独断的映画感想文:涙そうそう
日記:2007年7月某日
映画「涙そうそう」を見る.
2006年.監督:土井裕泰.
妻夫木聡,長澤まさみ,麻生久美子,塚本高史,平良とみ,小泉今日子,船越英一郎.
ご注意,ネタバレあります.
沖縄本島の昼は市場で配達を,夜は飲食店従業員で働く洋太郎,今日はおばあのいる島から本島の高校に合格した妹カオルがフェリーでやってくるのだ.
母は洋太郎が幼い頃,ジャズマンと再婚,その連れ子カオルと洋太郎は兄妹として育つ.ところが父はいつか姿を消し,母は病死,兄妹はたった二人でおばあのいる島へ渡った.
母が死ぬとき,泣きそうになったら鼻をつまみなさいと言われ,その教えを守って泣くのを我慢して二人は成長した….
この様に始まるカオルと洋太郎の兄妹の物語.
洋太郎は店を持つため日夜働き,ようやく海を見晴らす丘の古い家を手に入れ,手作りで改装して開店にこぎ着ける.
ところがその土地を売った男は詐欺師だった.店は失われ後には借金が残る.しかし洋太郎は屈せずに,成績優秀なカオルを大学に入れるため,尚更頑張るのだった….
結論から言うとこの心優しい兄は,働き過ぎから急死するのだ.映画の結末は妹の涙で終わる.
この点でこの映画は惨憺たる世評を浴びているようである.
曰く,何も殺すことないじゃないか,泣かせるためだけの薄っぺらい映画,ショボい物語.
しかし「涙そうそう」という歌が森山良子の兄の急死をモチーフとして作られていることは周知の事実であり,この映画が「兄の急死」という展開になることは予め分かっているとも言える.その点ではいささか気の毒なな評価だとも思えるのだが.
後に深く残る映画ではないが,「泣かせる」映画としてはまずまずの出来.妻夫木・長澤の演技は見応えあり.個人的には,二人の間では僅かに長澤の勝ちと思える.
ところで,その不幸な生い立ちを知った上で洋太郎を騙し,兄妹に借金の山を残す詐欺師を演じた船越英一郎が,「友情出演」だとクレジットされているのは,いささかブラックな冗談ではないだろうか?
★★★(★5個が満点)
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