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2006/09/18

独断的映画感想文:ある子供

日記:2006年9月某日
映画「ある子供」を見る.
2005年.監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ,リュック・ダルデンヌ.
ジェレミー・レニエ,デボラ・フランソワ,オリヴィエ・グルメ.
ダルデンヌ兄弟の作品は「息子のまなざし」以来だが,今回の作品も不思議な魅力だ.
手持ちカメラの映像,音楽は一切無しは,「息子のまなざし」と同様.
20歳のブリュノの彼女は18歳のソニア,二人の間にジミーという赤ちゃんが生まれたところから物語は始まる.ブリュノは街頭で小銭をねだったり,少年と組んでひったくりをし盗品をさばいたりしてその日を暮らす.
ブリュノには父としての自覚もないが,さりとて冷酷な訳でもない,関心がないだけなのだ.
そのブリュノが人に教えられ,赤ちゃんを人身売買組織に売り払ってしまう.ソニアにそのことを話し,大枚の金を「二人のものだ」と見せるブリュノ,「赤ん坊はまた作ればいい」とも言う.ソニアはものも言えず卒倒し,ブリュノは自分のしでかしたことの重大さに気付く….
ブリュノはとんでもないアホである.
しかし映画のブリュノに注ぐ視点は決して冷たくない.ブリュノだってヤクをやる訳で無し,酒に溺れる訳で無し,女にだらしがない訳でもない.ソニアとじゃれ合う姿はほほえましいものだ.
しかしどうしてこういうブリュノになってしまったのだろう.その説明は一切無いが,ソニアにアパートを叩き出されても母親の家に行くこともできない様子を見ると(母親は男と住んでいるらしい),その状況の一端は伺うことができる.
ブリュノは決して悪党ではない.しかしこのあと二人はどうなるのだろう?映画は最後に希望の一筋を示して終わるが,彼らの未来は困難に満ちているだろう.
緊張感高く,映画に引き込まれ最後まで一気に見る.
英語名が“THE CHILD”であるから,邦題の「ある子供」はおかしい.「子供」で良いのではないか.この「子供」とは言うまでもなくブリュノのことである.
★★★★(★5個が満点)
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コメント

TB、感謝です♪

>ブリュノはとんでもないアホである.

馬鹿というより、「アホウ」と言うニュアンスがピッタリのキャラですね(苦笑)。

>緊張感高く,映画に引き込まれ最後まで一気に見る.

ただ単に、乳母車を押して街をほっつき歩く姿を坦々と追うシーンだけでも、
ちゃあんと何事かのドラマになっているのが凄い所ですね。

投稿: カゴメ | 2006/09/25 11:10

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