる草原でたくましく生きていく,そのおおらかさがこの映画の魅力である.
俳優を使わず実在の遊牧民一家に台詞を教えて演じてもらった映画だが,その違和感は全くなく,特に子供達の映像は素晴らしい.
一見の価値あり.★★★☆(★5個が満点)
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2006/07/20

独断的映画感想文:エヴァの匂い

日記:2006年7月某日
映画「エヴァの匂い」を見る.
1962年.監督:ジョセフ・ロージー.
ジャンヌ・モロー,スタンリー・ベイカー,ヴィルナ・リージ.
ウェールズの炭坑夫出身のタイヴィアンは,ベストセラー小説が映画化され一躍ヴェニス社交界の寵児となる.婚約者の女優フランチェスカは彼を深く愛しているが,タイヴィアンは嵐の夜に知り合った魔性の女,エヴァの虜になった….
いわゆる悪女もの,みすみす身を滅ぼしていく男を描く.
このタイヴィアンとエヴァの出会いが凄い.
嵐の夜のヴェニス,ボートの舵が壊れたと言って男が最寄りの船着き場に船を寄せ,上がった家の窓を壊して侵入する.続いて上陸したエヴァは男に荷物を運ばせ,その他人の家で悠然と持ってきたレコードをかけ,浴室を使う.やがて帰宅したタイヴィアンは,エヴァを見て男を叩き出し,ベッドの彼女に迫るが,エヴァに灰皿(?)で殴られ昏倒する.
こういう設定って今時の映画にはありませんな.
浮世離れした夢の様な設定.しかしこういう設定なればこそ,女がどういう女で男がどういう男かが,ありありと判る.
ジャンヌ・モローはご承知の通り美人ではない.身体が見事なわけでもない.この時34歳の彼女は,しかしその仕草,笑い方,冷然とした表情で,男を手玉に取る魔性の女を見事に表現している.
男は男で秘密を持っている.
勝ち得た巨万の富,社交界の地位にも拘わらず,男にはどこか不安がある.その婚約者にも話さない不安を,この悪女エヴァだけには打ち明けてしまう男.
最終局面で,破滅する男を冷然と見るエヴァ,その後ろに映る「楽園追放」の絵が印象的だった.
ミッシェル・ルグランのジャズも素敵.一見の価値あり.
★★★☆(★5個が満点)
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2006/07/18

独断的映画感想文:プライドと偏見

日記:2006年7月某日
映画「プライドと偏見」を見る.
2005年.監督:ジョー・ライト.
キーラ・ナイトレイ,マシュー・マクファディン,ドナルド・サザーランド,ロザムンド・パイク,ジュディ・ディンチ,ジェナ・マローン.
18世紀のイギリス,ベネット家は5人姉妹.
この時代のイギリスでは女性に相続権がなく,父親が死ねば相続は親戚の男子ということになり,5人姉妹は放り出されることになる.ベネット夫人は何としても娘達を資産家の男に嫁がせようと必死である.
そこにある日,近くの邸宅に独身の金持ちビングリー氏が引っ越してきて,更に友人の独身貴族ダーシーが出入りする様になる.おまけに街には連隊が駐屯する様になり,若い将校とのダンス・パーティーが連日開かれる.
この事態に母親は色めき立ち,長女ジェーンはビングリーに胸をときめかせ,若いリディア,キティ,メアリは興奮の毎日を送る.
次女エリザベスは舞踏会でダーシーに会うが,ダーシーがジェーンとビングリーの仲に否定的な態度を取ることに,強い反感を覚える….
エリザベスは18歳の美しく自己主張のある女性,愛のない結婚はしないと公言し,ダーシーを手厳しく批判する.
ダーシーはエリザベスに恋いこがれるが,彼の叔母キャサリン(ジュディ・ディンチがうまい)は「身分の低い」エリザベスを手ひどく侮辱し,ダーシーから遠ざけようとする.ダーシーも結婚相手を求めて活動を強めるベネット家の動きに,不作法だと批判する.
エリザベスは姉妹に対するそのような批判に我慢できない.閉塞的な時代とお互いが持つプライドと偏見が,恋のゆくえを混迷に突き落とすのだ.
この映画は,冒頭そのような事情の説明にいささか退屈な画面となるが,エリザベスが生き生きと動き出す後半はぐいぐいと引き込まれる.
西島秀俊に似たマシュー・マクファディンがなかなか渋い.キーラ・ナイトレイも好演.
しかし何と言ってもドナルド・サザーランドの父親としての演技が光った.最終局面でのエリザベスとのやりとりに涙を禁じ得ない.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:クローサー

