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2007/05/10

独断的映画感想文:いつか晴れた日に

日記:2007年5月某日
映画「いつか晴れた日に」を見る.
1995年.監督:アン・リー.
エマ・トンプソン(脚本も),アラン・リックマン,ケイト・ウィンスレット,ヒュー・グラント,グレッグ・ワイズ.
英国の女流作家ジェーン・オースティンが1811年に書いた「分別と多感」の映画化,彼女の映画は「プライドと偏見」以来である.
19世紀のイギリス,イングランドはサセックス州のダッシュウッド家は当主が病死,妻と3人の娘は法の定めにより異母兄に全てを相続され,屋敷を出る羽目になる.
当主は死の床に異母兄を呼び3人の娘の庇護を懇願したが,異母兄の妻(血も涙もないハゲタカと描かれる)の反対でそれは実現しなかった.僅かな年金で暮らすことになった親子4人は,従兄弟のジョン卿の離れに落ち着く.
困難な状況の中で家族を支える老嬢に近いエリノア,真の恋を求める多感な情熱家マリアンヌ,海賊ごっこが大好きな末娘マーガレット.彼女たちを巡りジョン卿の旧友ブランドン大佐,異母兄の義弟エドワード,お向かいの当主ウィロビーが入れ替わり現れては恋の物語が展開する….と言う「プライドと偏見」と同工異曲の映画.
男系相続主義のため大変な目に遭うこの姉妹達だが,かといって使用人を使い自分でやることと言えばお茶を入れることくらい,恋にうつつを抜かして一喜一憂している,と見ることも出来る.
一方ではこの娘達の運命に胸を躍らせ,恋の物語の行方に夢中になる.僕の中にはこの相反する立場が混在しているようだ.
映像は美しく,物語のテンポも落ち着いていて好ましい.
特にエマ・トンプソンが良い.
長い物語の果てに,突然の運命の変遷により愛する男と結ばれるのだと判った瞬間,嗚咽にむせぶエリノア.それまで自分を隠し続けた彼女を爆発的な感情の波がとらえ,泣きやむことが出来ない.そのシーンのエマ・トンプソンは胸を打つ.
その後の大団円で一安心.見て損はなし.
★★★★(★5つで満点)
ところでDVDに収録されているエマ・トンプソンのゴールデン・グローブ賞での脚本賞受賞演説は一見の価値あり(脚本賞を取ったのは女優エマ・トンプソンだが,他にノミネートされていた中にはティム・ロビンスもいるのに吃驚).もしこの受賞をジェーン・オースティンが見たらと言う設定で,自身を含めたスタッフを茶化すという演説である.まことに才人である.
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