独断的映画感想文:セルピコ
日記:2007年7月某日
映画「セルピコ」をみる.
1973年.監督:シドニー・ルメット.アル・パチーノ.
警察学校を卒業したセルピコは念願のNYPD(ニューヨーク警察)の警官となる.しかし杓子定規に建前を守る一方規律はゆるみ熱意に欠ける警察の体制と,なりふり構わず捜査に没入するセルピコとは,次第に事ごとにぶつかるようになる.
やがて配属された分署で彼は封筒に入った現金を受け取った.同僚や上司に相談するが誰も取り合わない.警官達は店から賄賂を集金しては,同僚同士で分け合っていたのだ.
一人金の受け取りを拒否するセルピコは,次第に同僚から孤立し,やがて敵意を抱かれるようになる….
実在の人物に取材した映画だが,最後に捜査中銃撃され,重傷を負って担ぎ込まれるまで(映画はそのシーンから始まる)の戦いは,極めて印象的だ.
孤立し何時死に直面するか判らない日々の連続に,セルピコは肩を怒らせ攻撃的になり,背を丸めて歩く生活を送る.彼を愛している女性達でさえ,堪らずに彼の元を去っていく.その長い孤独な日々.
遂に腐敗の告発が認められ,金色バッジを得て査問会で証言を行うに至るが,映画は旅支度をして波止場で愛犬と出国を待つ彼の姿で終わる.
俳優としては,この映画は殆どアル・パチーノのワンマン映画と言って良い.この頃の若々しいアル・パチーノは好きである.目が澄んで,はにかみとか怯えとかいう青年特有の表情が魅力的だ.
「ゴッド・ファーザー」以降のアル・パチーノは次第に怪優あるいは怪演という言葉のふさわしい毒々しい演技に変わっていった様に思う.
★★★☆(★5個が満点)
人気blogランキングへ
コメント
こちらにもお邪魔するです!!!
シドニー・ルメットのこの頃は、触れたら切れそうな味わいがあって良いですね。
パチーノの芝居がまたテンションが見事で素晴らしいですね。
怒りが胸中で常に鳴動してる感じで、
その癖、あの澄み切った目の力強さは只者ではありません。
カゴメにとっては一等大事な作品であります。
投稿: カゴメ | 2007/07/16 16:00