日記:2006年7月某日
映画「クローサー」を見る.
2004年.監督:マイク・ニコルズ.
ジュリア・ロバーツ,ジュード・ロウ,ナタリー・ポートマン,クライヴ・オーウェン.
ロンドンの新聞で死亡記事欄担当の記者ダンは,売れない作家志望.街で事故にあったアリスと知り合い深い仲に.アリスはN.Y.からやってきたと言う.
やがて自作の本を出すことになったダンはポートレイトを撮りに写真家アンナのもとを訪れる.アンナに強く惹かれるダン,しかしアンナは相手にしない.
ダンはチャットでアンナを名乗って男を引っかけ,水族館で待ち合わせる約束をする.それに引っかかって水族館にやってきたラリーは,居合わせた本物のアンナを恋する様になる….
このように出会った2組の男女が,カップルが入れ替わったり破綻したり復縁したり,その顛末を語るラブ・ストーリー.
どうにも息苦しい映画だというのが率直な印象.
というのは登場人物はほぼこの4人の男女,殆どのシーンは4人の会話から構成され,まるで舞台劇の様なのだ(と思ったら,本当にこれは舞台劇がもとなのだった).
冒頭に書いた設定も相当に無理な設定だと思うし,彼らの恋愛がこんがらかるそもそもの原因はダンのアンナへの思いとアンナの恋愛遍歴なのだが,これがどうにもよく分からん.
アンナはラリーのことを大して好きだとも思えないのに結婚したらしいし,ダンに迫られたらあっさりと夫を裏切っているらしい.
らしいと書いているのはそれを示す映像(結婚式とか不倫の現場とか)は一切なく,その事実は彼らの会話の中で触れられるだけだからである.時間の経過も会話の中で1年経ったとか言っているのでそうかと思うだけ,映像的には次のシーンが一年後なのか翌日なのかは定かでない.
こういうわけで,舞台劇ならそれなりに受け入れるかも知れない展開でも,そのまんま映画でやられると,訳が分からないし息苦しい結果となる様だ.
舞台でもこれをやったというクライヴ・オーエン,それとナタリー・ポートマンが出来が良いが(アカデミー賞ノミネート),それ以外はもうひとつな映画.
★★(★5個が満点)
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2006/07/13

独断的映画感想文:容疑者 室井慎次

日記:2006年7月某日
映画「容疑者 室井慎次」を見る.
2005年.監督:君塚良一.
柳葉敏郎,田中麗奈,哀川翔,八島智人,柄本明,真矢みき.
新宿で男が刺されて死亡,犯人と思われる警官は,自分の職場の交番での連続任意取り調べの最中脱走し,交通事故で即死.
その警官の親が不当な取り調べだと告訴し,捜査本部長室井は地検に逮捕される.室井の担当弁護士は少女の様な駆け出し弁護士,小原久美子だった….
田中麗奈が好きです.麗奈ちゃんが演じているところには何の文句もありません.可愛いし,真摯だし,眼が綺麗.
でもこんな設定あり得ないよね(2年目の弁護士がベテラン弁護士にうっちゃり勝ちするなんて).
他の役者の皆さんもそれぞれやるべきことはやっている.設定されたキャラクター通り.カメラもしっかり取っている.ヘリも使い,隙のない映像である.金掛けただけのことはある.
でも結局この映画は何が言いたいのか.
柳葉は,青島君から教わったことを馬鹿の一つ覚えのように繰り返し(「しかし現場がっ.現場ではっ」),結局何も捜査らしいこともせず,犯人は向こうから転げ込んでくる.
この映画が言いたいことは何なのか.
どうしてもこの映画を(例えお金がちょっとしかなくっても)撮らねばならないという様な何かって,一体あったのか.それがどうしても判りませんでした.
この映画でみんなギャラを取ることはできたのでしょう.それだけでも良いのかも知れないが,感動は何もない.
どう落ちをつけるのかだけをひたすら待つ映画だった.
★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:さよならみどりちゃん

