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2007年2月に作成された記事

2007/02/13

独断的映画感想文:ハチミツとクローバー

日記:2007年2月某日
映画を「ハチミツとクローバー」を見る.
2006年.監督:高田雅博.
桜井翔,伊勢谷友介,蒼井優,加瀬亮,関めぐみ,堺雅人,西田尚美.
人気少女コミックの映画化.芸大の学生群像の物語.
花本研の花本教授宅には芸大の各学科の学生が集まってよく飲み会を開く.
花本研に出入りする学生のうち日本建築を学ぶ竹本は人の良いのんびりや,花本教授の従兄弟の娘で芸大の新入生はぐみと鉢合わせして一目惚れしてしまう.
それを目撃していた親友の真山は,花本教授の後輩で建築事務所を開く理花に片思い,陶芸科のあゆみはその真山に片思い,更に突然帰国した8年生森田がこのグループに加わり,強引にはぐみの唇を奪ったことで事態は混沌として….
原作の少女コミックは読んだことが(当然ながら)無いが,映画は現実離れしたメルヘン,誰もが持っている学生時代の夢を理想化したようなお話である.
それでも映画として成り立っているのは,一つには丁寧な画面作りによる.
芸大のキャンパスってこうなんだろうなと,思わせるだけの詳細な描き込みは好感が持てる.花本教授宅や大学寮のたたずまいも腑に落ちる.
もう一つは蒼井優の存在感.
この映画が好きになれるかどうかは,ひとえに蒼井優演じるはぐみを受け入れるか否かにかかっている.このはぐみは原作ではどう描かれているのだろうか.この天使のようでしかしパワフルな絵を描く美しい子は,いわば理想の妹像・恋人像かも知れない.彼女のおかげで映画は映画になり得たようだ.
役者としては他の映画でも活躍している加瀬亮と伊勢谷友介が見応えあり.堺雅人のほんやら感も素敵.櫻井翔は映画には不向き.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:明日の記憶

日記:2007年2月某日
映画「明日の記憶」を見る.
2005年.監督:堤幸彦.
渡辺謙,樋口可南子,坂口憲二,吹石一恵,水川あさみ,大滝秀治,香川照之,田辺誠一.
若年性アルツハイマーに罹患した男性の物語.広告代理店に勤める部長佐伯は,一人娘の結婚を間近に控え,順調な仕事の陣頭指揮で多忙な身である.
ところが最近物忘れが激しくなり,重要な会議をすっぽかしたり人の名前が出てこなかったりするようになる.妻に懇願され受診した結果は衝撃的な診断だった…(以後ネタばれあり).
退職までの葛藤,妻との闘病,娘の結婚式と身につまされることの連続で,主人公に深く感情移入してしまう.
俳優がみな過不足なく演じ画面も美しい.
最終局面で主人公は自ら障害者のホームを訪れ,自分が入所するであろうその施設を自分の目で確かめる.
帰路主人公は妻と出会った思い出の陶器窯を訪れ(その幻想的な道行が美しい),妻の名を刻んだ茶碗を一晩かけて焼く.
しかし明け方その山を降りる途中,彼を案じて上がってきた妻と出会っても,もう彼女を識別できないのだった.
妻の記憶をなくした主人公が,それでもなおこれから妻とともに生きていく人生を思うと,胸のふさがれる思いを禁じえない.そのシーンを静かに演じる渡辺謙と樋口可南子が印象的.
物語の結末は明らかなのだが,そこまでの過程の描写で幾度も感動する.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:バッド・エデュケーション

日記:2007年1月某日
映画「バッド・エデュケーション」を見る.
2004年.監督:ペドロ・アルモドバル.
ガエル・ガルシア・ベルナル,フェレ・マルティネス,ハビエル・カマラ.
監督の自伝的映画だそうです.
若い映画監督エンリケのもとに少年時代の友人イグナシオが訪ねてくる.今はアンヘルと名乗り役者を目指しているという彼は,1冊の脚本を置いていく.
その脚本はエンリケとイグナシオの,神学校の寄宿生だったときの恋愛とその悲劇的な結末,その後を描いたものだった.エンリケはこの脚本に強く惹かれ撮影を始めることにするが,アンヘルは劇中の男娼サハラの役を強く希望するのだった….
映画は二人の少年時代の愛情とそれを引き裂くマロノ神父の行動を,脚本の撮影による劇中劇の形で描きながら,現在のエンリケとアンヘルの愛憎を追っていく.
映像は美しく色彩は印象的,音楽も悪くない.この監督の映画に出てくるオカマたちにはもう慣れっこなはずだった.
しかし監督の他の作品(見たのは「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥ・ハー」「死ぬまでにしたい10のこと」)に比べると,どうも見終わってハッピーになりません.
少年時代同性にあこがれる気持ちまでは,判らなくはないし,自分にも経験はある.
しかしそこから先の話しには,やはりついて行けません.生理的にダメでした.
★☆(★5個が満点)
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