独断的映画感想文:シリアナ
日記:2006年9月某日
映画「シリアナ」を見る.
2005年.監督:スティーブン・ギャガン.
ジョージ・クルーニー,マット・デイモン,アマンダ・ピート,ジェフリー・ライト,クリストファー・プラマー,ウィリアム・ハート.
シリアナは中東の小国の名前らしい.
CIAのエージェント・ボブは中東専門,ミサイルの取引に介入し,購入したテロリストを爆殺するが,一基のミサイルの行方を見失う.この事件を機に現場を離れようとしたボブに,新たな指令が下る.
辣腕弁護士のベネットは,上司からコネックス社とキリーン社の合併問題に違法性がないかを調べるよう,指示を受ける.コネックス社はシリアナの採油権を中国に奪われ,カザフスタンの採油権を取得したキリーン社と合併しようとしていた.
スイスのジュネーブでデリバティブの営業をしているブライアンは,シリアナの国王の開いたパーティーに家族ぐるみで招かれ,息子を事故で失う.しかし,それをきっかけに開明派の王位継承者ナシール王子の経済顧問に抜擢される.
コネックス社の撤退で仕事を失ったパキスタンの出稼ぎ労働者ワシームは,アルバイト程度の仕事にしかありつけず,神学校でのイスラム原理主義の講義に心を傾けていく.
この全く別々の物語が並行して進む前半は極めて複雑で,特にボブとベネットを巡る物語は,登場人物の人間関係が複雑で,理解することは極めて困難である.
その割には物語の骨格と終幕は,現に今アメリカが世界中でやっていることそのままなので,意外感も何もない.緻密に描かれた緊張感のある良い映画だが,面白くはない.
むしろ,アメリカがこの映画を作り,その内容にも拘わらずアカデミー賞を与えたということそのものに,意外感と興味を持つのだ.映画そのものよりむしろ,現実のやりきれなさに衝撃を受ける.
★★★☆(★5個が満点)
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