日記:2006年7月某日
映画「さよならみどりちゃん」を見る.
2004年.監督:古厩智之.
星野真里,西島秀俊,佐々木すみ江.
原作は同名のコミック.
ゆうこはOL,短大時代にバイトしていたイタ飯屋の同僚,ユタカと遂にベッドインするが,その時,ユタカは「俺には彼女いるから」と言う.
その彼女「みどり」は沖縄にいるらしい.
とはいうものの,ユタカは実にいい加減な男で,たびたびゆうこのもとを訪れ泊まっていく.おまけにゆうこをすぐ近くのスナックのバイトに強引に紹介,ゆうこはユタカのために昼はOL,夜はホステスと大忙し.さあ二人はどうなるのでしょう…という映画.
結論から言うと,二人は特にどうもなりません.
最後までいろいろ気を持たせる展開はあるが,ユタカはただひたすらいい加減な男で,ゆうこはそのユタカをただひたすら愛している.
原作がそうなのだと思うが,この二人は身体の結びつき以外には何もない.ゆうこはただユタカが好きなのだが,それを示す様な二人の会話は全くない.
画面で二人はただじゃれ合ってベッドインするだけ.
二人の会話がゼロに近いから,ゆうことユタカがどんな人間なのかは殆ど判らない.家族のことも生い立ちも何も判らず,とにかく画面からはユタカが全くいい加減な男だということしか判らない.それじゃあ何でゆうこはこのユタカが好きなのだろうか?
若いときの恋ってこんなものだったかしら.おじさんは首を捻るばかりである.
星野真里は魅力がある.
ヌードシーンの芝居はやや堅くなっていたが(こんないい加減な男の前で裸で泣き出すって,なかなかできる芝居じゃないよね),他はなかなか素敵.
最後のシーン,スナックを辞める前にゆうこが一度だけといってカラオケを歌うシーンは,「時を駆ける少女」の最後みたいで楽しい.そういや歌も同じユーミンだった.
★★★☆(★5個が満点)
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2006/07/05

独断的映画感想文:理想の恋人.com

日記:2006年7月某日
映画「理想の恋人.com」を見る.
2005年.監督:ゲイリー・デヴィッド・ゴールドバーグ.
ダイアン・レイン,ジョン・キューザック,クリストファー・プラマー.
30代後半,離婚経験ありの男女が織りなすラブ・コメディ.なかなかに面白い.
ダイアン・レインも年を取りましたね.
しかし彼女やアシュレイ・ジャッドがそうだけど,こういう年頃の女性もなかなかに魅力的.
サラは半年ほど前に離婚した幼稚園の先生.人恋しい一方で新しい恋愛にはいささか尻込みする気分もあって,兄弟姉妹は気を揉んでいる.
姉妹が勝手にサラの名前でサイトに恋人募集の書き込みをしたところ,幾つかの応募が舞い込み,サラもその気になって約束のカフェに黄色いバラを目印に出かけてみれば,バラを持って待っていたのは実の父だった….
なんてことがあったりしてげっそりするサラだが,やがてボート作りをしているジェイクと知り合う.お互いに犬好きで気が合いそうなのだが,何故か行き違いばかりで二人はなかなかストレートに付き合えない…という典型的なラブコメ.
映画のテンポが良く,物語の進展は快調である.
映画の途中のシーン.週末にある男性と思い切ってベッドインするサラ,男性も彼女に愛を囁きロマンチックに明けた翌朝のこと,男性は飛び起きて出かけなけりゃと言う.野球の試合があるというのだ.
見る見る険悪になる彼女の表情.
この時の両方の感情,何となく判りますね.男は魚を釣り上げた後で,もう日常に戻っているのだ.
一方女は,思いきって飛び込んだ恋愛モードが一晩で醒めてしまうのが,堪らなく腹立たしい.
こういうとき男って,何かまずいぞとは思いながら後戻りはもうできず,ドツボにはまっていくのである.
この映画のおもしろさは,そういうちょいとした描写にある様な気がする.
ラブコメお約束の最後の大団円に至る急展開も,なかなか宜しい.原題からしてもう少し犬が活躍すると思ったんだけどな.
★★★☆(★5個が満点)
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2006/07/02

