独断的映画感想文:初恋
日記:2007年1月某日
映画「初恋」を見る.
206年.監督:塙幸成.
宮崎あおい,小出恵介,宮崎将,小峯麗奈,柄本佑,藤村俊二.
1968年12月に発生した3億円事件の「真相」を描く,青春映画.
小さいとき父を亡くし,兄を連れて家出した母に捨てられたみすずは,以後叔母の家に引き取られ孤独の中で成長する.ある日自分を訪ねてきた兄に渡されたマッチを手がかりに,ジャズ喫茶「B」に出入りするようになったみすずは,そこにたむろする青年達の中にようやく自分の居場所を見つけた.
やがて機動隊との衝突等で散り散りになる仲間達,その中東大生の岸がみすずに意外な提案をする.みすずはその提案を受け入れ,岸と共にその準備を始める….
この映画は60年代後半という特異な状況を背景としているが,60年代を描いた作品という訳ではない.また,3億円事件という特異な犯罪を題材にしているがクライム・ムービーという訳でもない.この映画は,名前通り,みすずという孤独な少女の初恋の物語なのだ.
僕とみすずは同い年である.だからみすずの気持ちが分かるというつもりは毛頭無いが,みすずが見ていたであろう景色は想像がつく.だが映画で展開する物語の緊張感は,今ひとつと言わざるを得ない.
それは恐らく60年代,3億円事件,青春映画というそれぞれの取り扱いがやや中途半端だったからではないか.3億円事件が60年代後半の政治状況に深く関連しているというのなら,その状況とジャズ喫茶「B」のメンバーのそれとの関わりを,もっと具体的に描くべきではなかったか?
宮崎あおいの演技には緊張感があったし他の俳優も悪くなかった.
ただし,60年代後半・新宿という特異な場を舞台として使うのであれば,それにふさわしい緊張感を観客は期待するであろう.
その期待にはやや届かずという感想.★★★☆(★5個で満点)
人気blogランキングへ
コメント