独断的映画感想文:アメリカ,家族のいる風景
日記:2006年9月某日
映画「アメリカ,家族のいる風景」を見る.
2005年.監督:ヴィム・ヴェンダース.
脚本:サム・シェパード.サム・シェパード,ジェシカ・ラング,ティム・ロス,ガブリエル・マン,サラ・ポーリー.
西部劇スター,ハワードは突然,撮影中のロケ地を抜け出し姿を消す.カウボーイ姿のまま馬で脱出した彼は,途中からレンタ・カー,更にバスに乗り換え,カードも携帯も捨て去り,30年音信不通だった母親のもとネヴァダ州エルコに帰る.
彼女は温かく迎えるが,親の家に帰ってもいつも通り酒で大騒ぎ,警察のやっかいになる彼だった.母親はそのハワードに,昔彼の子供を産んだという女性から電話があったという話を,初めてする.ハワードは早速昔のロケ地,モンタナ州ビュートに向かう.
一方母親を亡くした娘スカイは,その火葬した杯を壺に収め,母の故郷ビュートに向かう.
ビュートでハワードは昔付き合ったドリーンを見つけ出し,息子アールと会うことになる.アールは激しく動揺し,ハワードを拒絶するのだった.
一方ハワードをロケ地に連れ戻すべく,サターが彼を追跡し,ビュートに迫っていた.
アールとの関係はどうなるのか,スカイとは何者か,サターはハワードを捉えるのか….
ヴィム・ヴェンダースを見るのは5本目だが,コダカラー的な黄色がかった色彩,ざらついた色調,アナログ的なピントの甘い画像と,相変わらずその映像は印象的である.
T=ボーン・バーネットの音楽も効果的に使われている.
この映画は,それぞれ自分の拠り所を求める人々が,家族というキーワードを軸に再生していく物語だと思うのだが,各々の抱える寂しさ・満たされなさは(それは追跡者サターも含めて),直感的に伝わってくる.
演じる俳優がいずれも素敵.
大好きなサム・シェパードは言うに及ばず,ジェシカ・ラングもティム・ロスも期待通り.スカイを演じるサラ・ポーリーは「死ぬまでにしたい10のこと」以来だが,その存在感は素晴らしい.
息子アールを演じるオダギリ・ジョー似のガブリエル・マンはロックシンガー役だが,その自演の歌も含め印象的.
見た後気分が良くなる映画.一見の価値あり.
★★★☆(★5個が満点)
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