独断的映画感想文:そして、ひと粒のひかり

日記:2006年7月某日
映画「そして,一粒のひかり」を見る.
2004年.監督:ジョシュア・マーストン.
カタリーナ・サンディノ・モレノ,ギリエド・ロペス,パトリシア・ラエ.
コロンビアの山村の花卉工場で働く17歳のマリアは主任と衝突して首になる.
マリアは同時に妊娠に気付くが,相手と結婚する気はなかった.
ダンスで知り合ったフランクリンの誘いで,マリアはヤクの運び屋を引き受けることになる.
24時間の絶食の後62粒のヤクのカプセルを飲み込むマリア,友人のブランカ,ルーシーと共に飛行機に乗るが,マリアは税関で運び屋の疑いを掛けられる.幸か不幸か妊娠していたためX線検査を受けられず釈放された彼女は,皆と共にホテルに缶詰になりカプセルの回収を行うが,ルーシーはカプセルが破裂したため命を落とす.
ルーシーの死体を始末しに一味の男が出かけた隙に,恐怖に駆られたマリア達はヤクを持ってホテルから逃げ出す….
圧倒的な貧困に苦しむコロンビアの人々と,目も眩む様な密輸の報酬,その中に生きるマリアの一本筋の通った行動がこの映画の魅力であろう.
受け取った報酬の少なからぬ部分を投じて胎児の超音波検査を受けるマリア,健康な胎児の映像を見てその心音を聞く彼女の表情は,自立した大人の女の顔だ.
ルーシーの姉からアメリカで暮らすことを決めた理由を聞き,映画の最後に彼女はある決断をするのだが,それもこの胎児の将来と関わる決断なのだろう.
映画はこのようにマリアの数奇な運命を描くだけでなく,彼女の自立していく過程を描いている.そのマリアの人物像が最大の魅力.主演女優カタリーナ・サンディノ・モレノが素晴らしい.
★★★★(★5個が満点)
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2006/07/01

独断的映画感想文:ラブ・オブ・ザ・ゲーム

日記:2006年6月某日
映画「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」を見る.
1999年.監督:サム・ライミ.
ケヴィン・コスナー,ケリー・プレストン,ジョン・C・ライリー,ジェナ・マローン.
ケヴィン・コスナー,野球映画,ピッチャーと来れば筋書きの盛り上げ方はアメリカ人なら自家薬籠中のもの.
デトロイト・タイガースのエース,ビリー・チャペルは今年40歳,チームは売りに出され新オーナーは彼をトレードに出すと言う.折しも恋人のジェーンは,彼と別れてロンドンに行くと言いだしていた.
シーズン末,優勝を目指すN.Y.ヤンキースとの試合のマウンドに登るビリー,空港での待ち時間TVで試合を見るジェーン.ビリーは最後かも知れないマウンドで,痛む肩をかばいつつ超人的な投球を重ねていく….
とかく悪口の絶えないケヴィン・コスナーであるが,僕はこの映画の彼は好きである.
野球映画での彼はとりわけリラックスしている様に見えるし,そういうときの彼がとぼけた味を出すその出し方は,絶品である.
バッターとの駆け引きを重ねながら敵打線を押さえてきて,8回のマウンドに立ちスコアボードを見上げる.ふと振り向いて捕手を呼ぶビリー,捕手が駆け寄るとスコアボードを指し,「ランナー出ていなかったっけ?」と聞く(ランナーが出ていない=完全試合).この台詞の何とも言えない味が良い.
映画は試合の進行に合わせ,彼の野球人生とジェーンとの出会いやつき合いの回想を挟んでいく.最後のクライマックスとその後のエピローグまで,時間を忘れて楽しめる映画.
★★★★(★5個が満点)
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