独断的映画感想文:ブラック・レイン
日記:2007年6月某日
映画「ブラック・レイン」を見る.
1989年.監督:リドリー・スコット.
マイケル・ダグラス,高倉健,アンディ・ガルシア,松田優作,若山富三郎,内田裕也,安岡力也.
松田優作の遺作.
刑事ニックは,現場叩き上げの背広の官僚を嫌うやり手デカである.同僚のチャーリーと居たレストランで偶然日本人やくざを目撃する.
そのやくざ佐藤は,白昼公然と敵対組織のやくざを刺殺し逃亡したのだ.後を追って佐藤を取り押さえたニックは,チャーリーと共に佐藤を日本に護送することになる.
ところが空港で佐藤はまんまと待ち受けていた偽警官と共に逃亡し,ニック達は拳銃を取り上げられ,オブザーバーとして大阪府警の松本警部補と共に捜査状況を見守ることになる….
映画はこの2人のアメリカ人刑事が日本警察とぶつかりつつ,間に立つ松本と共に佐藤を追い詰めるその経過を追う.
今この映画を見ても,アメリカ映画が日本を舞台にする時の「日本を滑稽視している」などという感じは全く気にならない.そんなことはどうでも良い.
素手のアメリカ人刑事に悪夢のように日本やくざが襲いかかる舞台として,この80年代の大阪心斎橋や阪急梅田のたたずまいはまことにふさわしい.
その異形の空間から立ち上がる松田優作の迫力の何と素晴らしいことか.この俳優を失った喪失感を,改めて感じざるを得ない.
映画自体もテンポ良く緊張感ある仕上がりで,最後のまとめは調子が良すぎるが(違法捜査をしてマシンガンの乱射劇まで引き起こしたアメリカ人刑事が何で手のひらを返したように表彰されるのか),全体としては良い出来である.
この映画の思わぬ収穫は若いアンディ・ガルシアの魅力だろう.アンディ・ガルシアと高倉健のデュエットによる「ホワッド・アイ・セイ」の熱唱には,珍プレイ好プレイ賞を(どっちだ)捧げたい.
見て損はない映画.★★★★(★5個が満点)
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