独断的映画感想文:明日の記憶
日記:2007年2月某日
映画「明日の記憶」を見る.
2005年.監督:堤幸彦.
渡辺謙,樋口可南子,坂口憲二,吹石一恵,水川あさみ,大滝秀治,香川照之,田辺誠一.
若年性アルツハイマーに罹患した男性の物語.広告代理店に勤める部長佐伯は,一人娘の結婚を間近に控え,順調な仕事の陣頭指揮で多忙な身である.
ところが最近物忘れが激しくなり,重要な会議をすっぽかしたり人の名前が出てこなかったりするようになる.妻に懇願され受診した結果は衝撃的な診断だった…(以後ネタばれあり).
退職までの葛藤,妻との闘病,娘の結婚式と身につまされることの連続で,主人公に深く感情移入してしまう.
俳優がみな過不足なく演じ画面も美しい.
最終局面で主人公は自ら障害者のホームを訪れ,自分が入所するであろうその施設を自分の目で確かめる.
帰路主人公は妻と出会った思い出の陶器窯を訪れ(その幻想的な道行が美しい),妻の名を刻んだ茶碗を一晩かけて焼く.
しかし明け方その山を降りる途中,彼を案じて上がってきた妻と出会っても,もう彼女を識別できないのだった.
妻の記憶をなくした主人公が,それでもなおこれから妻とともに生きていく人生を思うと,胸のふさがれる思いを禁じえない.そのシーンを静かに演じる渡辺謙と樋口可南子が印象的.
物語の結末は明らかなのだが,そこまでの過程の描写で幾度も感動する.
★★★★(★5個が満点)
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