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2007/06/18

独断的映画感想文:父親たちの星条旗

日記:2007年6月某日
映画「父親たちの星条旗」を見る.
1
2006年.監督:クリント・イーストウッド.
ライアン・フィリップ,ジェシー・ブラッドフォード,アダム・ビーチ,バリー・ペッパー.
太平洋戦争の最大の激戦地の一つ硫黄島,この島から配信された,有名な6人の兵士による星条旗掲揚写真を巡る物語.
終戦後復員し葬儀屋で成功したジョン・“ドク”・ブラッドリーは,病に倒れ死の床にあった.息子のジェイムズは,父がほとんど語らなかったその硫黄島での体験を調べ始める.
硫黄島での戦闘は凄惨を極めた.小隊の衛生兵“ドク”は偶然,擂鉢山制圧後山頂にアメリカ国旗を立てた6人の兵士の一員となる.
そのとき撮られた写真は全米に配信され,アメリカ国民を熱狂させた.財務省はその6人を召還し,国債販売の一大キャンペーンを張ろうと画策する.
その6人の兵士は誰かが調査され,兵士レイニーは,決して自分の名前を出すなと懇願したネイティブ・アメリカンのアイラの名前を含め6名の名前を上申する.そのうちの1名は誤って別人の名が伝えられたが,当局は委細構わず公表し,生存していたレイニー,“ドク”,アイラの3人が国債キャンペーンのため召還され全国を巡回することになる….
映画は写真に写っていたがために「英雄」ともてはやされた3人の兵士のその後の行動と,硫黄島での戦闘を交互に描きながら6人の兵士のその後を追っていく.
硫黄島の戦闘は凄絶である.
戦闘で個々の兵士はその命を落としていく.しかし軍という組織の長にとっては,また国家という組織の一員にとっては,兵士とは数あるいは機能に過ぎない.
個々の兵士にとっては,戦死したその家族が受ける栄誉を含め6人が誰であるかは,かけがえもなく重要な事実だ.ところが軍の上層部や財務省にとっては兵士が誰であるかには何の意味もない.問題はその兵士が国債販売に役立つかどうかだけである.
戦争では常に,国家の命を受けて戦場に赴き死んでいく兵士達と,戦争を利用して財をなし名誉をつかむ,国家の周辺にいるひとかたまりの人々が存在するのだ.この映画はその狭間に放り込まれた兵士達の,困惑に満ちたその後の人生を描いたと言える.
只,戦争とは凝縮された平時に過ぎず,その意味で今僕たちが抱える困難は,この映画の描く困難と本質で変わるものではない.
映画は語り手が誰で,その視点がどこにあるかについて分かり難いところがあるが,その意図は十分に示されていると思う.緊張感の維持された映画らしい映画.
2部作を通して言えば,「硫黄島からの手紙」の方にテーマとその説明の明快性で,分がありそうだ.
★★★★(★5個が満点)
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コメント

TB有難うございました。
やはりTB返しが出来ないようなので、またURLを貼らせてください。

http://okapi.at.webry.info/200706/article_20.html

私は逆に、主題は「硫黄島」よりこちらのほうが明解と感じました。

投稿: オカピー | 2007/06/19 01:46

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