独断的映画感想文:カポーティ
日記:2007年は4月某日
映画「カポーティ」を見る.
2005年.監督:ベネット・ミラー.
フィリップ・シーモア・ホフマン.キャサリーン・キーナー,クリフトン・コリンズ・Jr.
ネタバレあります!!
「ティファニーで朝食を」の原作者,50年代の売れっ子作家トルーマン・カポーティが,カンザス州の一家4人殺しのドキュメントノベル「冷血」を書く過程を描いた伝記ドラマ.
1959年11月に発生したこの強盗殺人事件を知ったカポーティは,これを題材に小説を書こうと,親友のネルと共にカンザス州の現場に赴く.
やがて容疑者2人が逮捕されるに至り,カポーティはそのうちの一人ペリーと面接し,彼の不思議な魅力に惹かれ作品への意欲をかき立てられる.
小説のネタを得るため,地元警察の反感を顧みず彼らに弁護士を世話するカポーティ,彼はペリーから殺害当時の状況を直接聞き出すためにあらん限りの手段を尽くすが….
カポーティは当初ペリーの歓心を買うため弁護士を世話し,やがて殺人状況を聞き出すために彼をだまし,最後に死刑執行を見届けたいがために弁護士の紹介を拒絶する.ペリーを欺きその命をもてあそぶ2枚舌,しかも最後に死に直面するペリー本人に,会わずにはいられない.
そのゲイの本性とプロ作家の立場を揺れ動く心.「冷血」とは誰のことか.
映画はほとんどが人と人との対話場面からなり,間を重苦しい刑務所の全景がつなぐような単調な構成だが,その緊張度は高い.
カポーティを演ずるフィリップ・シーモアの演技は説得力のある重厚なものだ.見終わって改めて,カポーティに取り憑いた悪魔はどんなものだったかを考えさせる映画である.
★★★★(★5個が満点)
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コメント
さるおです。
> 2枚舌,しかも最後に死に直面するペリー本人に,会わずにはいられない.
早く死んでくれーっちゅーことで弁護士の紹介を拒否したあたりから、"冷血"の本性と葛藤を見ることになりましたね。ほんとに、緊張感高い雰囲気でした。
同時に、それ以前の利己主義に徹した人生も、すごく重要でした。
フィリップ・シーモア・ホフマンはすごく良かったっす。リアリティ溢れる演技というか、表情の下の感情を読めと、こちらも試されたような感じです。
投稿: さるお | 2007/04/26 00:37